慶應義塾大学SFCの小論文 入試傾向と対策【完全攻略】
慶應SFCの一般入試において、最も特徴的な部分は小論文の出題ではないでしょうか。英語や数学の勉強をこなす中で小論文に割く時間が取れないことや、他の学部と違った独特の出題への対策に苦戦している受験生も多いと聞きます。
実際に総合政策学部および環境情報学部では資料の読解力や適切な文章表現力など必要とされる力が多々あります。今回は、過去問の傾向も踏まえながら慶應SFCの小論文をどう対策していくかについてご紹介します。
目次
慶應SFC小論文の特徴
慶應SFCの小論文は、出題にどのような特徴があるのでしょうか。具体的な対策方法や勉強内容をお伝えする前にここで確認しておきます。
傾向がつかみにくい
慶應SFCの出題傾向を確認しようにも、実際に過去問に目を通してみると年によって全く違う印象の問題が出題されていることがわかります。扱うテーマが統一されておらず、回答の形式や文字数に関しても毎年異なります。
結果として、参考書や解説者によって全く異なる対策方法を示しているケースが多々あります。前提して、傾向通りの問題を期待することは不可能であると認識しておきましょう。
掲載される資料が多い
次なる特徴として、問題の中で掲載される資料が挙げられます。他学部、あるいは他大学の小論文では、文章だけで問題が出題されることがしばしばあります。
一方で慶應SFCの小論文では、画像や文章など資料が用意されていてそれらについて分析することを求められるケースがあります。文章力が試される印象の小論文試験において資料の読解力を必要とされ、戸惑う受験生も多いです。
合格者の体験談が十人十色
現在インターネット上では、SNSも含め多くの受験体験が共有されています。慶應SFCの小論文に関しても同様です。そして、慶應SFCの小論文においては勉強方法や試験の難易度など、合格者によって言っていることが違う場合があります。
そのために受験生として何を参考にして良いのかわからず自分が行っている対策に不安が生じてしまいます。受験情報は多岐に渡るので、情報に対して適切な判断をもって受け入れましょう。
慶應SFC小論文の入試対策
慶應SFC小論文の特徴をイメージいただけたでしょうか。ここからは小論文試験を突破するための入試対策方法についてご紹介していきます。
最低限の文章力をつける
小論文対策として第一に取り組みたいことは、文章力をつけるためのトレーニングです。ただ、ここで注意したいことは慶應SFCだからといって特段、高い文章力が必要というわけではないことです。
受験生の中には難しい横文字の単語や高度な論理的思考力が必要だと考える方も多いです。しかし、何よりも優先したいことは採点者に自分が書いたメッセージが伝わることです。そのため、慶應SFCに特化した勉強でなくても構いませんので着実に文章力を磨くことを意識してみてください。
プレゼンの力をつける
次に推奨する対策事項は、プレゼンの力をつけることです。小論文試験においてプレゼン力など全く関係がないと思われるかもしれません。
しかし、小論文試験とプレゼンテーションには共通するテクニックが非常にたくさん含まれています。一つのメッセージを伝えるために構成を練ること、適切な具体例をあげること、共感を得るために工夫をこらすことなどです。
現在、慶應SFCではAO入試と呼ばれる面接やプレゼンを中心とした入試形態が設けられています。実際に慶應SFCの学生と話をしてみると、メッセージを伝える力に長けた学生が多いイメージがあります。試験自体は小論文という文章での回答になりますが、その中である程度のプレゼン力も採点者から期待されていると考えられます。
入学後のビジョンをもつ
最後に、もっとも重要なこととして入学後のビジョンを持つことが挙げられます。ホームページなどを見てもわかるように慶應SFCは多岐にわたる学問領域に触れることができ、研究テーマも学生によって様々です。
したがって、在学生は自分が何を学びたいか、あるいは何に問題意識があってどう解決していきたいかというビジョンを持つことが大事です。このことは在学生のみならず受験生にも当てはまります。実際に過去問の中には、入学後に学びたいことをストレートに問う出題も見られます。
同時に入学後のビジョンをもつだけでなく、興味のある分野について自分自身の意見をもっていることも大事です。
「こんな問題を解決するにはこんな手法がある」、「今後の社会はこうなっていくべきだ」といった類のものです。この、「意見をもつ」ということは単純なように思えてある程度のプロセスを必要とする作業です。
例えば、プログラミング技術を用いた新しいサービスを提供したいとします。この場合、現状どのようなサービスがあるのか、ユーザーは何を期待しているのか、あえて自分がその開発に取り組む意義は何か、など考慮すべきことがたくさんあります。
面倒な作業に思われますが、このプロセスを一通りでも体験しておけばそのエッセンスが小論文試験でも発揮できます。
慶應SFC小論文の勉強法と学習計画
ここからは、さらに具体的な慶應SFC小論文の勉強法に触れていきます。ご自身の受験戦略と結びつけながら参考にしていただきたいです。
