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【東大数学 文系】頻出分野と具体的対策を徹底解説!おすすめ問題集5選も紹介

東大を受験する文系生の多くが悩むのが、2次試験の数学です。共通テストと異なり記述意識の問題、さらに整数や確率が頻出と聞けば頭を抱えたくもなるというもの……!

今回は東大数学を、あらゆる角度から分析します。

時間配分や目標点の決め方、頻出分野、具体的な勉強法、さらに東大数学対策におすすめの問題集まで解説!

最後まで読めば、東大数学に向けて「自分がすべきこと」がはっきりするはず!さあ、一緒に東大数学対策を始めましょう!

東大文系数学の概要を知る

はじめに、あなたが挑む「東大文系数学」の概要を押さえておきましょう。配点、試験時間と時間配分、そして目標点の決め方を解説します。

配点

東京大学の数学(文系)は80点満点、全部で4題出されます。大問ごとの配点は公表されていませんが、大問あたり20点の均等配分だと考えられています。

また東大数学は大問の中に小問が置かれることもあります。小問がある場合は「はじめの方が易しく配点低め、後の方が難しく配点高め」というのが一般的。

東大数学でもこの方式が採用されていると想定して取り組んでください。

試験時間と時間配分

東大文系数学の試験時間は100分です。100分で4題を解くということは、1題に平均25分かけられるということになりますね。

「1題25分」を目安に、持ち時間を割り振ってください。解けそうもない問題は後回しにし、解くべき問題に30~35分ずつかけるというのが現実的な配分でしょう。

過去問演習では時間配分も意識して進めること。

100分をキッチリ計り、「問題を見て解く順番を決める時間」「問題を吟味する時間」「見直しの時間」等も含めた時間間隔を養ってください。

目標点はこう決める!

東大は合格者得点を「科目別」には公表していません。分かるのは合計点での合格者最高点・最低点・平均点です。

東京大学 合格者最高点・最低点・平均点(一般選抜)|過去3年分

※ 大学入試センター試験・大学入学共通テストの成績(900点満点を110点に換算)と第2次学力試験の成績(配点440点)を合算し、550点満点としたものに対する得点。

合格者最高点合格者平均点合格者最低点

2021年度
文科一類436.2667 360.8180334.7778
文科二類438.6778 362.0720337.9222
文科三類421.4556 356.8357336.6222 

2020年度
文科一類450.9111 374.1542343.9444
文科二類442.5444 361.6561337.6111
文科三類419.7778 358.6730338.8667

2019年度
文科一類453.2556 378.7604351.8333
文科二類457.7000 379.0783358.0667
文科三類427.5556 361.4619342.7222

分かりやすく得点率(%)にすると、下表のようになります。

合格者最高合格者平均合格者最低

2021年度
文科一類79.32%65.60%60.87%
文科二類79.76%65.83%61.44%
文科三類76.63%64.88%61.20%

2020年度
文科一類81.98%68.03%62.54%
文科二類80.46%65.76%61.38%
文科三類76.32%65.21%61.61%

2019年度
文科一類82.41%68.87%63.97%
文科二類83.22%68.92%65.10%
文科三類77.74%65.72%62.31%

最低でも60%、平均するとどの科類でも65~68%は得点していることが分かります。数学の目標点は少なくとも60~65%、つまり40~52点と設定するのが良さそうです。

多くの受験生は、少なくとも大問1つは満点(20点)を取ってきます。他の大問で部分点をどれくらい重ねられるかが勝負になる、と知っておいてください。

東大文系数学で得点できる答案とは?

