医学部は独学で合格できる!?超えるべき3つの壁と合格対策を徹底解説
医学部を目指す場合、予備校や塾に通うのが一般的です。「独学で医学部合格は無理」という話を聞くこともあるでしょう。しかしさまざまな事情で独学で医学部を目指したい、という受験生がいるのも事実。
そこで今回は、独学で医学部合格は本当に無理なのか?その理由は?合格する方法はないのか?など、医学部合格者輩出経験もある元予備校校舎長がまとめて解説します。独学におすすめの参考書も紹介しているので、最後まで読んでみてくださいね。
目次
独学で医学部を目指す受験生を襲う3つの「わからない」とは?
「独学で医学部合格は難しい」といわれるのは、独学では「わからない」ことが多すぎるからです。ここでは独学での医学部合格を阻む「わからない」を3つに分けて解説していきましょう。
この壁を超えられれば、独学での医学部合格がぐっと現実味を帯びてきますよ。
合格に必要な情報が「わからない」!
1つ目の「わからない」は、合格のために必要な情報がわからない、ということです。
医学部は「専門予備校」ができるほどの難関。予備校や塾に通っていれば与えてもらえる医学部受験情報が、独学となると自分で探さないといけません。
さていま、「インターネットで探せばいい」と思いましたか?
インターネットに載っている情報は玉石混合!見つけた情報が信用できると、本当に保証できるでしょうか。
あるいは「体験談」にも注意してくださいね。体験談というのは、あくまでその先輩が通った道というだけのこと。自分にも当てはまる、合うとは限りません。
医学部合格のためにおさたい情報には、次のようなものがあります。
- 大学の別の出題傾向・難易度
- 受験日程、募集枠(地域枠、推薦入試の有無など)
- 必要な学習の習得レベル
- 苦手科目の克服法
- 小論文・面接対策
- 医療系知識はどの程度おさえておくべきか
- 模試成績表の分析と勉強計画へのフィードバック……等
上記はほんの一部です。
このような情報が独学では「わからない」、それが独学での医学部合格を難しくしている理由の1つ目です。
自分に最適な勉強法が「わからない」!
2つ目は勉強法が「わからない」ということ。
高校の定期テストや模試に向けて、計画を立てて勉強してみたものの……、思うような結果が出なかったという経験はありませんか?あるいは計画の立て方がわからない、というケースも。
机に向かってはいるけれど、本当にこのやり方で伸びるのだろうかと不安になることもあるでしょう。
医学部には「共通テスト得点率85%以上」「偏差値62.5以上」が必要、という目安は知っていても、自分の現状からどのように取り組めば到達できるのか、イメージできますか?
また科目別・分野別にはどうでしょうか。
苦手とする受験生が多いこれらの分野も、「共通テスト得点率85%以上」「偏差値62.5以上」を目指して取り組まないといけません。あるいはどうしても克服できない場合は、他分野を伸ばすことでカバーするという戦略性も必要になってきます。
予備校や塾に通っていれば、自分に合う勉強法・確実に伸びる勉強法を逐一指導してもらえます。しかし独学では、勉強法から自分で考えないといけません。
自分に合う勉強法が「わからない」、これが独学での医学部合格を難しくしている理由の2つ目です。
受験校選び・出願戦略が「わからない」!