直前でもよいので対策は絶対にする
慶應SFCに関わらず、一般受験を考えている受験生は他科目の学習時間を確保する必要があります。そのため、つい小論文対策は後手に回ってしまいがちです。中には対策をしなくてもある程度の点数をとれると考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、対策を全くせずに受験に臨むことは少々危険です。そこで直前にやっても効果的な対策を2つご紹介いたします。
1つ目は試験時間を把握するための過去問演習です。慶應SFCの小論文は2時間の試験時間が設けられています。この2時間で自分がどれくらいの文章を読み、回答を記述できるのか、正確に把握している方は少ないです。試験においては、いくら良い考え方や熱量があっても時間によって締め切られてしまうため、時間感覚は絶対に身につけておきたいです。
問題の傾向を知ることも大事ですが、時間感覚をもっておくためにも過去問を解きましょう。
試験直前にお勧めする対策の2つ目は下書きの練習です。ここでいう下書きは回答の全てを一度書くようなものではなく、構成についてメモをしておくイメージのことです。
当然のことですが、問われたことに対して自分が思いついた順番で書いていてはまとまりのある回答になりません。そこで、自分は回答と通して何を伝えたいのか、どういう順番で具体例や理由、体験、データを示していくのかを簡単に整理してみましょう。
下書きをすることは簡単に聞こえるかもしれませんが、このような練習を一回したのとしていないのでは大きな差が出てきます。受験勉強で時間がない中でもこの2点はぜひチェックしてみて下さい。
赤本や模試の解説を吟味する
ある程度勉強が進んでくると、過去問や模試といった実践形式の勉強にシフトしていきます。これまで学習してきたことを試す重要な部分です。
しかし、ここで一点気を付けたいことは解答を鵜呑みにしないということです。赤本や模試の解説はもちろん、小論文指導において実績のある方が作成されているので信憑性の高いものとなっています。
問いに対してどのような構成で回答を作成しているか、接続語や論理的な表現はどのようなものを用いているか、など参考になる点は大いにあります。
ですが、数学や英語と違って絶対的な答案が存在しないことも小論文の特徴です。そのため、解答が示した意見を自分も持たなくてはいけない、解説者の考えに従って本番も記述しなくてはいけない、などと考えることはやめましょう。
あくまでも意見や体験談というものは人それぞれ違っていて、そこにどれだけ独自性があるかということも評価の一つです。結論、解説は表現力や構成力の面では参考にしても考え方や意見までを全て鵜呑みにしないようにしたいです。
添削をしてもらう
小論文の学習で欠かせないことの一つに添削指導があります。先ほども触れましたが、小論文試験では、難しい議論ができることよりも自分の回答が採点者に伝わることが大切です。
そして、自分の文章がちゃんと伝わるものになっているかどうかは一人で判断できるものではありません。この観点から、機会があれば添削を受けることを強くお勧めします。
しかし、この添削を依頼する相手は必ずしも塾や業者といった専門的な方でなくても大丈夫です。友人や家族に読んでもらうことも十分効果的です。むしろ、複雑な政治の話や先端技術のことを家族や友人といった専門知識のない人にわかりやすく解説できることは非常に大きな武器となります。
どなたでもいいので、自分が書いた文章はどこまで伝わっているのか、これを確かめる機会を定期的に設けてみましょう。
必要な勉強期間
以上、慶應SFCの小論文試験を受けるにあたっての具体的な勉強方法をご紹介いたしました。それでは、これらの勉強をどの時期に始めれば良いのでしょうか。対策する内容によって大きく2つにわかれます。
1つ目は、試験の2、3ヶ月前からの対策で間に合うものです。具体的には過去問を中心に実践的な演習を行うというものです。先にも触れたように小論文は一度でも過去問を解いたことがあるか否かで大きく当日のパフォーマンスに影響が出る科目です。
そのため本番をイメージした練習は大事な部分ではあるものの比較的短期間でも取り組めるものです。他大学の受験も並行していることが多いので試験本番に合わせて集中して行ってみましょう。
2つ目は、志望校に慶應SFCを考えた段階から対策が必要なものです。具体的には、入学後に何を学びたいか、自分は何に興味があってどんなインパクトを社会に残したいかといったことを整理する時間となります。
面接試験にも同様のことが言えますが、志望動機や入学後の学習計画は具体的に詳細な内容であったほうが、説得力があり評価も高いです。 そのため、「慶應SFCに入学したい」と思ったらその時から少しずつ興味を持ったニュースや自分で発想したことをノートやメモ帳に書いていきましょう。
この作業は試験直前にできないこともないですが、のびのびと取り組むことで頭が整理されるので時間をかけることをお勧めします。
独学で慶應SFC小論文は攻略できるのか?
