【大学入試】現代文には正しい勉強法がある!今日からできる論理的な読解力養成法
国語、とくに現代文は「勉強しにくい」「勉強法がわからない」という悩みが多い科目です。なんとなく本文を読み、なんとなく問題を解き、なんとなく答え合わせはしているけれど、点数が伸びないし成績の上げ方も分からない……。そんな受験生、実はたくさんいます。
でももう大丈夫!現代文には、ちゃんと「読めるようになる・解けるようになる」勉強法があるんですよ!
今回は現代文が苦手な人に向けて、解けない原因から得点できるようになる勉強法まで一気にお伝えします。最後まで読めば「得意科目は現代文です!」と言えるようになります!さあ、始めましょう!
目次
現代文《評論文》が解けない原因
現代文が解けないという人は、以下の3つの原因どれかに当てはまっていることが多いと知っていますか。自分の日頃の読み方と向き合いながら、読み進めてみてください。
※ 高校で学ぶ「現代文」には評論文と小説の2ジャンルがありますが、ここでは評論文に限って解説を進めます。
1.現代文=センスだと思っている
「現代文はセンスでしょ」「現代文は感覚で読むもの」という人がいますが、ナンセンス。現代文はセンスでも感覚でもありません。
確かに現代文は覚えることも少なく、数学や理科のように決まった解法もなく、「国語力」という曖昧な印象がある力で解くものだと思うかもしれません。そう考えると「センス」と言いたくなりますね。
しかし受験現代文は論理的に書かれた文章を使って、受験生の「論理的思考力」を測るものなのです。当然、設問も論理的思考力を測るように作られています。
「センス」はそれこそ数値化(点数化)できないもの。大学入試で測るのはそんな曖昧なものではなく、根拠をきちんと伴った論理の力!「現代文≠センス」だとおさえてください。
2.傍線部の前後だけ読んで解いている
現代文が読めない、解けないと悩む受験生の中には、「問題となっている傍線部の直前を読めば答えが書いてある」というテクニックを鵜呑みにし、本文全体を読むことなくに傍線部前後だけを読む、という人もいます。
これでは読める力も、解ける力もつきません。
現代文で出される題材というのは、長い論文や書籍の一部の抜粋です。抜粋ではありますが、受験生が読解したときに論理の展開がわかるように、ストーリーや主張の「まとまり」がある部分を意図して抜き出されています。
もちろん、試験本番で時間がない時の最終手段として傍線部の前後を読む、というアプローチ法は否定しません。でもここであなたに伝えたいのは、現代文の力を付ける勉強法です。受験本番の準備の段階から傍線部だけ、つまり論理のまとまりを見ずに力は付くでしょうか。
現代文でやってはいけないのは、「木を見て森を見ず」になることですよ(意味が曖昧だったら、調べてみてくださいね)。
3.現代文の勉強の仕方が分かっていない
現代文ができない!という高校生の中には「現代文の勉強の仕方がわかっていない」人も多くいます。
「現代文って、勉強仕方があるの?」――あるんですよ、でも多くの高校生は、小学校から大学受験までの間に、まともに習ったことはないかもしれません。学校の国語の授業は、「論理を教える」よりも「本文を鑑賞する」指導に重点が置かれているからです。
現代文が読めるようになる・解けるようになる勉強法は、この次の項目で詳しくまとめました。騙されたと思って、2か月やってみてください。きっと、あなたの「現代文に対する姿勢」が変わります。
それでは、現代文の勉強法を見ていきましょう。
現代文が「読めるようになる」勉強法
現代文の勉強法は「読めるようになる」、つまり読解力を高めるための勉強のやり方と、「解けるようになる」という解答力を高める勉強法と2段階に分かれます。
まずは読解力を高める勉強法から紹介しましょう。
現代文頻出キーワードを覚える
まずは現代文で必須の重要語句を覚えて欲しいと思います。
英単語を覚えるときは、英単語帳を使いますよね?同じように、現代文にも「現代文の単語帳」があると知っていますか?
おすすめは次の3冊。もし同じ趣旨のものを学校からもらっている場合は、そちらを使っても構いません。
- 『現代文キーワード読解』/Z会編集部
- 『読解を深める 現代文単語〈評論・小説〉』/桐原書店
- 『イラストとネットワーキングで覚える 現代文単語げんたん』/いいづな書店
なぜ現代文なのに単語なのか?
