中学受験に合格できる直前期の過ごし方は?親・子の心構えや勉強ポイントを解説
受験する本人以上に、親が緊張してしまうのが「直前期」です。毎年、不安と焦りから何も手につかなくなる親御さんも少なくありません。
しかし親の不安は、子どもにすぐ伝わります。直前期こそ親はどっしりと構え、いつも通りの時間を過ごさせることに注力しましょう。
この記事では、合格できる受験直前期の過ごし方を解説します。親の心得、受験生本人の心得、また教科別学習のポイント、面接練習のコツなどもまとめました。
直前期を上手に過ごし、お子さんの中学受験を成功させるヒントとしてください。
目次
中学受験直前期「親の心得」
中学受験本番が間近に迫ったいま、親はどのように振る舞うべきでしょうか。お子さんが本番で実力を発揮するために、親が心がけるべきポイントを4つ解説します。
わが子を信じ切る
お子さんはここまで、本当によく頑張ってきました。親御さんから見れば「まだまだ」「もっと」と感じる場面もあったかもしれませんが、まだ年端もいかない子どもが一生懸命勉強してきたことは事実です。
直前期のいまだからこそ、お子さんのここまでの頑張りを大いに承認することが大切です。そして、頑張り続けてきたわが子を信じてあげてください。
大切なのは「徹底的に信じ切る」ことです。親の「もっとできたはずなのに」「あの時、こうしていれば」という思いは、ほんのわずかでも子どもに伝わります。直前期を迎え、ちょっとした刺激にも過敏になっているお子さんならなおさらです。
中学受験すると決めた日から今日までを思い出し、お子さんを「信じ切り」ましょう。
サポーターに徹する
中学受験直前期に親が果たすべき役割は「サポーター」です。勉強するのも受験するのもお子さん本人だという事実をあらためて確かめ、親御さんはお子さんが安心して本番に臨める環境を整えるよう徹底しましょう。
親御さんができるサポートには、「勉強面」「生活面」の2つがあります。そしてそのどちらも、お子さんが主体であることを忘れないでください。良かれと思うことでも、お子さんの気持ちを無視した行動は「サポート」にはなりません。
「ここはちょっと不安だから、もうちょっとやっておきたいな」「ここはもうやらなくても大丈夫、自信がある!」といった、お子さんの本心にも、積極的に耳を傾けるよう心がけましょう。
体調管理を万全に
直前期は普段以上に体調管理に気を付けましょう。本番となる1月・2月は、インフルエンザなどの感染症の流行期とも重なります。緊張やストレスから免疫力も低下しやすく、普段元気なお子さんも簡単に体調を崩しやすい時期でもあります。
まだまだ小学生、体調を崩さないよう多方面に気を配るのは難しいはず。親御さんが配慮し、元気に受験できるコンディションを整えてあげましょう。
とくに気を付けたいのは、以下の5点です。
-
- インフルエンザ予防接種を受けておく
- 手洗い・うがいなど、基本的な感染症対策を徹底する
- 室内が乾燥しすぎないよう、加湿器などを活用する
- 栄養がある食事を適量食べる
- 睡眠時間は十分確保する
インフルエンザ予防接種の効果持続期間は3~5か月といわれます。早く打ちすぎると本番前に効果が切れてしまうおそれもあるため、受験日程から逆算して接種日を決めましょう。
受験準備もぬかりなく
受験当日に向けての準備も進めていきましょう。受験票の確認、当日持っていくテキスト・ノートの選定、服装など、当日の朝になって慌てないようにそろえておきます。
受験する学校のスケジュールを一覧にしておくのもおすすめです。受験日、合格発表日、入学手続き締め切り日をカレンダーに書き出すと、大事な期限を俯瞰できます。
受験当日に小さいお子さんを預かってもらう必要がある場合は、早めに預け先を手配しておきましょう。
また事前に一度、会場まで足を運んでおきます。受験日と同じ曜日・時間帯に行ってみると、周辺の混雑状況や信号の待ち時間、乗り換えにかかる時間などが把握できます。交通機関の遅延・運休に備え、第2・第3のルートも見つけておきましょう。
中学受験直前期「受験生の心得」
続いて、受験生であるお子さん本人が直前期に心がけたいポイントを解説します。焦り、不安、開き直りなど、気持ちが不安定になりやすい時期だからこそ、「いつも通り」を維持するよう声をかけてあげましょう。
マイペースを保つ
マイペースとは、お子さん本人が心地よく過ごせるペースです。周りの言動に影響されやすい直前期こそ、マイペースに過ごすことを心がけましょう。
おやつを食べたり、時間を決めて動画を見たりなど、好きなことをして気分転換するのもおすすめです。緊張が続くと精神が疲れ、普段ならやらないミスをしてしまう場合もあるからです。適度にリラックスした方が、実力を発揮しやすくなります。
新しい勉強はしない
