世界史が苦手な大学受験生へ!効率の良い覚え方を紹介します
世界史は範囲も地域も広く、覚えることがとても多い科目。「世界史がどうしても覚えられないんです」と相談に来る受験生も、少なくありません。
でも世界史は、コツを押さえればスルスルと知識を紐づけていきやすいと知っていますか?
今回は世界史の覚え方を、詳しく解説していきます。最後まで読めば、学校や塾の先生がよく言う、「世界史は“流れ”を覚えろ!」「世界史は出来事を関連させて覚えろ!」というアドバイスの真意がわかり、何をすべきかが明確になりますよ。
それでは、早速始めていきましょう!
「世界史が覚えられない」原因は何だろう?
「世界史が覚えられない」と相談にくる受験生の勉強法をよく聞くと、共通の原因があることに気づきます。
まず世界史が覚えられない原因として2つ紹介しましょう。自分が当てはまるかどうか、チェックしてみてくださいね。
用語だけを無理やり暗記しようとしていないか?
世界史が覚えられないと嘆く高校生に多いのが、単語や用語「だけ」を無理やり暗記しようとしているパターンです。
人の名前や国名、戦争名、条約名、法律から租税制度、文化まで、カタカナばかりが並ぶ用語集を前に、ひたすら「ハインリヒ4世、ハインリヒ4世……」とか、「ウマイヤ朝・レコンキスタ、ウマイヤ朝・レコンキスタ……」と呪文のように唱えたり、書いたりしていませんか?
あるいは「コルホーズ・ソフホーズは世界恐慌の影響は受けず」という字面だけを覚えようとはしていないでしょうか。
力づくで用語を暗記できるほど、世界史の用語は少なくありません。これでは先が見えず、嫌になってしまうのも当然だといえます。
歴史の流れを無視していないか?
世界史の出来事には、必ず因果関係があります。また出来事は周辺国や他国の影響を受けたものも多く、「全体の流れ」を理解することは欠かせません。
しかし世界史が覚えられないという受験生には、こうした因果関係や外交関係、時代の流れを脇においてしまっているケースが良く見られます。ある国・ある時代の政治なら政治だけを切り取って、丸暗記しようとしているのですね。
実際の世界史はヨーロッパ史が進んでいる間にもアジア史は進んでいます。これまで出会ったことがなかった民族同士が出会い対立することもあったわけです。「歴史全体の流れと出来事の因果関係」を無視しては、覚えるべきことばかりが増えて苦痛を感じてしまうかもしれませんね。
世界史で覚えるべきことはこの4つ!
闇雲に用語を覚えているキミ!
ちょっと立ち止まって、「覚えるべき事項って、何だろう?」と考えてみませんか。膨大に見える世界史も、実は次の4グループに分類することができます。
- 用語
- 用語の内容・解説
- 時代・年号
- 地理的情報
この4つが、世界史で覚えるべき内容をグループ分けしたものです。
混沌とした状態よりも、整理された情報の方が覚えやすいのは当然ですよね。世界史で覚えるべき事項をグループ分けしながら、それぞれを詳しく見てみましょう。
用語
まずは「用語」です。用語とは、用語集に載っている単語のこと。索引にずら〜っと並んでいる、「カノッサの屈辱」「インノケンティウス3世」「カルロヴィッツ条約」「オーストリア継承戦争」……、といったものを指します。
用語は暗記の基本。しかし用語だけを無理に覚えようとしてはいけないのでしたね。用語は必ず、次の「内容」とセットにして覚えるようにしましょう。
用語の内容・解説
「用語の内容」とは、その用語があらわす意味のことです。用語に「とは?」を付けてみて、先に続く部分のことです。
◎例、 下関講和条約“とは?”
→「日清戦争の講和条約で、李鴻章と伊藤博文との間で締結された。朝鮮の独立、遼東半島・台湾・澎湖諸島の日本への割譲、日本への賠償金支払いなどが決定された」
この後半の説明にあたる部分が、用語の内容に当たります。
時代・年号
受験生が苦手なのが、時代や年号です。できれば避けたいのが本心かも知れませんが、共通テストでも「この出来事と同じ時期に起こった出来事を選びなさい」という問題が出されるので、時代や年号の暗記は必須です。
戦争の起こった年、条約が締結された年など、主要な出来事は年号を覚えましょう。はじめのうちは、「何世紀の出来事か」「何年代のできごとか」「どの出来事の後に起きたことか」といった、ざっくりした時代を覚えておくのも良い方法です。
地理的情報
地理的情報とは、地名や領土、地形といった地図に載る情報のことです。
共通テストでも地図を用いた問題はよく出されており、地理的な情報を押さえておくことはとても大切。
たとえば2022年度入試(令和3年度入試)でも、次のような問題が出されました。
引用:令和3年度共通テスト(1月16日・17日実施)「世界史B」第4問 問2
特に首都名、そして領土は必須知識でしょう。山や河川などの自然地形も、戦争や領土に影響するので、できれば押さえたいですね。
覚えるべき内容別・おすすめ勉強法
お待たせしました!続いて具体的な勉強法に入っていきましょう。世界史を覚える際のコツを4つにまとめました。
自分が普段やっている勉強と見比べながら、できそうな方法はぜひ今日からすぐに取り入れてみてくださいね!
