登校拒否の原因とは?不登校との違いや親がするべき対応について
「登校拒否と不登校ってどう違うの?」
「登校拒否の子にできる対応は?」
このような疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。
この記事では、登校拒否とはどのような状態かを徹底解説します。不登校との違いや登校拒否の原因についても具体的に説明。保護者がするべき対応についてもわかりやすく解説します。
学校に行けない子の学習サポートができるオンライン家庭教師の紹介もします。登校拒否について知りたい人や登校拒否の子への対応でお悩みの人は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
登校拒否とは
登校拒否とは、健康面で問題がないのに学校に行きたくないという理由で登校しない状態を指します。1980年代から1990年代にかけ、学校を長く休む子どもを表す言葉として使われていました。
学校に行けない子どもを指す言葉は時代により変化しています。第二次世界大戦後、教育学者の間では「怠学」「学校恐怖症」などと呼ばれていた時期もありました。学校に行けないのはなまけている、勉強や人間関係に不安や恐怖心を抱いているなどと考えられていたのでしょう。
昭和41年度に国が行った学校基本調査では、長期欠席の理由に「学校ぎらい」という項目も見られます。経済的理由や病気などでは説明できない長期欠席をまとめるための言葉だったのでしょう。
登校拒否といっても、非行など学校に対し反抗的な態度を取っている子どもばかりではありません。言葉のイメージが実態に合わないという意見もあり「不登校」が使われるようになったと考えられます。
参照:e-Stat「学校基本調査 / 昭和42年度 初等中等教育機関 学校調査 小学校」
登校拒否と不登校との違い
登校拒否と不登校は、学校を休んでいる状態は同じでも心や体の状態に違いがあります。
登校拒否は、学校に行こうと思えば行けるのになまけている状態を指します。例えば、健康上の問題はないのに、学校に行きたくない気持ちが強く長期欠席している場合などです。非行などで学校に行かない状態も登校拒否に入ります。
不登校は、学校に行きたい気持ちはあるけれど学校に行けない状態です。学校の準備をしてはみるものの、足が前に進まないような場合は不登校といえるでしょう。何らかの原因で精神的なダメージをうけ、腹痛や頭痛を訴える場合も考えられます。
登校拒否の原因とは
登校拒否と不登校は違いますが、原因には大きな違いがないと考えられています。ここでは、登校拒否の原因について3つにわけ解説します。
対人関係
登校拒否になる原因には、対人関係の問題が考えられます。学校は集団生活のため、人間関係のトラブルや悩みはつきものだからです。
登校拒否につながる対人関係の悩みは友人関係のトラブルが多い傾向です。文部科学省の調査では、不登校の主な要因として「いじめを除く友人関係をめぐる問題」と答えた小中学生は9.7%でした。
いじめと答えた生徒は0.2%と低い点も注目です。いじめのようにはっきりした原因がなくても、友人関係のトラブルから長期の休みにつながると考えられます。
担任や部活の顧問との関係悪化も、登校拒否のきっかけになります。文部科学省の調査でも「教職員との関係をめぐる問題」が不登校の主な要因と答えた小中学生が1.0%いました。義務教育では教師と関わる機会が多く、関係悪化が登校拒否につながる恐れもあるのです。
参照:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(令和3年度版)」
学業不振
学業不振も登校拒否の原因です。学校は勉強する場なので、勉強についていけない状態では登校するのもつらくなるのでしょう。
文部科学省の調査では「学業の不振」を不登校の主な要因と答えた小中学生は5.2%でした。小学生は3.2%に対し、中学生では6.2%と2倍近くに上がっています。中学校になると勉強がより専門的になり、難しく感じる子どもが増えると推測されます。
学業不振と関係して、進路について悩み不登校になる生徒も。文部科学省の調査でも「進路に係る不安」が不登校の主な要因と答えた小中学生は0.6%でした。中学生になると高校受験や将来の進路について考えるようになるため、悩みを抱えやすいと考えられます。
参照:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(令和3年度版)」
なんとなく
登校拒否には、はっきりした理由がない場合も多く見られます。文部科学省の調査でも、不登校の主な要因が「無気力・不安」と答えた小中学生が49.7%と一番多い結果でした。
登校拒否や不登校になる要因はひとつとは限りません。学校や家庭、勉強や子ども自身のことなど、さまざまな要因が複雑にからみあっている場合もあります。はっきりとした原因はわからなくても、登校したくないと思い長期欠席になることも少なくないのです。
参照:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(令和3年度版)」
保護者がするべき登校拒否への対応
子どもが登校拒否になった場合、進路を外れてしまったように感じ不安におもう親御さんも多いでしょう。学校に行きたくない子どもに対し、適切な対応をすることで状況が改善する可能性もあります。ここでは、保護者がするべき登校拒否への対応についてくわしく解説します。
学校へ行くことを強いない
