中学生なら英検®何級を取得すべき?級別のレベルや勉強法も解説
「中学生なら英検を取っておくべき?」と悩む生徒や親御さんは、少なくありません。しかしいざ英検を目指そうとしても、何級から始めればよいのか、中学生なら何級まで取っておくべきかなど、わからない点が次々出てくるのではないでしょうか。
この記事では中学生と英検に注目し、中学生におすすめの級や勉強法、級ごとの難易度、合格できる対策のコツなどを解説しました。最後まで読み、早速今日から英検の学習をスタートさせていきましょう!
目次
英検®の概要
私たちが普段「英検」と呼ぶ試験は、正式名称を「実用英語技能検定」といいます。文部科学省が後援し、公益財団法人日本英語検定協会が主催しています。
2021年度の受験者数は400万人を超えており、国内最大規模の英語資格試験です。
はじめに英検の概要をおさらいします。
各級の難易度
英検にはレベル別に5級から1級まで7つの級があります。それぞれの難易度(受験の推奨目安)は次のとおりです。
級 | 推奨目安 | 必要単語数目安 |
---|---|---|
5級 | 中学初級程度 | 300~600語 |
4級 | 中学中級程度 | 600~1,300語 |
3級 | 中学卒業程度 | 1,300~2,100語 |
準2級 | 高校中級程度 | 2,600~3,600語 |
2級 | 高校卒業程度 | 3,800~5,100語 |
準1級 | 大学中級程度 | 7,500~9,000語 |
1級 | 大学上級程度 | 10,000~15,000語 |
(参考:各級の目安|英検 日本英語検定協会)
各級の難易度は、後ほどさらに詳しく解説します。あわせてご覧ください。
試験内容
5級・4級は筆記試験とリスニング試験のみです。一次試験のみで合否が決まります。
3級以上は、一次試験合格者に対して二次試験が課されます。二次試験の内容は3級から準1級までは1対1の面接、1級も面接ですが面接官にネイティブが加わります。
また3級以上は一次試験にライティング(英作文)が含まれるようになる点も特徴です。
受験費用
英検の受験費用は、受験する級によって異なります。以下は個人受験した場合の費用です。学校や塾など団体で受験する場合は、団体料金が適用されます。
また英検には一定の条件をクリアすると一次試験が免除される規定がありますが、一次試験免除者でも受験費用は同額です。
級 | 受験費用(税込) |
---|---|
5級 | 3,900円 |
4級 | 4,500円 |
3級 | 6,400円 |
準2級 | 7,900円 |
2級 | 8,400円 |
準1級 | 9,800円 |
1級 | 11,800円 |
※2022年度費用
(参考:2022年度の検定料|英検 日本英語検定協会)
試験日程
英検の試験は、1年間に3回行われています。個人申し込みの場合は、全国一律の試験日となります。学校や塾などで受ける団体受験の場合は、会場ごとに試験日が異なります。
また英検は1年間に何度チャレンジしても構いません。
毎年の試験日程は、英検公式サイトで確認できます。
一次試験 | 一次試験合否発表 | 二次試験 | 二次試験合否発表 | |
---|---|---|---|---|
第1回 | 5月末~6月上旬 | 6月中旬 | 6月末~7月上旬 | 7月中旬~下旬 |
第2回 | 10月上旬 | 10月下旬 | 11月上旬 | 11月下旬~12月上旬 |
第3回 | 1月中旬 | 2月上旬 | 2月下旬~3月上旬 | 2月下旬~3月上旬 |
中学生に英検®受験をおすすめする理由
「中学生なら英検を受けるべき」「英検は受けておいた方がよい」と言われることがあります。学校の先生からも英検を勧められた経験がある中学生もいるかもしれません。
なぜ中学生には英検がおすすめされるのでしょうか。中学生が英検を受けるべき理由を解説します。
高校入試で優遇される場合がある
英検の一定以上級を取得すると、高校入試で優遇措置が受けられる場合があります。一例を紹介しましょう。
高校名 | 入試方式 | 優遇の内訳 |
---|---|---|
国士舘高校 | 推薦入試 | 英検準2級以上で、内申加点(1ポイント) |
