【共通テスト化学】9割も目指せる勉強法と過去問活用のコツ!共通テストの傾向と分析も
化学はセンター試験から共通テストに移行した際、「難しくなった」という声もあった科目です。要因は、一部にセンター試験レベルを超えた「個別試験並みの難易度」ともいえる問題があったこと。今年度以降の共通テストは、どのような対策をすればよいのか、悩む受験生も多いのではないでしょうか。
そこで今回は共通テストの傾向を分析し、本番で9割も目指せるレベルに仕上げる勉強法を解説します。最後まで読み、ぜひ今日から取り入れてみてくださいね。
初めて実施された「大学入学共通テスト」を振り返る
まずは共通テスト(化学)の概要を振り返っておきましょう。センター試験との違いを知ることで、過去問を利用する際のコツも把握できますよ。
問題形式、出題傾向
共通テストの問題数・配点は、センター試験と比較し変化がありました。知識があれば答えられる問題と、思考と時間を要する問題が混在している点にも注目てみてください。
◎問題形式
- 選択問題が廃止
- 選択問題廃止に伴い、大問数が7問から5問に減少
- マーク数は32から29に減少
センター試験(2020年度) | 共通テスト(2021年度) | |
第1問 | 24点(6) | 20点(6) |
第2問 | 24点(7) | 20点(5) |
第3問 | 23点(8) | 20点(6) |
第4問 | 19点(6) | 20点(6) |
第5問 | 6点(3) | 20点(6) |
第6問※ | 4点(2) | - |
第7問※ | 4点(2) | - |
合計 | 100点満点 | 100点満点 |
※ センター試験の第6問・第7問は選択問題。いずれか一方を解答。
※ 配点後ろの( )内はマーク数を表す。
◎出題分野
出題分野は「理論化学」を中心に、「無機化学」「有機化学」と、化学の全範囲を網羅したものでした。
また新しい傾向の問題として、方眼紙にプロットした数値の傾きから解答を導く問題や数値を桁ごとに解答する問題なども出題されました。
◆ 方眼紙が与えられた問題の例|共通テスト(第1日程)化学B 第5問 -(1)
共通テストはセンター試験同様、小問集合の形式が出題の中心でした。ただし、問題個々のレベルは2次試験・個別試験並みに上昇しています。
また総マーク数は減ったものの、解答を導くのに時間がかかるタイプの問題が増えていることにも注意してください。
他の理科科目では実験や考察を題材にし、リード文の読解に時間がかかるタイプの問題も数多く出題されています。化学でも同じ動向になる可能性がありますから、共通テスト前でも2次試験・個別試験を想定した対策を進めることが有効だといえます。
◎ 共通テスト出題方針
2021年度の共通テスト出題方針(理科)は次のように定められていました。
問題の作成に当たっては,受験者にとって既知ではないものも含めた資料等に示された事物・現象を分析的・総合的に考察する力を問う問題や,観察・実験・調査の結果などを数学的な手法を活用して分析し解釈する力を問う問題などとともに,科学的な事物・現象に係る基本的な概念や原理・法則などの理解を問う問題を含めて検討する。
これはつまり、「教科書を中心とする受験勉強では扱われないようなタイプの問題も出題します」ということ。2022年度の共通テストでも、同様の方針が示されています。
受験生が相応の力を持って分析・判断を行えば、十分に解答できると考えられるものが出題されるわけですが、その分、やはり問題の本質を読み解き、的確にデータや情報を整理していく力は不可欠になりますね。
平均点
過去5年の平均点を比較してみると、ほぼ同水準で推移していることがわかります。
年度 | 平均点 | 前年差 |
2021年度 | 57.59 | +2.8 |
2020年度 | 54.79 | +0.12 |
2019年度 | 54.67 | -5.9 |
2018年度 | 60.57 | +8.63 |
2017年度 | 51.94 | - |
化学の平均点は50点台前半~60点ほどで推移しています。センター試験より難しい問題も出された共通テスト1年目で平均点が前年プラスですから、受験生はよく頑張ったと言えるでしょう。
★ 共通テストについては、こちらもどうぞ!
