ゲームと勉強は両立できる?メリハリをつける方法や勉強に役立つゲームについて
「ゲーム好きな子でも勉強と両立できるの?」
「ゲームと勉強を両立させるための注意点は?」
このような疑問を持つ親御さんもいるのではないでしょうか。
ゲーム機やスマートフォンなどで手軽に楽しめるゲームですが、ゲームばかりして勉強がおろそかになるのは困りますね。ゲーム好きなお子さんに、どうやって勉強させるか悩む人もいるでしょう。
この記事では、ゲームと勉強の両立ができるかについて徹底研究します。ゲームのメリット・デメリットを解説するとともに、ゲームと勉強を両立させる方法も伝授。勉強に役立つゲームも紹介しますので、ゲーム好きの子に悩んでいる人はぜひ最後までお読みください。
目次
ゲームと勉強の両立はできるのか
結論から言うと、ゲームと勉強は両立できます。切り替えがうまくできれば、ゲームをしていても成績を保つことができるためです。
国立教育政策研究所の調査から、ゲーム時間と成績の関連性がわかります。中学生のゲーム時間と成績を以下の表にまとめました。
平日のゲーム時間 | 生徒数の割合 | 国語の平均正答率 | 数学の平均正答率 | 理科の平均正答率 |
---|---|---|---|---|
4時間以上 | 16.1% | 59.5% | 39.9% | 41.7% |
3時間以上、4時間より少ない | 13.3% | 64.3% | 45.4% | 44.9% |
2時間以上、3時間より少ない | 20.4% | 67.7% | 50.3% | 48.2% |
1時間以上、2時間より少ない | 21.1% | 71.7% | 56.0% | 52.3% |
1時間より少ない | 16.9% | 76.0% | 60.1% | 55.5% |
全くしない | 12.1% | 77.4% | 60.1% | 55.8% |
参照:国立教育政策研究所「令和4年度 全国学力・学習状況調査 調査結果資料 【全国版/中学校】」
数学の成績では、ゲームを全くしない層と平日1時間未満ゲームをする層の平均正答率は同じでした。理科も、ゲーム時間が1時間未満なら、成績の差は少ない結果に。成績が進路に響く中学生では、メリハリをつければゲームと勉強の両立ができそうです。
ただし、小学生の場合は短時間のゲームでも成績がどんどん落ちる傾向がみられました。自分を律して切り替えのできる年齢ではないためと推測されます。
1980年代に家庭用ゲーム機が普及し、子どものころゲームで遊んだ親世代も多いでしょう。当時、親からゲームについて注意された人もいるのではないでしょうか。このように、ゲームと勉強の両立は、親を悩ませる永遠のテーマなのです。
ゲームをすることで生じる問題
ゲームと勉強の両立ができても、健康面などの問題が起こる可能性も気になりますよね。ここでは、ゲームをすることで生じる問題について8つ紹介します。
眼精疲労
ゲームのやりすぎにより、眼精疲労になる可能性が高まります。特に携帯ゲーム機やスマホゲームは近くで画面を見るため起こりやすいといわれています。
物を見るとき、焦点を合わせようとして目の筋肉が緊張状態になります。スマホなどの画面を長時間見続けると、目の筋肉が収縮して戻りにくくなってしまいます。遠くを見ても焦点が合わずぼやけた状態になるなど、目の疲れを感じやすくなるのです。
眼精疲労のほかにも、視力低下やドライアイを引き起こす可能性もあります。ゲームによる目の酷使で勉強にも影響が出るかもしれません。
ストレートネック
長時間のゲームにより、ストレートネックになる可能性があります。体調不良を引き起こし、生活に影響が出る恐れもあります。
首の骨は頭の重さを支えるため、少しカーブした形になっています。携帯ゲーム機やスマホを見るため下を向くと、首の骨が真っすぐな状態に。頭の重さが直接首にかかるため、血行不良や筋肉のコリを引き起こします。
ストレートネックは首の痛みや肩こり、頭痛などの原因となります。ひどくなるとめまいや吐き気を感じる可能性もある怖い病気なのです。
腱鞘炎
腱鞘炎もゲームで起こる可能性のある症状です。ゲーム機やスマホの操作により、指や手首を酷使するためです。
腱鞘炎はボタンを連打するゲームで起こりやすいといわれています。スマホゲームも親指で操作するので腱鞘炎になる恐れがあるためです。親指側の手首が痛んだり、親指が開きにくくなったりします。
肩こり
ゲームのやりすぎで、子どもでも肩こりを感じる場合があります。悪い姿勢や長時間の同じ姿勢が原因で、首や肩の筋肉が緊張し肩こりを引き起こします。
姿勢だけでなく、ゲームでの興奮も肩こりの原因となります。ゲームで興奮し肩に力が入り、肩こりを引き起こす可能性があるためです。
頭痛