一般入試 | 検定3級以上等で、9科に最大1ポイント内申加点 | |
駒沢学園女子高校 | 推薦入試 | 英検3級以上で1ポイント加点 |
二松學舍大学附属高等学校 | 推薦入試 | 英検準2級は1ポイント、2級以上は2ポイント加点 |
※ 過年度実績の場合があります。最新情報は高校募集要項でご確認ください。
英検取得者が優遇される高校一覧は、英検の公式ページからも検索できます。
受験・進学に「効く」!高校・高専英検入試活用校検索
ワンランク上の英語学習ができる
英検に合格するためには、教科書以外の英語学習が必要です。また英検では、英語4技能(リーディング・ライティング・スピーキング・リスニング)を総合的に測る実用的な試験が出されるため、学校の定期テストより広い視野で英語学習ができます。
もちろん、英検のために実際の学年以上のレベルで勉強しても構いません。英検を目指すことは、実用性の高いハイレベルな英語力習得につながります。
英語学習のモチベーションが上がる
英検は英語学習に対する動機付けとしても機能します。試験日が決まっており、それまでに達成したいレベルも明確なため、頑張ろう!とやる気になりやすいのです。学習の進捗が見えやすく、日々の学習で達成感が得られる点もやりたくなる理由でしょう。
どうしても英語を勉強する気にならない、やる気がでない中学生は、英検を目指してみても良いかもしれません。
英語学習が習慣化する
覚えなければいけない単語や読むべき英文量を試験日までの日数で割れば、1日あたりの学習計画が立てられます。計画が立てば「何をすべきか」が明確になるため、勉強にも取り掛かりやすくなるでしょう。計画にそって毎日英検対策を進めることで、英語学習の習慣化も実現します。
また英語で日記を書いたり、オーディオブックを活用したりと、机に向かって問題を解く以外の方法を取り入れると勉強にメリハリがつき、さらに習慣化しやすくなります。
英検®の難易度を級ごとに解説
中学生が英検を取得するメリットを踏まえると、3級以上の取得が望ましいとされます。しかし、いきなり3級を目指しても合格が難しい中学生も多いでしょう。
ここでは各級の難易度を、詳しく解説しました。級ごとの特徴を比較しながら、自分はまず何級から目指すのがよさそうか検討してみてください。
5級
5級は「中学初級程度」が推奨目安の、英検の入門ともいえるレベルです。筆記(リーディング)25分とリスニング20分、合計45分の試験が課されます。二次試験はなく、一次試験だけで合否が決まります。
(引用:5級の試験内容|英検 日本英語検定協会)
家庭での家族とのやり取り、学校での友達や先生とのやりとりなど、身近な場面を扱った問題が多いのが特徴です。扱われる題材も買い物やスポーツ、映画、音楽、食事など、中学生にとっての日常ともいえるものが多く見られます。
単語は教科書で出てくる基本的なものを覚えておけば十分です。文法を理解していると解きやすくなる問題も多いため、習った文法はしっかり復習しておきましょう。
◎ 英検5級 問題例
(引用:2022年度 第1回 問題冊子 問1|英検 日本英語検定協会)
4級
4級は「中学中級程度」が受験目安とされる、2番目に易しいレベルです。筆記試験(リーディング)35分とリスニング試験30分、合計65分の一次試験のみで合否が決まります。
(引用:4級の試験内容|英検 日本英語検定協会)
英検5級より実用度がやや上がります。簡単な英語を正しく理解する力と、基本的な表現力が欠かせません。単語や文法の知識があれば解ける問題が大半ですが、難しめの単語が出る場合があるので注意しましょう。教科書に出る単語に加え、英検4級に対応した単語帳で語彙力を増やします。
並べ替えや長文問題は、過去問を繰り返しましょう。英検独特の形式に慣れ、時間内に解ききる力を養成しておくことも大切です。
◎ 英検4級 問題例
(引用:2022年度 第1回 問題冊子 問3|英検 日本英語検定協会)
3級
3級は中学卒業程度、つまり高校入試レベルです。必要な単語量も1,300~2,100語に増え、中学生が教科書で習う単語数(1,200~2,000語)とほぼ同じになります。教科書では扱わないような実用的な英単語が出る場合もあるので、英検用の単語帳は欠かせません。