それは現代文で出題される題材に理由があります。
あなたは評論文を解くときに、「出典」を気にかけたことはあるでしょうか。
下に共通テスト、その前のセンター試験で出された評論文の出典(過去5年分)をまとめたので見てみてください。
2020年度 河野哲也『境界の現象学』
2019年度 沼野充義『翻訳をめぐる七つの非実践的な断章』
2018年度 有元典文・岡部大介『デザインド・リアリティ-集合的達成の心理学』
2017年度 評論:小林傳司『科学コミュニケーション』
難しそうなタイトルが並んでいますよね。
現代文の評論で出される文章というのは、「専門家が、本気になって書いた論文や書籍の一部」です。場合によっては予備知識や背景を知っている専門家に向けて書かれたものである場合もあります。
現代文が読めるようになるということは、こうした専門家が書いた専門的な文章を読めるようになるというのと同義なのです。
人文科学、社会科学、自然科学、芸術、伝統文化、国際化、環境問題……、評論で出題される文章のジャンルはさまざまです。各分野の語彙や背景知識を「あらかじめ・正確に」知っておくと、本文を読んだときに「これは知っている!」ということが増え、内容理解のハードルがぐっと下がります。
また現代文は専門的な文章であるゆえに、私たちが日常生活ではあまり接しない語彙も数多く登場します。たとえば「アナロジー」「パラダイム」「形而上・形而下」「自然主義」「ポストモダン」……、これらの言葉の意味を正しく言えますか?
何となくわかったつもりで読み進めても、なんとなくの答えしか出せず、再現性のある読解養成にはなりません。頻出用語の意味を正しくおさえておくことで、専門家が書いた文章の意味を正確に読み解くことができるようになるのです。
現代文の単語帳を使って、語彙と背景知識をできるだけ増やしておくこと。これが現代文が「読めるようになる」ためにまずやってほしい勉強法です。
段落ごとに「タイトル」をつける
評論文を読むときに「段落」は意識していますか?
評論文の段落は、意味や主張のまとまりで区切られたもの。つまり「1つの段落=1つの意味カタマリ」だと思ってください。
さて現代文の問題を解いていたときに、「読んでいるうちに、何を言っているのか良く分からなくなった」「解答の根拠となる記述がどこにあったか、見失ってしまった」ということはよくありますよね。何度も何度も全体を読み直すのは時間がかかりますし、非効率的。
そこでおすすめしたいのが「段落ごとにタイトルを付ける」という勉強法です。1つの段落は意味や主張のカタマリなわけですから、段落ごとに「一番イイタイコト」があるはず。それを見つけ、欄外にメモしておくという方法です。読み返すときも、メモを見れば「どこに何が書いてあったか」一目瞭然。
やってみると分かりますが、案外と難しいんですよ。「一番イイタイコト」を見つけ、簡潔にまとめる(要約)は、内容を正しく理解できていることが必要。だからこの「タイトルづけ」の練習をすると、「これまで自分がどんなに適当に読み飛ばしていたかわかりました……」と反省する受験生が続出します。
もしメモを作るのがどうしても難しい場合は、「一番イイタイコト」を書いていると思われる一文に傍線を引いてもOK。
すべての段落の「一番イイタイコト」を見つけるのは、次の「論理展開を見つける」ことにつながります。はじめはしんどいかもしれませんが、まずは5題!がんばってみてください。
主張/具体例/反論部分を見分ける
現代文を読めるようになる勉強法の最後は、「論理展開を見つけること」です。現代文という科目の肝でもあります。
先ほど、すべての段落の「一番イイタイコト」探しをしましたね。ここからは、見つかったイイタイコトがそれぞれ「どんな役割を果たしているか」考えてみてください。
イイタイコトが果たしている役割には、次のようなものがあります。
- 主題、テーマ、話題。何について書かれているかということ
- 問題提起
- 主張、筆者がいいたいこと、意見、解決策、結論など
- 根拠、主張の裏付けになるデータや理論、理由など
- 具体例
- 予想される反論
- 予想される反論への反論
それぞれのイイタイコトはどれに相当しますか?またそう考えた理由はなんですか?欄外に合わせてメモしていきましょう。
「現代文が読めない」という受験生は、内容理解力が乏しいか、この役割認識の力が乏しいかのどちらかのことが多いです(両方の場合もありますが)。役割認識が乏しいと、本文の論理が見抜けません。筆者の主張がどの部分なのか、筆者がそう主張する根拠は何なのかが見つからないのです。
現代文が読めるようになるためには、
- 現代文の重要キーワードや背景知識をおさえる
- 段落ごとに「イイタイコト」を見つける
- イイタイコトの役割(論理展開)を見つける
