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【京大数学 理系】頻出分野と具体的対策を徹底解説!おすすめ問題集5選も紹介

「京大数学は東大より難しい」とか、「小問がなく、取り掛かりを見つけるのが大変」「整数がかならず出る」……、そんな話を聞き、「何から手をつければいいのか」と悩む受験生も多いかもしれませんね。

今回は京大数学を、あらゆる角度から分析します。時間配分や目標点の決め方、頻出分野、具体的な勉強法、さらに京大数学対策におすすめの問題集まで解説!

最後まで読めば、京大数学に向けて「自分がすべきこと」がはっきりするはず!さあ、一緒に京大数学対策を始めましょう!

京大理系数学の概要を知る

はじめに、これからあなたが挑む「京大文系数学」の概要を押さえておきましょう。配点、試験時間と時間配分、そして目標点の決め方を解説します。

配点

京大数学の配点は、学部によって異なります。

総合人間学部(理系) 200点
教育学部(理系) 200点
経済学部(理系) 300点
理学部 300点
医学部 医学科 150点
医学部 人間健康科学科 200点
薬学部 200点
工学部 250点
農学部 200点

大問は全部で6題です。

試験時間と時間配分

京大文系数学は150分です。150分で6題を解くということは、1題あたり平均25分かけられるということになりますね。

「1題あたり25分」を目安に、持ち時間を割り振ってください。解けそうもない問題は後回しにし、解くべき問題に30~40分ずつかけるというのが現実的な配分でしょう。

過去問演習では時間配分も計画的に進めること。150分をキッチリ計り、「問題を見て解く順番を決める時間」「問題を吟味する時間」「見直しの時間」等も見つくろいます。

目標点の決め方

京都大学では過去の合格者平均点・最低点を「総合点のみ」公開しています。数学だけの合格者得点を知ることはできませんが、総合点を目安にして目標点を決めると良いでしょう。

過去3年の合格者最低点・平均点を下表にまとめました。

※ ( )内は得点率をあらわします。

学部(理系のみ) 2021年度入試 2020年度入試 2019年度入試
合格者平均点 合格者最低点 合格者平均点 合格者最低点 合格者平均点 合格者最低点
総合人間学部(理系)〈800点満点〉 483.26点(60.4%) 438.50点(54.8%) 442.68点(55.3%) 413.00点(51.6%) 511.27点(63.9%) 467.50点
(58.4%)
教育学部(理系)
〈900点満点〉
572.33点(63.6%) 519.66点(57.7%) 571.99点(63.6%) 542.88点(60.3%) 612.18点(68.0%) 578.56点(64.3%)
経済学部(理系)〈900点満点〉 614.47点(68.3%) 553.70点(61.5%) 560.77点(62.3%) 506.91点(56.3%) 627.12点(69.7%) 506.91点(56.3%)
理学部〈1200点満点〉 782.01点(65.2%) 704.37点(58.7%) 705.09点(58.8%) 629.35点(52.4%) 821.47点(68.5%) 749.55点(62.5%)
医学部医学科〈1250点満点〉 931.47点(74.5%) 871.50点(69.7%) 858.06点(68.6%) 789.95点(63.2%) 970.85点(77.7%) 915.60点(73.2%)
医学部人間健康科学科〈1000点満点〉 549.40点(54.9%) 502.83点(50.3%) 522.25点(52.2%) 481.65点(48.2%) 607.72点(60.8%) 559.15点(55.9%)
薬学部〈950点満点〉 598.06点(63.0%) 534.66点(56.3%) 566.74点(59.7%) 503.96点(53.0%) 646.03点(68.0%) 599.88点(63.1%)
工学部地球工学科
〈1000点満点〉
593.21点(59.3%) 559.75点(56.0%) 541.90点(54.2%) 513.61点(51.4%) 610.60点(61.1%) 580.15点(58.0%)
工学部建築学科〈1000点満点〉 640.82点(64.1%) 587.75点(58.8%) 575.49点(57.5%) 534.40点(53.4%) 654.34点(65.4%) 594.51点(59.5%)
工学部物理工学科〈1000点満点〉 645.27点(64.5%) 597.03点(59.7%) 586.41点(58.6%) 539.01点(53.9%) 669.77点(67.0%) 618.80点(61.9%)
工学部電気電子工学科〈1000点満点〉 621.48点(62.1%) 576.28点(57.6%) 561.00点(56.1%) 524.86点(52.5%) 638.49点(63.8%) 605.78点(60.6%)
工学部 報学科〈1000点満点〉 686.87点(68.7%) 634.45点(63.4%) 622.03点(62.2%) 570.91点(57.1%) 679.17点(67.9%) 638.58点(63.9%)
工学部 工業化学科〈1000点満点〉 585.56点(58.6%) 550.45点(55.0%) 534.73点(53.5%) 503.06点(50.3%) 610.49点(61.0%) 578.06点(57.8%)
農学部〈1050点満点〉 665.29点(63.4%) 608.53点(58.0%) 638.22点(60.8%) 593.96点(56.6%) 713.88点(68.0%) 667.70点(63.6%)

