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【医学部再受験】一般入試と学士編入の違いや対策など徹底解説!

医学部以外の道や社会人として歩みを始めたものの、やっぱり「医者の夢を諦められない」と医学部の再受験を考える人は、思いのほか多いものです。しかし、あらためて医学部を受験したいと思っても方法がわからなかったり、あるいは「医学部再受験は受からない」という話を聞いて迷う人もいるのではないでしょうか。

この記事では「医学部の再受験」に焦点をあて、「もう一度医学部を目指す」ために必要な情報をまとめて解説します。再受験する具体的な方法や再受験生対策などを網羅していますので、ぜひ最後まで読み再受験の道を考えてみてくださいね。

医学部医学科を再受験する方法は2種類ある

医学部医学科を再受験する方法は2種類ある

一般的に「再受験」とは「もう一度受験すること」を広義に指しますが、ここでは「医学部以外の学部に進学した人」「すでに社会に出ている人」が医学部を受験するケースに限って解説を進めます。(一般入試を受験する浪人生の方は、入試本番に向けて対策を万全にしていってくださいね!)

再受験生は現役・一浪生に比べると年齢が高くなるため、医師としてのキャリア形成に影響があることからあまり歓迎しない大学もあると言われています。再受験生が受験大学を選ぶ場合は、再受験に寛容な大学を選ぶというのも大切なポイント。
大学によっては年齢別の合格率を公表しているところもあるので、チェックしてみると良いでしょう。

■ 参考:信州大学医学部医学科『男女別年齢別合格率』(※ ページ中ほどのPDFファイル)

さて、それでは本題に入りましょう。
他学部生/社会人が医学部を目指す場合、受験方法は2種類あります。

① 一般入試を受ける

1つ目は「一般入試を受ける」というものです。現役生や浪人生に交じって試験を受けるということですね。他学部に在籍しながら医学部再受験を目指す、いわゆる「仮面浪人」の場合もこちらに該当します。

大学は受験年齢の上限がありませんから、高校を卒業していれば誰でも受験可能です。ただし推薦入試や総合型選抜は、出願資格が「現役のみ/既卒1年まで」等、規定がある場合があります。「誰でも受験できる」のは、あくまで一般入試だとおさえておいてください。

② 学士編入試験を受ける

医学部を再受験する2つ目の方法は「学士編入試験を受ける」というものです。学士編入とは、大学の編入制度のうち学部卒業者を対象としたもののこと。大学の学部を卒業すると「学士」という資格が得られるので、このように呼ばれています。

学士編入を行っている大学は2021年度時点で、国公立大学27校・私立大学3校あります。編入すると教養課程が免除されることが多く、1年次後期~3年次前期のうち大学が定めた課程から学びを始めることになります。

大学に在籍中ならば一般入試を受けるしか再受験の方法はありませんが、大学を卒業していると一般入試と学士編入試験、いずれにもチャレンジできるということです。では、どちらが合格しやすいのでしょうか?一般入試と学士編入の違いを、次の項目で詳しくまとめていきましょう。

「一般入試を再受験」「学士編入試験」の違いを比較!

ここからは医学部の一般入試と学士編入試験を比較していきます。受験する場合に最も気になるポイント「出願資格」「試験内容」「募集定員」「倍率」について、表にまとめましたのでご覧ください。

一般入試学士編入
出願資格高校卒業、もしくは同程度と認められる学校を卒業していれば誰でも可能大学(学部)を修了していること大学が指定する「修得を必要とする科目及び単位数」を取得していることなど
試験内容◆ 国公立大学で多い組み合わせ共通テスト:英語、数学ⅠAⅡB、国語、理科2科目、地歴公民2次試験:英語、数学ⅠAⅡBⅢ、理科2科目、面接◆ 私立大学で多い組み合わせ大学個別試験:英語、数学ⅠAⅡBⅢ理科2科目、面接(小論文)多い組み合わせ第1次選考:筆記試験(英語、生命科学は必須。大学によっては物理、化学、数学を課す場合も)第2次選考:小論文、面接、後述試験など
募集人員1学年あたり、100~120人程度5~10人程度
倍率◆ 国公立大学:4~5倍
◆ 私立大学:13~15倍
20~40倍になることも珍しくない