東大文系数学は「答が合っていても、途中過程によっては減点されることがある」と言われます。

これは東京大学が「数学的な思考力・表現力」を重視していることが理由です。

◎ 東京大学 「数学」の出題の意図 (抜粋)

1) 数学的に思考する力問題の本質を数学的な考え方で把握・整理し、それらを数学の概念を用いて定式化する力
2) 数学的に表現する力自分の考えた道筋を他者が明確に理解できるよう、解答に至る道筋を論理的かつ簡潔に表現する力
3) 総合的な数学力数学を用いて様々な課題を解決するために、数学を自在に活用できると同時に、幅広い分野の知識・技術を統合して総合的に問題を捉える力

引用:東京大学

数学の答案用紙は、受験生であるあなたと大学との「数字を使ったコミュニケーションツール」だと考えましょう。

大学は答案用紙を通じて、あなたがどのように問題を捉え、数学的に思考し、数式で適切に表現したか、そしてそれは大学が求める人物像と合致するかを見ます。

具体的には、最終解答はもちろんのこと、「論理に一貫性があるか(矛盾がないか)」「数学的に伝わる記述ができているか」が見られると考えてください。

逆に言えば、最終解答に辿り着かなくても、解答方針や筋道が合っていれば、部分点を取れるということ。日頃から「数学の作法に乗っ取った」答案が書けるよう努力する姿勢が大切です。

東大文系数学の出題傾向

東京大学数学(文系)は頻繁出分野に特徴があります。傾向をみていきましょう。

頻出分野

東大文系数学で頻出なのは、次の5分野です。

  • 微分・積分
  • 図形と方程式
  • 場合の数・確率
  • 整数
  • ベクトル

実際、過去10年の出題分野を調べても、上記5分野の多さがわかります。

第1問第2問第3問第4問
2021年度微分の応用場合の数集合通過領域整数
2020年度微分と増減場合の数・確率通過領域三角関数整数数列
2019年度図形と方程式微分と増減領域(最大・最小)確率領域論証
2018年度放物線領域数列微分ベクトル領域
2017年度積分、面積微分と増減ベクトル確率漸化式整数
2016年度点と座標領域確率定積分、面積整数漸化式
2015年度論証通過領域定積分、面積円と直線確率漸化式
2014年度二次関数微分と増減確率漸化式通過領域整数漸化式
2013年度微分点と直線領域最大最小確率
2012年度二次方程式直線の方程式三角形の面積確率漸化式定積分、面積

※ 複数分野にまたがって出題されることもあるので、表の分類は「代表的な分野」を示しています。

東大文系数学では、過去問と同じ分野が出題されるだけではなく、似た解き方をする問題が繰り返し出されることがあります。過去問演習をするなかで、「この問題、前にも見たことがある」と感じたらチャンス、東大文系数学に精通してきているということです!

1問1問の演習に注意深く取り組むことで、「東大数学のセンス」を養うことができますよ。

解答形式

東大数学は、全問記述式で解答します。

文系数学の解答用紙は、A3サイズが1枚。片面に第1・2問、反対側に第3・4問の解答欄が、大きな枠で与えられます。

小問の解答も枠内に書くことになるので、足りなくならないよう計画的に使いましょう。

論理的一貫性や数学的な表現力を重視する採点基準に対応するには、数学の解答作法に則って丁寧に記述することが大切。

当然ですが、「値を求める問題だから、計算結果だけを書く」「途中の論述や計算過程が走り書き(読みにくい)」「読み手(採点者)が理解できない書き方をしている」といった答案はNGです。

チャート式やFocusGoldの解答のような、定義・定理を踏まえた正しい書き方を身に着けておいてください。

問題の特徴

東大数学は、他の難関大数学に比べて「親切だ」といわれることがあります。それは「小問が多い」から。

(1)は(2)のヒントに、(2)は(3)のヒントに…、といったように、前の小問が次の問題を解くための道筋となっている問題が多いのです。

小問の誘導にうまく乗れれば、完答も可能。これは京大や一橋大の数学にはない、東大の特徴です。

小問が多いということは、部分点もとりやすいということ。完答だけが唯一解ではありません。効率的に部分点を稼ぐいでいきましょう。

東大文系数学の対策

東大文系数学は、年度によって難易度にバラつきがありますし、ここ2年は難問も目立ちます。数学で高得点を狙う受験生は特に入念に対策していきましょう。

鍛えるべきは「思考力・発想力」

東大数学は、受験生がどんな思考・発想で問題に着眼し、アプローチしたかという点を重点的に測る問題が出されます。

さらに典型問題の解法パターンを暗記しただけでは解けない問い方をするものも。問題を見たときに「過去に解けた方法」の記憶を辿るだけではなく、知識をフル活用し、その場で考え、糸口を見つける頭の使い方も練習しておいてください。