たとえば理学部の場合、過去3年の合格者最低点の平均得点率は57.8%です。また合格者平均点の平均得点率は64.1%になります。

他の科目も均等な割合で得点できたと仮定して、56~62%を目標にしておくと間違いないでしょう。

あなたが受験予定の学部の得点率を見て、目標を算出してくださいね。

京大理系数学の出題傾向

続いて京都大学数学(理系)の出題傾向を分析します。京大理系数学は頻繁出分野に特徴があります。よく出る分野を知り、計画的に対策していきましょう。

頻出分野

京大理系数学では「整数・整式」「図形」「確率」「微分・積分(数Ⅲ)」の4分野が、かならずといっていいほど出されます。

実際、過去10年分の出題を大問ごとにまとめると、先述4分野の出題頻度が良く分かりますよ。

  第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 第6問
2021年度 ベクトル確率 微分 複素数 積分 図形と方程式ベクトル 整数極限微分
2020年度 複素数平面 三角関数数列極限 ベクトル 整数 場合の数確率 空間図形積分
2019年度 論証三角関数積分 整数 軌跡・領域ベクトル積分 場合の数確率 空間図形微分 三角関数指数・対数複素数平面
2018年度 軌跡・領域 整数 平面図形 場合の数確率数列複素数平面 極限微分積分 空間図形ベクトル
2017年度 軌跡・領域複素数平面 空間図形ベクトル 整数三角関数指数・対数 平面図形 積分 場合の数確率数列
2016年度 極限微分 整数 空間図形 積分 場合の数数列 方程式・不等式複素数平面
2015年度 積分 三角関数指数・対数平面図形 数列極限微分 空間図形ベクトル 整数 場合の数確率数列
2014年度 ベクトル 場合の数確率数列 三角関数指数・対数平面図形 方程式・不等式軌跡・領域微分 整数 積分
2013年度 平面図形ベクトル 数列 整数 微分 座標積分 場合の数確率
2012年度 極限積分 空間図形 微分 式の計算 論証平面図形 確率漸化式

問題に使われている代表的な単元をピックアップしましたが、複数分野を融合させた問題がほとんどです。各分野の基本知識はもちろん、「どう組み合わせ、使いこなすか」が問われていると言えるでしょう。

「整数・整式」「図形」「確率」「微分・積分(数Ⅲ)」を対策の中心に据え、発展的な演習まで取り組むことがかかせません。

特に苦手としやすい「成分で表された平面の方程式/球面の方程式」「整数(合同式、互除法、p進法)」「複素数平面(図形への応用、高次方程式の解)」などは、入念に勉強しておきたい分野です。

解答形式

京都大学数学は、大きな解答欄がポンと与えられ、最終解答にいたるプロセスをすべて書く形式です。

京大数学の出題意図には、「論理性、計算力、数学的な直感、数学的な表現といった数学に関する多様な基礎学力を総合的に評価することを念頭において出題」している、とあります。

そのため、論証問題だけではなく答の値を求めるような問題でも、答えにいたる道筋をはかれるような出題の仕方をしているとも明記されています。

つまり、次のような解答はすべてNGということ!

