【共通テスト化学基礎】9割も目指せる勉強法と過去問活用のコツ!共通テストの傾向と分析も掲載
共通テスト化学基礎は平均点が下がり、「難しくなった」という声も聞かれた科目です。ただ全体的にはセンター試験を踏襲しており、基本重視の対策で十分対応できるでしょう。
平均点を下げたのは、解答のヒントとなる情報を問題文から自力で導き、検討しないといけない新傾向の問題によると見られています。
ではこうした新傾向の問題にはどのように対応していけばよいのでしょうか。
今回は共通テストで9割を目指せる勉強法を解説します。おすすめの問題集も紹介していますので、最後まで読みぜひ今日から取り入れてみてくださいね。
目次
初めて実施された「大学入学共通テスト」を振り返る
まずは共通テスト(化学基礎)の概要を振り返っておきましょう。センター試験との違いも踏まえておくと、過去問を利用する際にも役立ちますよ。
問題形式、出題傾向
共通テストの問題数・配点は、センター試験と比較して以下のような変化がありました。
- 大問数は2問のままで変化なし
- マーク数は15 ⇒ 17に増加
センター試験(2020年度) | 共通テスト(2021年度) | |
第1問 | 25点(8) | 30点(12) |
第2問 | 25点(7) | 20点(5) |
合計 | 50点満点 | 50点満点 |
※ 配点後ろの( )はマーク数を表す。
出題された分野は、「物質の分類」「化学量」「原子の構造、結晶」「酸化還元」「溶液の濃度」「電池」「酸・塩基・塩」など、化学基礎の主要分野を網羅したものでした。
全体的にはセンター試験同様の知識を問う形式の問題でしたが、特徴的だったのは「教科書に載っていない知識を使って解く問題」が出されたことです。解答に必要な情報を問題文から読み取り活用する問題で、受験生を悩ませたと思われます。
◆ 新傾向の出題例|共通テスト(2021年度)化学基礎 第2問 問1-(b)
実は共通テストには、「問題作成の方針」というものが定められています。以下は2022年度の共通テストの出題方針を抜粋したものです。
(理科基礎科目について)
日常生活や社会との関連を考慮し,科学的な事物・現象に関する基本的な概念や原理・
法則などの理解と,それらを活用して科学的に探究を進める過程についての理解などを
重視する。問題の作成に当たっては,身近な課題等について科学的に探究する問題や,得
られたデータを整理する過程などにおいて数学的な手法を用いる問題などを含めて検討
する。
先ほど紹介した「陽イオン交換樹脂で交換される陽イオンと水素イオンの物質量の関係」に関する問題も、この出題方針に沿ったものと考えられています。
考察問題や思考・判断を要する問題は、今後も出題が続くでしょう。基本的な知識の習得と共に、共通テストに向けた対策を完成させていくことが高得点の秘訣です。
平均点
過去5年の平均点を見てみましょう。
年度 | 平均点 | 前年差 |
2021年度 | 24.65 | -3.55 |
2020年度 | 28.20 | -3.02 |
2019年度 | 31.22 | +0.8 |
2018年度 | 30.42 | +1.83 |
2017年度 | 28.59 | - |
化学基礎の平均点は年によって上下はあるものの、2021年度の平均点は近年まれな低さで注目されました。教科書に書かれていない内容を含む問題が出たことで、戸惑った受験生が多かったとみられています。
新しい入試制度が始まって数年は出題傾向も安定せず、平均点の乱高下も起きやすいと言われています。もう2~3年は「何が起きてもおかしくない」という心づもりで取り組むんでいきましょう。
★ 共通テストについては、こちらもどうぞ!
「大学入学共通テストとは?教科ごとの出題科目は?日程や出願方法など詳しく解説!」
化学基礎の共通テスト対策・基本方針3か条
化学基礎は文系の受験生が選択することが多い科目。英語や数学、地歴科目に時間を取られ、化学基礎まで手が回せない……、ということも多いのではないでしょうか?
