E判定からの大学合格は本当に可能?模試判定の仕組みや勉強法を解説!
模試の成績表が返却されて、真っ先に見るのは「判定」という受験生も多いですよね。Bだ、Cだ、Dだと騒ぐ友達に混じり、「またEだった…」とガックリでしょうか。
一方で、「E判定からの逆転合格!」という話も、実際に存在します。
E判定は結局合格できるのでしょうか、それともあきらめるべきなのでしょうか。
今回は「E判定」の仕組みについて詳しく解説し、E判定から合格するために知っておくべきこと、必要な勉強法をお伝えします。
目次
そもそも「E判定」って何?模試のカラクリを解く!
まず、成績表に書かれた「E」という情報が一体何を表しているのか、正しく知ることから始めましょう。
E判定とは「合格可能性20%以下」という意味
E判定は「合格可能性が20%以下」と判定された場合に示される指標です。
模試は、受験者の成績を全体の成績分布や過去のデータと照らし合わせ、A~Eの5段階で合格可能性の判定を出しています。
AからE、それぞれの合格可能性は、どの予備校模試でもおよそ以下の通りです。
判定 | 合格可能性 |
A判定 | 80%以上 |
B判定 | 60~80% |
C判定 | 40~60% |
D判定 | 20~40% |
E判定 | 20%以下 |
さらに、河合塾主催の「全統模試」では、各大学・学部(学科)-入試方式ごとに、合格可能性の評価基準を得点で定め、開示しています。
例、21年度第1回共通テスト模試(河合塾・全統) 合格可能性評価基準
■ 千葉大学(抜粋)
学部 | 学科 | 満点 | 評価基準 | |||
A | B | C | D | |||
文学部 | 行動科学-前期 | 450 | 360 | 348 | 333 | 315 |
歴史学-前期 | 450 | 360 | 351 | 339 | 324 | |
日本-前期 | 450 | 378 | 357 | 341 | 329 | |
国際言語-前期 | 450 | 360 | 348 | 336 | 324 |
受験者の得点が、各評価基準を上回った時点で判定が与えられるというわけですね。
E判定は「D判定に達しなかった成績」に対してつけられます。
受験者の半数近くは「E判定」が出ている
合格可能性は80%以上から20%以下まで、「20%きざみ」で分けられていました。同じように、受験人数も20%ずつ割り振られているかというと、そうではありません。
河合塾全統模試で定められたそれぞれの得点層に、受験生が均等に20%ずつ存在するなんてこと、あるはずないですよね。
ある調査によると、A判定~E判定までの人数分布は、およそ以下のようになっているそうです。
判定 | 人数分布 |
A判定 | 5~10% |
B判定 | 5~10% |
C判定 | 10~15% |
D判定 | 10~15% |
E判定 | 50~60% |
E判定に受験者の半数以上がいることもあるのですね。
まずは、E判定をとった受験生は半分もいるんだな、くらいに思っておきましょう。
模試によって判定が異なるのには理由がある
受験生は同時期に、いくつもの模試を受験することがあります。
せいぜい1~2週間差、実力に大きな違いが出るとも思えないタイミングで受験した模試なのに、「ベネッセではB判定、河合ではD判定」と別の合格可能性判定が出たことはありませんか?
実は、模試によって合格可能性判定の出方には差があります。
この順番で良い合格可能性判定が出やすい、つまり判定が甘いのですね。「ベネッセではB判定、河合ではD判定」というのも、よくあることです。
判定の出やすさの違いは、受験者層の違いによります。
ベネッセ模試は大学受験予定者ではない高校生(専門学校進学、就職など)も受ける、裾野の広い模試です。一方で河合塾の全統模試や駿台模試は、大学受験を頑張りたい受験生が受ける模試。
全統模試や駿台模試の方が、高学力層内での競争になるため、判定が出にくい(厳しく出る)ということです。
「E判定でもあきらめるな!」はホント?