  • 値を求める問題だから、計算結果だけを書く
  • 途中の論述や計算過程が走り書き
  • 読み手(採点者)が理解できない書き方

京大理系数学で得点したい場合、「答えそのものと、答にいたる思考過程や論理性が正しく」、かつ「読み手に道筋がきちんと伝わる」答案を書くことを忘れてはいけません。

問題の特徴

京大数学の問題には「小問がない」という特徴があります。与えられるのは大問1つだけ。

一般的な数学の問題は小問がいくつか、後半にいくに従って難しくなるように並んでいますよね。また(1)は(2)のヒントに、(2)は(3)のヒントになる…、といったように、前の小問が次の問題を解くための道筋を作ってくれていることもあります。

解答者は小問を順番に解いていくことで、次の問題の手がかりを得られるわけです。

しかし京大数学には小問がほとんどありません。これは完答までの道筋を、イチから自分で作れと言われているということと同じ。

さらに問題も「パターンで解ける」ものは出されません。複数分野が融合したものや細かな場合分けが必要な問題、要領の良い計算力が必要な問題、さらに論理の正確さや発想力が必要な問題など、問題をさまざまな角度から分析し、吟味し、論証する力が求められる問題ばかりです。

数学の基礎は十分にマスターした上で、知識を使いこなす演習を重ねておくことが大切です。

京大理系数学の対策

小問や誘導がなく、「癖がある」とも評される京大文系数学の問題に対応していくには、どんな勉強を心がけたら良いのでしょう?

ここからは京大合格に向けた、具体的な勉強法を解説します。

対策が手薄な分野を作らない!

頻出分野があるとはいえ、過去には整数が出なかった年や、問題が急激に難化した年など、出題傾向に常に変化があるのが京大理系数学です。

対策が手薄な分野、放置した苦手分野があるのは致命的!数学の全範囲をまんべんなく・繰り返し勉強できる計画を立ててください。

特に現役生は「整数」「論証」「極限」「微分・積分(数Ⅲ)」「複素数平面」などに手が回りきらず、浪人生と差がつくことがあります。常に数学全体を見渡し、ほったらかしにしている分野がないか、チェックを忘れないようにしましょう。

解法の道筋を論理的に導く勉強を意識する!

京大理系数学は、「問題は解けなかったけれど、解説を見たら『あー、なるほど!』と思えた」、というものが多いのでは?

その感覚は間違っていません。

京大理系数学は突拍子もない発想が必要とされる難問は、ほとんど出されないのです。解説を見れば、基本知識で解けるものばかりじゃないかと気づきます。

が、問題に当たったときには解けないというジレンマ!

こうなる原因は、京大の「自分の頭で考え、分析・論証し、記述できる力を持った学生を選抜したい」という意向が問題に反映されているからだと考えられます。

必要なのは基本知識。しかし基本知識を「適切に組み合わせ・使いこなせないと、解法を導けない」問題が出されているということなのですね。

受験勉強でも、問題をさまざまな観点から分析し、解答の道筋を論理的に引き出す力をつけておくことを意識しましょう。これが、京大対策に欠かせない基本姿勢になります。

基本問題・典型問題は完答できるように!

京大理系数学は「基本レベルの問題」「標準レベルの問題」「難問」がバランスよく出されるのが近年のパターンです。

難問はどの受験生にとっても難問ですから、差はつきません。また基本問題もほとんどの受験生が完答してきますから、ここでも差がつきにくい。

とすると、受験生の差が顕著にあらわれるのは?

「標準レベル」問題ですね。

  • 基本問題は完答できるように
  • 難問は見極めて時間をかけすぎないように
  • 標準問題でいかに得点を重ねられるか(部分点でもOK)

この区別を意識していきましょう。

先の項目でも書いたように、京大理系数学の問題は奇抜な解法で解くものは出されません。基本知識を踏まえた発想力や着眼力が問われます。

目先の〇×にこだわらず、数学の理論理解を大切にしてください。

「思考力」を鍛える!数ⅠAⅡBは、説明できるように

京大理系数学は、理系であるわりに「数Ⅲ」より「数ⅠAⅡB」の出題割合が多いことでも知られています。

これは「思考力・論証力」を重視する京大の方針があらわれていると考えられます。

数Ⅲは一見難しいのですが、その難しさの正体は「計算過程の複雑さ」であることがほとんど。数Ⅲには思考力や着想力よりも、膨大な情報を的確に「処理する」力が求められます。

一方、数ⅠAⅡBの「場合の数・確率」「整数」「ベクトル」「数列」といった分野は、事象の数だけ問題が作れたり、他の分野と融合させやすいという性質があります。

初見の問題を作りやすく、そのため受験生が「その場で問題をどう料理するか」という思考の力を測りやすいのです。

京大理系数学対策は、数ⅠAⅡBを本質的に理解する勉強を忘れないようにしましょう。

採点官に「伝わる」答案を作ろう!

