高校生で英検®2級取得は可能?合格率や効率的な勉強のコツを解説
英検2級を受験する高校生は、年間8万人以上に上ります。高校生が英検を受験する主な目的は、「大学入試のため」だそう。英検を含む英語外部試験を活用した大学入試日程も数多く、「高校生は英検2級を目指して当たり前」という空気を感じる高校生も多いかもしれません。
しかしいざ2級を目指そうとしてみると、「本当に受かるのかな?」「どんな問題が出るのかな」「対策は何をすればよいのかな」とわからない点もさまざま出てくるのではないでしょうか。
この記事では高校生の英検2級取得に必要な予備知識や出題傾向、勉強法などを詳しく解説します。英検2級取得に向けて、早速一歩を踏み出しましょう。
目次
高校生の英検®2級合格率
高校生の英検2級合格率は、一次試験で3割程度と見られています。以下は、英検を主催する⽇本英語検定協会が公表した高校生の合格率です。
2016年度 第1回検定 一次試験 合格率 |
2015年度 第1回検定 一次試験 合格率 |
|
---|---|---|
2級 | 34.0% | 27.0% |
準1級 | 18.0% | 15.0% |
1級 | 44.0% | 23.0% |
(参考:実用英語技能検定公式ページ)
参考値として準1級・1級の合格率も添えました。公表年度がやや古いのは、2016年を最後に日本英語検定協会は合格率の発表をやめたためです。
また英検2級では、一次試験(筆記・リスニング)の合格者に対して二次試験(面接)を課します。二次試験の合格率もチェックしてみましょう。
ただし二次試験の合格者は高校生以外も含む、全体で集計されています。
2016年度 第1回検定 二次試験 合格率 |
2015年度 第1回検定 二次試験 合格率 |
|
---|---|---|
2級 | 80.4% | 83.9% |
準1級 | 89.8% | 89.1% |
1級 | 66.2% | 66.2% |
(参考:実用英語技能検定公式ページ)
一次試験合格者のうち、8割以上が二次試験も突破しています。高校生の一次試験合格率が3割前後だったことを踏まえると、高校生が英検2級を取得する壁は「一次試験の合格」にあるといえそうです。
英検®2級の難易度
英検2級の難易度を、「必要な語彙数・レベル・合格得点率」から詳しく解説します。
語彙数
英検2級合格に必要な語彙数は、3,800~5,100語といわれます。
2級合格に必要な語彙数を、高校生に馴染み深い大学入試と比較するとわかりやすいかもしれません。一般的に共通テストでは4,000~5,500語、難関大個別試験では6,000~7,000語が必要です。
つまり英検2級合格には、少なくとも共通テストレベルの語彙が必要だということです。英検2級の受験目安レベルは「高校卒業程度」ですから、大学入試レベルの力が必要なのもうなずけます。
レベル
英検2級の受験推奨目安は「高校卒業程度」です。扱われるテーマに自然科学や環境、医療、テクノロジー、ビジネスなどの難度の高い題材が登場するのも、2級からです。必然的に必要な語彙のバリエーションや読解スキルも高くなるため、「2級から急に難しくなった」という感想を抱く受験者も少なくありません。
高校の教科書以外にも、収録分野の広い単語帳や長文問題集を活用し、入念に対策した上で本番に臨みましょう。
合格得点率
「何問正解すれば一次試験に合格できるのか」は、実は公式には発表されていません。
英検は「CSEスコア」と呼ばれる独自の計算方法で得点を算出しているからです。1問あたりの配点もわからず、さらに試験の度に変動します。大学入試の得点調整で見かける「得点換算表」もありません。
参考となるのは、英検協会が公表する「各技能6割程度の正答率の受験者の多くが合格されています」という文言でしょう。英検2級を目指す高校生は、まずは「正答率6割」を目指してください。