直前期に入ったら、新しい勉強に手を付けるのはやめましょう。新しい教材を始めるのもNGです。受験までに教材を終えられない可能性も高く、「全部できなかった」という不安の種を植えることにしかならないからです。
直前期は、これまでに勉強してきた内容の復習に取り組ませてください。全範囲を復習するのは時間的にも難しいため、「不安がある問題」「以前できなかった問題」などをピックアップし、解き直します。しっかりできるようになっていることが確認できれば、自信と安心感につながります。
過去問を徹底的に
直前期には、過去問演習が学習の中心になります。受験予定の学校の過去問を繰り返し解き、特徴や傾向を把握しましょう。出題傾向は数年ごとに変わるのが一般的です。過去3年分の問題を解き、最近の傾向を身体に叩き込みましょう。
また過去問を解く際は、教科ごとの時間配分も確認します。直前期はもっとも実力が伸びる時期です。数週間前に決めた時間配分が、すでに合わないことも考えられます。あらためて時間配分を確認し、本番を想定して準備しましょう。
過去問は、何度解いても構いません。直前期の「過去問ができた」「合格点が取れた」体験は、大きな自信につながります。解いたことがある過去問でも、繰り返しチャレンジしてみてください。
苦手を追求しすぎない
「苦手を克服しなければ」という思いは、直前期には捨てましょう。ここまでさまざまな方法で頑張ってきて、それでも残ってしまったのが今の“苦手”です。直前期に焦って何とかしようと思っても、空回りして焦りを生むだけになる可能性の方が高いのではないでしょうか。
苦手分野は「本番で出たときに、1点でも取る」ことを目標にし、基本問題の解法確認にとどめるのがおすすめです。「(3)は解けなくても、(1)(2)までは解けるようにする」といった具合に、戦略的に取り組みましょう。
教科別・中学受験直前期の学習ポイント
教科別に、中学受験直前期の学習ポイントを解説します。一つの参考として、お子さんにとってベストな学習計画を立てるヒントとしてください。
算数
受験直前期の算数は「できる問題を確実に得点できる」状態に完成させることが大切です。緊張すると、普段できていることができなくなる場合があります。当たり前に見える以下のポイントを、あらためて確認しておきましょう。
- 計算や数字は、誰が見てもわかるよう丁寧に書く
- 繰り上がり・繰り下がり、小数、分数を正確に扱う
- 定義・定理を正しく暗記しているか確認する
- 単位を書くべき問題は忘れずに書く
「100点を取らないと合格できない」と思わないことも大切です。受験科目の得点を合計したときに、ボーダーラインを越えていれば合格できるのです。
算数は中学受験の合否を分ける重要教科とも言われますが、プレッシャーを感じ過ぎず、「できる問題で確実に得点できる」よう取り組みましょう。
国語
直前期の国語は、「漢字」と「過去問」がポイントになります。
漢字はトメ・ハネ・ハライや画数、形を正確に書けるよう、復習しておきましょう。音読み・訓読み、よく出る熟語を見ておくのも良い勉強です。漢字はライバルも確実に得点してきます。1問も失点しないつもりで、丁寧に確認します。
読解は直前期に大きく力を伸ばしにくい分野です。出題される文章の傾向や分量を把握するつもりで、過去問を読み込むのがおすすめです。問題に呼応した回答の書き方、選択肢の特徴などもチェックします。
理科
理科は「過去問演習」と「暗記」に取り組みましょう。
学校によって頻出分野や頻出問題に特徴がでやすいのが、理科です。過去3年分の問題を見て、よく出る分野・形式は確実に解けるよう繰り返し練習しましょう。
ただし、いわゆる“山”を張るのは危険です。今年から傾向が変わる可能性も考えられるためです。物理・化学・生物・地学の各分野とも、まんべんなく復習しましょう。
また資料の読み取り問題や考察・表現力が必要な問題も増えています。自分の言葉で回答を書ききれるよう練習させてください。
暗記は当日の朝まで取り組める学習です。「親御さんが用語を言い、お子さんが意味を答える」など、クイズ形式で反復し、知識を定着させましょう。
社会
暗記すれば得点できる社会は、直前期にも成績が伸びやすい教科です。一つでも多くの用語を確実に覚え、得点力アップを目指しましょう。
注意したいのは、「用語を覚える」ことに一生懸命になるあまり、「漢字」「用語の意味」が置き去りになってしまうパターンです。社会の用語は、「意味を知り、漢字で正しく書ける」ようになって初めて得点につながります。
また時事問題も出題されやすいため、1年以内に起きた主要ニュースを振り返るのもおすすめです。
- なぜ起きたのか(背景)
- 何のために行われたか(目的)
- その結果どうなったか(展開)
以上の3点に注目して時事ニュースを振り返ると、本番で生きる知識となります。
