共通テスト・国語を徹底解説!おすすめの対策や8割超えのポイントも紹介
令和3年にスタートした大学入試共通テストですが、まだまだ新しいテストに対し、不安を抱えている受験生は多いことでしょう。
特に国語に関しては「どんな特徴があるの?」という疑問に加え、そもそもどう勉強の仕方がわからない方も多いかもしれません。
そこで今回は「国語の共通テスト」について、その出題傾向や特徴、さらにおすすめの対策方法まで徹底解説します。
一つ一つ具体的に説明していくので、共通テストの国語でしっかり得点したい方は、参考にしてみてくださいね。
目次
共通テスト・国語の概要
まずは、国語の共通テストの概要を理解するところから始めましょう。
令和2年まで行われてきたセンター試験との違いを比較しながら、解説していきます。
配点・時間・難易度
大学入試センターによると、令和5年に行われる国語の共通テストの概要は以下のとおりです。
- 配点:200点(現代文100点、古文50点、漢文50点)
- 試験時間:80分
配点および試験時間は、センター試験や前回までに実施された2回の共通テストから変更はありません。
難易度については、センター試験、共通テストを合わせた過去5年分の平均点で確認してみましょう。
実施年度 | 試験 | 平均点(200点満点) | 平均得点率 |
---|---|---|---|
平成30年 | センター試験 | 104.68点 | 約5.2割 |
平成31年 | センター試験 | 121.55点 | 約6.1割 |
令和2年 | センター試験 | 119.33点 | 約5.9割 |
令和3年 | 共通テスト | 117.51点 | 約5.7割 |
令和4年 | 共通テスト | 110.26点 | 約5.5割 |
このように、センター試験、共通テスト共に例年5〜6割の難易度であることがわかります。
これまでのセンター試験との違い
「共通テストはセンター試験よりも難しい」と噂されることもありますが、先ほど記載したとおり、2つの試験の平均点に大きな差はありません。構成・配点にも違いはなく、記述問題の出題も見送られたことから、センター試験からの劇的な変化・難化はないと言えるでしょう。
しかし過去2回の共通テストでは、センター試験では見られなかった新傾向の問題が出題されています。
- 「論理的な文章」「文学的な文章」に加え「実用的な文章」を使った問題
- 異なる種類・分野の文章を組み合わせた複数の題材による問題
共通テストでは新傾向の問題の特徴を捉え、対応できるよう準備しておくことが大切です。
国語の共通テストの特徴&出題傾向
では、国語の共通テストの特徴と、出題傾向について見ていきましょう。共通テストは基本的にセンター試験と同様、全てマーク形式の選択問題です。大問ごとに見た出題傾向やセンター試験との違いについて、詳しく解説していきます。
現代文:評論
1つ目の大問では、「評論文」と呼ばれる論理的文章を題材に「文章から得られた情報を多面的・多角的な視点から解釈できるか」が問われます。
決して簡単ではない文章が出題されるため、時間をかけて読解力や解法のコツを身につけておくことが重要です。
共通テストならではの特徴は「実用的な文章」が問題文に登場する点で、過去2回のテストでも出題されています。
- 題材文章をもとに、架空の生徒が作成したノートの空欄を補充する問題
- 題材文章を読んだ架空の生徒が、自分の考えを発表するために作成したメモの空欄を補充する問題
また「複数題材による問題」として、題材文章に関連する作品や資料と絡めた問題も出題されています。
センター試験と同傾向の問題も多いですが、新傾向の問題の対策もしっかりと行っておくことが重要です。
現代文:小説・随筆(エッセイ)・詩
センター試験では大問2で、小説または随筆(エッセイ)が題材として扱われていました。
しかし、共通テスト実施前に行われた試行調査で、大問2の題材が詩であったことから、新傾向の問題として詩が扱われる可能性もあるでしょう。いずれにせよ、大問2では論理的文章と異なり、心情に関する表現や、表現技法を正しく解釈する力が問われます。
過去問だけでなく、問題集や参考書を使ってさまざまなジャンルの文章・問題に慣れておく必要があるでしょう。また、大問1と同様「実用的な文章」「複数題材による問題」など、新傾向の問題も視野に入れた対策が必要です。
古文
大問3の古文については、これまでのセンター試験と同様に、語彙・文法などの知識を基に読み解く力が問われます。
共通テストならではの傾向として、過去2回のテストでは現代文と同じく「実用的な文章」「複数題材による問題」が出題されています。
- 題材となった文中の和歌を解説する文章を参照し、正しい解釈を選ぶ問題
- 題材となった古文について話し合う生徒の会話の空欄を補充する問題
古文についても新傾向の問題の出題を視野に入れながら、対策を行いましょう。
漢文
漢文も古文と同様、語彙・句法の知識を基に正しく文章を解釈する力が問われます。過去2回の共通テストは、センター試験との大きな違いは見られませんでした。
しかし他の大問同様、新傾向の問題が出題される可能性がないとは言えません。頻出の語彙・句法を頭に入れた上で、問題集や参考書でさまざまな出題形式の問題を演習して備えておくと良いでしょう。
国語の共通テストで必要になる力とは?