「大学入学共通テストとは?教科ごとの出題科目は?日程や出願方法など詳しく解説!」
化学の共通テスト対策・基本方針3か条
化学の共通テスト対策は、「基本的な知識を習得すること」「2次試験・個別試験レベルを想定した問題演習を行うこと」の2点に集約できます。
具体的な勉強手順を見ていきましょう。
1.苦手を作らない!全範囲の基本を「徹底的に」理解する
共通テスト化学でも「教科書を中心とした基本的な化学知識」が最重要であることに変わりはありません。
センター試験同様に、基本事項や知識を確認する問題も多数出題されています。また難易度の高い問題も基本知識の組み合わせによって解くわけですから、やはり基本的な化学知識は最重要なのです。
ただし、用語や定義、法則を丸暗記しても実戦で使える知識にはなりません。
暗記する事項の一つひとつが「何を表しているのか」「つまり、どういうことなのか」を理解しながら覚えていくことが重要です。
また「高分子化合物」分野の学習にもしっかり取り組める計画を立てましょう。センター試験での「高分子化合物」は選択問題の扱いだったため、「解かない(=勉強しない)」という選択も可能でした。
しかし共通テストでは選択問題が廃止されましたから、解くべき問題として出題されることになります。
◎ 2次試験・個別試験で化学を使う受験生向けアドバイス
2次試験・個別試験で化学を使う受験生は、そのまま2次試験・個別試験対策に重点を置いた学習を進めるのが得策です。共通テストでは個別試験で出題されてもおかしくないレベルの問題が出されており、あえて共通テストに特化した対策に重点を置くメリットは少ないからです。直前期に過去問や予想問題をとき、共通テスト形式に慣れる練習をしておく程度で良いでしょう。
◎ 共通テストだけで化学が必要な受験生向けアドバイス
共通テストだけで化学を使う受験生は、事象や物事の本質を理解していく学習を心がけましょう。付け焼刃の知識や教科書の丸暗記で解ける問題は、ほとんど出されません。あいまいな理解は高得点の妨げになるだけです。問題を解きながら「なぜ、そうなるのか?」「なぜ、この解き方ではダメなのか?」と疑問を持ちながら取り組むことが有効です。
2.基本知識の組み合わせ方・使い方を練習しよう!
共通テストには複数の知識を組み合わせて解く問題や、問題文から読み取った情報を考察し、判断しながら解く問題も出題されます。習得した基本知識は、実戦問題の演習を通じて組み合わせ方や使い方をマスターしていきましょう。
問題演習では、次のような手順で取り組むと効果的に知識の定着を図っていけます。
- 問題文を読解し、与えられた情報を整理する
- 全体を眺め、解答までの方針(仮説)を立てる
- 常に複数の視点から問題を吟味する
たとえば先に紹介した「グラフに数値をプロットする問題」も、いきなり数字を書き入れるのではなく「きっとこうなるはずだ」と仮説を立ててから取り組む姿勢が大切。
問題文を読解し、何を求められているのか・解答の鍵となるポイントはどこかを見極め、全体像を考えてから取り組むようにしましょう。
解答までの道筋を論理的に組み立てる力を養うには、2次試験・個別試験向けの問題集に取り組むのが一番です。下に「おすすめ問題集」を紹介していますので、参考にしてみてくださいね。
化学の問題を解く際は「余白を使いまくる!」ことが大切です。見つけた情報はすべて書き込み、計算も桁を揃えて丁寧に進めるようにしましょう。
「解けない」と悩むときの原因は、案外と与えられた条件の見落としだったりすることもあるものです。「見つけたら、書く」、やってみてくださいね。
3.センター試験の過去問と予想問題、どちらが重要?使い分けは?
共通テストはセンター試験より難易度が高い問題が出されています。一方、センター試験は基本的な知識を問う問題や計算問題が多数あるという点が特徴。
それぞれの特徴を活かして使い分けをすると、効果的な問題演習が叶いますよ。
センター試験過去問 | 共通テスト予想問題 | |
特徴 |
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おすすめの使い方 |
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センター試験は長年、化学の全範囲を網羅した問題を出しています。そのため、全方位的に基本知識を確認したいときにピッタリ。問題演習の量をこなしたいときにもおすすめです。
一方で問題の難易度が高く、思考が必要な問題も含まれる共通テストの対策なら、やはり予想問題集がおすすめ。解説を熟読し、思考プロセスの理解に努めてみてください。
センター試験の過去問と共通テスト予想問題は、目的に合わせて効果的に使い分けましょう。
- 問題演習の「量」をこなす/知識の確認には ⇒ センター試験過去問を
- 傾向に慣れ、さまざまな実験・考察問題を解くなら ⇒ 予想問題集を
センター試験の過去問は、現在の教育課程になった「2015年度以降」のものを使ってくださいね。
共通テスト対策におすすめの参考書5選!
