【共通テスト物理基礎】9割も目指せる勉強法と過去問活用のコツ!共通テストの傾向と分析も掲載
共通テスト1年目の物理基礎の平均点は、過去5年のあいだで最高点を記録しました。基本に立ち返って考えれば十分対応できる問題が多かったことが要因だとみられています。
ただ物理基礎は、どの基礎科目より「計算」の比重が大きい科目。今年度以降の共通テストで高得点を狙っていくには、公式の理解と正しい計算力が欠かせません。また新傾向の問題にも対応できる力をつけておくことが重要です。
今回は共通テストで9割を目指せしたい受験生に向けて、具体的な勉強法を解説していきます。おすすめの問題集も紹介していますので、最後まで読みぜひ今日から取り入れてみてくださいね。
目次
初めて実施された「大学入学共通テスト」を振り返る
まずは共通テスト(物理基礎)の概要を振り返っておきましょう。センター試験との違いも踏まえておくと、過去問を利用する際にも役立ちますよ。
問題形式、出題傾向
共通テストの問題数・配点は、センター試験と比較して以下のような変化がありました。
- 大問数は3問のままで変化なし
- マーク数は13 ⇒ 19に増加
センター試験(2020年度) | 共通テスト(2021年度) | |
第1問 | 20点(5) | 16点(6) |
第2問 | 15点(4) | 18点(6) |
第3問 | 15点(4) | 16点(7) |
合計 | 50点満点 | 50点満点 |
※ 配点後ろの( )はマーク数を表す。
出題された分野は大問ごとに「力学」「波」「電気と磁気」と、物理基礎の主要分野を網羅したものでした。
特徴的だったのは「計算結果の数値を直接マークする問題」が出されたことです。センター試験のように文字式のみの問題は出題されませんでした。
また問題で与えられたデータをそのまま使うのではなく、丁寧に整理しながら物理法則を当てはめないと解けない問題も出されました。これがよくいわれる「思考力を問う問題」に相当します。
◆ 新傾向の出題例|共通テスト(2021年度)物理基礎 第3問 問5
実は共通テストには、「問題作成の方針」というものが定められています。以下は2022年度の共通テストの出題方針を抜粋したものです。
日常生活や社会との関連を考慮し,科学的な事物・現象に関する基本的な概念や原理・法則などの理解と,それらを活用して科学的に探究を進める過程についての理解などを重視する。問題の作成に当たっては,身近な課題等について科学的に探究する問題や,得られたデータを整理する過程などにおいて数学的な手法を用いる問題などを含めて検討する。
先ほど紹介した第3問 問5でいえば、「落下しているとき、全体の力学的エネルギーは一定。しかしおもりの力学的エネルギーは”ひもの張力”が仕事をする分だけ減少する」ということに気づけるかどうかがポイントになります。
この部分がまさに問題作成方針の『得られたデータを整理する過程などにおいて数学的な手法を用いる』に該当しており、今後もこのように素直に計算すれば解ける問題ではない問題が出されていくと考えられます。
物理基礎の共通テスト対策は、「基本的な知識の習得」と共に「共通テストに向けた問題演習」を両立させることが必要だといえます。
平均点
過去5年の平均点を見てみましょう。
年度 | 平均点 | 前年差 |
2021年度 | 37.55 | +4.26 |
2020年度 | 33.29 | +2.71 |
2019年度 | 30.58 | -0.74 |
2018年度 | 31.32 | +1.63 |
2017年度 | 29.69 | - |
物理基礎は近年30点台の平均点で推移していましたが、2021年度は稀に見る高い水準の平均点となりました。マーク数は増え、見慣れない形式の出題もあったものの、公式を使えば解ける基本的な問題も多く、結果的に平均点を押し上げたものと考えられます。
新しい入試制度が始まって数年は出題傾向も安定せず、平均点の乱高下も起きやすいと言われています。もう2~3年は「何が起きてもおかしくない」という心づもりで取り組むんでいきましょう。
★ 共通テストについては、こちらもどうぞ!