次に、国語の共通テストで必要になる力について、詳しく見ていきましょう。
ここまで説明した共通テストの傾向を踏まえ、4つのポイントに分けて説明します。
80分間読み続ける集中力
共通テストでは、80分で大問4つ分の文章を読み、問題を解くことが求められます。文章量は決して少ないとは言えないため、80分間集中力を切らさずに文章や問題と向き合う力が必要です。
長時間読み続ける集中力は、時間をかけて演習を重ねることで少しずつ身につきます。本番で実力を発揮するために、コツコツと演習を継続して集中力をつけていきましょう。
書いてあることを正しく読み取る読解力
まずは、文章に「何が書かれているのか」を読み取る力が必要です。特に大問1・2の現代文に関しては文章量が多い中で、重要な部分を正しく拾っていくことが求められます。
また、設問や選択肢をよく読み「何が問われているか」を正しく解釈することも重要です。共通テストでは問題文で「実用的な文章」「複数題材の文章」が使われることもあるため、一つ一つ正確に読み取る読解力を身につけましょう。
読み解くのに必要な語彙力・知識
国語においても、語彙力や知識の蓄えは必須です。
以下の知識をコツコツと頭に定着させることで、点数にもつながっていきます。
- 現代文:漢字、頻出キーワード・テーマ
- 古文:古文単語、文法、表現技法、有名作品の概要、当時の暮らしの常識
- 漢文:重要句法、頻出語句の意味・読み、頻出作品の概要
知識をインプットした上で、問題を解く際にうまく使いこなせることが理想です。
知識はあればあるほど有利になるので、時間をかけて計画的に蓄えていきましょう。
自分の実力を発揮するための戦略
「普段の正答率は高いのに本番で点数につながらない」ことが、国語ではよく発生します。
これは「80分で4題解く」ことに慣れておらず、実力を発揮できないのが原因かもしれません。
そのため本番までに、自分が最も実力を発揮できる戦略を練っておくことが求められます。
例)
- 古文・漢文を先に終わらせる→現代文を解く
- 評論文を先に取り組む→20分経ったら問題が残っていても次に進む
得点につながる戦略を見つけるためには「80分で4題解く」練習を重ね、試行錯誤を行う必要があります。正解は一つではないので、自分の実力が発揮できる戦略を探してみましょう。
力がつく!国語の共通テストおすすめ勉強法
では、それらの力を身につけるために、どんな勉強を重ねればいいのでしょうか。
ここからは具体的に、国語の共通テスト攻略のためのおすすめ勉強法を紹介していきます。
まずは短い文章から始める
国語に苦手意識を持つ人は特に、いきなり長い文章に挑んでも読みきれず、なかなか力が身につかない可能性があります。
そこでまずは、短い文章の問題から始めてみましょう。問題集や参考書によっては、10〜15分で解ける問題を集めたものもあります。それらを制限時間内に十分に解ききる力がつけば、次のレベルに進むという勉強法がおすすめです。スモールステップで積み重ねることで、徐々に長い文章に対応できるようになります。
よく出る設問の解き方を身につける
国語においても「よく出る設問」は存在します。
例)
- 評論:語句の空欄補充、指示語説明、「どういうことか」問題
- 小説:人物の心情説明
- 古文:現代語訳、和歌解釈
- 漢文:返り点の付け方と書き下し文
頻出問題は類題で演習を重ね、アプローチ方法や解法を身につけましょう。また、共通テストならではの「実用的な文章・複数の題材による問題」の解法を理解しておくことも必須です。よく出る設問に関しては参考書や問題集、過去問を使って解き方・考え方をマスターしておきましょう。
時間制限を設けて演習する
国語の問題演習は、普段から時間制限を設けることをおすすめします。
国語の共通テストは、時間と集中力の勝負です。本番で実力を発揮するためには、制限時間内に正確に解ききる力を鍛える必要があります。
いきなりは難しい場合、問題集などに記載されている参考時間+5分など、自分に合うペースで制限をつけてみましょう。「時間内に解ききる!」という意識を持って問題に向き合うことで、徐々に本番でも集中力を発揮できるようになります。
センター過去問を解く
共通テストには新傾向の設問が登場するものの、試験全体の構成はセンター試験と変わりません。
また、センター試験には20年以上の歴史があり、本試験・追試験に分かれていることから、過去問の量は非常に豊富です。