日頃から「なぜこのように解くのか」「なぜこの公式を使うのか」「この公式は何を意味しているのか」と本質を考えながら解く姿勢が、思考力や発想力につながります。

解くべき問題の見極めも重要

東大文系数学は100分で4題を解きます。ただ4題のうち、2題は標準レベルの問題、2題は難問というケースが多い点に注意。「時間をかけて解くべき問題」を見極めてから取り掛かるように意識しましょう。

標準レベルの問題は完答、もしくはミスを最小限に食い止めるように。

難問ははじめの小問や計算部分で、部分点を確保するように。

このバランスを最適にとることが、高得点への道です。過去問や東大模試を利用し、100分の時間内で正確に問題を見極める力をつけましょう。

頻出分野別基本対策

先にも紹介した東大文系数学でよく出る5分野「微分法・積分法」「図形と方程式」「場合の数、確率」「整数」「ベクトル」の対策も紹介します。

微分法・積分法

微分積分分野は、基本計算を鍛えておくことが最優先です。比較的解きやすい計算や、方針が思い浮かびやすい問題も多いので、ぜひ得点したいところ!

教科書や「青チャート」「FocusGold」を使い、数多くの微積計算に取り組んでください。

また、年によっては「絶対値記号つき」「場合分けが必要」といった、厄介な計算が必要になる問題も見られます。複雑な計算演習も取り入れ、効率的な進行ができるようにしておきましょう。

図形と方程式

近年、図形関連の問題が増えており、要注意です。特に「図形と方程式」という単元は、バリエーション豊富な問題を作りやすい半面、学校や教科書ではじっくり取り組まないこともあり、忘れられがち。

東大数学では毎年のように出題されていますので、計画的に進めておきましょう。

「軌跡・領域」分野では、「順像法・逆像法」を使って解く問題が当然のように出されます。知らない、慣れていないと手が出ない問題もあるので、意識的に取り組んでください。

※ 順像法:xを固定し、パラメータが変化したときのyの値域を求める方法

※ 逆像法:ある点がその図形の中に含まれているかを判定し、図形を把握する方法

場合の数、確率

場合の数・確率も年によって難度が変化します。場合の数だけが出されることもありますが、数列との融合問題や確率漸化式も頻出!漸化式が出ても対応できる力をつけておきましょう。

場合の数や確率の問題は、事象の数だけ問題が作れるといわれます。問題設定のバリエーションが豊富だということですね。問題で与えられた条件やルールを、正しく把握できる力が求められます。数多くの問題に当たり、慣れておくことが大切です。

整数

整数は難問化しやすい分野です。確率同様、問題が多彩で解法のパターン化がしにくい分野でもあります。「解答の道筋が思い浮かぶかどうか」で差がつく分野だと言えるでしょう。

整数対策は、とにかく問題量をこなすのが正解。慣れる過程の中で、規則性や道筋が見つけやすくなります。

あるいははじめの小問だけを、力技で解いてしまうというのも方法。整数問題は部分点を取るに留め、他の分野で確実に得点できるようにする、という戦略も考えられます。

ただし他分野が難化した場合は数学全体の得点が下がるおそれがある、危険な方法であることも踏まえてください。

ベクトル

最近になって出題が増えているのがベクトル分野です。他の4分野ほどには「頻出」として定着しているわけではありませんが、東大は図形分野の出題を好みますから、注意して対策していたほうがベターです。

さまざまな問題集で取り組み、ベクトルの扱い方に慣れておきましょう。

<h2>東大文系数学対策におすすめの参考書&問題集5選

東大に合格したい!、そんなあなたにおすすめの、文系数学の演習用問題集を厳選して5冊ご紹介します。

苦手を補ってくれるもの、理解を深めてくれるものを探してみてください。

『チャート式「青」』(数研出版)

高校生にはお馴染みのチャート式は、「青」がおすすめ!