慶應SFCの小論文の特徴および具体的な対策についてご紹介いたしました。このパートでは、しばしば話題ともなる「慶應SFCの小論文は独学で攻略できるのか」というテーマについて考えてみたいです。直接、点数に関わってくることではありませんが小論文試験のイメージが湧きにくい方は参考にしていただけると幸いです。
独学できること
小論文対策において一人でもできることを挙げるとすれば自己分析であると考えます。これはテクニック云々といった話以前に、なぜ自分は慶應SFCに行きたいかを考えてみるということです。
先ほども触れましたが、志望動機に関する直接的な問いがなくとも入学後のビジョンを持った上で小論文試験に臨むことは大事です。あまり考え込む必要はないですが、自分が体験してきたことや課題に感じたことを振り返ってみましょう。
少しずつ大学生活で取り組みたいことが見えてくるはずです。このプロセスは当然ながら人によって全く違うゴールになるので、誰かを参考にするというより自分で取り組む方がむしろ適切です。
独学ではできないこと
同時に小論文試験の対策において独学ではできないこともあります。それは回答の評価です。数学や英語といった科目には一通りの絶対的な答えがあるのに対し、小論文は高い点数を取れる回答が何通りもあります。
この時、評価の軸となるものは論理的な思考力や文章力など多々あります。その中でも特に重要な事項は、共感できるか否かという部分だと考えます。この共感性や説得力といった部分は、他大学の入試ではあまり評価軸に入っていない要素となります。
しかし、慶應SFCの場合は実践を重視する学風から理論的な正誤以上に世間に受け入れられるか否かを評価していると予想されます。前者のように理屈として合っているかといった部分はある程度一人でも確認ができます。
一方で、自分の主張に対して他者がどう思うのかという部分に関しては添削をはじめとするコミュニケーションを積んでおかないと養われないポイントです。受験勉強は一人で行うイメージが強いかもしれませんが、定期的に周りの人に頼んで自分の考えに対するフィードバックをもらいましょう。
【体験談】私が行った、慶應SFC小論文攻略法
最後に、実際に私が受験生の時に行っていた小論文対策について簡単にご紹介したいと思います。ぜひ、これらをそのまま実践するのではなくご自身のスタイルに合わせた上で取捨選択していただきたいです。
学校について知る
私は、慶應SFCについて知るためにかなり多面的にアプローチしていました。学校が配布しているパンフレットの閲覧をはじめ、オープンキャンパスへの参加、ORFと呼ばれる展示会への参加を通して様々な情報を仕入れていました。
このように学校について知っていることは小論文対策という意味合いでもメリットがありました。例えば、入学後に研究したいことを答えるにあたってもかなり内容が具体的になりますし、当日出題される問題に対してなぜ、その問題をその年に問うてきたのかという背景を理解することにもつながります。
このように、小論文試験の対策としても情報収集は大事ですが同時に入学への意欲、モチベーションアップにもあると思うのでぜひ色々と学校について調べて見てください。
面白さ、わかりやすさを追求する
小論文試験について、答えが一通りではないことを先ほど書きました。このことを採点者の立場から具体的にイメージしてみましょう。
例えば、数学の試験が終わり、いざまる付けをするとなった時、当然ですが採点者は同じ回答をたくさんみることになります。これは紛れもなく答えが一つに決まっているからです。
一方、小論文の採点をする現場はどうでしょうか。採点者は多くの回答の中から合格ラインに乗せる受験生を選ばなくてはなりません。このような場面において、いくら文章を読んでも内容が頭に入ってこない回答や言っていることは正しくてもありきたりな回答をしている人を興味深いと判断するでしょうか。
私自身も実際の採点の現場を見たことはありませんが、良くも悪くもわかりやすくて印象に残る人が選ばれる部分は多少あると思っています。
そのため、私はTEDトークなどプレゼンが上手い人の話や芸人の漫才なんかを分析して、なぜ話がすっと入ってくるのか、なぜ面白いのかを考えていました。
実際、試験前の休み時間もYouTubeで大喜利をみながら一つの問いに対して多角的に切り込むイメージや簡潔に回答を発表するイメージを浸透させていました。他にも美術館に行ったり造形物に多く触れたりしながら感性を養う時間なんかがあると試験当日にオリジナリティのある面白い回答ができるのではないかと思います。
まとめ
今回は、慶應SFCの小論文試験について対策方法と体験談を中心にご紹介しました。多くの受験生が文章力を評価されていると考えがちな試験ですが、コミュニケーション能力やプレゼン力、モチベーションといった部分も間接的に評価され得ることも知っていただけたらと思います。
自由な学風から大変人気の高い学部ではありますが、ぜひ気取らずご自身の入学への思いやキャラクターを試験にぶつけていってほしいです。同時に他科目の試験と両立させるためにも、やるべきことを明確にした上で計画的に試験本番までの時間を過ごしてみてください。
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