医学部に限らず、大学合格のためには「戦略的な受験校選びと出願の仕方」がとても重要です。独学では、この受験校選び・出願戦略が「わからない」というのが、3つ目の壁になります。
実は多くの予備校では、毎年秋から冬にかけて出願戦略を練るためだけに三者面談を行います。念には念を入れて組み立てる「出願戦略」は予備校の指導力の見せ所、とまでいわれるほど。
しかし独学で医学部を目指す受験生は、出願戦略の精度を高める次のような要素も自力で収集しなければなりません。
- 現状の成績
- 本番までに期待できる伸び
- 本人のメンタル状況
- 家庭の経済的状況(実際、何校まで受験できるか)
- 昨年の動向
- 昨年からの変更点
- 今年の予測
予備校が持つ膨大な蓄積データや先輩の実例などは門外不出になっていることも多く、個人では見つけにくいでしょう。インターネットの情報も古かったり、最新状況を反映していなかったりするものも多く、見極めには眼力が必要です。
受験校選びや出願の戦略立てに必要な情報が「わからない」、これが独学での医学部合格を難しくしている理由の最後です。
独学で医学部合格を阻む「わからない」をクリアする方法
医学部に独学で合格するには、「情報がわからない」「勉強法がわからない」「受験戦略がわからない」の”3大わからない”をクリアする必要があります。
どのように取り組めば克服できるのか見ていきましょう。
情報収集は「正確さ」を重視して徹底的に
3つの「わからない」の底にあるのは、情報収集の難しさです。医学部合格に必要な情報を正確に、しかも漏らさず集めるのは容易なことではありません。
もしあなたが独学で医学部を目指したいと思っていて、必要な情報を集める方法に困っているのなら、次の手順で進めてみてください。
★ 効率よく受験情報を収集するコツ ★
- 自分に必要な情報は何か?を見極め、整理する
- 情報を見つけたら「日付」「出典」をチェックする
- 必要に応じてブックマーク、印刷しておく
情報収集にはインターネットを利用することが多いですよね。インターネットには膨大な情報があふれていますから、何を探しているのかを明確にしておかないと、すぐに情報収集迷子になってしまいます。
「今日は〇〇について、△△のような情報を集める」とメモしてから探し始めると迷わずに済みます。
また情報は「新しさと正確さ」が最重要。見つけた情報は、かならず「発信された日付」と「出典(誰が書いたものか)」を調べる癖をつけてください。受験は毎年変わるものですから、3年前の情報でも古いと感じられます。また個人が書いたものよりは、予備校や塾、教育機関が発信している情報のほうが信頼できるでしょう。
インターネットの情報は日々更新されますから、気になったものはブックマークしたり、印刷しておいたりすると確実ですね。ページが削除されて見られなくなってしまった、ということを防げます。
勉強計画は「逆算」で立て、「進捗管理」も忘れずに
勉強計画は必ず「逆算」で立てるようにしてください。逆算とは、ゴールからさかのぼって考えるということです。まず受験本番になっていたい状態(得点率・偏差値)を決めることから始めましょう。
- 受験本番になっていたい状態(得点率・偏差値)を決める
↑ (その状態になるには) - 直前期にはこんな対策をすれば良さそうだ
↑ (その状態になるには) - 秋はこんな対策をしておこう
↑ (その状態になるには) - 夏はこんな勉強を…
↑ (その状態になるには) - ……
このように、「いつまでに・どうなっていたいか」「そのために何をすればよいか」をゴールから順番に組み立てていくのがコツです。
現在地までたどり着くと、意外と時間がない!という焦りもありつつ、「先を見通す」という感覚が理解できていることでしょう。
また逆算で立てた学習計画を実践していく際には、かならず「進捗管理」を忘れないようにします。進捗管理とは、現状が計画通りに進んでいるかの確認作業のこと。遅れや不足、ズレがあった場合は、すぐに計画を修正します。
ゴールから逆算した計画と、計画通りに進んでいるかを定期的にチェックすることで計画倒れを防ぐことができます。
出願戦略は「進路指導室」をフル活用する
受験校選びや出願戦略は、高校の先生や進路指導室をフル活用しましょう。合格した先輩の事例を閲覧することができたり、地域枠や学校推薦枠についての情報をもらえるかもしれません。
また長年進路指導を担当している先生がいれば、高校生では知りえない情報を把握していることもあります。
進路指導室には積極的に足を向け、学校だからこそ手に入る情報を集めるのが得策です。
スポットでオンライン家庭教師を利用するという方法も!
精度の高い情報集めと適切な勉強計画・実践があれば、独学での医学部合格も決して不可能ではありません。
一方、限られているのは「時間」です。できるだけ多くの時間を勉強に充てるためにも、どうしても自力では難しい部分だけ、スポットでプロの手を借りるという方法を検討してみても良いでしょう。
オンライン家庭教師は独学生と相性が良い!その理由3つ
オンライン家庭教師とは、パソコンやタブレットで生徒と講師を1対1で接続しリアルタイムで指導する形態のこと。実は独学ととても相性が良いと知っていますか?
オンライン家庭教師が独学と相性が良い理由は3つあります。
- 時間と場所の制約が少ない
- 必要なポイントを絞って教えてもらえる
- 費用が安い
時間と場所の制約が少ない
オンライン家庭教師は機材とインターネット回線があれば、どこでも授業が受けられます。また授業の時間も自分の予定に合わせて柔軟に対応可能。予備校のように、わざわざ通う必要もなければ、1日に何時間も拘束されることもありません。
いつものように自宅で勉強できるのですから、オンライン家庭教師と独学が相性が良いというのもわかりますよね。
必要なポイントを絞って教えてもらえる
予備校や塾は年間を通じて考えられた全体のカリキュラムに沿って進むところが多め。自分が十分理解できている単元でも、授業を受けないといけません。
オンライン家庭教師はどこを・どれくらい勉強するか、というのは一人をヒアリングして事前計画を立てます。極端な話、「この問題だけわからない」といった使い方もOK。必要な学習だけに絞って教えてもらえるので、時間を無駄にすることがありません。
費用が安い
予備校の学費は年間数十万~百万円程度にもなることがほとんど。独学で医学部合格を目指す受験生の中には、予備校の高い学費がネックになって断念したという人もいるのではないでしょうか。
オンライン家庭教師は1か月2万円程度のところが多いので、予備校に比べると授業料の心配はぐっと少なくなります。適度に併用して学習効率を上げ、ぜひ現役合格を狙っていきましょう!
