【ADHDの勉強法】特性を生かして集中できる勉強をしよう
ADHDの子が勉強でつまずいたとき、どうサポートすればよいか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
ADHDの子でも、工夫次第で効率よく学習することが可能です。この記事では、子どもの特性を踏まえた上で、ADHDの子に向いている学習法を分かりやすく解説します。受験勉強や親の関わり方についても紹介するので、ADHDを持つ子の勉強法について知りたい人必見です。
ADHDとは?
ADHDを持つ子が集中して学習できるよう、どんな特性を持つのか理解しましょう。ここでは、ADHDの概要と特性、勉強との相性について分かりやすく解説していきます。
発達障害のひとつ
ADHD(注意欠如・多動症)は発達障害のひとつです。発達障害者支援法では、発達障害を次のように定義しています。
“この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。”
発達障害の子どもは、生まれつき脳の働きが違うため、小さいころから特徴が現れます。他の精神疾患でも発達障害と似た症状が見られるため、成育歴も診断の資料となります。
ADHDの特性
ADHDの特性は多くの子どもが持っているものです。しかし、集団生活が送れないほど困った状態の時には診断名がつけられ、治療やフォローが行われます。ADHDの主な特性は次の2つです。
- 多動性・衝動性
- 不注意
多動性・衝動性で一番分かりやすいのは体の動きです。じっとしているのが苦手で、気になることがあると衝動的に動いてしまいます。静かにしなければいけない場でも、気持ちのコントロールができず動きが止められません。
ADHDの子は思考にも落ち着きのなさが見られます。1つのことを考えようとしても、どんどん違うことが思い浮かんでしまい考えがまとまりません。一度にいろいろなことを考えるので、体も口もよく動くのが特徴です。
不注意の特性は整理整頓ができない、忘れ物が多いなどの行動に現れます。不注意が強い子はボーッとしていて迷惑をかけにくいため、ADHDだと気づかれにくいです。多動性・衝動性とは正反対に見えますが、これもADHDの特性です。
勉強との相性
ADHDは集中時間が短く、勉強方法によっては合わない場合もあります。ADHDと勉強との相性を、得意・不得意に分けて解説します。
【興味を持ちやすい勉強】
- 映像や音楽などを使った学習
- 自分の意見を発表する学習
- 新しい単元の学習
映像や音楽を使った学習はよい刺激となるため、ADHDの子の興味をひきやすいです。それでも長時間は飽きてしまうでしょう。発想が豊かなので、自分の意見を自由に発表できる場面は得意な子が多いです。
また、目新しいことに興味を持つので、新しい単元の学習には食いつきがよいです。しかし、自分の興味がない分野だったりするとやる気を失い飽きてしまいます。
【興味を示しにくい勉強】
- 漢字練習や九九などの反復学習
- 長文の読解や文章題
- 似たような問題が続くドリル
同じ漢字を何度も書いて覚えるなど、こつこつ積み上げていく学習は苦手です。努力して成績を上げようとはあまり考えないので、同じことの繰り返しは苦痛を感じます。予習すると学校での勉強は「もう家でやったからやらない」という子もいます。
ADHDの子に向いている勉強法
ADHDの子に効果的な学習をするには、特性を考慮した勉強法を取り入れるのが最適です。ADHDの子に向いている学習法を6つに分けて紹介します。
図や絵を使って勉強する
図や絵を使っての学習はADHDの子に向いています。文章だけより直感で分かりやすく興味を持てるためです。
ADHDの子は、集中して文章を読み込むのが苦手です。長い文章を見ただけでやる気をなくし、できる問題でも拒否する場合もあります。
文章だけでなく図やイラスト、写真などが入っていると興味をひきやすいです。目で見る情報はインパクトが強いので内容が理解しやすいでしょう。
勉強の予定をリストにして確認する
ADHDの子は、勉強の予定をリスト化して確認するとよいでしょう。決められた学習をこなすのに役立ちます。
ADHDの子は特性により、予定を忘れて中途半端になることがよくあります。他の事に気をとられて忘れたとしても、リストを見れば勉強を再開するきっかけとなるでしょう。