用語は「繰り返し」で頭に叩き込む
用語の暗記は「正しく」が鉄則。世界史には紛らわしい単語もたくさん出てくるので、一つひとつ正確に覚えていきましょう。
失敗しない繰り返し学習のコツは、「短期間に何度も反復する」ことです。10個を完璧に覚えてから次の10個に進むよりも、50個まとめて10回繰り返した方が記憶に残りやすいのです。
暗記学習のポイントや詳しいやり方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。あわせてチェックしてくださいね。
>>「【保存版】効率的・効果的な勉強法のまとめ|小中高生向け、全学年全教科対応」
>>「東大合格も夢じゃない!?受験まで忘れない記憶術養成法!」
★ オマケ:紛らわしい用語には、たとえばこんなものがありますね!
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※ 「アモン」は古代エジプト・テーベの守護神。「アトン」はアメンホテプ4世の宗教改革で信仰を強要された対象。
※ 「アラム人」はダマスクスを拠点に内陸貿易した民族。「アムル人」は紀元前19世紀に古バビロニア王国を作った民族。
※「アウグスティヌス」は古代キリスト教最大の教父。「アウグストゥス」はオクタウィアヌスが受けた照合。以後は皇帝の名称となる。
おすすめ参考書:『間違えやすい世界史B用語をセットで覚える本』
「紛らわしい」という視点で世界史用語をピックアップした参考書です。セットで覚えたほうが効率が良いものもまとめてあるため、効率の良い暗記に役立ちます!
「誰々5世」といった似た名前の君主や、内容が混乱しやすい条約などの一覧は、他の参考書では見かけないと評判です。
用語の内容は周辺知識と関連付けて
用語とセットで、用語の内容も押さえていかなければなりません。
用語の内容を覚える際は、「問題ではどのように問われるか」という視点を持つことがポイント。問題で問われるのは同時代の他の出来事との関連や、出来事の因果関係、後世への影響などですよね。
つまり、用語の内容は、その用語の持つ意味を覚えるだけではなく、「周辺知識や関連事項も合わせて覚える」のが大切なのです。
覚えることが多くなって大変!と感じるかもしれませんが、それははじめのうちだけ。続けるうちに、世界史の知識が脳内でどんどんネットワーク化されていきますから、新しい用語や内容の関連付けも簡単にできるようになっていきますよ。
「1904年、日露戦争。日本とロシアが満州をめぐって戦う」というだけではなく、「なぜ満州が争いの原因になったのか?」「諸外国はどんな反応をしたのか?」「日英同盟や露仏同盟が必ず登場するのはなぜか?」といった具合に、なぜ?と考えながら勉強していきましょう。
人間の脳は因果関係や周辺情報がある方が、記憶しやすいそうです。情報をつなぎ合わせることが、実は暗記への近道なんですよ。
おすすめ参考書:『これならわかる!ナビゲーター世界史B』
『これならわかる!ナビゲーター世界史B』は、出来事の因果関係や後世への影響などをストーリーとして解説する参考書。事実だけを淡々と書く教科書・資料集に、関連情報を肉付けしていくイメージで使うのがおすすめです。
世界史知識が細かく体系化できるので、共通テスト以外にも国公立大学の論述世界史や難関私大世界史対策にも活用できますよ。
時代や年号は語呂合わせがおすすめ!
共通テストや個別試験では、出来事を起きた順番に並び替える問題や、ある出来事と同時代に起きた出来事を選ぶ問題というのも頻出です。
たとえば、2021年度共通テスト世界史では、1776年より前に起きた出来事を答えさせる問題がありました。
引用:令和3年度共通テスト(1月16日・17日実施)「世界史B」第4問 問2
この問題を正解するには、それぞれの出来事の「およその時代」を押さえておくだけでは足りません。そこで語呂合わせの出番です。世界史の主要な出来事は、年号を語呂合わせで覚えてしまいましょう。
おすすめ参考書:『世界史年代ワンフレーズnew』
親しみやすいイラストが特徴で、短いフレーズで覚えられる年号の語呂合わせが700ほど載っています。
しかも、”ひとつ”や”むっつ”といった音では数字が判断しにくい語呂を排除し、一発で覚えられるようなインパクトが強い語呂が多いのが特徴です。世界史の勉強をする時には必ず開き、年号を確認(その場で覚え!)しながら進めると良いでしょう。
地理的情報は地図や図説をフル活用!
