子供のゲーム依存とは?子の特徴や親がとるべき対応について
「子供のゲーム依存になったらどうすればいいの?」
「子供がゲーム依存にならないための予防策は?」
このような疑問を持つ親御さんもいるのではないでしょうか。
ゲーム機やスマホの普及により、ゲームを楽しむ子供が増えてきました。遊びとして楽しむ程度なら問題ありませんが、ゲーム時間が長すぎたり日常生活に支障が出るようでは困りますよね。
この記事では、子供のゲーム依存について徹底解説します。ゲーム依存の特徴を具体的に紹介するとともに、ゲーム依存の子供が抱えている問題についても説明。子供がゲーム依存にならないよう、親ができる対策も紹介します。
子供がゲーム依存ではないかと心配している親御さんは、ぜひ最後までご覧ください。
目次
子供のゲーム依存とは?
ゲーム依存とはゲームに没頭するあまり、日常生活で支障が出る状態のことをいいます。ゲーム障害とも呼ばれており、近年病気として分類されました。
1980年代に家庭用ゲーム機が普及してから、子供の遊びにゲームという選択肢が加わりました。最近はインターネットの普及により、離れた相手と画面上で遊ぶオンラインゲームを楽しむ子が増えています。
オンラインゲームは買い切り型のゲームと違い区切りがなく、ゲーム依存になりやすいと言われています。仲間と一緒にプレイするため連帯感が生まれやすいことや、ひとりだけ離脱するのは難しいことなどが理由です。
世界保健機関(WHO)では2019年に「ゲーム障害」を国際疾病分類に加えました。ゲーム障害の特徴は以下のとおりです。
- ゲームの時間や頻度などを自分でコントロールできない。
- 日常生活や毎日の活動よりもゲームを優先してしまう。
- 家庭や学校、職場などの日常生活、人間関係、健康状態に問題が起きてもゲームをやめられない。
ゲーム依存の子供が増えている?
新型コロナウイルスの大流行で、ゲーム依存の子供が増えたと考えられます。行動制限などが子供の心理状態に影響し、ゲーム依存を加速させた可能性があります。
コロナ禍とゲーム依存の関係は調査でも明らかです。長崎大学では、新型コロナウイルスによる臨時休校後、長崎県内の小・中・高校生に対し、ゲーム依存症の調査を行いました。その結果、7%の児童・生徒にゲーム依存症の可能性がみられたのです。
調査では、ゲーム依存傾向のある子は新型コロナウイルスに対しての不安が強い傾向であることもわかりました。コロナ禍による不安でゲームのプレイ時間や使う金額も増えており、新型コロナウイルスの流行が子供の心身に悪影響を与えたといえます。
参照:長崎大学「子どもの7%にゲーム依存症の可能性 コロナ禍における小・中・高校生の大規模疫学調査の結果を報告しました」
ゲーム依存の子供にみられる特徴
ゲーム依存になると子供の精神状態や生活態度にも変化がみられます。子供がゲーム依存かどうか気になる場合、子供の様子をよく観察してみるとよいでしょう。ここでは、ゲーム依存の子供に見られる特徴6つについて、くわしく解説します。
外遊びが減った
子供の外遊びが減りゲームばかりしている場合、ゲーム依存になっている可能性があります。ゲームに没頭しすぎるあまり、ほかの遊びに興味がなくなるためです。
ゲームの世界では、課金などで特別な武器や技を持つことができ、どんどん強くなれます。現実ではできないことも可能になり、満足感を得ることもできるでしょう。現実では無理なことでも、ゲームの世界では叶うのです。
充実したゲームに没頭すればするほど、現実世界がつまらなく感じるでしょう。リアルな友達とつながっての外遊びも、ゲームに比べると刺激がありません。ゲームをしている方が楽しく、外遊びの機会が減ってしまうのです。
家のルールを守らなくなった
ゲーム依存になると、家のルールを守らなくなる傾向があります。決められたゲーム時間を過ぎても遊んでいるような、ゲーム依存の可能性があるかもしれません。
家庭でゲーム機やスマホなどを与えるとき、使い方のルールを決めるケースが多いでしょう。多少はルールを守らないときがあっても、注意すれば使い方を改善する子も多いはずです。ところが、ゲーム依存になると自分の欲求をコントロールできません。ゲームばかりでは支障が出るとわかっていながらも、ゲームをやめられないのです。
いつでも眠そうにしている
子供がいつも眠そうにしているなら、深夜のゲームが原因かもしれません。ゲーム依存になると睡眠時間を削ってゲームをするようになるためです。