学習を始める前に取り組む勉強の予定を子どもと一緒に確認するのがポイント。自分で決めた予定であれば納得して取り組みやすいです。
短期目標を設定しクリアしていく
短期目標を設定しクリアしていく学習方法は、ADHDに向いています。短時間で達成できる目標があるとやる気につながるためです。
ADHDの子は、脳の特性により集中力が途切れやすいです。長時間かかる目標では達成できないどころか、初めからやる気を持てず手を付けない恐れもあります。
確実に学習させるには、短時間で終わる目標を作るのがベターです。スモールステップで進むよう意識して課題を考えると、ADHDの子でも無理なく取り組めます。学習の手ごたえを感じさせるよう、少し頑張れば達成できる程度の課題を用意するとよいでしょう。
動いていてもできる勉強を取り入れる
多動がちなADHDの子には、動いていてもできる学習メニューを取り入れてみましょう。座っているのが苦手な子でも学習に取り組めます。
学習といえば座って取り組むイメージですが、発達障害を持つ子はじっとしているのが苦手です。親も座ることへの固定観念を取り払い、動いていてもいい課題を与えてみましょう。例えば、覚えたり話したりする課題なら動いていても取り組めます。
トランポリンやバランスボールなどを用意しておくと、その場で動けるのでおすすめです。
二者択一で勉強していく
2つの学習内容を見せ、どれからやるか選ばせるのもよい方法です。自分で選んだ学習には興味を持って取り組めるためです。
ADHDなど発達障害を持つ子は、人から押し付けられるのを嫌がる傾向が見られます。決められた学習メニューには、なんとなく反発してしまうことも。自分で選んだ学習なら、納得して取り組めるでしょう。
課題を与える際の注意点は、やらない選択肢を与えないことです。「やる」「やらない」では、やらない方を選ぶでしょう。必ず何か学習させるよう、子どもの興味関心も踏まえての課題選びが重要です。
好きな勉強は気が済むまでやる
好きなことがあるADHDの子には、得意分野の勉強を好きなだけさせてもよいでしょう。興味のある分野を追求し、才能が開花するかもしれません。
ADHDなど発達障害を持つ子には、苦手分野を無理に学習させようとしても伸びにくいものです。脳の特性が原因なのでなかなか伸びず、本人も周りもつらい思いをする恐れがあります。
逆に好きな分野には、ものすごい集中力を発揮します。得意分野の成績を伸ばしつつ、苦手分野の底上げを狙っていきましょう。
ADHDの子が勉強に集中するための工夫
ADHDの子は集中力が切れやすいため、学習環境の工夫が大切です。ここでは、ADHDの子が勉強に集中するためにできる工夫を3つ紹介します。
壁や仕切り板などで他のものが視野に入らないようにする
学習する際には、壁や仕切り板などを利用し、他のものが視野に入らないよう工夫しましょう。
ADHDなど発達障害の子は、目で見る情報から強い刺激を受けやすい子もいます。視覚優位という特性で、空間把握が優れている反面、見える情報をすべて受け取りがちです。見えるものが多いと気が散りやすく集中できません。
視野を狭めると、取り組む問題だけが見えて集中しやすくなります。壁を正面にして学習机を設置したり、机で使えるパーテーションなどを利用したりするとよいでしょう。
雑音などの刺激が少ない環境をつくる
雑音などが聞こえない、静かな環境を作ってあげましょう。音による刺激を受けにくくなり、学習に集中できます。
ADHDを持つ子には、先に紹介した視覚優位の他、音に敏感な聴覚過敏の子もいます。このタイプは話をよく聞き覚えていますが、ちょっとした音に反応し集中が途切れがちです。できるだけ静かな環境で学習させるようにしましょう。
しかし、音は突然聞こえるものなので防ぎきれない場合もあります。聞こえる音を小さくするイヤーマフの使用やデジタル耳栓、イヤホンのノイズキャンセリング機能を使うのも1つの手です。
疲労がたまらないようにする
ADHDの子が集中して学習するためには、疲労をため過ぎないことも大切です。集中しすぎる場合など、親が適度にコントロールしてあげてもよいでしょう。
