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【医学部受験】数学対策完全ガイド!|難問対策不要、「基礎」の習得だけで合格も夢じゃない

医学部といえば、大学受験において最難関のひとつです。共通テストの得点率は最低でも85%以上・偏差値は62.5以上!(※河合塾「入試難易予想ランキング表」による) さぞかし入試問題も難しいものばかり……、と思いきや、数学は「基本の習得」で十分対応できる大学が多いと知っていますか?

今回は医学部を目指すあなたに、医学部合格者輩出実績も持つ元予備校校舎長が【数学対策】を徹底解説します。数学が苦手な場合の対策や、最新動向も踏まえてわかりやすくまとめていきますので、ぜひ最後まで読み、今日からの受験勉強に活かしてくださいね。

 

医学部入試数学の概要

医学部入試数学の概要

具体的な対策を解説する前に、医学部入試数学の概要について触れておきましょう。医学部入試は「共通テスト」と「大学個別試験」の2つを区別して考えることが重要です。

 

国公立大学の場合

国公立大医学部は、一般的にに「地方国公立大学は共通テスト配点比率が高め」「都市部・難関大・旧帝大は2次試験配点比率が高め」という傾向があります。一例を見てみましょう。

大学名 共通テスト配点   2次試験配点
旭川大学 550 > 350
富山大学 900 > 700
滋賀大学 600 600
東北大学 250 < 950
名古屋大学 900 < 1650

配点を見ることで、自分が力を入れないといけない試験が明確になりますね。

ただし配点比率が2次試験の方が高い大学を志望するとしても、共通テストを軽視してはいけません。共通テスト対策を万全にすることは大前提です。最低でも85%以上、首都圏の難関大学や旧帝大レベルを志望するなら90%以上がボーダーラインだと考えてください。

多くの国公立大学では「第一段階選抜」、いわゆる「足切り」を共通テストの結果によって行います。共通テストで高得点を取れていないと、そもそも2次試験を受けられないこともあるということです。共通テスト対策は、常に「満点」を目指して学習するようにしましょう。

国公立大学の2次試験は医学部専用の問題が出されるわけではなく、他の理系学部と同じ問題に取り組むことになります。医学部受験だからといって問題のレベルが極端に高くなるわけではありませんが、「完成度高く答案を作成する」ことを目指していきましょう。

とくに数学は1問あたりの配点が大きい科目です。大問1つで30点分の差がつくことも珍しくありません。基本的な問題を正確に完成させる力の付け方は後でまとめてありますので、合わせてご覧くださいね。

 

私立大学の場合

私立大学は大学個別試験で合否が決まります。一部の大学で共通テストを利用した入試方式も採用されていますが、その場合のボーダーラインは90%以上。国公立大医学部志望生が併願先として出願してくることも多いため、非常にハイレベルな戦いとなります。私大医学部対策と共通テスト対策の両立は負担が大きいかもしれません。第一志望が私立大学なら、早々に個別試験対策に絞った方が効率良く進められるでしょう。

私大医学部の入試問題は、大学ごとに非常にバリエーション豊富です。志望大学の過去問をよく研究し、頻出分野や問題傾向を知ることが第一歩。迷ったら「微分・積分」「確率」「図形と方程式」から取り組んでみてください。この3分野はどの大学でも共通してよく出されているからですね。

また複数分野を融合させた問題が多いのも私大の特徴です。融合問題は「どの分野の知識を組み合わせれば解けるのか」を判断することから始めないといけないので、オーソドックスな問題に比べて解き終わるのに時間がかかります。融合問題が多く出される大学を志望する場合は、他大学の過去問や医学部専用問題集などで十分に演習を積んでおきましょう。

 

医学部志望生の数学対策は「基礎」と「数Ⅲ」が命!

医学部志望生の数学対策は「基礎」と「数Ⅲ」が命!

ここからは具体的な対策法を解説していきます。よく「数学はセンス」「数学はひらめきが大事」といわれますが、決してそんなことはありません。正しい勉強法をすれば、誰でも数学の力を伸ばすことはできますよ。

まずは「数学の考え方」から見ていきましょう。

 

数学の得点率を分ける数学的思考力…、その正体とは?

