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【不登校からの高校進学】出席日数が少なくても行ける私立高校はある?公立に進学できる可能性は?

不登校のお子さんをお持ちの親御さんからのご相談はさまざまありますが、中でもとくにご相談が多のが「高校進学」に関してです。「そもそも、中学不登校でも高校に進学できるのか?」というものから、「欠席日数が内申点に与える影響は?」「不登校生は公立高校はあきらめるべき?」といった内容を多くお聞きします。|

今回は「不登校からの高校進学」と題して、中学校生活で欠席日数が多い生徒が高校を志望する際の選択肢について、詳しく解説していきましょう。

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「不登校だと高校進学は不利」と言われる理由

「不登校だと高校進学は不利」と言われる理由

「不登校だと高校受験で不利」、残念ながらその通りだと言わざるを得ません。

志望する高校を受験(出願)する際、高校側に多くの書類を提出します。そのうちの1つ「調査書」が、多くの高校で合否判定をする際の重要資料として用いられるからです。

調査書には「教科の学習」や「特別活動」など、さまざまな観点から生徒の中学校生活の様子が記入されています。そして9教科の成績とともに「欠席日数」も記載されることになっているのです。

欠席日数が多いという事実は、3年間中学校にきちんと出席した生徒よりも高校側に与える印象はマイナスになってしまうので、入試の選考の段階で不利になるというわけです。

また欠席が多いためにテストを受けられずにいると、成績も必然的に下がってしまいます。調査書に記入される成績(内申点)は主に日々の授業態度や定期テストの結果を元につけられていますから、欠席日数が多いと内申点も低くなってしまい、やはり不利になってしまうのですね。

「不登校だと高校受験で不利」、と言われる理由は「欠席日数および不登校の影響を受けた成績が調査書を通じて高校に送られるから」に他なりません。

 

不登校生が狙うべきは「私立高校」!

不登校生が狙うべきは「私立高校」!

不登校生は、確かに「欠席が少ない他の受験生と同条件で受験を競う場合」は不利になります。しかし受験の仕方によっては高校進学も十分に可能!不登校生が高校進学を希望する場合は、不登校生でも受かりやすい入試方法を選択する戦略が大切です。

一般的に公立高校より私立高校の方が、不登校生は受かりやすいと言われています。その理由を解説していきましょう。

 

調査書を選考の資料としない高校もある

詳しくは後ほど「不登校生が公立高校を志望する際に押さえるべきポイント」で解説しますが、公立高校では合否選考の際に調査書をまったく考慮しない高校はありません。学力検査の結果と調査書のどちらを重視するかは高校ごとに異なりますが、合否選考において少なくとも2~3割は調査書の記載内容を考慮することになっています。

ところが私立高校の中には、「一般入試では調査書は選考に影響を与えない」と公表しているところもあります。当日の学力試験の結果だけで合格者が選抜されるということですね。この方式を採用している高校に出願すれば、中学時代に不登校だったとしても、試験当日に十分な結果を残せれば合格できる、ということになります。

学校ごとの選考方法は募集要項に書いてある、もしくは学校説明会で案内があることが多いので、高校ごとに確認してみてください。学校説明会では個別相談の場を設けるケースがあるので、直接質問してみるのも方法です。

ただし、「調査書を選考の資料としない」という方針を採用している私立高校は難関校であることがほとんど。受験までにハイレベルな学力を身につけておくことが必要です。

 

個別の事情に配慮してくれる高校もある

私立学校は公立高校よりも建学の精神や独自の校風が尊重されています。この方針は入試制度においても同様で、受験生個別の事情への配慮やその度合いも高校に委ねられています。その結果、中には「うちは不登校でも構いませんよ」と言ってくれる高校も出てくるというわけです。

個別の事情への配慮の有無や度合いについては、募集要項といった公的な資料には載っていないことがほとんどですが、ぜひ高校に問合せてみてください。

反対に高校によっては「出願可能な欠席日数の上限」が決められているケースもあるので、不登校のお子さんをお持ちの親御さんなら知っておいて損はない情報です。

 