そのため「80分で4題解く」練習や、本番の感覚を得る・戦略を練るためにはもってこいの教材と言えます。
ある程度力がついたらセンター試験の過去問を使用し、本番を意識した演習を重ねるのがおすすめです。
模試の振り返りを丁寧に行う
受験生になると、模試を受ける機会も増えることでしょう。
模試において最も価値があるのは、受験後の振り返りです。
- 文章解釈は合っていたか
- 間違えた問題の原因は何か(文章理解?選択肢の解釈ミス?)
- 覚えられていない語彙は何か
- 時間配分は適切だったか、どの大問に時間をかけすぎたか
丁寧に復習することで課題が見え、次につながる力が身につきます。
他教科に比べて後回しにされがちな国語ですが、この振り返りの有無がその後の成長を左右すると言ってもいいでしょう。
いつから何やる?国語の共通テスト対策年間スケジュール
では、国語に必要な力はどんなスケジュールで身につけるのが理想的なのでしょうか。
ここでは4月から翌年1月の共通テスト本番までの時期を想定し、対策スケジュールの一例を紹介します。
春〜夏:短い文章で解き方をマスター
まずは、読み方・解き方の基礎を短い文章で身につけることをおすすめします。問題集を使って演習を重ね、選択肢の検討の仕方や、頻出問題に対する考え方などを身につけましょう。
また、この時期から漢字、古文単語や漢文の句法などを覚えていくことも必須です。国語力の土台を作るような気持ちで、コツコツ積み重ねていきましょう。
秋:実践的な問題で集中力をUP
土台作りが終われば、秋以降は実践的な問題にどんどん取り組んでいきましょう。まずは本番と同じような文章量の問題を、大問ごとに区切って演習するのがおすすめです。慣れてきたら「50分で現代文2題解く」「20分で古文を解いてみる」など、少しずつ本番を意識した量や時間で演習してみましょう。その中で「どの大問が得意・苦手か」を見極め、戦略を練ったり、苦手な大問を重点的に演習したりできると、さらに点数につながります。
12月以降:過去問演習で磨きをかける
ラストスパートの時期は、センター試験や共通テストの過去問を中心に「80分で4題解く」リハーサルを重ねていきましょう。
おすすめは「1日2題」「1日おきにやる」など、本番までに過去問を全て解ききれるスケジュールを最初に立てることです。
本番直前の時期は「今日は何をやればいいんだろう」という迷いがあると、不安に駆られることも多くなります。
過去問を解くスケジュールを決めておけば、毎日取り組むことが明確になり、迷うことも少ないです。
当日に実力を発揮できるよう、本番を意識した演習を重ね、戦略や解き方の最終調整を行いましょう。
国語の共通テスト対策におすすめ問題集・参考書
次に、時期別でおすすめの問題集・参考書を紹介します。
情報を参考にしながら、自分にぴったりな教材を探してみてください。
春〜夏:共通テスト対応の問題集
短い文章で、さまざまなジャンルの内容・問題に取り組む必要があるこの時期は、以下の問題集がおすすめです。
- 現代文:入試現代文のアクセス(基本~発展)
- 古文:古文上達 基礎編 読解と演習45
長すぎない文章量でありながら、あらゆる入試に対応する問題が幅広く出題されます。
また、解説が非常に充実しており、自分で学習を進めるのに最適です。
さらに、共通テスト特有の問題や解説に特化した以下のような問題集で、傾向を早くからつかんでおくこともおすすめです。
- きめる! 共通テスト現代文
- きめる! 共通テスト古文・漢文
秋:実践形式の問題集
より実践的な問題演習が必要なこの時期は、以下のような問題集をおすすめします。
- 河合塾マーク式基礎問題集(現・古・漢)
- 共通テスト総合問題集 国語(河合塾/駿台など)
マーク式の問題や、過去の模試を集めた問題集が各予備校から出版されています。
本番と同じような問題で演習を重ね、実践的な力を伸ばしていきましょう。
12月以降:センター過去問・予想問題
直前の時期は、過去問題集や予想問題集を計画的に解き進めましょう。
- センター試験過去問題集
- 共通テスト過去問題集
- 共通テスト予想問題集(各予備校から販売)
特に、共通テストの予想問題集は各予備校や出版社からそれぞれ販売されています。
さまざまなパターンの問題を経験しておけば、本番で初めて見る問題にも落ち着いて向き合えるはずです。
過去問題や予想問題を使って本番を意識した演習を重ね、最終調整を行いましょう。
国語の共通テストで8割以上をとるポイント!
