家庭教師を個人契約で受けるには?授業のやり方6ステップやメリット・デメリットも解説
家庭教師は、空いた時間を活かせる仕事です。他のアルバイトより時給が高めな点からも、副業やWワークとしても人気があります。ただ、「家庭教師を個人契約でやってみたいが、どうすれば良いのか」と悩むこともあるのではないでしょうか。
今回は「家庭教師を個人契約で行うやり方」に注目しました。家庭教師派遣センターに登録した場合との違いや生徒の探し方、実際の授業・事務作業のやり方から、メリット・デメリットまで解説します。
目次
「個人契約の家庭教師」とは?家庭教師派遣センターと比較
家庭教師になるために必要な資格や免許はありません。「生徒の役に立ちたい」思いと、教えられるだけの教科知識があれば、誰でもスタートできます。ただ、「個人でやるか、家庭教師派遣センター(家庭教師会社)」に登録するか、という点は最初に決めておきましょう。
個人契約の家庭教師と、家庭教師派遣センターに登録する場合との違いを比較します。
契約形態
個人契約の家庭教師は、あなたとご家庭との直接契約になります。契約書が無くても指導は始められますが、後々のトラブルを防ぐためにも、契約書を交わしておくと安心です。家庭教師用契約書の書き方は、後ほど紹介します。
家庭教師派遣センターに登録した場合は、あなたの契約先は家庭教師派遣センターとなります。家庭教師派遣センターの規約にのっとり、指導を進めましょう。また家庭教師派遣センターを介する場合、ご家庭が払った月謝がそのまま収入になるわけではありません。派遣センターが規定の手数料を月謝から差し引き、残った額があなたの収入となります。
時給相場
個人契約の家庭教師では、時給(指導料)は自分自身で設定します。必要以上に安売りする必要はありませんが、相場との差が大きくてもご家庭からの信頼は得にくいでしょう。家庭教師派遣センターの時給相場を参考に、適切な料金設定をします。
参考までに、大手家庭教師派遣センターの指導料相場は、次の通りです。
- 小学生:8,800円~35,200円
- 中学生:11,440円~35,200円
- 高校生:13,640円~52,800円
※ 1回60分の授業を月に4回行った場合の月謝額
※ 学習目的やレベル、学年などによって変動
指導方法・教材
個人契約の家庭教師は、指導方法や教材も自分で考え、決定します。生徒の学習目的や現状レベル、目標との差、残り時間などを考慮し、学習計画も立てましょう。教材は生徒が持っている学校ワークなどを使うほか、市販教材を利用しても構いません。
家庭教師派遣センターから生徒を紹介してもらう場合、事前に教務研修があります。研修を通じて良い教え方や指導上の注意点、受験に関する最新情報などを手に入れましょう。教材は生徒が持っているワーク類を使うほか、家庭教師派遣センター独自の教材を使う場合もあります。
トラブル時のサポ―ト
ご家庭に入って指導する家庭教師は、トラブルになりやすいと言われています。「成績が思うように上がらない」「指導内容が聞いていたものと違う」といったお叱りをいただくこともあるでしょう。
個人家庭教師は、トラブル時の対応も自分自身で行わなければなりません。ご家庭の話をよく聞き、解決策を提案します。どうしても困った場合の相談先を調べておくことも大切です。地域の消費者センターや弁護士事務所などの電話番号をチェックしておきましょう。
家庭教師派遣センターに登録している場合は、トラブル時の対応は派遣センターが担当します。
個人での家庭教師のやり方〈探し方編〉
個人契約の家庭教師が、お客様(生徒)を見つける方法を解説します。
- 紹介を受ける
- マッチングサイトを利用する
- クラウドサービスを利用する
まず以上の3つの方法をご紹介しますが、「紹介」以外は手数料がかかる場合もあります。「家庭教師派遣センターは、手数料が取られるから利用したくない」といった理由で個人契約を選んだとしても、結局手数料が必要になることもあるのです。手数料だけを見るのではなく、サポート体制や雇用契約などを総合的に検討し勤務形態を決めるようにしましょう。
紹介を受ける
知人からの紹介で生徒を請け負う方法があります。「家庭教師をはじめた」と積極的にアピールし、家庭教師を探しているご家庭を紹介してもらいましょう。
チラシを作って近隣にポスティングしたり、学校近くの掲示板に貼らせてもらったりと、地道な宣伝を続けることも大切です。
マッチングサイトを利用する
個人の家庭教師とご家庭とをマッチングするサービスを利用する、という方法もあります。有名なマッチングサイトは、次の2つです。
- 家庭教師スマートレーダー
- マッチングTeacher