発達障害の子は、周りからの刺激をダイレクトに受けやすく、普通の生活でも疲れがちです。疲労の自覚がない子もいるので、疲れがピークになるまで好きなことをやり続ける場合も。突然、電池が切れたように動けなくなる子もいます。
学校での学習に集中できるよう、生活リズムを整えてあげたり、そろそろ休むよう声掛けをしたりするのがおすすめです。
ADHDの子の受験勉強の工夫
ADHDの子が受験に臨むとき、志望校に合格できるようフォローも大切です。ADHDの子が効果的な受験勉強をするための工夫を3つ紹介します。
志望校選びは慎重に
慎重な志望校選びがADHDの子には必要です。自分の特性にあったテスト方式を取り入れている学校だと、合格の可能性が高まるためです。
例えば、得意科目や分野の配点が高い学校だと、苦手分野があってもカバーできます。マークシート方式で転記ミスをしてしまうタイプは、記述式問題が多く配点の高い学校もいいでしょう。ケアレスミスを防ぎ、確実に点数を取ることができます。
学校で教わる範囲外の対策
志望校が決まったら、教科書の学習以外でテストに出そうな問題の対策も考えましょう。受験では、学校で教わらないことを出題するケースもあるためです。
受験勉強は、親では対策しきれない場合も多いものです。効果的に対策するなら、発達障害に理解のある塾や家庭教師の利用がおすすめです。子どもの特性に合わせながら、効果的な学習方法を模索してくれるでしょう。
得意不得意を把握して対策
ADHDを持つ子の受験には、子どもの得意不得意を把握し、特別な対策が効果的です。苦手分野をカバーするため、得意分野を重点的に伸ばすとよいでしょう。
しかし、発達障害の特性のある子どもに、親が勉強を教えるのは大変難しいことです。反抗期などで親の言葉に反応する時期は、声掛けが逆効果になる場合も。ナーバスな受験の時期、親子関係が悪化するのは避けたいところでしょう。
特性を持つ子どもの勉強は、プロに任せた方が安心です。発達障害の生徒を受け入れ可能な塾や家庭教師に依頼するのもよいでしょう。親は生活面のフォローに専念でき、子どもとの信頼関係を保ちながら受験に向かえます。
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ADHDの子の勉強への親の関り方
ADHDの子には、親の関わり方も重要です。どのような関わり方がよいのか、3つのポイントに分けて解説します。
勉強しやすい環境を整える
家庭では、ADHDの子が勉強しやすい環境を整えてあげましょう。気が散りやすいため、静かで物の少ない場所を用意します。
スマホが近くにあると脱線しやすいので、勉強中は離れた場所におくとよいでしょう。子どもが納得したうえで、スマホ依存対策のアプリやタイムロッキングコンテナの使用が効果的です。
いいところを褒めて伸ばす
いいところを褒めて伸ばすのは子育ての基本です。特にADHDなど発達障害を持つ子は失敗も多いため、意識的にほめてあげましょう。
発達障害を持つ子は、固定観念にとらわれないのでユニークな答え方をすることがあります。ADHDの子が持つ豊かな発想が課題解決の近道となることも。個性をつぶさないためにも「そういう考え方もあるんだね」と認めてあげるとよいでしょう。
特性を把握して有効な声掛けを
子どもの特性を把握すると、子どもに伝わりやすい声掛けができるようになります。同じ診断名でも、特性は子どもによって違います。ADHDの特性を踏まえつつ、子どもをよく観察し声掛けを工夫するとよいでしょう。
例えば、集中力がないタイプは、指示が長いと理解できない可能性があります。短い文章で伝えたり、図やイラストを使うと理解しやすいです。予定を気にするタイプなら、予定リストを一緒に確認すると安心します。
まとめ
ADHDの子が効率的に勉強するには、余計な物が見えない静かな環境作りが大切です。特性に合わせた声掛けで、子どものやる気や集中力を引き出しましょう。
志望校選びには、受験でどのような問題が出るかも確認してください。子どもの得意分野を生かせるテスト形式なら、高得点を狙いやすいでしょう。
勉強面は、発達障害に理解のある塾や家庭教師にまかせるのもよい方法です。二次障害などで外出が難しいなら、オンライン家庭教師という手も。ネット環境があればどこでも授業が受けられるので、試してみてはいかがでしょうか。