夜にゲーム機やスマホの画面を見ると、睡眠ホルモンのメラトニン分泌がうまく行われません。眠くならないため、深夜までゲームに没頭してしまいます。結果、寝る時間がかなりずれてしまい、朝も起きられなくなるのです。
学校にいくため無理やり起こしても、睡眠不足で脳がうまく働きません。学校に行ってもあくびが出るなど、学習に集中できない状態となるのです。
成績が下がっている
ゲームをする子で成績が下がっているなら、ゲーム依存症の可能性があります。調査でもゲーム時間の長さと成績には関係があるとわかっています。
小中学生を対象に行っている全国学力・学習状況調査から、ゲーム時間と成績の関連がわかります。小学生の場合、平日に4時間以上ゲームをする児童は全くしない児童に比べ、国語・算数・理科とも20%以上正答率が低いとわかりました。
ゲームをよくする子の成績が下がってきたら、ゲーム依存になっている可能性があると考えられるでしょう。
参照:参照:国立教育政策研究所「令和4年度 全国学力・学習状況調査 調査結果資料 【全国版/小学校】」
ゲームのことばかり考えている
ゲーム依存の子供は、ゲームから頭が離れません。常にゲームのことを考えていて、生活に支障が出ているならゲーム依存の可能性があります。
ゲーム依存の子供はゲームが最優先となり、一日中ゲームのことを考えがちです。学校には登校していても、授業を聞かずゲーム攻略のことばかり考えていることも。家庭でも親の話を聞いていないなど、ゲーム以外には興味を示しません。
イライラしている
ゲームをしたくてイライラしているなら、ゲーム依存になっているかもしれません。ゲームにより脳の異常反応が起き、衝動的な行動が見られるケースもあります。
心身が健康な状態であれば、イライラしても理性でセーブできます。しかし、ゲーム依存になると脳の働きが低下し、気持ちがコントロールできなくなります。ゲームをしたい欲求が抑えられず、物に当たったり家族に暴力をふるったりする可能性もあるのです。
ゲーム依存の子供が抱えている問題
ゲーム依存になってしまう子供の中には、もともと問題を抱えているケースもあります。ゲーム依存の予防や改善のため、子供の状態や環境を確認しましょう。ここでは、ゲーム依存の子供が抱えている問題について、くわしく解説します。
コミュニケーションが苦手
コミュニケーションが苦手なため、ゲーム依存になる子供もいます。現実ではうまくいかなくても、ゲームの世界では自由に自分を表現できるためです。
オンラインゲームでは、似たような趣味の人が集まりやすく人間関係が作りやすいと考えられています。学校など限られた空間では気の合う友達がいなくても、同じゲームをプレイしている人とは仲間意識を作りやすいのです。
ゲームの世界で仲間に認められる経験をすると、現実では体験できない充実した気持ちになります。人間関係がますます面倒になり、ゲーム依存が強くなってしまう場合も。人間関係をゲームに求めた結果、現実の面倒な人間関係には興味を失うこともあるのです。
部屋から出たくない
不登校など部屋から出たくない子供が、ゲームに依存してしまうケースも見られます。ゲームは外出の必要なく遊べるため、家にいる時間が長いとゲーム依存になる可能性も高まります。
長崎大学の調査では、ゲーム依存傾向のある子供の背景に不登校や情緒・行動の問題などがあるとわかりました。不登校などで家にいると暇になり、手軽に遊べるゲームに依存しやすい環境になると推測されます。
現実世界に問題やトラブルがある
子供のゲーム依存の背景には、現実世界での問題やトラブルが関係しているかもしれません。ストレスを解消するためゲームにはまり、依存状態となってしまうと考えられます。
人間関係がうまくいかない、学校の成績が伸び悩んでいるなど、子供の悩みは人それぞれ違います。スポーツや趣味などでうまく発散できるとよいのですが、問題を抱えた子供は引きこもりがちになる場合もあるでしょう。
トラブルを解決するのではなく、ゲームから逃げることで解消しようとした結果、ゲーム依存になるかもしれないのです。
孤独や寂しさを抱えている
孤独や寂しさを抱えている子供も、ゲーム依存になりやすいといえます。ゲームでの成功経験が孤独な気持ちを埋めてくれるためです。
仲間と協力プレイの多いオンラインゲームでは、現実世界よりも手軽に人間関係を築くことができます。チームに貢献し仲間から認められるなど、自分が高く評価されていると感じる機会も多いでしょう。