共通テストの化学基礎を効率よく対策するコツは2つ、
- 重要用語の理解を意識しながら教科書を読み込むこと
- 良質な問題演習を繰り返すこと
この2点に集約されます。
共通テスト化学基礎対策の具体的なやり方を解説します。
1.対策の基本は「教科書」!全範囲、重要事項の暗記を
共通テストでは思考や判断が必要とされる問題も出されますが、全問が発展的な問題というわけではありません。基本事項や知識を重視した、従来のセンター試験同様の問題も多数出題されます。
発展問題は基本知識があってこそ、吟味・検討できるもの。学習の中心は教科書に据え、「基本の習得」を最優先で取り組みましょう。
化学基礎は以下の分野で構成されています。
- 物質の構成(混合物、単体、状態変化、イオン、周期表など)
- 物質と化学結合(イオン結合、共有結合、金属結合、粒子の結合など)
- 物質の変化(物質量、化学変化、酸・塩基、酸化還元、電池など)
- まずはそれぞれの章ごと、教科書をじっくり読んでみてください。
教科書を読むときは、分野ごとに「要点」、つまり、「どんな項目が含まれていて、だいたいどのような内容なのか」を把握します。
また闇雲に暗記するのではなく、それぞれが「どのような反応をするのか?」「どのような働きをしているのか?」といった定義まで必ずセットで覚えましょう。
また計算問題も頻出です。基本的な考え方・解き方を復習しておきましょう。
★化学基礎|頻出計算分野
- 物質量
- 中和
- 酸化還元
- 質量パーセント濃度、モル濃度
- 溶解度
計算も公式を暗記するだけではなく、「なぜこの計算で解けるのか」と理解しながら覚えていくようにしてください。
共通テストでは化学の本質を問う問題が出題されます。本質は「なぜ」という自問をくりかえしてたどり着けるものです。疑問を持ちながら勉強する姿勢を忘れないようにしましょう。
2.問題演習を通じて知識を定着させる!
化学基礎の問題演習には、学校で配布された傍用問題集がおすすめ。あるいは予想問題やセンター試験の過去問を使ってもOKです。どの問題集を勉強すれば良いか迷ったら、学校や塾の先生に相談してみてくださいね。
また後ほど、おすすめ問題集もご紹介しています。参考にしてみてください。
化学基礎の問題演習は、「基本的な知識の確認」と「思考力が必要な発展問題」とを分け、2段階で進めることがおすすめです。基本的な知識の定着なしに、発展問題は解けないからですね。
さらに全体を通してまんべんなく学習を進めることも大切。化学基礎全体の知識を習得するにつれ、理解度もどんどん深まっていくからです。
★化学基礎|おすすめ!勉強の進め方
- STEP1:例題レベルの問題を全範囲
- STEP2:練習問題レベルを全範囲
- STEP3:発展問題レベルを全範囲
「問題のレベルを一定にして全範囲を進める」という方法は、発展問題完了までに化学基礎を3周できるのでおすすめ。知識の定着・理解・問題演習を同時進行できるので、勉強効率がグン!と上がりますよ。
3.センター試験の過去問と予想問題、どちらが重要?使い分けは?
化学基礎はセンター試験の過去問も活用できる科目です。センター試験には化学基礎の知識を広く問う問題や、さまざまな実験問題など「良問」と呼ばれる問題が多数出題されていました。ぜひ問題演習に利用していきましょう。
一方、予想問題は共通テストテストに寄せた「思考や読み取りが必要な問題」が数多く収録されています。共通テスト本番に向けて、新傾向の問題に慣れるという目的なら予想問題集がおすすめです。
- 問題量をこなしたい/基本知識の確認をしたい ⇒ センター試験過去問を
- 新傾向の問題を解きたい/共通テストを想定した問題を解きたい ⇒ 予想問題集を
それぞれの特徴を活かし、目的に合わせて使いこなしましょう。
また共通テスト予想問題もセンター試験の過去問も、実験や図、グラフといった難易度の高い問題が出題されます。特に化学基礎が苦手な受験生だと、見ただけで「面倒くさそう」「いやだな」と敬遠してしまいがちなのですが、ここはぐっとこらえて取り組んでみてください。
- 与えられた情報/足りない情報の区別と整理
- 実験の目的
- 解答すべき内容
こうした内容を考えながら解くことで、知識が実践力に高まっていきますよ。
センター試験の過去問を使う時は、現在の教育課程になった「2015年度以降」のものを解くようにしてくださいね。
共通テスト対策におすすめの参考書3選!