出願資格

一般入試は高校を卒業していれば出願できます。学校長の推薦書なども必要ありません。

一方、学士編入は大学を卒業していること(卒業見込みでも受験できる場合もあり)という条件に加えて、大学が指定する科目・単位を修得していることも必要です。

◎名古屋大学医学部医学科 学士編入の例

【修得を必要とする科目及び単位数】
① 一般教育科目のうち、数学、物理学、化学、生物学について合計34単位以上
(ただし、専門教育科目のなかの数学「基本的な情報処理方法に関する科目を除く」、物理学、化学及び生物学の分野の単位を加えることができる。)

引用元:名古屋大学医学部医学科『2022年度 第2年次学士編入学学生募集要項』
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical_J/admission/pdf/d66bbf33fbec24dc93e9f9635479f3e350b39ad8.pdf

また大学によってはTOEICのスコア等を必要とする場合もあります。

試験内容

一般入試を受ける場合の試験内容は、現役生と同様です。試験日程や会場も同一になります。

学士編入の場合は、1次選考で英語と生命科学、場合によっては理科や数学も加えられた筆記試験、2次選考で面接、ほか小論文や口述試験が課されることもあります。

「生命科学」とは、高校の生物に似た内容を扱う科目です。分子細胞生物学を中心に生化学や生理学、神経科学、免疫学、組織学などが含まれる、大学2年レベルの内容となっています。

出願期間や試験日程も、一般入試とは異なる時期に実施されています。

募集人員・倍率

一般入試の募集人員は国公立大学も私立大学も100~120人程度です。近年、医学部の競争率は緩和傾向にあると言われていますが、それでも国公立大学で4~5倍、私立大学で13~15倍となっています。

一方、学士編入の募集は非常に少なく、4~5人から多くても10人程度。この枠に多くの再受験生が出願するため、倍率は20倍から40倍近くになることも珍しくありません。

◎ 名古屋大学医学部医学科 学士編入試験結果(過去5年分)

募集人員受験者数(A)合格者数(B)実質倍率(A/B)
2021年度577515.4倍
2020年度583516.6倍
2019年度580516.0倍
2018年度5105521.0倍
2017年度585614.1倍

学士編入で出願に必要な書類の例

学士編入の出願には、一般的に大学出願に必要な書類に加え、以下のようなものが必要になる場合もあります。

◎ 神戸大学医学部が医学科 学士編入出願に必要な書類(抜粋)

  • 現在までの研究について
  • 研究業績
  • 推薦書2通以内
  • 出身大学の成績証明書

「再受験は受かりにくい」という都市伝説は本当!?

医学部医学科の一般入試と学士編入を比較してみると、学士編入の厳しさが浮き彫りになってきた気がしますね。実際、世の中には「学士編入は難しい」「再受験は受からない」という話もあるようです。

本当にそうなのでしょうか?ここからは「再受験は受かりにくい」といわれる理由を掘り下げていきます。

理由① 現役生や浪人生より面接でさまざまなことを聞かれるから

「再受験生」と呼ばれるのは他学部に在籍しながら医学部を目指す「仮面浪人生」や、社会人になってから医学部を目指すケースです。

こうした人に共通しているのは「何か理由があって」再受験という道を選んでいる、ということ。一度は別の道を選んだにもかかわらず、医学を志す何かしらの理由があるからこそ、再受験という道を選ぶわけですよね。

となると大学側としては、当然その理由を聞きたいと思うわけです。そしてこれまでの経験や医師としての適性、成績や実績もシビアに評価します。社会人であればなおさら、適応力やコミュニケーション力、仕事に対する姿勢なども問われるでしょう。

はじめから医学部を志している現役生や浪人生と比べて、大学側もより深く話を聞きたいと思うはずですし、見る目が厳しくなるのは致し方ないことです。人によっては限られた面接時間では足りずに、追加で面接が設けられることもあるそうです。

ある程度「面接の質問の型」がある現役生・浪人生受験よりも、個人によってバリエーション豊かで深い問いも多くなる面接を「審査の目が厳しい」と感じる人もいるかもしれません。この印象が形を変えて広まったものが「再受験は受かりにくい」という話だと考えられます。

理由② 募集人員が少なく、倍率が高い

学士編入は課程の途中に編入できる、これまで取得した単位が認められる等、メリットも多い制度です。しかしデータで見てわかるように、募集人員は1桁の大学がほとんど。そして倍率は数十倍。こうなると合格できるのはトップレベルのほんの一握りの人ということになります。「再受験は合格しにくい」という話は、こうした実情も反映して生まれた話のようです。

