【共通テスト生物基礎】9割も目指せる勉強法と過去問活用のコツ!共通テストの傾向と分析も掲載
共通テストの生物基礎は、センター試験と比べ出題形式・傾向に変化が見られた科目です。センターテストと同じテーマを扱う問題でも、知識だけでは解答が難しくなり、全体的に考察が必要な問題が増加しました。「難化した」とも言われており、今年度も計画的な対策が欠かせません。
共通テストは一回勝負!失点は最小限に抑えたいですし、高得点できる対策も知りたいですよね。
今回は共通テストの傾向を分析し、本番で9割も指せる状態に仕上げる勉強法を解説します。最後まで読み、ぜひ今日から取り入れてみてください。
目次
初めて実施された「大学入学共通テスト」を振り返る
まずは共通テスト(生物基礎)の概要を振り返っておきましょう。センター試験との違いも踏まえておくと、過去問を利用する際にも役立ちますよ。
問題形式、出題傾向
共通テストの問題数・配点は、センター試験と比較してやや変化がありました。
- 大問数は3問のままで変化なし
- マーク数は23 ⇒ 16に減少
センター試験(2020年度) | 共通テスト(2021年度) | |
第1問 | 18点(10) | 18点(6) |
第2問 | 16点(5) | 16点(5) |
第3問 | 16点(8) | 16点(5) |
合計 | 50点満点 | 50点満点 |
※ 配点後ろの( )はマーク数を表す。
出題された分野は、「生物と遺伝子」「生物の体内環境の維持」「生物の多様性と生態系」と、生物基礎の主要分野を網羅したものでした。
特徴的だったのは、単に知識を問う問題よりも「何を問われているのか、何を答えるべきか」を考えながら解くタイプの問題が多かったことです。 問題文で示された状況や与えられた情報の読み取りが必要なものがあり、読解力も求められるようになった点が変化だといえます。
◆ 新傾向の出題例|共通テスト(2021年度)生物基礎 第1問A-(2)
◆ 考察問題の例|共通テスト(2021年度)生物基礎 第3問B-(4)
実は共通テストには、「問題作成の方針」というものが定められています。以下は2022年度の共通テストの出題方針を抜粋したものです。
(理科基礎科目について)
日常生活や社会との関連を考慮し,科学的な事物・現象に関する基本的な概念や原理・
法則などの理解と,それらを活用して科学的に探究を進める過程についての理解などを
重視する。問題の作成に当たっては,身近な課題等について科学的に探究する問題や,得
られたデータを整理する過程などにおいて数学的な手法を用いる問題などを含めて検討
する。
「日常生活や社会との関連性」「探求」「身近な課題」「数学的な手法」といったキーワードが目につきますね。上に紹介した出題例も、こうした共通テスト独自の出題方針に沿ったものの一例です。過去のセンター試験では見られなかった形式でもあり、戸惑った受験生もいたかもしれません。
考察問題や思考・判断を要する問題は、今後も出題が続くと見られています。基本的な知識の習得と共に、共通テストに向けた対策を完成させていく必要があるでしょう。
平均点
過去5年の平均点を見てみましょう。
年度 | 平均点 | 前年差 |
2021年度 | 29.17 | -2.93 |
2020年度 | 32.10 | +1.11 |
2019年度 | 30.99 | -4.63 |
2018年度 | 35.62 | +3.85 |
2017年度 | 39.47 | - |
生物基礎の平均点は年によって上下はあるものの、近年は30~35点で推移していました。共通テスト1年目である2021年度の平均点は30点台を割り込み、「難化」といわれた2019年度並みとなっています。
新しい入試制度が始まって数年は出題傾向も安定せず、平均点の乱高下も起きやすいと言われています。もう2~3年は「何が起きてもおかしくない」という心づもりで取り組むことがよさそうです。
★ 共通テストについては、こちらもどうぞ!
「大学入学共通テストとは?教科ごとの出題科目は?日程や出願方法など詳しく解説!」
生物基礎の共通テスト対策・基本方針3か条
生物基礎は文系の受験生が選択するケースが多い科目。英語や数学、地歴科目に時間を取られ、理科には手が回らない……、ということも多いのではないでしょうか?