学校に行きたくない子に対し、登校を強要しないようにしましょう。行きたくない理由に対応しないまま行かせると、親子関係も悪化する恐れがあります。
登校拒否は健康面に問題はないですが、何らかの原因で学校に行きたくない気持ちを持っている状態です。見た目が元気なので「学校に行けば何とかなる」と考える人もいるでしょう。原因を聞きもせず登校させようとすると、親に対しても拒否反応を示す可能性があります。
学校に行けるようになるためにも、休むことが必要な時期かもしれません。登校拒否の子は無理に学校に行かせず、少し見守ってみましょう。
話しやすい親でいる
登校拒否の子にとって、話しやすい親でいるのも大切です。話しやすい関係を作っておくことで、学校に行きたくない理由を話してくれるかもしれません。原因がわかれば解決方法につながることもあるため、親が率先して話しやすい環境を作るようにしましょう。
家の中に居場所を確保する
登校拒否の子が過ごしやすいよう、家の中に居場所を確保してあげましょう。家庭でリラックスして過ごすことで、学校に行く気力が養われます。
学校に行きたくない理由は人それぞれですが、何らかのストレスを抱えた状態です。家にゆっくり安らげるスペースがあれば、ストレス解消になり前向きな気持ちを持てるかもしれません。
子どもの居場所には好きなものを置くのがおすすめです。肌触りのよいブランケットなどを置いたり、やわらかいクッションを置いたりすると気持ちが安らぎます。
友人と連絡を取るようにすすめる
友達と連絡を取るようにすすめるのも、保護者ができるおすすめの対応です。仲のよい友達から刺激を受け、登校のきっかけができるかもしれません。
ひとりでいる時間が長いと、ネガティブな考えを抱きがちです。家族以外の友達と触れ合うことで、視点が変わり気分転換になります。親に言いにくい悩みでも友達なら相談できる場合もあるでしょう。
カウンセリングを受けられるようにする
登校拒否の子をカウンセリングにつなげるのも効果的です。気持ちを第三者に話すことで自分の気持ちに気づき、今後について考えることができるようになります。
身近でカウンセリングを受けるなら、スクールカウンセラーの利用がおすすめです。子どもや親と面談を通して、問題解決に向けたアドバイスをもらえます。スクールカウンセラーが配置されている学校なら、事前に予約すればスムーズです。
学校以外の場に行くようにする
暇を持て余している登校拒否の子には、学校以外の場に行くよう提案してみましょう。学校以外での活動はよい刺激となり、視野が広がるきっかけとなります。
子どもの生活では学校が大部分を占めるため、学校でうまくいかないことがあると人生終わりのような感覚におちいることも。気持ちを切り替えるために、子どもの視野を広げてあげるとよいでしょう。
アクティブにすごすなら趣味の活動への参加や、興味のある習い事、ボランティア活動などがおすすめです。不登校の子が通うフリースクールや教育支援センターも、同じ悩みを持つ子と知り合いになれます。
家庭で抱え込まない
登校拒否の問題を家庭だけで抱え込まないようにしましょう。子どもが学校に行かないのを家庭の問題ととらえてしまうと、視野が狭くなり行き詰ってしまいます。親子で考えても結論が出ず、親子関係の悪化にもつながりかねません。
スクールカウンセラーや自治体の相談窓口などを利用し、第三者からのアドバイスをもらうと気持ちが楽になる場合もあります。相談できる場所はいろいろあるので、利用しやすい所を活用し悩みを抱えこまないようにしましょう。
勉強が遅れないようにする
勉強が遅れないようにするのも、登校拒否の子に必要なフォローです。学校に行かなくても勉強は大切なので、家庭学習の環境を整えましょう。
家庭でできる学習方法として、ベネッセやすららなどの通信教育があります。手軽な学習法ですが自主学習のみで対応するのは難しく、親のサポートが必要な場合も。生活面のサポートだけでも大変なのに、勉強まで見るのは大変ですよね。
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登校拒否の対応は長期戦
登校拒否の対応は長くかかるものだと思っておきましょう。学校に行かせるのではなく、学校に行きたいという気持ちにさせるよう、環境を整えていきます。
親としては、学校に行こうとしない子どもにイライラすることもあるでしょう。親の気持ちは子どもに伝わるため、焦りは禁物です。学校に行けるようになるには時間がかかるものと考え、根気強く優しく接するよう心がけましょう。
学校を休んでいる間に不登校や登校拒否の原因がわかる可能性もあります。解決できそうな問題なら学校に相談し、登校できる環境を整えていきましょう。登校拒否の原因を取り除いたあと、友達などの助けを借り、少しずつ学校生活への復帰を促すとよいでしょう。
まとめ
登校拒否は健康上の問題はないのに学校に行きたくない状態で、不登校は学校に行きたいのに行けない状態です。登校拒否と不登校の状態は違いますが、どちらも対人関係や学業不振などが主な原因といわれています。
登校拒否になった子を無理やり学校に行かせようとしてはいけません。親子で話しやすい関係を保てるよう工夫し、原因は何かを探ります。カウンセリングや学校以外の活動場所をすすめるのも効果的です。
登校拒否にははっきりした原因がわからない場合もあり、長期戦となる可能性があります。復学に備え、家庭でも勉強する習慣作りが大切です。オンライン家庭教師ピースの不登校サポートなどを利用し、学習面でも自信を持てるようにしてあげましょう。