通信制という選択肢もある

ここまでは「全日制私立高校」を受験する場合を想定して解説してきました。不登校のお子さんにとってはもう1つ、「通信制高校」という選択肢もあるということをご紹介しておきましょう。

私立の通信制高校は、現在全国に175校あります。ちなみに公立の通信制高校というものもあり、その数は全国で78校。(※いずれも令和元年5月時点)
通信制高校を考える際は必然的に私立高校という選択になることが多いということですね。

ちなみに「ネットの高校」として有名になった学校法人角川ドワンゴ学園が運営する「N高等学校」も私立通信制高校の1つです。

 

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「通信制高校」の概要から受験方法まで

「通信制高校」の概要から受験方法まで

ここからは通信制の高校について詳しく解説していきます。私立と公立という違いはありますが、全体的な概要は共通しています。

 

「通信制高校」とは通信教育で卒業資格を得る高校のこと

通信制高校とは通信教育、つまり学校に通わない形で教育を受け、所定単位を取得することで卒業資格を得られる高校のことです。

全日制高校は月曜から金曜まで毎日の通学が必要ですが、不登校生にとっては「学校に通う」こと自体が高いハードルとなってしまいますよね。その点、自宅にいながら高校教育を受けられる通信制高校は、不登校生にとってやさしい形態と言えるでしょう。

ただしまったく通わなくていいかというと、そうではありません。卒業資格を得るためには、高校ごとに定められている「出席日数」は最低限満たす必要があります。週あたりの通う日数を自分で決めるスタイルの学校や、年1回開催されるスクーリングの参加だけでOKなど学校によって異なりますので、詳しくは学校のホームページ等でご確認ください。

 

通信制高校の出願資格と受験方法

通信制高校は中学校、あるいはこれに準ずる学校を卒業した者、もしくは同等以上の学力がある人なら誰でも出願できます。ただし高校を卒業している人は入学できません。

実際に通う生徒層もじつにさまざまで、中学を卒業してすぐに入学する人もいれば、社会人になってからの学び直しに利用する人、仕事を引退し第二の人生の生きがいとして通う人もいます。

また「学びたい人を応援する」というスタンスで設立されているため、受験して不合格になるということはよほどでないかぎりありません。不登校でも同様で、調査書の記載内容が良くないからといって落ちることはありません。

入試は主に書類選考と面接で行われます。高校によっては簡単な筆記試験を行う場合もありますから、要項をよくチェックしましょう。

不登校生が公立高校を志望する際に押さえるべきポイント

不登校生が公立高校を志望する際に押さえるべきポイント

不登校生には私立高校がおすすめ、と言われてもさまざまな事情から公立高校を志望したい場合もありますよね。ここからは不登校生が公立全日制高校合格を狙う際に重要になるポイントを解説していきます。

 

公立高校には「学力検査結果重視の高校」と「調査書重視の高校」がある

公立高校の入学者選抜は、各都道府県の教育委員会が詳細にルールを定めています。ほとんどの教育委員会が選抜の資料として「学力検査の結果」と「調査書の内容」の重視比率を公表しているので、お住いの都道府県教育委員会発表の資料をご確認ください。

たとえば「学力検査の結果」と「調査書の内容」の比率が7:3の高校は、学力検査の結果の方を重視するということです。この場合、調査書はボーダーラインぎりぎりの数人の合否を決める際に資料とされることが多いようです。

一方、「学力検査の結果」と「調査書の内容」の比率が3:7なら、先ほどとは反対に合否選考の際に調査書の方が重視されるというわけです。

では学力検査の結果を重視する高校に出願すれば良いかというと、問題はそう簡単ではありません。学力検査の結果を重視する高校というのは、どの都道府県でも偏差値レベルの高い高校に多い傾向になっているからです。つまり学年上位の成績をとる生徒たちが出願する高校ばかりということです。

公立全日制で「学力検査結果重視」の高校を狙う場合は、学年上位の生徒たちと争える力を付ける必要があるということになります。

 

不登校の理由を高校に伝える「自己申告書」制度を利用しよう

不登校生が公立全日制高校へ出願する際は、「自己申告書」制度の利用がおすすめです。

「自己申告書」制度とは、欠席日数が多い生徒がその理由を高校に説明できる書類のことです。原則的にどの都道府県にもある制度なので、詳しくは学校の先生か教育委員会のホームページをご覧ください。