各技能で均等に6割とれないと合格できないわけではなく、得意な技能で苦手をカバーすることも可能なようです。ただし、どの程度正解すれば他をカバーできるのかは明確ではないため、まんべんなく対策しましょう。
高校生が英検®2級を目指すべき理由
年々増加する英検受験者数の中でも突出しているのが、2級を受験した高校生の数です。2016年には84,741⼈にのぼりました。
高校生が英検2級取得を目指すのは、メリットがあるからです。メリットを踏まえつつ、高校生が英検2級を目指すべき理由を3つ、解説します。
大学入試で恩恵が受けられる
英検2級取得は優遇措置が受けられたり、出願できる入試日程が増えたりと、大学入試でも大きな意義を持ちます。一例を見てみましょう。
◎ 専修大学(一般選抜 前期入学試験〈英語重視(C方式)除く〉の全学部・全学科)
英語外部試験の基準スコアに応じ、英語試験の得点を換算し合否判定。
80点換算 | 90点換算 | 100点換算 | |
---|---|---|---|
実用英語技能検定 英検CBT®、英検 S-CBT®含む |
2級またはCSE2.0 1980 – 2303 |
2級かつCSE2.0 2150 – 2303 |
準1級以上または CSE2.0 2304以上 |
◎ 東洋大学(一般入試前期日程(英語外部試験利用入試))
英語外部試験の基準スコアに応じ、英語試験の得点を換算し合否判定。
英語外部試験スコアを利用すると、一般入試の入学検定料が割引(1出願につき35,000円 ⇒ 20,000円)
※ 英検は一次試験のみ、二次試験のみ受験でも可
80点換算 | 90点換算 | 100点換算 | |
---|---|---|---|
実用英語技能検定 英検CBT®、英検 S-CBT®含む |
CSE1980以上 | CSE2150以上 | CSE2304以上 |
※ 優遇措置の内容は過年度事例の場合があります。
英語4技能が伸ばせる
英検には筆記試験と聞き取り試験、面接があります。英語4技能(リーディング・リスニング・ライティング・スピーキング)を網羅的に伸ばせる試験という点でも、高校生が目指したい試験です。
英語4技能は、留学や就職など将来を考えたときにも必要となります。海外留学を目指す学生におなじみの「IELTS(アイエルツ)」や「TOEFL」も英語4技能を測る試験ですし、社内公用語を英語にする企業が増えていることからも、4技能の必要性はますます高まっています。
ちょうど良い難易度の英語学習ができる
英検の過去問を見て、「定期テストや共通テストと似ているな」と感じたことがある高校生も多いかもしれません。実際、英検に必要な対策は高校で学ぶ内容や大学入試対策とかさなる部分も多いのです。
また英検2級は「高校卒業程度」が受験推奨目安であり、高校生が卒業までに取得するのにレベルもピッタリ。英検の勉強は決して特別にしないといけないものではなく、普段の勉強の延長線上にあるものだという点も、高校生が2級を目指すべき理由です。
英検®2級の試験内容
これから英検2級を目指す高校生のために、出題内容を詳しく解説します。実際の問題例も添えますので、傾向をしっかり把握しておきましょう。
一次試験
英検2級の一次試験は、「リーディング」「ライティング」「リスニング」の3つの要素で構成されます。
試験時間は筆記が85分とリスニングが約25分、総問題数は69問です。
(引用:2級の試験内容|日本英語検定協会)
リーディング
リーディングは「1 短文の語句空所補充」「2 長文の語句空所補充」「3 長文の内容一致選択」という3題で構成されています。
「1 短文の語句空所補充」は、やや単語レベルが難しいのが特徴です。ただ英語の基本知識を押さえていれば、確実に解ける問題が多め。ひっかけや奇問はありません。
(引用:2級の過去問 2022年度第1回|日本英語検定協会)以下同
「2 長文の語句空所補充」では、短めのパッセージが2題出されます。それぞれに3つずつの小問があり、合計6問を解答します。全体の流れをとらえる読解力と語彙力が必要となるため、この問題を苦手とする受験者も少なくありません。