数学が得意な人と苦手な人を分ける要素は、算数のころからの好き嫌いや接してきた問題の数、教えてくれた先生との相性などさまざまありますが、そのひとつに「考え方」があります。「数学的思考力」とも呼ばれる数学独特の考え方は、ときに「センス」や「ひらめき」という言葉で語られることもあり、つかみどころがないものだと思われやすいものです。

でも実は「数学的思考力」とは、

  • 定義・定理を正しく理解し
  • それらの正しい使い方を知り(暗記)
  • 典型問題の解法や定石を数多く知っていて
  • 問題に応じて適切に引き出し、組み合わせることができる力
  •  

のこと。

「問題に応じて適切に引き出し、組み合わせる」段階で論理的に考えることが要求されるため、数学的思考力はしばしば「論理的思考力」とも置きかえられます。

つまり医学部合格のために数学で高得点をとりたいあなたは、定義・定理を正しく理解することから始め、最終的には持っている知識を組み合わせて問題を論理的に考えられるようになればよいということです。

 

国公立大志望も、私立大志望も、まずは「基礎」を徹底習得

少し難しい話になってしまいましたね。もう少し具体的に考えてみましょう。

医学部入試数学において最も重要になるのは「基礎力」です。「難問を解けなければ!」と意気込んで空回りしてしまう受験生がとくに多いのですが、数学で最も大切なのは「基礎の徹底」、しかも中途半端ではなく高いレベルで理解し、徹底することです。正確で高い計算力と、各分野の本質的な理解を心がけましょう。これは国公立大・私立大、またレベルを問わず基本中の基本です。

一般的に難問と呼ばれる問題には2タイプあると知っていますか。

1つは使うべき基本事項(定義・定理、公式、定石など)の組み合わせが複雑なもの。組み合わせが複雑なだけで、使う内容は基本事項ばかりなので、基礎を習得し演習を積めば解けるようになる問題です。医学部入試で「難問」と言われる問題は、実はこちらのタイプが多く見られます。

2つ目は問題設定自体がマニアックだったり奇抜だったり、あるいは高校数学の領域を逸脱していて、そもそも解けるようには作られていない問題です。解けない問題なので、出会っても取り組んではいけません。

あなたが目指すべきは持てる知識を的確に運用し、1つめのタイプの問題を解けるようになることです。そのために欠かせないのが「基礎の習得」。チャートでいえば「黄色」に相当しますが、本質的な内容理解を心がけてください。

 

現役生は要注意!数Ⅲが合否を分ける

とくに現役生が学習ペースに気をつけてほしいのが「数Ⅲ」です。学校の授業完了に合わせて進めていたら、教科書が終わったら冬直前だった……、というケースも少なくありません。数Ⅲはただでさえ難しく、さらに医学部数学では頻出分野なのに、これでは十分な演習時間が確保できないおそれがあります。

医学部を志望する高校生ならば、数Ⅲは独学で進める覚悟を持ってほしいと思います。大学入試でライバルになるのは、現役生だけではありません。すでに数Ⅲを何週もしている既卒生や、高2までに高3までの学習範囲を終わらせている一貫校生も、数多く受験するわけですから。

そうしたライバルとの戦いを制するには、学校の授業ペースを待たずに早めに自力で進めることが得策です。場合によっては数Ⅲの早期習得を目的に塾や家庭教師を検討しても良いでしょう。

数Ⅲは解法パターンの暗記では太刀打ちできません。早めに基本を完了させ、本番までに十分演習できるスケジュールを立てることが重要です。

 

数学の勉強法|タイプ別アドバイス

医学部志望生の中にも、数学が得意だという人もいれば不得意だという人もいますよね。ここからは得意不得意のタイプ別に、効果的な対策のヒントをまとめます。

まずは「数学が不得意、苦手」なタイプから始めましょう。

 

数学が苦手な受験生は最低限の基礎習得を目指して

数学が苦手だからといって、苦手なままにしておいては合格はありえません。かといって数学が得意な人と同じレベルで習得するのは、なかなか難しいもの。

そこで数学が苦手な医学部志望生には、「最低限の得点はとれる」状態を目指してほしいと思います。共通テストならボーダーラインぎりぎり、あるいはやや下回るくらいでもOKです。記述模試であれば、偏差値60.0程度でも許容範囲でしょう(不足分は他の科目でカバーすることになりますが)。

数学が苦手だという原因を追求すると、多くの受験生は「基礎力不足」に行きつきます。先の項目で書いたように、数学は「基礎」の習得で大半の問題は解けるようになりますから、教科書レベルの問題を「なぜそうなるのか」「なぜそう解くのか」「この解き方ではなぜダメなのか」と、徹底的に考えるようにしてみてください。

 

数学が得意な受験生は「取り組むべき難問」の見極め力を

数学が得意な受験生は1点でも多くとるための戦略を考えましょう。数学が得意だということは基本問題はサクサク解けるはず、差がつくのはいわゆる「難問」ですよね。

「難問」は先に書いたように2つのタイプがあります。数学が得意な受験生は、「解くべき難問」と「解いてはいけない難問」の見極めを、可能な限り速くできるようにトレーニングしていきましょう。

数学で試験時間が余るという受験生は少ないはずです。時間が足りない、というケースが圧倒的ですよね。つまり数学は1分1秒でも多く、「得点できる問題」に分配すべきなのです。そんな数学の試験中に「解いてはいけない問題」に何分も費やすほど無駄なことはありません。