また、再受験を考える人の中には「今の仕事に不満があるから」「医師は食いっぱぐれないから」「現状を変えたくて」といった程度の志望動機の人もいるそうです。しかし医師は専門知識はもちろん、高い倫理観や道徳心、人間関係構築力、探求心、細やかな気配りなど、全方位的なスキルが必要となる職業。「なんとなく」という動機は面接で見抜かれ、振り落とされることになります。自分の動機の未熟さを棚に上げて、不合格を「再受験のせい」にした人が広めた話、という可能性もありますね。

結論:明確な目的意識と使命感、高い成績を持っていれば大丈夫!

「再受験」という事実が受験において不利に働くことはないと言われています。

しかし大手予備校の合格実績でも「東大・京大・医学部」と並ぶほどの難易度を誇るの医学部を、しかも再受験で志望するならば、あらためて志望動機や将来のビジョンをしっかり考えてみてください。もちろん、優秀な人が集まる医学部受験において、成績や実績がすぐれていることは大前提です。

誰もが納得するだけの理由、使命感に裏付けられたビジョン、年齢相応の適応力やコミュニケーション力があれば、きっと大丈夫!「再受験は受からない」という都市伝説に惑わされることなく、思い切ってチャレンジしてみて良いでしょう。

再受験生の医学科合格対策

医学部を再受験する場合の対策にはコツがあります。一般入試と学士編入に分けて、対策のポイントをお伝えしましょう。

一般入試を受ける場合

一般入試を受ける場合、どの教科も基礎を徹底的に完成させることを心がけてください。医学部は確かに難関ですが、入試問題は教科の基本がどれだけ身についているかを問う良問が出されることが多いためです。

対策の優先順位は英語・数学、理科2科目、国語・地歴となるでしょう。とくに英語と数学は覚えることも多い上に結果が出るまでに時間がかかる科目。早めに着手することをお勧めします。
理科は現役生のころの選択科目を踏まえ、2科目選んでください。医学部受験生で多いのは「物理+化学」もしくは「化学+生物」です。
国語と地歴は国公立大学を受験する場合、共通テストで必要になります。

時間と費用に余裕があるならば、医学部専門の予備校や個別指導塾に行くのもおすすめ。共通テストや新しい教育課程にも対応した指導を受けられます。

また予備校で実施している模試も積極的に受験しましょう。河合塾をはじめ、医学部用の模試を実施している予備校も数多くあります。自分の実力を客観的に測定できる上、会場で受験すると実際の試験の雰囲気を思い出すこともできます。

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学士編入を受ける場合

学士編入を受ける場合は、英語と生命科学の対策がメインになります。受験を考える大学の募集要項をチェックし、理科や数学の有無も確認しておいてください。

英語は過去問演習を中心に対策していくと良いでしょう。志望大学の過去問を解いてみて、自分に足りない部分を補い、演習を重ねていきます。医学部編入試験用の英語参考書も市販されているので、チェックしてみてください。

生命科学は高校の生物と似た内容ですが、大学で医学を学ぶ際の基礎になる科目でもあるため、医学と直接関係の薄い植物学や生態学は少なめです。代わりに分子生物学や細胞生物学が多く含まれます。
独学で対策する場合は、編入試験用の参考書と問題集を用意し、取り組んでください。まず基本的な内容をひとおおり理解し、暗記すべき内容はどんどん覚えていきましょう。実際の試験で問われる難易度は基本的なものが多いのですが、深い理解が求められるものが多いと言われています。疑問点は徹底的に解決しておくことが大切です。

また編入試験用の模試も受験しておくことも大切。河合塾KALSでは医学部学士編入対策模試を実施していますので、チェックしてみてください。

まとめ

「やっぱり、医者になりたい!」そんな夢を叶える方法の1つである、医学部再受験についてまとめてきました。
近年、医学や医療は高度化の一途をたどり、社会情勢の変化に合わせて求められる医療のあり方も多様化しています。大学側もできるだけ門戸を広げ、より医師としてふさわしい人を集めようとしています。
医師は責任の大きな仕事、しかしやりがいも大きな仕事です。医師という職業への情熱を大切に、あなただからこそ歩める道をみつけてみてください。応援しています!

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