頭痛も長時間のゲームで感じやすい症状のひとつです。ゲームによる眼精疲労や肩こりなどから、後頭部に痛みを感じる緊張性頭痛が引き起こされる可能性があります。頭痛から心や体のストレスを感じるようになり、さらにゲームに逃げる悪循環が起こるかもしれません。
腰痛
ゲーム中の姿勢により、腰痛を感じる可能性があります。ゲームをしているときは姿勢が崩れがちです。悪い姿勢のままゲームを続けると、腰に負担がかかり腰痛を感じる可能性があります。
睡眠不足
ゲームのしすぎは睡眠不足を引き起こします。睡眠時間を削ってプレイしたり、夜間のゲームで自律神経が乱れたりすることが原因です。
明るい画面を寝る前に見ると、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンが出にくくなるといわれています。結果、寝る時間が遅くなり朝も起きられなくなる可能性が。睡眠不足では授業も身に入らず、成績の低下につながる恐れがあるのです。
学業不振
長時間のゲームは学業不振にもつながります。国立教育政策研究所が小中学生に行った学力調査で、成績とゲーム時間の関係は明らかです。
小学生では、ゲームを全くしない子の平均正答率は国語・算数・理科ともに70%以上ですが、ゲームを4時間以上する子の場合50%台に低下しています。中学生での数学を見ると、ゲームを全くしない子は60.1%ですが、4時間以上ゲームをする子は39.9%と大幅に低下。調査結果からも、長時間のゲームは成績に悪影響があるといえるでしょう。
参照:国立教育政策研究所「令和4年度 全国学力・学習状況調査 調査結果資料【全国版/小学校】」
参照:国立教育政策研究所「令和4年度 全国学力・学習状況調査 調査結果資料 【全国版/中学校】」
ゲームにはよい側面もある
健康や成績への影響が気になるゲームですが、良い側面もあります。ここではゲームのメリットについて2つ紹介します。
息抜きになる
適度なゲーム時間なら息抜きになります。子どもに勉強させるためゲーム禁止にすると、ストレスがたまる一方です。ゲーム好きな子ならなおさら反発するでしょう。
子どもがゲームを息抜きと割り切れるなら、勉強の息抜き活用するのも手段です。短時間で結果が出るゲームだけにする、遊ぶゲームは1種類に絞るなど、ルールを決めるのがおすすめです。
多くのことが学べる
ゲームには、遊びの中で多くのことが学べるというメリットもあります。実際には体験できないことでも、ゲーム上では体験できるためです。
例えば歴史ゲームなら、登場人物を操作しながら、歴史上の人物がどのような思考パターンだったのかを知ることができます。時代を超えた体験ができるのはゲームならではといえるでしょう。
ほかにも、仲間と協力プレイするゲームなら協調性が、何かを作り上げていくゲームなら創造性が養えます。インターネットを介して遊ぶゲームならネットリテラシーを学ぶきっかけになるでしょう。
ゲームと勉強を両立させる方法とは
ゲームと勉強を両立させるなら、ルール作りが大切です。ゲームが勉強の妨げにならないよう、子どもと話し合って決まりを作るとよいでしょう。ここでは、ゲームと勉強を両立させる方法を5つ紹介します。
ゲームの時間を決める
勉強との両立を考えるなら、ゲームの時間を決めてしまうとよいでしょう。ゲームをする時間帯や長さを決めると、勉強や睡眠への影響が少ないでしょう。
ゲームの時間を決めるなら、宿題などやるべきことを終わらせてから遊ぶルールを作るのがおすすめです。ゲーム時間を決めたら、もし守れなかった場合はどうするかも子どもに決めさせるとよいでしょう。
兄弟がいる場合などは、家族の協力も大切です。勉強中に兄弟がゲームをしていたら集中できませんよね。だれかが勉強中はゲームをしないなど、家族にも話して協力してもらうのがベターです。
ゲームをする場所を決める
ゲームと勉強を両立するには、ゲームする場所を決めるのもおすすめです。小学生やゲームにのめりこんでしまうタイプの子に有効です。
ゲームは楽しいので、大人でも長時間プレイしてしまうことがあるでしょう。自分を律する力の弱い子どもならなおさらです。ひとりの空間でゲームをしていると、お風呂や寝る時間を忘れて熱中してしまう可能性があります。
例えば、ゲームはリビングだけなど、親の目が届く場所に限定するのが効果的です。子どもがゲームしすぎなら「ゲームのルールは何だっけ?」と声がけしてみてください。子どもが決めたルールを思い出し、きりのいい所でやめるきっかけとなるでしょう。
スマホなら使用制限をかける
スマホゲームが好きな子なら、利用制限をかける方法もあります。スマホの機能やアプリを使えば、使用時間を制限できるので使ってみましょう。