この3つを順番に進めてみてください。
現代文が「解けるようになる」勉強法
「読める」ようになったら、次は「解ける」ようになるための勉強法を解説しましょう。現代文の解き方は「マーク式(選択式)」「記述式」で異なりますので、それぞれについてまとめます。
選択問題編(共通テスト、マーク式模試など)
評論文マーク式の問題は、「どういうことか」を問う内容説明問題か、「なぜか」と理由を問う問題がほとんどを占めます。また本文の論理展開を問う問題や趣旨判定問題も出題されていますね。
まず「その問題が問うているのは何か」を正確につかむことを意識しましょう。内容説明問題なのに理由を探しても不発に終わりますし、本文全体の主旨を判定させる問題を本文の一部だけで考えようとしても無理というものです。問題文は読み飛ばしてしまいがちですが、現代文はとくにしっかり最後まで読み、自分が探すべき情報を把握してください。
もう1つの解き方ポイントは「解答の根拠が必ず本文中にあるか探す」姿勢です。「なんとなく、こういうことが書いてあったっぽい」とか、「普通に考えればこれでしょ」という選択法は根拠とは言いません!尋ねられているのは「本文中で筆者がかいていたかどうか」の1点のみ。
このとき、選択肢は紛らわしくするためにさまざまな表現手法を用いてきます。たとえば本文の表現を別の言い方にしてみたり、時系列を逆にしてみたり、同列を対比にしてみたり。微妙な言い回しをひとつひとつ、面倒がらずに吟味してくださいね。
記述式問題編(国公立大二次試験、記述式模試など)
記述式問題は国公立大2次試験で多く出題されますね。また学校の定期テストでも記述式の問題が多い場合もあるでしょう。
記述式問題の解き方ポイントは2つ、「解答に必要な要素を漏れなく入れ込む」ことと、「正確で簡潔な日本語表現で書く」ことです。
たとえば「~と筆者が述べる根拠を2つ書きなさい」という問題であれば、「根拠を」「2つ」入れないといけません。「~はどういうことか」という問題なら、理由を含めて説明しないといけません。こう書くと当たり前のことのように思えますが、いざ問題に当たると「何を問われているのか」「解答に必要な要素は何か」という点が混乱し、中途半端な解答になってしまう受験生も多いのです。
「正確で簡潔な日本語表現」を身につけるには、添削してもらうのが一番。国語の先生や塾の先生などにお願いし、見てもらってください。冗長な部分、不要な部分を削ってもらったり、端的な一言表現を教えてもらうことは、文字数制限のある解答作成に実に役に立ちます。
現代文の答え合わせのやり方&ポイント
最後に答え合わせのやり方も添えておきましょう。「答え合わせ」は現代文の力を最も伸ばす時間です。コツをおさえ、周りにグンと差を付けますよ!
現代文の解説は「自分の読解が正しかったか」を判定する!
現代文の答え合わせで大切な視点は、単に解答が合っていたかということよりも「自分の読み方が正しかったか」を確かめることです。
良質な問題集は、問題部分と同じくらいの分量で解答・解説が付いています。解答・解説を見ると本文全体の要約や段落ごとの主旨、論理展開が書いてあるのが分かりますね(もし分からなかったら、河合塾の「マーク式総合問題集(マーク模試の過去問集)」「センター試験過去問レビュー」などをチェックしてみてください!)。
この「本文全体の要約や段落ごとの主旨、論理展開」を読み、自分も同じように読めていたかどうかを確かめる作業が一番!大事です。本当に大事です。問題の解説を読む以上に大切、と言ってもいいです。
結局、出題者の意図に沿って本文を読めれば、おのずと正解できるのです。逆に、出題者の意図に沿った読み取りができなければ、どんなに時間をかけても正解は導けません。現代文において最も重要な「出題者の意図」が凝縮されているのが、問題集の開設ページ冒頭にある「本文全体の要約や段落ごとの主旨、論理展開」の部分なのです。
まず「本文全体の要約や段落ごとの主旨、論理展開」を丁寧に読んでみてください。そして自分とは違うぞ?と思う部分があったら、もう一度本文に戻り、どうして解説のような読み方になるのかを理解しましょう。
この作業を繰り返すうちに、自然と「出題者の意図に沿った読み方」が出来るようになっていきます。そうすれば現代文満点も夢ではありませんよ!
まとめ
大学受験において対策が見出しにくい「現代文」の勉強法をまとめてきました。もうお分かりいただけたかと思いますが、現代文は単に「日本語を読む」科目ではなく、論理的な思考力・読解力を測る科目です。入念な準備をすれば、センス不要!きちんと成績がついてくる科目だといえます。
ここまで読んできた内容を参考に「現代文の読み方」「解き方」それぞれを伸ばしていってくださいね。現代文が伸びると、他教科にも良い影響が波及しますよ!頑張ってください。