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【京大数学 文系】頻出分野と具体的対策を徹底解説!おすすめ問題集5選も紹介

京大は文系受験生にも数学が課されます。誘導がない、広い解答欄だけの解答用紙……、という話を聞き、「何から手をつければいいのか」と悩む文系受験生も多いかもしれませんね。

今回は京大数学を、あらゆる角度から分析します。時間配分や目標点の決め方、頻出分野、具体的な勉強法、さらに京大数学対策におすすめの問題集まで解説!

最後まで読めば、京大数学に向けて「自分がすべきこと」がはっきりするはず!さあ、一緒に京大数学対策を始めましょう!

京大文系数学の概要を知る

はじめに、これからあなたが挑む「京大文系数学」の概要を押さえておきましょう。配点、試験時間と時間配分、そして目標点の決め方を解説します。

配点

京都大学の数学(文系)は、学部によって配点が異なります。

  • 総合人間学部(文系) 200点
  • 文学部 100点
  • 教育学部(文系) 150点
  • 法学部 150点
  • 経済学部(文系) 150点

大問は5題です。

試験時間と時間配分

京大文系数学は120分です。120分で5題を解くということは、1題あたり平均24分かけられるということになりますね。

「1題あたり24分」を目安に、持ち時間を適宜割り振ってください。解けそうもない問題は後回しにし、解くべき問題に30~40分ずつかけるというのが現実的な配分でしょう。

過去問演習では時間配分も計画的に進めること。120分をキッチリ計り、「問題を見て解く順番を決める時間」「問題を吟味する時間」「見直しの時間」等も見繕います。

目標点の決め方

京都大学では過去の合格者平均点・最低点を「総合点のみ」公開しています。数学だけの合格者得点を知ることはできませんが、総合点を目安にして目標点を決めましょう。

過去3年の合格者最低点・平均点を下表にまとめました。

※ ( )内は得点率をあらわします。

学部(文系のみ)2021年度入試2020年度入試2019年度入試
合格者平均点合格者最低点合格者平均点合格者最低点合格者平均点合格者最低点
総合人間学部(文系)〔800点満点〕570.27点(71.3%)532.41点
(66.6%)
475.47点(59.4%)448.91点(56.1%)498.23点(62.3%)464.50(58.1%)
文学部〔750点満点〕521.54点(69.5%)492.33点
(65.6%)
495.67点(66.1%)470.25点
(62.7%)
503.92点
(67.2%)
476.01点(63.5%)
教育学部(文系)〔900点満点〕626.00点(69.6%)580.24点
(64.5%)
551.33点(61.3%)525.13点
(58.3%)
591.80点(65.8%)559.64点
(62.2%)
法学部〔820点満点〕560.89点(68.4%)519.75点(63.4%)638.73点(65.7%)507.46点(61.9%)542.42点(66.1%)505.50点(61.6%)
経済学部(文系)〔800点満点〕575.22点(71.9%)538.50点(67.3%)523.15点(65.4%)491.55点(61.4%)528.66点(66.1%)490.80点(61.4%)

たとえば総合人間学部(文系)の場合、過去3年の合格者最低点の平均得点率は60.2%です。また合格者平均点の平均得点率は64.3%になります。

各科目を均等な割合で得点できたとして、目標点は60~65%ということになります。

京大文系数学の出題傾向

続いて京都大学数学(文系)の出題傾向を分析します。京大文系数学は頻繁出分野に特徴があります。よく出る分野を知り、計画的に対策していきましょう。

頻出分野

京大文系数学では「整数・整式」「図形」「確率」「微分・積分(数Ⅱ)」の4大分野が、かならずといっていいほど出されます。

実際、過去10年分の出題を大問ごとにまとめると、先述4分野の出題頻度が良く分かりますよ。

第1問第2問第3問第4問第5問
2021年度整数、ベクトル定積分確率空間座標と計量整数
2020年度関数面積二次関数整数ベクトル場合の数
2019年度式と照明指数関数・対数関数二次関数二次関数確率数列微分
2018年度微分・積分図形と軽量微分整数図形の性質ベクトル確率
2017年度微分・積分指数・対数整数ベクトル整数三角関数確率
2016年度積分確率対数整数数列ベクトル複素数
2015年度領域面積確率ベクトル整数
2014年度三角関数高次方程式微分・積分ベクトル数列対数確率
2013年度複次不等式ベクトル式と証明面積確率
2012年度面積確率図形微分・積分図形の論証三角方程式領域

問題に使われている代表的な単元をピックアップしましたが、複数分野を融合させた問題も非常に多く出題されています。「三角関数」と「図形」の融合などですね。

「整数・整式」「図形」「確率」「微分・積分」を中心に据え、発展的な演習まで取り組んでいきましょう。

解答形式

京都大学数学は、大きな解答欄がポンと与えられ、最終解答にいたるプロセスをすべて書く形式です。

京大数学の出題意図には、「論理性、計算力、数学的な直感、数学的な表現といった数学に関する多様な基礎学力を総合的に評価することを念頭において出題」している、とあります。

そのため、論証問題だけではなく答の値を求めるような問題でも、答えにいたる道筋をはかれるような出題の仕方をしているとも明記されています。

つまり、次のような解答はすべてNGということ!