「スマートレーダー」は、難関大学生限定のマッチングサービスです。「マッチングTeacher」は誰でも登録できます。
クラウドサービスを利用する
教えるスキルを売り買いできるクラウドサービスや、インターネット掲示板を利用する方法もあります。有名なサービスには、次の2つがあります。
- ココナラ
- ジモティー
「ココナラ」は、自分のスキルや得意分野を売りに出せるWEB上のマーケットです。出品した仕事を気に入ってくれた利用者から、依頼が届きます。
「ジモティー」はエリアを限定して、サービスを出品できる掲示板です。
個人での家庭教師のやり方〈授業編〉
無事、個人契約で家庭教師に行けるご家庭が見つかったら、次は授業準備です。指導のやり方や学習計画の立て方を教えてくれる家庭教師派遣センターがない個人家庭教師は、すべて自分で進めなければなりません。
家庭教師が授業をするやり方を時系列順に6つのステップに分け、見ていきましょう。
1. 指導計画を立てる
最初に「指導計画」を立てます。指導計画は、「いつまでに・何を・どのような状態にもっていくか」を決めるのがポイントです。生徒本人やご家庭とじっくり相談し、現状と目標を踏まえて計画に落とし込みましょう。
指導計画は「次の定期テストに向けて」「受験に向けて」など、長いスパンで考えます。また生徒の成績や習熟度、ペースと照らし合わせ、随時修正も加えましょう。
2. 教材を準備する
全体の指導計画が完成したら、必要な教材を準備します。生徒が持っているワークや問題集で足りなければ、市販の教材を購入しましょう。
市販教材を選ぶ際も、レベルと目的、分量が適切か配慮します。書店で実際に手に取り、使いやすさもチェックしてください。
3. 毎回の授業計画を立てる
全体の指導計画を元に、1回1回の授業計画を立てます。「今日の授業は、何をどこまで進めればよいか」「特に重点的に指導した方がよい箇所はあるか」を明らかにしておくのが目的です。
宿題の範囲ややり方も考えておくと、授業時に慌てずに済みます。
4. 生徒に合わせて指導する
毎回の授業は、生徒の表情や鉛筆の動き方を見ながら、一つひとつの理解度を確認しつつすすめます。生徒の性格によっては、わからない場所があっても質問しなかったり、反応がうすかったりすることもあります。「ここは大丈夫かな?」「この場合はどうなる?」と声をかけ、家庭教師の側から生徒の理解度を把握する姿勢を大切にしましょう。
5. 進捗確認をする
授業の後には、計画通りに進んだか進捗をチェックします。1回の遅れは小さくても、積み重なると大きな遅れになり、テストや受験に間に合わない事態も起こり得るからです。計画からの遅れは次の授業で挽回できるよう、計画の修正も完了させましょう。
6. 保護者対応も大切な仕事
保護者とのやり取りも、家庭教師の大切な仕事です。保護者は、我が子の様子を常に気にかけています。授業後には取り組みの様子や見つかった課題、今後の方針などを、簡単で良いので共有するよう心がけましょう。ほんの数分の会話でも、保護者からの信頼につながります。
個人での家庭教師のやり方〈事務作業編〉
個人で家庭教師を行う場合、やらなければならない事務作業も数多くあります。「契約」「入金確認」「確定申告」「日々の連絡事項」の4つに分けて、解説します。
契約書を用意する
口約束はトラブルの元です。気持ちよく指導を続けるためにも、契約書を交わすのがおすすめです。契約書には、少なくとも次の内容を盛り込みます。
- 指導料
- 支払い方法
- 交通費
- 授業日・時間
- 長期休暇中の授業
- 授業の変更・振替
家庭教師契約のテンプレートはインターネットでも探せます。必要事項を漏れなく盛り込み、ご家庭と契約を取り交わしましょう。
毎月の入金を確認する
授業料を現金で受け取る場合は、ぴったりの額が入っているかどうかチェックしましょう。
振込支払の場合は、約束の日までに振り込まれているか、口座を確認します。振込手数料はご家庭と家庭教師のどちらが負担するかも、決めておく必要があります。
受け取った額の過不足や未払いは、時間が経つほど連絡しにくくなるものです。毎月決まった日にかならず確認し、速やかにご家庭に連絡する習慣をつけましょう。
確定申告を行う
個人契約の家庭教師は、次の条件を満たすと確定申告が必要です。
(2) 副業としての家庭教師収入が20万円を超えた場合
家庭教師を本業として行う場合は、収入が48万円を超えると確定申告義務が発生します。48万円という金額は「基礎控除」と呼ばれ、働く人は一律で税金から引かれる(控除される)お金です。この48万円を超えた時点で、申告が必要というわけです。
また本業からの給与収入がほかにあり、家庭教師は副業だという場合は、家庭教師収入が20万円を超えた時点で確定申告対象となります。