Androidスマホなら、Digital Wellbeing機能を使ってアプリの利用時間を設定できます。特定のアプリのみ時間制限できるので、長時間遊んでしまうゲームだけ制限できるのがメリットです。iPhoneの場合、スクリーンタイム機能でゲームアプリの制限時間を決められます。
ほかには、フィルタリングソフトを利用して子どものスマホに利用制限をかける方法もあります。フィルタリングソフトは購入のほか、携帯会社が無料提供しているアプリを利用できる場合もあるので確認してください。
参照:Android「Digital WellbeingでAndroidスマートフォンの使用パターンを管理する」
参照:Apple「iPhone、iPad、iPod touch でスクリーンタイムを使う」
勉強中はスマホやゲーム機を遠くに置く
勉強中はスマホやゲーム機を遠くに置くのも効果的な方法です。ゲームから物理的に離れるので、勉強に集中しやすくなります。
別の部屋に置いても、使える状態なら気になってしまう子もいるでしょう。親にスマホやゲーム機を預けたり、タイムロッキングコンテナに入れて勉強中は出せなくしたりする方法もあります。
自習室を利用する
図書館や塾などの自習室利用も、ゲームと勉強の両立に役立ちます。ゲームができない環境なので、集中して勉強できるためです。
家では自由なので、勉強に集中しようと思ってもゲームの誘惑に負けてしまう場合があります。図書館や塾ならスマホやゲームは使用禁止で、周りも一生懸命勉強しています。ゲームができない環境に身をおき、集中的に勉強するとはかどるでしょう。
勉強に役立つゲームのおすすめ6選
ゲームの中には、学習に役立つ知識を得られるものもあります。楽しみながら勉強できるので上手に活用しましょう。ここでは、勉強に役立つおすすめゲームを5つ紹介します。
マインクラフト
引用:Microsoft「MINECRAFT」
マインクラフトはブロックを使って世界を自由に作っていくゲームです。遊びの決まりがなく、試行錯誤しながらゲームをするので想像力が養えます。アイテムの作り方などの説明がないので、インターネットで調べるなど自分で情報を集める力もつきます。プログラミング教育にもよく活用されているゲームです。
桃太郎電鉄
引用:コナミ「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~」
桃太郎電鉄はすごろく形式で日本全国を回るゲームです。遊びながら地名や名産品などを覚えられるので、自然と日本の地理に強くなれます。家族や友達と楽しく遊びながら、地理に強くなれますよ。
信長の野望
引用:コーエーテクモゲームス「信長の野望新生」
日本の歴史を学べるゲームなら、信長の野望がおすすめです。人気の高い織田信長を主とした戦国武将が多数登場するのが特徴。武将たちの関係性を考えながらゲームを進めるうちに、戦国時代にくわしくなれます。
べティア
引用:株式会社でらゲー「ベティア」
ペディアは、ニンテンドースイッチで遊べる体験型英語学習ゲームです。キャラクターは英語ネイティブスピーカーの声優が担当しており、リスニング力のアップが期待できます。発音判定もできるので、スピーキングの練習も可能です。
scratch
引用:scratch財団「scratch」
scratchはプログラミングでアニメやゲームを作ることができる無料サイトです。自分の作った作品を公開したり、ほかの作品を見たりして楽しめます。プログラミングを通して、問題解決能力や思考力、協調性などを養えるのが魅力です。
ゲームと勉強は両立できる!メリハリをつけてどちらも楽しもう
ゲームはメリハリをつけて遊ぶことができれば、勉強と両立できます。日常生活や勉強を中心に考え、息抜き程度にゲームを楽しむようにすると勉強への影響は少ないでしょう。
勉強とゲームを両立させるなら、ルール作りが大切です。ゲームは楽しいため、自分をコントロールするのが難しい低年齢の子にはルールが必須です。忙しい平日は避けて休日にゲームを楽しむようにするなど、時間やルールを決めれば勉強への影響は少ないでしょう。
ゲームのルールは子どもと話し合って決めるとスムーズです。親からのおしつけおしつけでは子どもも納得しません。話し合いで決めたルールなら子どもも無理なく取り組めるでしょう。
まとめ
成績とゲーム時間の調査関係から、やりすぎなければゲームと勉強は両立できるといえるでしょう。
ゲームと勉強を両立させるなら、ルール作りが重要です。ゲームの時間帯や長さなどを話し合い、子どもが納得できる形で決めましょう。勉強に影響しないようゲームの利用制限をしたり、自習室を利用して学習したりするなどすると効果的です。
ゲームは息抜きになったり、新たな学びにつながったりすることもあります。勉強や日常生活に影響しないよう、ゲームとの上手な付き合い方を親子で考えてみましょう。