  • 値を求める問題だから、計算結果だけを書く
  • 途中の論述や計算過程が走り書き
  • 読み手(採点者)が理解できない書き方

京大文系数学で得点したい場合、「答えそのものと、答にいたる思考過程や論理性が正しく」、かつ「読み手に道筋がきちんと伝わる」答案を書くことを忘れてはいけません。

問題の特徴

京大数学の問題には「小問がない」という特徴があります。与えられるのは大問1つだけ。

一般的な数学の問題は小問がいくつか、後半にいくに従って難しくなるように並んでいますよね。また(1)は(2)のヒントに、(2)は(3)のヒントになる…、といったように、前の小問が次の問題を解くための道筋を作ってくれていることもあります。

解答者は小問を順番に解いていくことで、次の問題の手がかりを得られるわけです。

しかし京大数学には小問がありません。これは完答までの道筋を、イチから自分で作れと言われているということと同じ。

問題もパターンで解けるようなものは出されません。複数分野が融合したものや細かな場合分けが必要な問題、要領の良い計算力が必要な問題、さらに論理の正確さや発想力が必要な問題など、問題をさまざまな角度から分析し、吟味し、論証する力が求められる問題ばかりです。

数学の基礎は十分にマスターした上で、知識を使いこなす演習を重ねておくことが大切です。

京大文系数学の対策

小問や誘導がなく、「癖がある」とも評される京大文系数学の問題に対応していくには、どんな勉強を心がけたら良いのでしょう?

ここからは京大合格に向けた、具体的な勉強法を解説します。

問題文を正確に理解し、数式に落とし込む練習を

数学の問題は端的に書かれているため、漫然と読んでいたのでは必要な情報がつかみ切れません。問題文にさりげなく書かれている条件が、解答を左右する重要要素だったということもあります。

問題文で定義されていることや条件を細かく読み、「では、この場合はどうだろう?」「この分野の知識も使いそうだ」など、手がかりを考えながら読む癖を付けてください。

数学では「日本語で書かれた内容を、数式や図に置き換える」スキルも必要です。要素とよその関係を瞬時に数式にあらわす、問題文を読みながら図に書きあらわす、定義されていない変数は適切に定義する、といった練習も重ねておきましょう。

公式や定理は「本質」を理解しておこう

公式や定理は暗記するだけではなく、自分で証明できるようにするなど「本質的な理解」を意識しておくと役に立ちます。京大文系数学は論証問題が多いため、日頃から証明の練習を重ねておくと論理的な解答の記述力を養成できるからです。

また証明の過程で使う知識が、他の問題を解くヒントになることもあります。定理や公式の「結果」だけを覚えていたのでは活かせないメリットですね。

基本問題・典型問題を徹底的に繰り返そう

京大数学は凝った出題も多いのですが、基本知識で解ける王道の問題もよく出されます。こうした問題は失点は許されないもの、すべての受験生が得点(完答)してくるものと捉えてください。

オーソドックスな問題を「完答」するには、基本問題や典型問題を徹底的に繰り返す練習が有効です。問題に取り組む際は小問を隠し、イチから道筋を立てるのも良い練習になるでしょう。

典型問題は、問題を見た瞬間に方針が思い浮かぶまで反復してくださいね。

図形は着眼点と発想力を磨こう

図形問題は、かならず手を動かして図を描いてください。問題文を見ているだけでは得られなかったヒントや糸口を、図から与えられることもあります。

また一見すると数式の問題でも、モデルとなっている図形がある場合も多いもの。数式を図形的に理解することで、新しい解法がイメージできることもあります。

京大数学は「図形と計量」「図形の性質」「ベクトル」「図形と方程式」「三角関数」、中でも「空間ベクトル」が頻出です。どんどん図にあらわし、着眼力・発想力を磨いていきましょう。

答案作成力を高めよう

京大数学で最重要ともいえるのが、答案作成力です。どんなに正しい論証でも、「正しく」答案を作れなければ得点にはつながりません。

定義を明確にする、解答の方針を記すといった、ちょっとした1行の手間が合否を分ける点差になることもあります。面倒がらず、思考プロセスは丁寧に記述すること!