共通テストの生物基礎は、
- まんべんなく基礎を覚えること
- 良質な問題演習を繰り返すこと
この2点が最重要になります。
ここからは効率的な生物基礎対策のやり方を見ていきましょう。
1.対策の基本は「教科書」!全範囲、重要事項の暗記を
共通テストでは思考や判断が必要とされる問題が多く出題される傾向がありますが、だからといって基本事項を覚えなくて良いという話ではありません。
そうした問題も「基本知識」という武器があってこそ、応用問題の吟味・検討ができるのです。教科書を中心に据えた基本の習得は、最優先で取り組みましょう。
生物基礎は以下の分野で構成されています。
- 生物の特徴(細胞、代謝、光合成など)
- 遺伝子(DND、細胞分裂、タンパク質など)
- 生物の体内環境(恒常性、自律神経、ホルモン、免疫など)
- 多様性と生態系(植生、バイオーム、生態系など)
まずはそれぞれの章ごと、教科書をじっくり読んでみてください。ここでは分野ごとの「要点」、つまり、「どんな項目が含まれていて、だいたいどのような内容なのか」を把握します。
このとき、闇雲に暗記しても実戦的な”使える知識”にはなりません。
ホルモンを覚えるときに、「鉱質コルチコイド、糖質コルチコイド……、チロキシン、カルシトニン……、グルカゴン、インスリン……」と呪文のように覚えるのはNG。
それぞれが「体内でどのような働きをしているのか?」を必ずセットで覚えましょう。表に整理してもわかりやすくなりますね。
(例)ホルモンをまとめた表
内分泌腺 | ホルモンの名前 | 働き | |
副腎皮質 | 鉱質コルチコイド | 腎臓でNa+の再吸収促進、K+の排出促進。 | |
糖質コルチコイド | 血糖濃度を上昇させる(タンパク質から糖を合成) | ||
甲状腺 | チロキシン | 物質の代謝を促進。 | |
カルシトニン | 血液中のCa2+濃度を低下させる。 | ||
膵臓 ランゲルハンス島 | A細胞 | グルカゴン | 血糖濃度を上昇させる(グリコーゲンを分解し、グルコースにする)。 |
B細胞 | インスリン | 血糖濃度を低下させる(グリコーゲンを合成し、組織での糖消費を促進する)。 |
※ もちろん、ホルモンはこれで全てではありませんよ!
このように整理してみると、糖質コルチコイドもグルカゴンも「血糖濃度を上昇させる」という働きは同じものの、糖の合成に使う材料が異なることが分かります(糖質コルチコイドはタンパク質を材料にし、グルカゴンはグリコーゲンを利用するのですね)。
学習のはじめ、「理解」の段階では、一つひとつの用語や事象を本質的に見る、という姿勢を忘れないようにしましょう。
2.問題演習を通じて知識を定着させる!
生物基礎の問題演習には、学校で配布された傍用問題集がおすすめ。あるいは予想問題やセンター試験の過去問を使ってもOKです。どの問題集を勉強すれば良いか迷ったら、学校や塾の先生に相談してみてくださいね。
また後ほど、おすすめ問題集もご紹介しています。参考にしてみてください。
共通テストでは考察が必要な問題が多く出題されています。演習でも「自分の頭で問題を吟味し、よく考える」ことを意識しましょう。
問題を解きながら解答のポイントとなる箇所を「素早く、的確に」見つける意識を持つと効率の良い勉強ができますよ。
- 「どこに」着目すれば読み取れるのか
- 「何を」読み取ればよいのか
- 解答の根拠・基準となる箇所はどれか
こうした点を意識的に探しながら解く能動的な姿勢が大切です。
また問題を解きながら、重要だと思った箇所や解答の根拠となるデータには印をつけておきましょう。つけた印と解説を見比べて、「正しい読み取り・分析観点」を知ることが、共通テスト対策として有効なのです。
3.センター試験の過去問と予想問題、どちらが重要?使い分けは?
共通テストと比べて問題演習の量が豊富なのがセンター試験の過去問。使いたいけれど、使っても良いのか?、気になりますよね。
センター試験では、「知識を覚えているかどうか」をダイレクトに問う問題が数多く出されていました。一方、共通テストには「思考・判断を要する問題が多い」ことが特徴。それぞれの特徴を踏まえて、使い分けるのがおすすめです。
- 問題演習の「量」をこなす/知識の確認には ⇒ センター試験過去問を
- 傾向に慣れ、さまざまな読み取り問題を解くなら ⇒ 共通テスト予想問題を
特徴を踏まえて使うことで、共通テスト予想問題だけではなくセンター試験の過去問も勉強に活かせます。
ちなみにセンター試験の過去問を使う時は、現在の教育課程になった「2015年度以降」のものを解くようにしてくださいね。
共通テスト対策におすすめの参考書3選!