もし苦手意識がある場合は、他の問題対策を完成させてからあらためて向き合っても良いでしょう。
「3 長文の内容一致選択」はパッセージが3つあり、各設問で示された選択肢から内容と合うものを選ぶ問題です。選択肢の難度は高くないのですが、文章量が急に増えるため読解に手間取る可能性があります。語彙力を十分につけておき、スピーディーに読めるよう練習しましょう。
ライティング
ライティング(英作文)では、80~100語の英文を書くよう求められます。テーマが与えられ、条件に従ってまとめましょう。
「理由を2つ含まないといけない」点に注意が必要です。1つだけでは減点されます。
結論から書き始め、理由を2つ列挙し、最後に総括の一文をいれる構成が書きやすいでしょう。自分なりの型を作り、時間内に完成させられるよう繰り返し練習してみてください。
また自分で書いたものは、英語科や塾の先生などに添削を依頼しましょう。自分では気づけない文法的な誤りやスペルミスが見つかることもあります。
リスニング
2級のリスニング試験は、「1 会話の内容一致選択」「2 文の内容一致選択」の2題で構成されています。英文はすべて一度きりしか読まれません。聞き逃さないよう、細部まで集中して聞き取るようにしましょう。
「1 会話の内容一致選択」での会話は、ビジネスシーンなど高校生には馴染みの薄い場面が多くなります。知っている語彙を駆使し、「誰が・何を話しているか」主旨をつかむことを意識してください。
「2 文の内容一致選択」は、スピーカー1人が話すナレーション形式です。文法知識を知っていると聞き取りやすくなります。
二次試験(面接)
二次試験は一次試験合格者のみ受験できます。スピーキング力を評価する試験で、面接官と1対1で行います。
英検2級二次試験の流れは、次のとおりです。
- 入室、本人確認、挨拶
- 問題カード配布(パッセージと3コマのイラスト)
- パッセージの黙読(20 秒)
- パッセージの音読
- パッセージについての質問
- イラストの展開説明
- 受験者自身の意見を問う質問
- 問題カード返却、退室
パッセージや質問のレベルは、一次試験に合格した高校生なら十分理解できます。もし面接官の質問が聞き取れなかった場合などは、聞き返してOKです。自然な流れの中での聞き返しは減点とはなりません。
焦らず落ち着いて、いま答えるべきことを丁寧に返答できるよう練習しましょう。
英検®2級に合格する勉強方法
英検2級に合格するためには、どのような勉強をすれば良いのでしょうか。一次試験対策・二次試験対策それぞれに分けて、勉強で押さえるべきポイントを解説します。
一次試験対策
一次試験に向けては、まず語彙力を強化してください。英検対策、あるいは大学入試向けの単語帳を2冊ほど用意し、丁寧に暗記します。
2級では個人取引や企業・経済活動、社会参画、調査研究に関する単語など、単語ジャンルも幅広く網羅する必要があります。語幹と派生語、類義語・対義語など、まとめ方を工夫して覚えていきましょう。目指す単語量のゴールは、5,000語です。
文法は学校で配られた文法書で確認します。また英文はできるだけ文脈から理解する、直読直解を意識してトレーニングしてください。本番同様の時間制限をし、大問ごとに目安時間を割り振って練習すると時間感覚が養成できます。
リスニング対策としておすすめは「シャドーイング練習」です。長い文章を集中を途切れさせずに理解するトレーニングになります。単語帳の音源や過去問などを活用し、隙間時間でシャドーイングに取り組んでみてください。
二次試験対策
英検二次試験対策には、専用のテキストを利用しましょう。音声が入った教材を用意し、全体の流れと質問される内容を理解します。また実際に声に出して音読することも大切です。黙読と同程度の流暢さで読めるまで反復します。