詳しくは国税庁ホームページをご覧ください。
日々の連絡チェックも忘れずに
家庭教師をはじめると、「授業を振替してほしい」「テスト範囲が出たので対策してほしい」など、さまざまな連絡がご家庭から寄せられます。「些細なことだから、次に訪問したときに返答すればいいか」、と放置してはいけません。かならず、速やかに回答しましょう。
信頼は、得るまでには間がかかり、しかし一瞬で失えるものです。個人で動いているフットワークの軽さを活かし、連絡は密に行うようにしましょう。
家庭教師を個人契約で行うメリット・デメリット
家庭教師を個人で行うメリット・デメリットを解説します。両方の面を理解し、自分に合った働き方を選べるようになりましょう。
メリット
個人契約で家庭教師を行うメリットは、すべてが自分次第という点でしょう。授業料の設定も、働く時間もペースも、自分で決められます。本業やご家庭の都合にも合わせて働きやすいので、学生や副業、主婦の方も大勢活躍しています。
デメリット
家庭教師を個人契約で行うデメリットは、生徒を自分で探さないといけない点です。ご縁がつながらなければ、いつまで経っても生徒を受け持てず、収入が不安定になります。生徒を確実に紹介して欲しい方には、家庭教師派遣センターへの登録が向いているでしょう。
個人契約という家庭教師のやり方が向いている人
個人契約での家庭教師は、向き不向きがある職業です。では、どのような方が個人契約の家庭教師に向いているのでしょうか?4つの視点から解説します。
顔が広い
個人契約の家庭教師は、「顔が広い人」に向いています。紹介が主な集客手段となる個人契約の家庭教師では、家庭教師本人の顔の広さ、つまり「どれくらい知人がいるか」が集客の成否に大きく影響するからです。
とくに、学校に通うお子さんを持つご家庭に顔が広ければ、「家庭教師をはじめました」と告知するだけで、依頼が舞い込むかもしれません。
自分の裁量で働きたい
自分の裁量で働きたい方にも、個人契約の家庭教師が向いています。授業料も働く曜日・時間帯も、すべて自分で決められるからです。
ただし、自由に決められるからといって、提示条件を承諾してくれるご家庭がすぐに見つかるとは限りません。相場や地域性、学校の様子も加味しながら、お客様が集まりやすい条件を見つけていきましょう。
教務知識やスキルのレベルが高い
元教員、元塾講師など、すでに教務知識や指導スキルを持っている方も、個人契約の家庭教師が向いています。個人契約の家庭教師は、教え方に自分の個性を発揮できるからです。これまで培ってきたノウハウを活かせる場所だといえるでしょう。
ただし、持っている知識にあぐらをかいてはいけません。教科書も入試制度も、毎年アップデートされます。最新情報をこまめにチェックする努力も必要です。
態度や身だしなみに気をつかえる
ご家庭に上がる家庭教師は、学校の先生や塾講師以上に態度・身だしなみに気をつかう必要があります。保護者から信頼を得られる誠実な態度、真摯な受け答え、また清潔感ある身だしなみ。こうしたポイントに気を付けられる方は、個人契約の家庭教師に向いています。
スーツの肩にフケが落ちている、シワだらけの服装で来た、靴下に穴が開いていたなどの、小さなこともマイナス印象となるので注意しましょう。
オンライン家庭教師という選択肢もある
家庭教師として働くには、「オンライン家庭教師」という選択肢もあります。
オンライン家庭教師とは、パソコンの画面を通じて学習指導を行う教育サービスです。講師も自宅にいながら指導ができるため、「移動時間が節約できる」「日本全国の生徒とマッチングできる」などのメリットがあります。また、オンライン家庭教師になるために必要な資格や免許はありません。
教育のオンライン化も加速する現代、オンライン家庭教師に対する需要は高まり続けています。気になったらぜひ、一度詳しくチェックしてみましょう!
まとめ
個人契約の家庭教師は、自分の裁量で働ける点が魅力です。一方、生徒集めに苦労する方が多いのも事実。知人からの紹介が期待できない場合は、早めにマッチングサービスやクラウドサービスの利用を検討した方が良いでしょう。
また授業のやり方も、自分自身で工夫しなければなりません。生徒に合わせて最適な指導ができるようになるには、家庭教師自身の努力も必要です。近隣の学校公開日に合わせて授業見学に行く、塾の校舎見学に行ってみるなどのリサーチを行うのもおすすめです。
自宅にいながら授業ができる「オンライン家庭教師」もチェックしてみましょう。移動時間ゼロで授業ができるため、時間効率がとても良い仕事として人気です。授業前には十分な研修も受けられるので、初めての方でも安心して取り組めますよ。