京大数学で最重要ともいえるのが、答案作成力です。どんなに正しい論証でも、「正しく」答案を作れなければ得点にはつながりません。

定義を明確にする、解答の方針を記すといった、ちょっとした1行の手間が合否を分ける点差になることもあります。面倒がらず、思考プロセスは細かく記述すること!

日頃から記述を学習の中心に据え、数学的記述パターンを身体にしみこませていくことも重要です。「y=f(x)と置きたいときは、かならず何をy=f(x)とおくか記す」といった基本の記述作法は、日々の繰り返しによって定着していきます。

京大理系数学対策におすすめの参考書&問題集5選

京大合格を目指すあなたにおすすめ問題集をご紹介します。苦手を補ってくれるもの、理解を深めてくれるものを探してみてください。

『チャート式「青」』(数研出版)/『Focus Gold フォーカス ゴールド』(啓林館)

基本から入試レベルまで、数学の全体像をつかみながらの勉強におすすめなのが『青チャート』or『Focus Gold』です。問題やレベルは重なる部分も多いので、使いやすい方どちらか1冊でOK。数学対策の軸に据えてみてください。

青チャートもFocus Goldも、解説が丁寧に書かれている点を京大対策に活かしましょう。解説の書き方を見て、京大理系数学に不可欠な「答案作成力」を身に着けていってください。

『世界一分かりやすい京大理系数学』(KADOKAWA)

過去問演習には「赤本」より、こちらがおすすめ。赤本は解説が”あっさりしすぎている”ため、十分に理解を深め、正しい解答を知るには不向きです。『世界一分かりやすい京大理系数学』を使って、着眼点から解答方針の考え方、実際の解き方まで徹底的にマスターしていきましょう。問題はすべて京大理系数学の過去問から厳選された良問です。

「整数・整式」「図形」「確率」「微分・積分(数Ⅲ)」という京大文系数学頻出の分野も網羅。赤本と併用し、赤本の解説として使うのもおすすめです。

『チョイス新標準問題集』シリーズ(河合出版)

京大理系数学で差をつけるのは「標準レベル」問題だと、先に書きました。標準レベルの完成度を上げたいときに役立つのが、『チョイス新標準問題集』です。つい、応用問題や難問に取り組みたくなりますが、定期的にこの問題集に立ち返り、基本をトレーニングしていきましょう。

収録問題はレベル別に「問題A」「問題B」に分けられています。レベルごとに一巡を繰り返すのも良いですね。標準解法に加えて、別解がある点も◎。問題をさまざまな視点から吟味する力が身に着きます。

『理系数学の良問プラチカ』(河合出版)

プラチカ』シリーズは入試レベルの実戦演習におすすめ。過去の入試問題から頻出の良問を厳選して収録しています。当然、難度の高い問題も含まれますから、青チャートやFocusGoldを終え、レベルアップしたいときに取り組んでみてください。

難関大受験生必携!とも言われる評判は、教科書や学校では習わない解き方が載っているなど、解説が充実している点も理由の一つ。ライバルの多くは『プラチカ』をやっていると考えても間違ってはいないでしょう。

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まとめ

京大数学には、京大数学の狙いがあります。

受験生が思考力・着想力、そして論述力を持っているかを見極める良質な問題は、決して難問や奇問ではないことがわかりました。

むしろ基礎知識を柔軟に運用できるかどうか、受験生の数学力を丸裸にする問題とも言えます。

京大理系数学という名前に踊らされず、まずは基本を徹底的に反復しましょう。問題集は1冊あたり最低3回、過去問は最低10年は取り組みたいところです。

「どうしてその解き方をするのか?」と説明できるようになれば、ばっちりですよ!

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