たとば千葉県は、県立高校入試の実施要項に以下のような記載があります。千葉県の県立高校入試の実施要項

画像引用元:https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/shidou/press/2020/koukounyuushi/documents/03r3ippan.pdf
※2ページ目部分

 

また別室受験が認められるケースもあります(画像は新潟県の例)。別室受験が認められるケース(新潟県の例)

画像引用元:https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/240200.pdf
※14ページ目部分

 

「自己申告書」制度や「特別な配慮が必要なケース」については、学校の先生も知らない、あるいは積極的に周知してくれない場合もあります。公立全日制高校を志願する場合は、ぜひ直接問い合わせてみてください。

 

公立希望なら「チャレンジスクール」や「定時制」という選択肢もある

公立高校には全日制以外にもさまざまな選択肢があるのをご存知ですか?ここからは公立高校の「チャレンジスクール」や「定時制」について解説していきます。

 

「チャレンジスクール」とは不登校生のための都立学校

「チャレンジスクール」とは、小中学校の不登校、高校退学などを理由に「学校に通えなかった生徒」をサポートする目的で設置されている公立高校のことです。

「チャレンジスクール」というのは東京都での名称ですが、同様の取り組みは各地に広がりつつあり、大阪府や神奈川県では「クリエイティブスクール」、埼玉県では「パレットスクール」という名称で設定されています。

原則的に定時制(午前部/昼間部/夜間部の三部制)を採用しており、学校ごとにさまざまな選択科目が設けられているのが特徴です。また入学選抜では学力検査や調査書は不要で、志願申告書と作文、面接で合否が判定されます。

履修した授業の単位を取得し、卒業に必要な単位が取得できると高校卒業資格が得られます。最長6年間まで在籍が可能となっています。

「不登校生や中途退学生」に特化している点が、この後解説する「定時制高校」との違いですね。まわりも自分と同じ境遇の仲間ばかりなので、心理的なハードル低く通える点がメリットです。

 

「定時制高校」とは全日制より時間の自由度が高い高校のこと

「チャレンジスクール」はまだ限られた都府県にしか存在しませんが、「定時制高校」はすべての都道府県に設置されています。

もともとは戦後の混乱期に、学校に行くより働かなければならなかった、事情があって高校に進学できかったという人を対象に、後期中等教育の機会を与えるという目的で設置されたのがはじまりです。その後社会の変化とともに、多様な学びのニーズに応える場へと変わりつつあります。

これまで主流だった「夜間部」、つまり夜に通学する部に加えて、近年は「午前の部」「午後の部」を開設、日中に通うことができる定時制も増えています。日中に通うなら全日制と同じではないかと思われるかもしれませんが、定時制は「学ぶ時間が選べること」「授業時間が短いこと」が全日制との違いです。

また「学校に足を運ぶ必要がある」という点が、自宅で勉強できる「通信制高校」との違いでもあります。
定時制で高校卒業資格を得るためには、「3年以上の在籍」および「74単位の修得」が条件となります。単位の取得が「学年制」か「単位制」は、学校によって異なるのでチェックしてみてください。多くは4年間で卒業できるようになっていますが、履修方法によって3年での卒業も可能です。

定時制高校は全日制と同様、通常は4月に新学期が始まります。入学にあたっては基本的学力試験や作文、面接などが課されますが、「学び直し」を応援するのが定時制です。難しいものは出題されませんし、不合格になることもほぼありませんので安心してチャレンジしてみてください。

 

まとめ

不登校の中学生が高校進学を希望した際の選択肢について解説してきました。全日制を希望するなら私立高校を、公立高校志望なら「自己申告書制度」の活用を。また全日制以外でも通信制やチャレンジスクール、定時制という進路もあるということが分かりましたね。

大切なのは「お子さん自身がどうしたいか」です。まずはお子さんの希望をよく聞くこと、そして行けそうなら学校見学に行ってイメージを広げてみるのも良いでしょう。お子さんにとって最適な進路が叶うことを願っています。

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