「E判定から難関大に合格しました!」という体験談には、勇気づけられ、頑張る気力をもらいますね。
一方で「E判定でもあきらめるな」「E判定からでも合格できる」という言葉を鵜呑みにしては危険な場合もあります。
「E判定でもあきらめるな!」という言葉のホントのところを探ってみましょう。
E判定の時期によっては、逆転合格は十分ありえる
E判定から逆転合格できる可能性は、E判定が出た時期の影響を受けます。
高3夏の模試までなら、E判定からの合格は十分あり得るでしょう。この時期にE判定が出ても、気に病むことはありません。
高3夏までは部活に全力投球で、勉強は二の次だったという人も多いでしょう。また高3の範囲もようやくひと段落が見えてくるところ。合格に必要な演習はまだまだ不足している時期です。
これから本気の受験勉強を始めようという高3夏までなら、秋以降に一気に成績が伸びる可能性大!E判定は気にせず、勉強に没頭するのが正解です。
ところがE判定が出たのが「高3秋(11月)」だと、そうはいきません。秋以降残された時間を考えると、非常に厳しい戦いになります。
「合格は不可能だ」というつもりはありませんが、並大抵の努力では合格できないことを覚悟した方が良いでしょう。
E判定から逆転合格というエピソードを見る際は、「E判定はいつの話か」もチェックしてみてくださいね。
模試はあくまで模試、入試問題ではないという事実
模試はあくまで、模試です。入試問題ではありません。
大学別模試を別として、模試は一般的な入試問題の傾向で作られています。模試と入試問題の傾向がまったく違う、ということもあるのです。
模試で良い成績が取れなくても、入試当日に問題との相性がよく、思った以上に解けて合格できた、という先輩もいます。
E判定はあくまで「模試」の評価であって、入試問題に対しての合格可能性判定ではありません。
ただし模試で一定の得点を出せないということは、入試レベル相当の問題に取り掛かる基本が完成していないということでもあります。
勉強の進捗や完成度を冷静に分析し、足りない力を補っていきましょう。
〈厳しい話〉Eの中にもレベル差はある
「E判定」と一括りにしても、その中にはさまざまなレベルの受験生が混在します。
合格可能性20%以下なら全員がE判定なわけですから、限りなくDに近いEと、Eの中でも下の方のEとがあるわけです。
厳しい話ですが、「E判定から合格」は誰でもできるわけではありません。Dに近いEの方が、Eの中でも下の方のEより合格に近いのは、お分かりいただけますよね。
先に「河合塾の大学別合格可能性評価基準」をご紹介しました。こういったデータも積極的にチェックし、自分が「Eの中でもどのあたりにいるのか」を客観的に把握することも大切な合格戦略です。
E判定から合格するための勉強法
E判定から合格したい!そんな受験生に、E判定から合格するために必要な勉強についてまとめました。
基礎基本を徹底し、問題演習と復習に力を入れることで、E判定からの合格は近づいてきますよ!
基礎を徹底的に叩き込む
先ほど、「模試で一定の得点を出せないということは、入試レベル相当の問題に取り掛かる基本が完成していないということ」と書きました。
となると、E判定は「基本に不足がある」という警告だと受け取れます。改めて基本に立ち返り、英単語や重要用語の暗記や計算トレーニングなどに取り組みましょう。
また模試の成績表には、設問ごとの正誤分析がついています。出題分野ごとに出来栄えがグラフやレーダーチャートで表示されていることもありますね。
こうした分析も一つひとつ丁寧に拾い、日々の勉強に反映していってください。
できなかった問題をできるようにする
成績を上げるたった1つの方法は、「できなかった問題をできるようにすること」です。本番までに1問でも多く正解できるように、できなかった問題と真摯に向き合っていきましょう。
問題が解けないのには、原因があります。たとえば、以下のような具合に。心当たり、ありませんか?
- 時間が足りなかった(=時間がありさえすれば解けた)
- 公式を覚えていなかった、間違って覚えていた
- 公式を思い出せなかった
- 計算ミスをした
- 関係代名詞と関係副詞が分かっていなかった
- 知らない単語が多く、文意がつかめなかった
- 問題文で与えられた条件を勘違いした
- 問題文で与えられていた条件を見落とした
答え合わせをする時に、上記のようにできなかった原因を考えてみてください。その原因が、すなわちあなたが本番までに克服しないといけない課題です。
模試は必ずやり直す
模試、受けっぱなしになっていませんか?
模試はやり直しをしてこそ、真価を発揮します。やり直さないということは、時間をかけて問題を解いたのに、答え合わせすらせず放置しているということ。それでは時間の無駄ですね。
模試を受けた当日、あるいは翌日と、成績表が返却されたタイミングの2回は解きなおしをしましょう。
模試のやり直しだけをまとめた「模試ノート」を作るのもおすすめです。
模試の活用法については、こちらの記事で解説しています。併せてチェックしてみてください!
>>『模試は復習してこそ意味がある!やり方や成績表の分析視点を解説、模試ノートの作り方も』
まとめ
受験生はあまり見たくない「E判定」という言葉、その仕組みやホントのところ、さらにE判定から逆転合格するための勉強法を解説してきました。
身もふたもない言い方ですが、模試ではA~Eの5段階に分けられた受験生も、本番では「合格か不合格か」のたった2つに分けられるのです。模試でどんな成績をとっていようとも、本番で合格点をとれさえすればいいのです。
大学合格に必要なのは、基礎基本をしっかり身に着け、入試当日、適切にアウトプットできる力。模試はアウトプットのためのシミュレーションだと考えてみましょう。
E判定からの逆転合格は、可能です。
目の前のやるべき勉強と、真正面から向き合っていきましょう。