青チャートは難関大入試にまで対応する良問を多数収録、数学の全範囲を体系的に学習していける構成になっています。数学を深く、本質的に理解しておくことが重要な東大数学に向けて、基礎力養成にピッタリです。

解説も漏らさず丁寧に記述してあるので、数学的に整った記述も同時に学べます。

「赤チャート」も気になるかもしれませんね。結論を言うと、青チャートで十分です。「赤チャート」は難しすぎますし、実際の入試では、赤に収録されているレベルの問題は「解かない」という選択が圧倒的に多いでしょう。

青を確実に解けるようにしたら、過去問演習に進んでも大丈夫ですよ。

『Focus Gold フォーカス ゴールド』(啓林館)

『青チャート』と並び受験数学に必携といわれるのが『Focus Gold』です。高校で配布された、という受験生も多いかもしれません。

『青チャート』とレベルや問題が重複する部分も多いので、どちらか使いやすい方を1冊、徹底的に繰り返しましょう。

『Focus Gold』は別解が充実している点も評判です。東大文系数学では、「一見するとべクトルには見えないけれど、ベクトルで解ける」という問題が出題されたこともあります。さまざまなアプローチ法を知っていることは、対応できる問題が多いということ。有利になるポイントです。

数学を多面的に理解したい受験生は、『Focus Gold』に挑戦してみても良さそうです。

『入試精選問題集 文系数学の良問プラチカ』(河合出版)

『入試精選問題集 文系数学の良問プラチカ』は、青チャートやFocus Goldを終えた後、ハイレベルな問題演習に進みたいという時にピッタリ。

難関大で出題された入試問題から選りすぐりを収録していますので、はっきり言って易しい問題はありません。だからこそ、青チャートやFocusGoldの後におすすめしたいのです。実戦力を磨くには最適な教材です。

教科書や学校では習わない解き方が載っているなど、解説が充実していることも人気の秘密です。

『東大数学で1点でも多くとる方法』(東京出版)

繰り返し書いているように、東大文系数学は「部分点を1点でも取ること」も、大切な戦略です。では部分点はどんな時にもらえるのか?それを知るために、『東大数学で1点でも多くとる方法』は役に立ちます。

青チャートをはじめ、一般の問題集解答は「数学的に正しく、できるだけシンプルに」書いてありますよね。いわゆる「美しい解答」です。もちろん、そういった正しい解答の書き方を知ることは重要ですが、「苦しい現場でも、ちょっと頑張ればできる」方法を知っておくことは、本番でかならず役に立ちます。

1点を貪欲に取りに行く受験生、必携の1冊です。

『東大の文系数学27カ年』(教学社)

いわゆる「赤本」です。東大文系数学の赤本は、奇数年度ごとに最新版に更新され、合計27年分が収録されています。

東大は過去問と似た解き方をする問題が出されることがある、と出題傾向の項目で書きました。この一行で、過去問演習の重要性は十分伝わりますよね。1題1題、1問1問、「これは何をやらせようとしている問題なのか」「過去に解いた経験はないか」と考えつつ解くことで、東大数学のデータを蓄積していけます。

ネックは解説がシンプルすぎること。より詳しい解説がある問題集を使いたい場合は、『鉄緑会東大数学問題集』を見てみても良いかもしれません。

自分のペースで勉強したいなら「オンライン家庭教師」も

東大対策は、塾や予備校か、独学か?と悩むこともあるでしょう。

塾や予備校は受験の強い味方です。ただ通塾時間がかかることや、必要ない授業(すでに理解している、など)を受けなければならない場合もあるといった点で不満を持つ受験生も少なくないと聞きます。

自分のペースで勉強したいのに、塾・予備校のペースに合わせざるを得ず、それがストレスだという声も。

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まとめ

東大文系数学は、基本を重視した対策と、戦略的なアプローチが大切です。

まず基礎を高いレベルで完成させること。数学の正しい作法で解答を記述できるようにすること。頻出分野を中心に、苦手を作らないこと。そして最後には、あがいてあがいて1点を取りに行く貪欲さが、合格を届けてくれます。

東大数学を解けるようになるためには、典型問題の解き方を覚えつつ、それを使って問題演習の量をこなしましょう。最後は過去問演習で、東大の出題形式に慣れるというのが対策の順番です。

「東大の問題は誘導があるから、結構解きやすいよね」なんて言える日を目指して、頑張っていきましょう!

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