化学は基本知識の習得と、個別試験レベルの問題演習の2本柱で対策を進めるのがおすすめ。
基本知識といっても「理論分野」「無機化学」「有機化学」と分野ごとに得意不得意が分かれるため、ピンポイントで解説している参考書を選ぶのもいいですね。
ここでは、
- 基本知識の習得向け解説書
- 共通テスト予想問題集
- 2次試験・個別試験レベルの問題集
の3タイプに分けて、化学対策におすすめの参考書・問題集をご紹介します。
おすすめ①『理系大学受験 化学の新研究 改訂版』(三省堂)
『理系大学受験 化学の新研究 改訂版』は832ページというボリュームの化学解説書です。教科書や一般の参考書の解説では足りない、あるいは本質的な理解が深まらないと悩む受験生におすすめ。通り一遍の解説ではなく、用語一つひとつを徹底的に深堀して解説しています。
個別試験で化学を使う、あるいは大学入学後も化学が必要だという受験生は、ぜひ見てほしい1冊!著者は現役の高校教師でもあり、ベストセラーの参考書も執筆している卜部吉庸先生です。『化学の新研究』でも有名ですね。
おすすめ②『橋爪のゼロから劇的!にわかる 無機・有機化学の授業』(旺文社)
『橋爪のゼロから劇的!にわかる 無機・有機化学の授業』は、駿台予備校化学科講師が「無機・有機」に特化し、教科書レベルの基礎から丁寧に解説している参考書です。「理論はいいけど、無機・有機がちょっと……」という受験生におすすめの1冊。
無機分野、さらに有機分野は覚えることが膨大で負担感が強いのが、苦手意識を作る一因。しかし闇雲に覚えても使える知識にはなりません。理解しながら覚えることで、官能基ごとの代表的な化学反応や色の変化とその理由など、どんどん整理していけますよ。
同じシリーズで「理論化学」編もあります。
おすすめ③『鎌田の理論化学の講義 改訂版 (大学受験Doシリーズ)』(旺文社)
続いて理論化学の理解におすすめなのが『鎌田の理論化学の講義 改訂版』です。解説の分かりやすさに定評がある定番参考書で、最新の入試範囲に合わせてトピックも追加済。理論分野でつい見落としがちなコツを、入試本番で使える知識として定着させてくれる1冊です。
著者は東進ハイスクールの化学科講師であり、元駿台予備校の講師でもあります。予備校の現場で数多くの受験生指導に当たる中で見出した解説は、本質を突いており、かつ使いやすいと評判。別冊になった「まとめ」付きで、赤シートも付属しています。
おすすめ④ 『実戦化学重要問題集』(数研出版)
『実戦化学重要問題集』は学校で配布された高校生も多いかもしれませんね。共通テスト~個別試験に対応するレベルの問題集です。全国の入試問題を分析し、よく出る良問を厳選して掲載。「A問題」「B問題」と分かれており、自分のレベルに合わせた演習が可能です。
また問題冊子以上の厚みがある解説もポイント!分かりやすく、独学でも進められます。共通テストでは個別試験レベルの問題が出されます。共通テストだけで化学が必要だ、という受験生にも、ぜひ取り組んでほしい問題集です。
おすすめ⑤『2022共通テスト総合問題集 化学 (河合塾シリーズ)』(河合出版)
最後は共通テストテスト向けの問題集をご紹介します。通称『黒本』と呼ばれる、河合塾の全統模試過去問を収録した1冊が『2022共通テスト総合問題集 化学』です。最新の入試動向を徹底的に分析して作られている全統模試は、学校からの信頼も抜群。「進路指導は全統模試の成績表で」という学校もあるほどです。
また解説の充実度もおすすめポイント!「これだけで分かる」「ダメな解き方も分かる」と先輩たちからも評判なのが、河合塾の特長。ぜひ一度使ってみてほしい問題集です。
ピンポイントでオンライン家庭教師を利用するのもおすすめ
共通テスト化学では深い思考と分析が必要な問題が増え、戦略的な対策の重要性が増しました。苦手分野をそのままにしておいたり、「なんとかなるか」と直前まで放置していた……、なんてことがないように、計画的に取り組んでいきましょう。
化学は早期・短期集中で対策を行い、得点源にしてしまうのがコツ。もしぎりぎりまで先延ばしにしてしまったら、ポイントをおさえ対策で間に合わせる、という方法も。
そんな時におすすめなのが、スポット的にも利用できる「オンライン家庭教師」です。受講科目、時間、回数などは自由に相談できるので、苦手なところや過去問演習を短期集中トレーニングするのにピッタリ!
指導に当たる講師は、自身もセンター試験や共通テストを経験した大学生がメイン。「ホントに時間がないときにどうしてた?」「二択で迷ったときは?」「8割の壁を越えられない!」といった、受験生の悩みを乗り越えてきた経験も聞くことができます。
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まとめ
化学の共通テスト対策についてまとめてきました。
共通テストの化学で高得点を狙うためには、「正しい知識」と「多方面から問題を吟味できる化学的思考力」が大切になります。基本知識を習得し、さらに組使いこなす練習をして、初めて得点につながるということ。「暗記」と「理解」の両面が必要となります。
「理論化学」はもちろん、「無機・有機化学」まで、手広く計画的に対策を進めましょう。特に暗記することが多い「高分子化合物」に遅れが出ないようにも気を付けてくださいね。