中学受験直前期には面接練習も入念に
お子さんは、塾でも面接練習を重ねてきたことでしょう。直前期には、当日慌てないようあらためてポイントを思い出しておく練習が大切です。
想定外の質問や困ったときの対応も教えておきましょう。
面接の心構え
中学受験の面接は、学力検査だけではわからない個性を見極めるために行われます。身だしなみや振る舞い、言動の一つひとつをチェックされていることを、あらためて確認しましょう。
また面接には、「受験生に何か問題はないか」を見極めようとするものと、「キラリと光るものはないか」を見つけようとするものとがあります。
問題点を見つける面接であれば、問題点がなければ基本的に合格となります。受験生らしい振る舞いや受け答えができるようにしましょう。
キラリと光るものを見つけたい面接の場合は、基本的な態度や受け答えが良いことはもちろんのこと、他の受験生にはない長所や特技をアピールする必要があります。
過去にその中学で聞かれた質問集などを利用してどちらの面接傾向が強いかを見出し、合格できる受け答えを練習しておきましょう。
面接を突破するポイント
中学受験の面接を突破するポイントは、「受け答え」と「振る舞い」です。
中学受験では定番とされる質問があります。志望動機や将来の夢、小学校生活について尋ねる質問などです。質問の一つひとつに、丁寧にわかりやすく、具体的に答えることができれば、第一歩クリアです。
定番質問に対する回答を準備する際は、「PREP」の順番を意識します。PREPとは話の内容が理路整然と相手に伝わりやすい情報の並べ方で、ビジネスシーンでも活用されます。
◎ PREP
R:Reason(理由)
E:Example(具体例)
P:Point(まとめ)
たとえば「将来の夢」という質問に対してPREPで回答すると、以下のようになります。
私は将来、英語を使って日本の魅力を海外に発信する仕事がしたいです。(P)きっかけは、小学校2年生のときにホームステイにいったことです。文化や価値観、生活スタイルが違う現地の友だちと、お互いに自分のことを伝えあい、分かりあえた経験がとても印象的だったからです。(R)
国際コミュニケーションに力を入れている〇〇中学で国際バカロレアのプログラムを学び、将来は海外の大学に進学したいと思っています。(E)
目標に向かって、仲間と切磋琢磨しながら、有意義な6年間を過ごしたいです。(P)
また、基本的な振る舞いも確認しておきましょう。
-
- 話すときは相手の目を見る
- ハキハキと聞きやすい声で話す
- 手遊びをしたり、足をブラブラさせたりしない
- 座るときは背筋を伸ばす
- お辞儀をきちんとする
ご家庭でも、ぜひ練習してみてください。親御さんが相手だとお子さんも恥ずかしがって上手にできないかもしれませんが、良いところを褒めていくと徐々に完成度があがっていきます。
面接で困ったときは
面接中に困ったことになったときの対応も、しっかり伝えておきましょう。初めての場所では緊張し、冷静で適切な判断ができないケースも多いためです。
よくある困ったシチュエーションは、次の3つです。
-
- 面接を待っているあいだに、トイレに行きたくなった
- 答えられない質問をされた
- 用意しておいた解答をすっかり忘れてしまった
トイレに行きたい場合は、近くの先生に申し出ること。
答えられない、答えを忘れてしまった場合は、その場で思う素直な回答を一生懸命伝えること。
この2点を伝えておくだけで、お子さんは安心して本番に臨めるようになります。
無事、受験が終わったら…!
中学受験の直前期は、もしかしたら受験で一番大変な期間かもしれません。刻々と減る残り時間、付きまとう「合格できるのか?」という不安、わが子を信じたい気持ちと焦る気持ち……さまざまな思いが入り混じるからです。
でも、ここまできたら、受験ストレスもあと少しです。受験を乗り切れば、思う存分お子さんを褒め、甘やかせます。親子とも我慢を続けた数年を取り戻すべく、たくさんハグしてあげてください。
親子で美味しいものを食べに行くのも良いですね。時間を気にせず、流行りのカフェに並んでみるのも楽しそうです。旅行や温泉、BBQ、レジャー…、楽しい春が、もうすぐそこに来ています。
直前期まできたら、あと少しです。
最後までお子さんと二人三脚、走り切りましょう!
まとめ
中学受験対策は「時間との戦い」とも言われます。2月にピークを迎える試験に向けて、限られた時間で学習の完成度を高めないといけないからです。学習効率の良い方法を取り入れるのはもちろん、「時間効率」も意識しないといけません。
「塾でわからなかった問題を、家で先生に質問できたらいいのに」
「日曜日の午前中、サクッと勉強できたらいいのに」
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