試験時間は筆記試験(リーディング)50分とリスニング試験25分、合計75分です。
(引用:3級の試験内容|英検 日本英語検定協会)
3級からは筆記試験にライティング(英作文)が加わります。語数は例年25~35程度で、与えられたお題に沿って、指定の形式で英文をまとめます。読めるだけでなく、スペルや語順を正しく書く力も必要です。
また3級からは二次試験にスピーキングテストが加わります。3級取得には、二次試験も合格しなければなりません。英検3級のスピーキングテストは基本的な応対力を問われるレベルで、面接官と1対1で実施されます。英語科の先生や塾の先生などを頼り、模擬面接の練習をしておきましょう。
高校入試での優遇も「3級以上」が対象である場合が多いため、中学生のうちにぜひ取得しておきたい資格です。
◎ 英検3級 問題例
(引用:2022年度 第1回 問題冊子 問4|英検 日本英語検定協会)
準2級
準2級は「高校中級」とされるレベルです。一次試験は筆記(リーディング)が75分とリスニング試験が25分の合計90分、また合格者のみ二次試験が課されます。
英検準2級は、文部科学省が「高校卒業段階の英語力達成目標」として掲げるレベルの1つです。大学入試や社会に出てからも役立つ場面が増えます。英語が得意な中学生、あるいは高校生はぜひ目指してみましょう。
(引用:準2級の試験内容|英検 日本英語検定協会)
3級までが「基礎力養成」を目的としていたのに対し、準2級からは実戦的な英語力が問われるようになります。単語や表現、長文の内容なども教科書や入試で良く出るアカデミックなテーマ以外も増えるため、準2級対策の単語帳や問題集を用意してください。
また3級同様、英作文も出題されます。
リスニングの音声は、1回だけ流れます。1回で必要な情報を聞き取れるよう、日頃から英語に耳を慣らす練習を意識しましょう。
(引用:2022年度 第1回 問題冊子 問3|英検 日本英語検定協会)
2級
2級は「高校卒業程度」が受験目安です。平均的な高校生にはやや難しく感じられる問題もあるかもしれません。試験時間は、筆記(リーディング)85分とリスニング25分、合計110分です。2時間近く集中し続ける体力も必要となります。
(引用:2級の試験内容|英検 日本英語検定協会)
医療やテクノロジー、自然科学といった難度の高い題材も出されるようになります。英作文で書くべきボリュームも80~100語と長くなるため、より実戦的な英語力が必要だと言えるでしょう。英語ニュースを見る、シャドーイングを取り入れるなどもおすすめの勉強法です。
英検対策の単語帳や問題集のほか、大学入試に向けた教材も活用してみましょう。
◎ 英検2級 問題例
(引用:2022年度 第1回 問題冊子 問1|英検 日本英語検定協会)
準1級・1級
準1級・1級は、一般の中学生が取得するのはかなり難しいレベルです。大学生や留学経験者でも対策なしに受験した場合は、合格できないといわれるほどです。
出題されるテーマも社会性の高いものが増え、教養や予備知識も欠かせません。日常生活以外の場面での英語力も問われます。
また英検1級を取得すると、通訳ガイド国家試験において英文試験が免除になる、教員採用試験において英語試験が免除になるといった優遇も受けられるようになります。
英語のプロを目指す場合はぜひ狙いたいレベルですが、中学生はまず英語の基礎力である3級を目指すと良いでしょう。
中学生は「英検®3級取得」を目指そう
英検3級は「中学卒業程度」が推奨受験目安です。つまり英検3級を取得していれば、中学で習う英語をしっかり身につけている証明となります。高校入試で優遇が受けられるケースの多くも、3級以上です。
英検3級の出題内容は基本に忠実なものが多いため、学校の英語を中心に英検対策を続ければ、無理なく合格できるでしょう。
また普段テストを受けている教室とは異なる会場で試験を受けるのも、試験慣れという視点からおすすめです。高校入試の予行演習として受験する中学生も大勢います。
中学生の英検®対策 ポイント