地理的情報を覚えるコツは2つ。1つ目は、普段の勉強から資料集や図説をフル活用すること!地理で使う地図帳も開き、現在の地名や国名と照らし合わせるのも、おすすめの覚え方です。
また領土エリアはできるだけ正確にインプットするように。国境も問われやすいので、自然地形や現代の国境もヒントに覚えていきましょう。
地理的情報を覚えるコツの2つ目は、白地図に書き込むというものです。
「ちびむすドリル」の白地図は、子ども向けなだけあってシンプルで使い勝手が良いですよ。ダウンロードして印刷し、領土や首都、周辺国との関係性などを色分けして書き込んでみてください。
自分で手を動かして描くというのは、「見ているだけ」では気づかない、深い理解が得られるおすすめの覚え方です。
おすすめ問題集:『ビジュアル世界史問題集』
地図問題ばかりを収録した、珍しい問題集です。共通テストや個別試験で狙われやすい問題に特化しているので、インプットした地理情報のアウトプット練習にピッタリ!用語や用語の内容、年号と合わせて進めてみてください。
世界史が得意になる勉強法!勉強の順番にコツがある
世界史の勉強を効率良く進めるには、勉強の順番が大切です。初めに全体の流れ、つまり知識の外側の枠組みを作り、それから中に細かな知識を入れていくイメージで取り組んでみましょう。
詳しく解説していきますね。
Step1.歴史の“全体的な流れ”を把握しよう
まずは歴史の「全体像」を理解します。
全体像とは、過去から現在まで、どの時代にはどんな特徴があり、どんな出来事があったのかを「ざっくり」おさえるという学習です。教科書や資料集の目次に沿って、それぞれの時代の特徴をまとめていきましょう。
先史時代からオリエント世界、古代ギリシア・ローマ、イスラム、古代中国……、と歴史を下るにしたがって、社会システムが徐々に秩序だってくるのが分かると思います。余裕があれば文化もサラッと見ておきましょう。
Step2.タテのつながり・ヨコのつながりを理解しよう
大きな流れが押さえられたら、各時代を詳細に見ていきます。この時大切なのが「タテ」と「ヨコ」の視点を持つことです。
「タテ」の視点とは、各国・各地域の歴史を時代に沿って理解すること。日本史のように、1つの国について時間の流れに沿ってまとめます。
「ヨコ」の視点とは、同じ時代の他国・他地域を広く見るという勉強を指します。世界史の試験では「同時代・別地域」の関連性や出来事を問う問題が必ず出ますから、同じ時代に他の国ではどんなことが起きていたのかを見ておく勉強は欠かせません。
大き目のノートやスケッチブックを用意し、縦に時代・横に地域を分けた表を作り、主な出来事や関連性を書き込む、自分だけの年表を作ってみるのもおすすめです。
Step3.インプットのあとは必ずアウトプットしよう
歴史の全体像を把握し、タテ・ヨコの繋がりも理解できてきたら、問題集を使ってアウトプットします。
一問一答形式の問題集でも良いですし、コンパクトな問題集でも構いません。実際の問題を解くことで、インプットした知識が「目の前の問題に合わせて」加工され、脳に定着していきます。
このとき、自信を持って覚えたといえる知識や、もう大丈夫と確信が持てる問題には、「〇」などの印を付けておきましょう。出来た問題に印をつけておくと、無印の問題だけを勉強すれば良いということが一目瞭然!問題集の周回速度が上がりますよ。
Step4. 仕上げに共通テスト過去問チャレンジ!
共通テストやセンター試験の過去問にも、積極的にチャレンジしていきましょう。
地域を超えた問題や、政治・経済・文化を織り交ぜた融合問題、また資料や解説文を用いた分析的視点が必要な問題などを解くことで、まだ曖昧な知識や不安なところがあぶりだされます。
見つけた弱点は必ず確認し、完璧にしていってください。
さらに共通テストの過去問は解説を熟読するのもおすすめの勉強法です。問題はどのような視点を問うているのか、問題文で気を付けるべき箇所はどこかといった、教科書にも参考書にもない実践的な問題の見方が書かれているからです。
丸付けだけして終わり、ということがないようにじっくり取り組んでくださいね。
まとめ
世界史が覚えられないという高校生・大学受験生のために、世界史で覚えるべき内容や覚え方のコツ、勉強効率が上がる学習法などについてまとめてきました。
世界史は世界中の歴史を覚えなければいけないわけですから、楽な科目ではありません。しかし実は、共通テストとセンター試験を通して見てみると、世界史Bは、地理Bや日本史Bより平均点が高い年が多いのです。つまり、勉強は大変だけど得点しやすい科目、だといえます。
用語と内容、年号、地理的情報という「覚えるべき知識4グループ」を意識して、今日から早速世界史の勉強を進めていきましょう!
あなたが、受験本番の世界史でガッツポーズができることを応援しています。
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