共通テストの生物基礎対策を効率良く進められる参考書を3冊、厳選してご紹介します。独学でも進められるものを選んでいますので、ぜひ活用してくださいね。
おすすめ①『大学入学共通テスト 生物基礎の点数が面白いほどとれる本』(KADOKAWA)
大学受験生にはお馴染みですね、”黄色い表紙の参考書”から生物基礎版をご紹介します。『大学入学共通テスト 生物基礎の点数が面白いほどとれる本』は、教科書に書かれている内容をさらにわかりやすく解説した1冊。教科書を読んでも、つまりどういうことなのかイマイチ納得できない!もっと要点をおさえた解説が読みたい!という受験生におすすめです。
共通テストに向けては出やすいポイントや考察問題に対応するため、「スペシャル講義」を新設。実験問題や読解が必要な問題、また計算問題にも対応しています。チェック問題もついており、「理解する・覚える・確認する」が1冊で叶う便利な参考書です。
おすすめ②『マーク式基礎問題集生物基礎(河合塾シリーズ)』(河合出版)
『マーク式基礎問題集生物基礎』はマーク形式に特化した問題集です。センター試験や私大入試問題を分析し、生物基礎に必要な知識をまんべんなく学習できるように編集されています。共通テストで狙われやすい発展的な問題も収録されており、共通テスト予想問題としても活用できます。
問題はジャンル別・分野別に並べてあります。苦手分野だけ集中的に取り組む、1分野ずつ計画的に取り組むなど、進め方の自由度が高いのも◎。精度の高い良問に効率的に取り組みたい、という受験生におすすめできる1冊です。
おすすめ③『大学入学共通テスト生物実戦対策問題集』(旺文社)
『大学入学共通テスト生物実戦対策問題集』は、共通テスト用の対策問題集です。実験や考察、読解が必要な問題など、新傾向の問題にも対応。図や表を用いた問題を多数収録し、じっくり練習できる構成になっています。
問題は「基本問題」と「実戦問題」の2段階に分けられており、自分の実力や習熟度に応じて選択可能。おすすめは、まず基本で知識を確認、その後実践問題で演習という順番で取り組むことです。分野別にまとめられていますので、苦手分野を克服するという目的でも使えますよ。
ピンポイントでオンライン家庭教師を利用するのもおすすめ
共通テストの生物基礎対策は、もちろん計画的に進めるのが理想です。しかし、「なんとかなるか」と思っているうちに直前になってしまった!なんて慌てる受験生も少なくない科目でもありますよね。
生物基礎は比較的点数を取りやすいため、早期・短期集中で対策を行い、得点源にしてしまうのがおすすめ。もしぎりぎりまになってしまっても、要点をおさえたてすれば本番にちゃんと間に合います。
「生物基礎をなんとかしたい!」、そんな時におすすめなのが、スポット的にも利用できる「オンライン家庭教師」です。受講科目、時間、回数などは自由に相談できるので、苦手なところや過去問演習を短期集中トレーニングするのにピッタリ!
指導に当たる講師は、自身もセンター試験や共通テストを経験した大学生がメイン。「ホントに時間がないときにどうしてた?」「二択で迷ったときは?」「8割の壁を越えられない!」といった、受験生の悩みを乗り越えてきた経験も聞くことができます。
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まとめ
生物基礎の共通テスト対策についてまとめてきました。
生物基礎は「考えないと解けない」問題が増え、センター試験に比べて対策に時間がかかるようになったと言われています。しかしひも解けば、大切なのは「基本知識」と「良質な問題演習」という点は変わりません。
生物基礎は言い過ぎではなく、9割を狙える科目!適切な対策で進めれば、早い人なら2か月で成果が見えてくるでしょう。
そのためにも「基本を効率的におさえること」が何より大事。教科書と、紹介した参考書・問題集を活用し、効果の高い対策を実践してみてくださいね。応援しています。