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独学で医学部合格を目指す受験生必携の参考書5選
最後に、独学で医学部合格を目指す場合におすすめの参考書を科目別・対策別に紹介します。
参考書や問題集は自分が使いやすいものを選ぶのが一番なのですが、これからご紹介するのは先輩たちも絶賛したものばかり。厳選して1冊ずつ紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
医学部受験全般の情報収集に『医学部に入る 2022』(週刊朝日ムック)
週刊朝日ムックが発行する『医学部に入る』シリーズは、毎年出版されている医学部受験生必携の情報誌です。大学受験に必要な情報はもちろん、医師国家試験や臨床現場のトピック、医学部生や現役医師のインタビューも満載!
医学部受験を含む、「医師という職業」全体を考えるためにも、持っていて損はない1冊です。医療全体に対する知識を得ておくことは、医学部受験に必須の「面接」を突破するためにも欠かせません。
英語の基礎は英単語!『改訂版 鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁』(角川書店)
英語の土台は何と言っても英単語、医学部ともなれば高いレベルで習得しておきたいもの。そこでおすすめの単語帳が、『改訂版 鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁』です。出版元は毎年200人以上もの東大合格者を輩出する東大専門塾「鉄緑会」。収録されているのは標準レベル以上の単語ばかり3000語以上!
この単語帳のポイントは、単語がすべて「分野別」にまとめられている点です。「医療」カテゴリーもありますよ。イラストや接頭辞・接尾辞等を使ってコアイメージを覚えられる構成になっていますから、派生語や熟語も効率よく覚えていけます。
数学は基礎の徹底が需要!『チャート式の青』(数研出版)を完璧に
医学部で課される数学の問題は良問が多め。また国公立大学なら他の理系学部と同一問題が出されるため、極端な難問は出題されません。そこで何より大切になるのが「徹底的に基礎力を身につけているかどうか」です。
『チャート式』(数研出版)は、数学ならこれ!といわれることもある定番教材ですね。重要・頻出パターンの問題を網羅した構成は基礎力養成にぴたったり。青チャートが自在に解けるようになれば、共通テストはもちろん2次試験・個別試験対策も万全でしょう。
理科は学校の傍用問題集を中心に、事象の徹底理解を!
理科も数学同様、基礎力を徹底的に磨き、事象を本質的に理解することが重要な科目です。また大学によって出題傾向が異なるため、苦手分野をそのままにしておかないことも大切。
理科はまず、学校から配布された傍用問題集に徹底的に取り組みましょう。およそどの問題も正解できるようになったら、医学部用の理科問題集に進んでみてください。
「なぜそうなるのか」を考えながら演習を進めることがポイントですよ。
小論文・面接対策が1冊にまとまった『改訂版 世界一わかりやすい 医学部小論文・面接の特別講座』(KADOKAWA)
医学部入試で避けて通れないのが面接です。また国公立大学の後期試験や私立大学を中心に、小論文が課されることもあります。問われやすい内容やテーマを知り、事前にできる限りの対策をしておきましょう。
『改訂版 世界一わかりやすい 医学部小論文・面接の特別講座』は、医学部の小論文・面接で求められていることから対策、練習法までを網羅した1冊。小論文の基本の書き方やコロナ禍での面接にも対応できるようになっています。
まとめ
独学で医学部を目指す難しさと、壁を乗り越える方法、スポット的にも活用できるオンライン家庭教師について解説してきました。
医学部はやや倍率は落ち着いてきているものの、大学受験で最難関の1つといわれることに変わりはありません。高い学力に加えて、医師にふさわしい倫理観や人間性を備えていることが合格の条件でもあり、独学では苦戦を強いられることも多いでしょう。
必要なところだけはプロの手を借りる、というのは合格率を高める立派な戦略です。自分の目標と現状を冷静に見極め、合格までのロードマップを描いてみてください。応援していますよ!
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