試験の流れが理解できたら、英語科や塾の先生に模擬面接をやってもらいましょう。場面にあわせて身体を動かしてみるとより面接の雰囲気がわかり、当日の緊張緩和にも役立ちます。
高校生の英検®対策のコツ3つ
忙しい高校生が、英検対策を効率良く進めるコツを3つ解説します。学校の勉強や部活との両立、勉強法、また塾に通うべきか?といった観点から、英検対策のポイントを見てみましょう。
普段の学習を活かした対策計画を立てる
英検2級合格に必要なレベルは、大学入試共通テストとよく似ています。普段の勉強の延長で受験できるという高校生ならではのメリットを生かし、大学入試対策と英検対策を両立できる計画を立てましょう。
普段の学習は大学入試に向けて基礎を固め、英検の試験直前に過去問対策で感覚をつかむ手順で進めるのがおすすめです。
単語帳や問題集も、基本的に大学入試対策と共通のものが活用できます。むやみに教材を買い込むのではなく、いまあるものを利用できないか考えてみましょう。
英単語を優先的に覚える
5,000語が必要とも言われる英検2級対策では、英単語学習が最優先になります。共通テストレベルの英単語は確実に読める・書ける・意味が分かる状態を目指してください。単語帳のほか、英単語アプリも便利です。
2級では、過去以下のような単語が出ています。政治・経済、国際問題、ビジネス、医療、自然科学など、スペルが長い単語も頻出です。
- fertilizer 肥料
- purchase ~を購入する/購入
- deceive を欺く
- prosecution 起訴,告訴
- senate 上院
- lord 領主,支配者
- patch 当て布,布切れ
- vulnerable 傷つきやすい
- manufacturer 製造元,製造業者
- prosecutor 検察官
形容詞形・副詞形も同時に覚える、派生語や対義語も押さえるなど、効率良く覚えていきましょう。
プロのサポートを受ける
高校生の英検対策は、プロのサポートを受けるのもおすすめです。英語塾や英会話スクールなどでは、ポイントを押さえた効率の良い指導が受けられます。
プロに相談するメリットは、限られた時間で合格できる「学習計画」を立ててもらえる点です。試験日に間に合うように、さらに学校の勉強や部活とも両立できる計画はどのように立てれば良いのか、プロならではの工夫を教えてもらえます。
もし近くに良い塾やスクールがない場合は、オンラインでの受講も検討してみてください。
高校生の英検®対策にはオンライン家庭教師がおすすめ
忙しい高校生の英検対策には、オンライン家庭教師が向いています。オンライン家庭教師とは、自宅でマンツーマン指導が受けられるサービスで、利便性とハイクオリティな指導で近年人気が高まっています。
生徒と講師はパソコンやタブレットを介して対面しており、リアルタイムでやり取りが可能。一次試験対策のほか、二次試験のスピーキング対策も自宅で練習できます。
中でもオンライン家庭教師ピースは、お子さんと講師の相性にこだわるオンライン家庭教師です。英語の実力や目標、希望の指導形態などにあわせて、3,000人以上の登録講師から最適な1人を紹介します。ピース自信のマッチング力を、体験授業でぜひ実感してください。
まとめ
高校生の英検2級合格率は、一次試験で3割ほどです。一次試験を突破した二次試験では8割の受験者が合格していることからも、英検2級の関門は「一次試験」にあるとわかります。
一次試験に合格するためには、およそ6割の正答率が必要です。幅広い分野を網羅した単語力と基本的な文法知識を土台に、時間内に正確に文章を理解できる読解力を養成しましょう。
英検2級に向けた勉強は、大学入試対策と共通します。英検のために特別な勉強をしなくても、普段の勉強がそのまま英検対策になる高校生ならではのメリットを活かし、2級にチャレンジしてみましょう。
わからない点の解決や英語4技能を伸ばす勉強法の秘訣、リスニング・スピーキング対策には、1対1マンツーマン指導をお手頃に受けられるオンライン家庭教師もおすすめです。