「大学入学共通テストとは?教科ごとの出題科目は?日程や出願方法など詳しく解説!」
物理基礎の共通テスト対策・基本方針3か条
物理基礎は公式を使った計算問題の比重が多い科目です。比較的短期間で対策が完了できるので、「お得」という声も少なくありません。英語や数学など、他の科目に時間を割きたい受験生ほど、効率的に対策できる方法を知りたいのではないでしょうか。
共通テストの物理基礎対策のコツは2つ、
- 事象や物理法則、公式を本質的に理解すること
- 良質な問題演習を繰り返すこと
この2点に集約されます。
共通テスト物理基礎対策の具体的なやり方を見ていきましょう。
1.対策の基本は「公式を本質的に理解すること」
物理基礎は「基礎」という名前がついていますが、だからといって”簡単”という意味をあらわすわけではありません。物理同様、物理法則を理解した本質的な物の見方は不可欠。また事象を抽象化して考える視点も大切です。
公式も丸暗記するのではなく、法則にのっとった理解を心がけましょう。「なぜその要素を、そう計算すると、その答えが出せるのか」と説明できるようになればバッチリです。
ただし物理の計算は「微分・積分」のような複雑な知識は不要、難しくても連立方程式レベルが解ければ大丈夫です。だからこそ、公式を含めて「なぜ、そうなるのか」とじっくり理解することが最重要なのです。
物理基礎の分野構成は以下の通り。
- 力学
- 熱
- 波
- 電気
まずはそれぞれの章ごと、教科書をじっくり読んでみてください。
教科書を読むときは、分野ごとに「要点」、つまり、「どんな項目が含まれていて、だいたいどのような内容なのか」を把握します。
また闇雲に暗記するのではなく、それぞれが「どのような反応をするのか?」「どのような働きをしているのか?」といった定義まで必ずセットで覚えましょう。
また下に紹介したものはは頻出問題です。
苦手にしないよう、重点的に取り組む計画を立てましょう。
★物理基礎|頻出分野★
- 力のモーメントを求める問題
- 運動量保存
- 力学的エネルギー保存
- 熱量の計算
- 温度の計算
2.問題演習を通じて知識を定着させる!
物理基礎の問題演習には、学校で配布された傍用問題集がおすすめ。あるいは予想問題やセンター試験の過去問を使ってもOKです。どの問題集を勉強すれば良いか迷ったら、学校や塾の先生に相談してみてくださいね。
また後ほど、おすすめ問題集もご紹介しています。参考にしてみてください。
物理基礎の問題演習は、「公式理解を定着させる計算練習」と「思考力が必要な発展問題」とを分け、2段階で進めることがおすすめです。基本的な知識・公式の定着をしないまま、発展問題は解けませんよ。
物理基礎の問題演習は、何冊も取り組む必要はありません。自分に合った1冊を何度も繰り返すことで、理解と定着が深まっていきます。
また重要事項はきちんと覚えるようにしましょう。欄外の「コラム」等の内容が、思いのほか役に立つこともありますよ。
問題演習は「一定レベルの問題で全範囲一巡」を「何度も反復」がおすすめ!
★物理基礎|おすすめ!勉強の進め方
- STEP1:例題レベルの問題を全範囲
- STEP2:練習問題レベルを全範囲
- STEP3:発展問題レベルを全範囲
この「問題のレベルを一定にして全範囲を進める」という方法で進めると、発展問題完了までに物理基礎を3周できる事になります。また例題⇒練習問題⇒発展問題と徐々にレベルアップしていくので、無理なく演習が進められますよ。
問題演習では「とにかく図を書きまくる!」ことを意識してください。鉛直に球を投げ上げる問題も、一気にイメージすると難しく感じますよね。でも「手元を離れた瞬間」「真上に到着した瞬間」「手元に戻ってきた瞬間」を区別して図を書いてみたらどうなるでしょう?
初速度の向き、位置エネルギーの量、各瞬間の速度……、と整理して考えられるようになります。
与えられた数値を書き込むだけではなく、必要に応じて「自分で図を書けること」も共通テストの物理基礎では大切な力になります。
3.センター試験の過去問と予想問題、どちらが重要?使い分けは?
物理基礎はセンター試験の過去問も活用できる科目です。センター試験には物理基礎の知識を広く問う問題や、さまざまな実験問題など「良問」と呼ばれる問題が多数出題されていました。ぜひ問題演習に利用していきましょう。
一方、予想問題は共通テストテストに寄せた「思考や読み取りが必要な問題」が数多く収録されています。共通テスト本番に向けて、新傾向の問題に慣れるという目的なら予想問題集がおすすめです。
- 問題量をこなしたい/基本知識の確認をしたい ⇒ センター試験過去問を
- 新傾向の問題を解きたい/共通テストを想定した問題を解きたい ⇒ 予想問題集を
それぞれの特徴を活かし、目的に合わせて使いこなしましょう。
また共通テスト予想問題もセンター試験の過去問も、実験や図、グラフといった難易度の高い問題が出題されます。特に物理基礎が苦手な受験生だと、見ただけで「面倒くさそう」「いやだな」と敬遠してしまいがちなのですが、ここはぐっとこらえて取り組んでみてください。
- 与えられた情報/足りない情報の区別と整理
- 実験の目的
- 解答すべき内容
こうした内容を考えながら解くことで、知識が実践力に高まっていきますよ。
センター試験の過去問を使う時は、現在の教育課程になった「2015年度以降」のものを解くようにしてくださいね。
共通テスト対策におすすめの参考書3選!