日頃から記述を学習の中心に据え、数学的記述パターンを身体にしみこませていくことも重要です。y=f(x)と置きたいときは、かならず何をy=f(x)とおくか記すといった基本の記述作法は、日々の繰り返しによって定着していきますよ。

京大文系数学対策におすすめの参考書&問題集5選

京大合格を目指すあなたにおすすめの、文系数学の演習用問題集を厳選して5冊ご紹介します。苦手を補ってくれるもの、理解を深めてくれるものを探してみてください。

『チャート式「青」』(数研出版)

高校生にはお馴染みのチャート式は、「青」がおすすめです。青は難関大入試にまで対応した良問が多数掲載されており、数学の全範囲を体系的に学習していける構成です。解説も漏らさず丁寧に記述してあるので、答案作成作法を知るためにもピッタリ。

京大と聞くと「赤チャートをやらなくていいのか?」と思うかもしれませんが、「赤チャート」は難しすぎます。実際の入試では、赤に収録されているレベルの問題は「解かない」という選択になるケースが圧倒的に多いでしょう。無理して赤に挑戦するよりも、青を確実に解けるようにしたほうが得点に繋がります。

『Focus Gold フォーカス ゴールド』(啓林館)

『青チャート』と並び受験数学に必携といわれるのが『Focus Gold』ですね。基礎から丁寧に積み上げるのにピッタリ。『青チャート』とレベルが重複する部分も多いので、どちらか1冊を選んでやってみてください。

『Focus Gold』は別解が充実している点も評判です。京大文系数学の問題は、解法が1つではないものも多いので、別の解き方を知っているのも有利になるポイント。数学を多面的に理解したい受験生は、『Focus Gold』に挑戦してみると良いでしょう。

『世界一分かりやすい京大文系数学』(KADOKAWA)

過去問演習=赤本、という受験生が多いのですが、赤本の悩みは解説があっさりしすぎている点ですよね。「赤本を見ても、よくわからない!」という受験生におすすめなのが、『世界一分かりやすい京大文系数学』です。京大文系数学の過去問から良問をセレクトし、着眼点から解答方針の考え方、実際の解き方まで詳しく解説してあります。

「整数」「確率」「 図形」ベクトル」「微分・積分」という京大文系数学頻出の分野も網羅。実際の問題を解く力をつけたいときに、つかってみてください。

『入試精選問題集 文系数学の良問プラチカ』(河合出版)

『入試精選問題集 文系数学の良問プラチカ』は、青チャートやFocus Goldを終え、さらにハイレベルな問題演習を積みたいという受験生におすすめの問題集です。決して易しい問題ではありませんが、どれも実際の入試問題ということもあり、実戦力を磨くには最適です。

教科書や学校では習わない解き方が載っているなど、解説が充実していることも人気の秘密。ライバルの多くは『プラチカ』をやっていると考え、チャレンジしてみてください。

『合格る計算 数学I・A・II・B』(文英堂)

制限時間内に1問でも多く解くためには、正確で速い計算力は欠かせません。特に京大文系数学は計算過程が煩雑な問題もよく出されるので、計算力がものを言う場面も多いといわれています。『合格る計算 数学I・A・II・B』は計算力アップに特化した参考書。数学の入試対策を始める前に、ぜひ目を通しておくことをおすすめします。

計算ミスが起きにくい計算方法や、正攻法だけど間違った(遠回りな)計算法など、「いままで計算に苦労していたのは何だったんだろう」と目からうろこの提案に出会えること、請け合いです。

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京大受験対策は、塾や予備校に通うべきか?独学で頑張るか?と悩むこともあるでしょう。

塾や予備校は受験の強い味方です。ただ通塾時間がかかることや、必要ない授業(すでに理解している、など)を受けなければならない場合もあるといった点で不満を持つ受験生も少なくないと聞きます。

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まとめ

京大数学は誘導がなく、自力で方針を立てないといけない点や、論理的で明瞭な解答作成力が必要とされる点が受験生を悩ませるポイントです。

受験生が本質的な数学力を持っているかを見極めたい大学側の意向が感じられますね。

京大数学を解けるようになるためには、計算力や発想力、思考力、表現力といった、総合的な数学の力が欠かせません。基本をしっかり定着させた上で、京大の問題に数多く取り組んで行きましょう。

同じ類の問題が繰り返し出されることも多いので、過去問演習は最低10年、できれば15~20年を目指すと良いでしょう。

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