中学生が英検対策を成功させるためには、いくつかのコツがあります。学校の勉強や部活との両立、勉強法、また塾に通うべきか?といった観点から、英検対策のポイントを解説します。
学校のテストや部活と両立できる計画を立てる
英検の試験日にあわせて対策をする際、学校の勉強やテスト、部活動と両立できる計画を立てるようにしましょう。
英検の受験チャンスは年に3回だけです。そのためつい、英検を優先したり、英検の勉強だけに集中してしまったりする中学生もいます。しかし、英検対策を頑張りすぎた結果、学校の定期テスト対策が後手になっては、高校入試で重要となる「調査書」の評定に影響しかねません。
部活の大会や練習との兼ね合いも考えましょう。とくに大会前などは、部活の練習終了が普段より遅くなる場合も考えられます。英検対策の予定を入れていたのに、疲れて勉強できない日々が続いてしまうかもしれません。
定期テストや部活の予定を見て、無理なく受験できる試験日程を選んでください。
英単語を優先的に覚える
英検対策では、英単語を優先的に学習しましょう。英単語は筆記・リスニングの基盤となる力です。教科書で習った英単語は確実に読める・書ける・意味が分かる状態に完成させます。
また英検対策用の単語帳や英単語アプリを活用し、より幅広い単語力養成を目指します。たとえば、3級では過去次のような単語が出題されました。
- customer 顧客
- boring つまらない
- rule 支配,統治
- judge 審判員
- airline 航空会社
- evacuation 避難
- cancer がん(癌)
- sustainable 持続可能な
- endangered 絶滅の危機にさらされている
単語力は高校入試でも役立ちます。英検3級で1,300~2,100語の習得を目指しましょう。
英文法もしっかり勉強する
英文法の対策も忘れずに進めます。英検では空所補充問題(空欄にあてはまる単語を選ぶ問題)を中心に、文法力で解ける問題も数多く出題されています。また文法は長文読解や英作文、リスニングの助けにもなります。教科書で習った英文法は、確実にマスターしておきましょう。
問題の解説を読む際は、かならず「なぜそれが正解なのか」を考えてください。解説を読んでもわからない、納得できない箇所は、英語科や塾の先生、家庭教師などに確認します。
英文法は相互関係にある単元も多く、1つわからない部分があると連鎖的に他も理解が不足する場合があります。基本から丁寧に理解する姿勢を大切にしましょう。
プロのサポートを受ける
中学生の英検対策は、プロのサポートを受けるのもおすすめです。英語塾や英会話スクールなどでは、ポイントを押さえた効率の良い指導が受けられます。
英語指導以外にも、ぜひ相談してみたいのが「学習計画」です。試験日に間に合うように、さらに学校の勉強や部活とも両立できる計画はどのように立てれば良いのか、プロならではの工夫を教えてもらえるでしょう。
二次試験が課される3級以上の受験では、面接の相手役を確保するという意味でも塾や家庭教師がおすすめです。
中学生の英検®対策に「オンライン家庭教師」という選択もおすすめ
実は、中学生の英検対策にはオンライン家庭教師が向いています。オンライン家庭教師とは、パソコンやタブレットなどを通じて授業をする教育サービスです。通塾の必要性がない、自宅でいつでも受講できるなど高い利便性が特徴で、忙しい中高生から支持されています。
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まとめ
中学生は、英検3級取得が望ましいといわれます。3級は中学卒業程度が推奨受験レベルであり、基礎力の習得を証明するのに最適な級だからです。また高校入試で優遇を受けられる機会が増えるのも3級以上です。
高校入試での優遇は、私立高校の推薦入試でよく実施されています。私立高校の推薦入試は試験時期が早く、12月中に行う学校もたくさんあります。推薦入試で英検を活用したい場合は、遅くとも「中3の第2回試験」までに3級取得できるよう計画を立てましょう。
英検の学習計画は、プロに相談するのが効率面からもおすすめです。学校の先生や英語塾のほか、自宅で空いた時間に受講できるオンライン家庭教師もぜひ検討してみてください。