最後に、国語の共通テストで8割以上をとるためのポイントを紹介します。
国語で高得点を目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。
【全体】時間配分・解く順番の戦略を練っておく
国語の共通テストで高得点をとるためには、時間配分や解く順番を決めておくことが必須です。
戦略を固めて自分のものにしておくと、本番も落ち着いて試験に臨むことができます。
繰り返しになりますが、国語の共通テストは時間と集中力の戦いです。
「この戦略なら大丈夫」と思えるまで、事前にしっかりと準備を行っておきましょう。
【現代文①】対比構造を意識して読む
高校入試における現代文読解の最大のポイントは「対比構造の理解」です。
基本的にはどの文章も「筆者の主張」「それに反する主張」で構成されています。
これらを意識しながら読むコツが身につくと、素早く筆者の主張を捉えられるようになります。
普段の演習から対比構造を意識し、どんな文章でも安定して得点できる読解力を身につけましょう。
【現代文②】頻出テーマを理解しておく
難しい内容の文章が多い評論文ですが、実はよく出題されるテーマが存在します。
- 哲学・思想
- 言語・文化
- 科学
- 自然・環境
- 近代・現代 など
よく出るテーマに対し「どんな論点で議論されがちなのか」を知識として知っておくと、本番で出題された際に有利です。
また、それぞれのテーマに頻出のキーワードも存在するため、それらの言葉の意味を知っておくとさらに理解度が高まるでしょう。
現代文の頻出テーマやキーワードについては、詳しく解説した参考書が多く出版されています。
評論文で高得点を目指す人は、頻出テーマやキーワードの知識を蓄えることがおすすめです。
【古文】頻出作品の内容を理解しておく
古文についても、入試でよく出題される作品がいくつか挙げられます。
- 源氏物語
- 徒然草
- 伊勢物語
- 大鏡
- 更級日記 など
こうした頻出の作品は「あらすじ」「登場人物」「人物関係」などを事前に知っておくと、本番で出題された際に有利です。
有名作品については、学校で使用する教材などに詳しい解説が載っているかもしれません。
また、さらに古文の力をつけたい人は、当時の人々の暮らしや習慣に関する基礎知識を蓄えることもおすすめです。
問題を解くだけでなく、作品自体にも目を向け、少しずつ知識を増やしていきましょう。
【漢文】句法、頻出語彙を完璧にしておく
漢文は、4つの中で最も満点をねらいやすい大問です。
覚えるべき頻出句法や語彙が膨大な量ではないため、コツコツ勉強すれば点数につながりやすいでしょう。
国語はその他の大問が難しいことから、8割以上を目指す場合は漢文を短時間で解き、且つ確実に得点することがポイントになります。
句法や語彙を覚えながら、どんどん問題を解いて足りない知識を補い、力をつけていきましょう。
まとめ
共通テストは現状、従来のセンター試験から大幅な変更点はありません。
以前と同じように、80分で4つの大問を解く集中力・スピード感・正確性が求められます。
「国語はどう勉強すればいいかわからない」と後回しになりがちですが、なんとなくの対策だけでは高得点の獲得が難しい教科です。
逆に、適切な対策を計画的に重ねることで、安定した得点につなげることができます。
時間をかけて少しずつ力をつけ、共通テストは国語でも高得点を目指しましょう!