「解くべき難問」が多く出題されるのは、一般的に難易度が高いとされている旧帝大クラスの2次試験です。基礎事項を最適に組み合わせないと解けない、良問に出会えます。

一方、「解いてはいけない難問」は私立大に多く、単科の医科大学でも散見されます。私立の医学部は数千人をふるいに掛けないと行けない場合もありますから、敢えて「解いてはいけない難問」を紛れ込ませ、受験生に差をつけようとしているのでしょう。

こうした大学の過去問を活用しながら、「解くべきかどうかを見極める」という意識を持って演習に当たっていってみてください。

★ 現役医学部生が教える!医学部受験におすすめ参考書3冊 ★
教えてくれた人:/信州大学医学部1年生 Sさん
私は『大学への数学』(東京出版)と「Focus Gold」(啓林館)を解いて基礎力を高めました。どちらも医学部受験に必要な知識や解法、着眼点、解答までの道筋がまとめられています。
友達は『チャート式』(数研出版)を使っている人も多くいました。

 

医学部合格戦略、裏技!数学以外に力を入れるという方法もある

最後にやや裏技的ではありますが、数学以外の科目を伸ばすことで合格を狙える医学部もあるという情報を添えておきます。

もちろん数学対策に手を抜いて良いというわけではありませんよ。どうしても医者になりたい、でもどうしても数学が苦手だという受験生に向けて書いています。数学は最低限度得点できるようにし、他教科を圧倒的に伸ばして総合点で勝つ、という戦い方ができる大学をご紹介しましょう。

 

英語が得意ならここがおすすめ

多くの医学部で英数の配点は「英語:数学=1:1」とされています。ただ以下の大学は稀少な「英語の方が数学より配点が高い大学」です。
英語が圧倒的に得意!という受験生は、検討してみるのも方法ですよ。

● 個別試験の配点(英語・数学のみ) ※2021年度入試の場合

大学名 英語配点 数学配点
埼玉医科大学 150 100
国際医療福祉大学 200 100
東邦大学 150 100

理科が得意な受験生向けの対策

一般的に数学と理科の配点比は「1:2」です。ただ数学は1教科ですが、理科は多くの大学で「物理・化学・生物から2科目選択」という方式なので、実質的には「1:1:1」ということになります。

数学は基礎の習得と十分な量の演習が必要であることに加え、学習する範囲も広いので、成績がなかなか伸びにくいケースもあります。ところが理科は暗記で解ける単元も多く、また数学のように抽象度が高い問題はでないので、比較的勉強したことが成績に直結しやすい科目だといわれています。
また数学の基礎を習得しようと計算力を挙げた結果、物理の厄介な計算もスムーズにできるようになったというメリットもでやすいのが理科です。

数学は難問には立ち向かわず基本の習得にとどめ、理科を伸ばすというアプローチ法もありますよ。

 

数学なしで受験できる私立医学部もある!

入試改革にともない、医学部の入試方式も多様化しています。そんな中、2021年度入試において「数学なしで受験できる医学部」が登場し、注目を集めたのは知っていますか。

東京にある私立大学、昭和大学の医学部です。1次試験の入試科目は3教科で500点満点、必須教科は英語・理科(2科目)、3つめは国語・数学から1科目なのです。

また帝京大学医学部は以前から数学不要の入試を実施しており、必須科目は英語のみ、理科(2科目)・数学1A2B・国語から2科目選択で受験できます。

帝京大学は「文系学生や社会人にも広く医学部の門戸を開きたい」という意向で文系でも受験可能な入試を続けていました。ここにきて私立医学部トップレベルの昭和大学でも「数学なしで受験可能」という入試が実現したことは、今後も追随する私立大学がないとも言いきれません。

数学が本当に苦手、あるいは文系だけど医学部にも興味がある、そんな受験生にとっては朗報ですね。

 

まとめ

医学部はここ数年は受検者数が減少傾向にありますが、それでも国公立大は4~5倍・私立大は15倍前後にもなる狭き門です。トップレベルの学力を持つ受験生たちが、1点、場合によっては0.5点を争うのが現状。しかし、やはり数学も大切なのは「基本」であることに変わりはないということは分かっていただけたでしょうか。

まずは手持ちの参考書や問題集が、基本を徹底習得するのにふさわしいかどうかよく見てみましょう。難しい場合は、学校や塾の先生に見てもらってもいいですね。また同時に学習計画についても相談してみてください。あなたが基礎力を高いレベルでマスターし、医学部に合格することを応援しています。

オンライン家庭教師ピースでは、多くの医学部受験をお考えのご家庭から相談を受けています。医学部は、志望校に向けた対策が必要です。何から始めたらいいか分からない方、成績が伸びずに悩んでいる方はまずご相談(無料)ください。

 

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