共通テストの化学基礎対策を効率良く進められる参考書を3冊、厳選してご紹介します。独学でも進められるものを選んでいますので、ぜひ活用してくださいね。
おすすめ①『やさしい高校化学(化学基礎)』(Gakken)
化学基礎がわからない、教科書に書いてあることが理解できない!という受験生におすすめしたいのが『やさしい高校化学(化学基礎)』です。図や表を使いながら、化学・化学基礎の内容を平易に、やさしくかみ砕いて解説しています。参考書独特の堅苦しい雰囲気がないため、初学者でもとっつきやすいと評判。
教科書だけでは理解できない、化学の抽象的な話が苦手という人は、この1冊のようにわかりやすく解説している参考書を手元に置いておくことをおすすめします。共通テスト対策には化学の本質的な理解が欠かせません。細かくやさしい解説は、最重要な「理解」のパートを手助けしてくれますよ。
おすすめ②『大学入学共通テスト 化学基礎 実戦対策問題集』(旺文社)
『大学入学共通テスト 化学基礎 実戦対策問題集』は共通テストに合わせた問題演習を効率的に進められる1冊です。収録されている問題は難易度によって「基本」「実戦」の2段階に分けられており、自分の実力や理解度に応じて使い分けることができます。オリジナル問題も含む総問題数は50題以上!演習量としてもたっぷり確保できます。
共通テストの予想問題集は各社から出版されています。選ぶ時は「問題の難易度」「解答解説の充実度」を見ると間違いがありません。特に直前期は先生の前には質問の行列、ということも。自力で理解できるだけの十分な解説がついているかは、勉強効率アップに大事なポイントですよ。
おすすめ③『2021実戦 化学重要問題集 化学基礎・化学』(数研出版)
さらにハイレベルな問題演習にチャレンジしたい受験生におすすめなのが『2021実戦 化学重要問題集 化学基礎・化学』です。実はこれ、理系の受験生が主に使う、難関大学個別試験にも対応した問題集。化学基礎の内容も収録されているので、問題集から「化学基礎」だけをピックアップして取り組んでみると良いでしょう。
思考や読解が必要な問題には「思考」マークがついているので、新傾向の問題も一目で分かります。ただしレベルは基本習得後を想定、基本はこれから取り組むという人は先に紹介した2冊から始めるのが良いでしょう。
ピンポイントでオンライン家庭教師を利用するのもおすすめ
共通テストの化学基礎対策は、もちろん計画的に進めるのが理想です。しかし、「なんとかなるか」と思っているうちに直前になってしまった!なんて慌てる受験生も少なくない科目でもありますよね。
他教科に時間を割くためにも、化学基礎はポイントをおさえた対策を早期・短期集中で完了させ、得点源にしてしまうのがおすすめ。もしぎりぎりまになってしまっても、要点をおさえたてすれば本番にちゃんと間に合います。
「化学基礎をなんとかしたい!」、そんな時におすすめなのが、スポット的にも利用できる「オンライン家庭教師」です。受講科目、時間、回数などは自由に相談できるので、苦手なところや過去問演習を短期集中トレーニングするのにピッタリ!
指導に当たる講師は、自身もセンター試験や共通テストを経験した大学生がメイン。「ホントに時間がないときにどうしてた?」「二択で迷ったときは?」「8割の壁を越えられない!」といった、受験生の悩みを乗り越えてきた経験も聞くことができます。
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まとめ
化学基礎の共通テスト対策についてまとめてきました。
共通テスト初年度で平均点が低くなったため、2年目は「易化する?」という予想もされていますが、当日になってみないとわかりません。「教科書レベルの基本知識」と「良質な問題演習」に取り組み、思考や読み取りが必要な問題にも対応できる力をつけておくというのが、最も重要な対策になります。
化学基礎は重要事項を覚え、標準問題が解けるようになれば十分9割を狙える科目です。そのためにも「基本を効率的におさえること」が何より大事。
教科書と、紹介した参考書・問題集を活用し、効果の高い対策を実践してみてくださいね。応援しています。