共通テストの物理基礎対策を効率良く進められる参考書を3冊、厳選してご紹介します。独学でも進められるものを選んでいますので、ぜひ活用してくださいね。
おすすめ①『物理基礎をはじめからていねいに』(東進ブックス)
『はじめからていねいに』は、東進ハイスクールが出版しているな有名なシリーズです。この『物理基礎をはじめからていねいに』は、教科書を読んでもわからない!結局、どういう事象なのか想像できない!という受験生に向けて、図やイラストを豊富に使い易しく解説している1冊。物理法則を理解するために、「イメージできること」を大切にしています。
物理基礎は「力学・熱・波・電気」という、物理の主要分野の基本となる内容を扱う科目です。基礎の部分だからこそ、公式を含めて確実に理解しておくことが重要。『物理基礎をはじめからていねいに』は初学者でも理解できるように書かれていますので、物理が苦手な受験生ほど読んでみてほしい1冊です。
おすすめ②『2022共通テスト総合問題集 物理基礎』(河合出版)
『2022共通テスト総合問題集 物理基礎』は、受験者数日本最大の全統模試過去問を収録した問題集です。全統模試は、河合塾講師が毎年の傾向を徹底的に分析して作っているオリジナル問題。本番でも的中問題が続出する精度で受験生からも支持されています。共通テストよりもやや難しめになっているので、実戦力養成にもピッタリ。
また河合塾の問題集は、解説の充実度がピカイチなのも特長です。「解説だけで理解できる」「教科書よりわかる」と先輩たちも絶賛!特に直前期は、質問に行こうにも先生の前に行列……、という光景も珍しくないもの。自学できる詳しい解説のついた問題集を使い、勉強効率をアップさせましょう!
おすすめ③『短期攻略 大学入学共通テスト 物理基礎』( 駿台受験シリーズ )
「物理基礎を後回しにしていたら、時間が無くなってしまった!」、あるいは「物理基礎は短期間で完成させて、他の教科に時間を割きたい」という受験生におすすめなのが『短期後略 大学入学共通テスト 物理基礎』です。1日3題、1ヶ月で共通テスト対策が完了できるように構成されているのが特長。
短期間で取り組めるにもかかわらず、共通テストで狙うは高得点!というのも頼もしいポイント。解答所要時間の目安が表示されているので、本番を想定した時間配分も練習できます。問題の難易度も一目瞭然、実力に合わせた問題演習が可能です。
ピンポイントでオンライン家庭教師を利用するのもおすすめ
共通テストの物理基礎対策は、もちろん計画的に進めるのが理想です。しかし、「なんとかなるか」と思っているうちに直前になってしまった!なんて慌てる受験生も少なくない科目でもありますよね。
他教科に時間を割くためにも、物理基礎はポイントをおさえた対策を早期・短期集中で完了させ、得点源にしてしまうのがおすすめ。もしぎりぎりまになってしまっても、要点をおさえたてすれば本番にちゃんと間に合います。
「物理基礎をなんとかしたい!」、そんな時におすすめなのが、スポット的にも利用できる「オンライン家庭教師」です。受講科目、時間、回数などは自由に相談できるので、苦手なところや過去問演習を短期集中トレーニングするのにピッタリ!
指導に当たる講師は、自身もセンター試験や共通テストを経験した大学生がメイン。「ホントに時間がないときにどうしてた?」「二択で迷ったときは?」「8割の壁を越えられない!」といった、受験生の悩みを乗り越えてきた経験も聞くことができます。
「自分だけのカリキュラムを自宅で受講できる」オンライン家庭教師、ぜひ一度体験してみてください!
まとめ
物理基礎の共通テスト対策についてまとめてきました。
共通テスト初年度で平均点が高くなった物理基礎、2年目は「難化する?」という予想もされています。また思考力を問う問題の分量も、2021年度並みなのか増えるのかということも気になりますね。
ただどんな問題が出されたとしても、「基本知識の丁寧な理解」と「良質な問題演習」に取り組むという基本対策は変わりません。基本を着実にマスターし、思考や読み取りが必要な問題にも対応できる力をつけておくというのが、最も効率的で効果の高い対策となるでしょう。
物理基礎は重要事項を覚え、標準問題が解けるようになれば十分9割を狙える科目です。紹介した参考書・問題集やオンライン家庭教師を活用し、効果の高い対策を実践してみてくださいね。応援しています。