ゲームの世界で仲間から認められれば、孤独や寂しさも消えます。現実では満たされない気持ちを穴埋めするため、ゲーム依存になる可能性もあるのです。
子供がゲーム依存にならないように親ができること
子供のゲーム依存を予防するには、親からの働きかけが大切です。子供が自分をコントロールできるよう、ゲームとの付き合い方を考えていきましょう。ここでは、子供がゲーム依存にならないよう、親ができることについて紹介します。
親子でゲームのルールを作る
子供のゲーム依存対策にあたって、親子でゲームのルールを作ることが大切です。ルールの中で遊べば、長時間プレイを防ぎ依存が高まる可能性を減らせるでしょう。
ルールを作るポイントは、子供が納得できる内容にすることです。親からの押し付けでは子供が納得せず、ルールを守らない恐れがあります。ゲームをしていい時間帯や場所など、親子で話し合いながら妥協点を見つけていきましょう。
ルールを守れなかったらどうするかも、子供に考えさせるのがおすすめです。自分で決めたルールなので守ろうと思えるでしょう。
親子の会話を増やす
親子の会話を増やすのも、ゲーム依存対策に効果的です。子供の不安や悩みに気づきやすくなり、ストレスからのゲーム依存を防ぐことができるでしょう。
ゲーム依存のきっかけには、人間関係のトラブルや不安などが関係する場合もあります。親が早めに気づいて問題を解決できれば、ゲーム依存を予防できる可能性があります。普段から親子の会話を意識して増やすとよいでしょう。親は子供の変化に気づきやすくなり、子供も悩みを打ち明けやすくなります。
ゲーム以外の楽しみを教える
ゲームへの依存度を少なくするには、ゲーム以外の楽しみを教えるのもよいでしょう。楽しいことがたくさんあると気づくことで、ゲームだけに依存するのを予防できます。
ゲームは娯楽のひとつであり、ほかの楽しみを持てれば興味が分散されます。興味のあることや趣味を充実させれば、ゲームも適度に楽しむようコントロールできるでしょう。
子供の問題解決のサポートをする
子供が抱える問題から、ゲーム依存につながる恐れがあります。親は子供の問題解決に向け、サポートするとよいでしょう。
子供が学校で抱えやすい問題は、友人関係のトラブルや学業不振などがあります。入学や進級時に環境が合わず学校を休みがちになるケースも。子供が誰にも相談できず悩んでいるなら親の出番です。学校に相談して解決できそうな問題なら、親から担任に直接話してもよいでしょう。
必要があれば治療をする
すでにゲーム依存の疑いがある場合は、専門医の治療を受ける方法もあります。病院では、必要に応じてカウンセリングや認知行動療法などを組み合わせながら、依存症からの回復を目指します。
久里浜医療センターでは、ゲーム依存かどうかのスクリーニングテストを公開しています。ゲーム依存度のチェックができるので試してみてください。
参照:久里浜医療センター「ゲームズテスト」
親と子が向き合って問題解決を
ゲーム依存にならないためには、ゲームとの付き合い方を親子で話し合うことが大切です。子供の成長に合わせ、遊び方を考えるとよいでしょう。
ゲームをすること自体は問題ありません。ゲームは遊びの一種であり、プレイ時間や頻度を子供自身がコントロールできていれば、よい気分転換となります。ゲームで遊ぶために、やるべきことをやらなくなったり、生活リズムが崩れたりすることが問題なのです。
ゲーム依存を防ぐためには、きっかけとなる悩みや問題の解決が重要です。問題から目を背けてゲームに逃げると、簡単に依存状態となってしまうでしょう。ゲーム依存の背景に理由や原因がある場合、悩みの小さいうちに解決策を見つけていくと予防できる可能性があります。
まとめ
ゲーム依存は「ゲーム障害」として、世界保健機関でも疾病として認められています。ゲームの時間や頻度をコントロールできず、日常生活よりもゲームを優先します。日常生活や健康状態などで問題が起きても、ゲームをやめられないのが特徴です。
ゲーム依存になると、家のルールをまもらなくなる、いつも眠そうにしている、成績が下降するなどの特徴があらわれます。ゲーム以外の時間は常にイライラして、家族に八つ当たりしたり、物を壊してしまうなどの行動がみられる場合も。
ゲーム依存になる子供は、精神面や行動面の問題を抱えているという調査結果もあります。問題が大きくなる前に解決するとゲーム依存の予防になるでしょう。親子のコミュニケーションを密にし、子供の変化を見逃さないようにしましょう。