【中学選び完全ガイド】お子さまにピッタリの学校を見つけるポイント解説!|全国対応版
近年は首都圏だけではなく、地方都市でも「中学受験」が珍しくなくなってきました。知り合いの子が私立中に進学したと聞き、うちも考えた方が良いのかしらと悩む親御さんからのご相談も多くお聞きします。
そこで今回は「中学の選び方」と題し、お子さまの小学校卒業後の進路を考えるポイントをまとめてみました。地元の公立中学校から私立中、一貫校まで網羅した完全ガイドです。お子さまを伸ばしてくれるベストな中学を見つけたい保護者の方、必見です!
目次
小学生の進学先は4つある!あらためてまとめ
まずは小学校卒業後に選択できる進学先を整理してみましょう。親世代では最寄りの公立中学に行くのが当たり前だったかもしれませんが、現代の小学生には4つもの選択肢が広がっています。
公立中学校《受験なし》
まずは公立中学校です。各自治体が居住地ごとに通える中学校を指定していますので、公立中学に進学する場合は「中学を選ぶ」ことはできません。
公立中学は経済的な負担が最も少ないのが特徴です。公立中学校でかかる学校教育費は年間平均138,961円ですが、私立中の場合は年間平均1,071,438円と1年間で約93万円の差があります。
また一貫校ではない公立中学から高校進学を希望する場合は、高校受験を経ることになります。高校受験というプレッシャーはあるものの、中学3年間を自分の希望や将来を模索する期間として活かせるのもメリットだと言えます。
引用元:文部科学省「子供の学習費調査」(平成30年度)
公立中高一貫校《受験あり》
続いて公立中高一貫校を見てみましょう。公立中高一貫校は、公立なので学費は安く抑えられつつ、6年間の一貫教育が受けられるという点で近年人気が高まっています。
実際、学校教育にかかる学費は年間平均25〜30万円 前後。また高校入試がないため、公立中学なら高校入試対策に充当する時間を別の教育に振り分けることができます。深く探求する学びが得られるのが特徴です。
引用元:都立中高一貫校の例(ベネッセ)
理数系や英語教育を重視している公立中高一貫校も多く、文部科学省のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)やSGH(スーパーグローバルハイスクール)に指定されている学校も数多くあります。
国立大学附属中学校《受験あり・抽選の場合も》
国立大学附属中学校という選択肢もあります。2021年5月時点で全国に69の国立大学附属中学が存在します。国立大学の教育学部の実験校として設立された経緯があり、ユニークな学習指導を行う中学校が数多くあります。
国立のため、学費は公立中学校並みです。また学習指導要領改訂の際には、新しい学習指導要領を踏まえた取り組みがいち早く行われるといった特徴もあります。
国立中学に入学を希望する場合は、受験が必要です。中学によっては学力検査ではなく抽選が行われる場合もあります。また基本的に小中9年間一貫教育のため定員のほとんどが小学校からの内部進学で決まります。中学入学時点で募集される人数はごくわずかなので注意しましょう。
私立中学校《受験あり》
私立中学校は学校ごと、建学の精神や教育理念に基づいて設立されているというのが特徴でしょう。公教育は国の方針などの影響を受けますが、私立では根本的な考え方は変わりません。学校ごとの校風が一定しているため、お子さまに合う学校を選びやすいと言えます。
中高一貫校や大学附属の学校も多く、大学進学実績が高いという点もメリットです。難関大合格者の出身高校は、私立の中高一貫校生で占められることも少なくありません。大学合格のためのカリキュラムで徹底的に学べるのも私立ならではです。
私立中学は設備面も充実しています。校舎は使いやすくデザインされており、10万冊を超える蔵書を有する図書室がある学校や、音響効果に優れたホールや広い体育館、電子黒板や生徒にipad支給など先端機器の導入に積極的なのは私立中学に軍配が上がります。
中学選びSTEP① この基準で志望校を3~5つに絞り込む
地元の公立中学以外を受験しようと考えた場合は、まず志望校の絞り込みから始めることになります。ここからはお子さまにピッタリの学校を見つけるために押さえておきたい視点を4つお伝えします。
● 校風、教育方針
まずチェックしたいのは「校風や教育方針」です。”校風”とはその学校独自の雰囲気のことで、規律を重んじた厳格な雰囲気の中学もあれば、自由闊達で生徒の自主性を尊重した雰囲気の中学もあります。
”教育方針”とはどのような指導を重視しているかという点ですね。難関大や医学部を目指し、先取りでどんどん進める方針の中学もありますし、生徒の興味を引き出しじっくり探求させる方針の中学もあります。
大切なのは校風や教育方針を調べることと同時に、「お子さまに合うかどうか」「子どもにどう育ってほしいかという家庭の教育観」と擦り合わせを行うことです。思春期只中の中学生は、その後の人格形成の土台となる大切な時期です。実際に学校の雰囲気を見に行く手間を惜しまず、時間を割いて考えることが失敗しない中学選びのコツです。
● 通学時間
通学は毎日続くことですから、無理なく通える範囲から探しましょう。中学生のお子さまが教科書の入ったカバンを持って通うことを踏まえると、片道最大1時間程度までにおさめることをお勧めします。
通学にかかる時間は「実際に通うルート・手段・時間帯」で調べるようにしてください。日中は空いている路線が朝は大混雑だったり、乗り換え接続が良くなかったり、あるいは学校の敷地が広くて想定より時間がかかるということも考えられます。また万一のときは保護者が迎えに行くこともあるかもしれません。送迎の可能性も踏まえることをおすすめします。
● 大学合格実績、卒業後の進路
中高一貫校を検討する場合は、大学の合格実績や卒業後の進路も気になりますね。これらは高校のホームページで公開されていますので、チェックしてみてください。
気をつけたいのは、「難関大の合格者数が多い=指導力がある」とは言えないことです。その実績は1人の優秀な生徒が複数の難関大に合格した結果かもしれませんし、大学附属校であることによる優位性の結果かもしれません。また同じ「東大合格10人」という実績でも、1学年の生徒数が100人の学校と400人の学校では「東大10人」が持つ重みが変わります。こうした点を頭において、合格者の数字だけではなくさまざまな視点から実績を分析するようにしてください。
● 偏差値、入試難易度
偏差値はあくまで「その学校に合格できる学力の指標」として活用しましょう。「学校の良し悪し」を評価するものではありません。
中学受験に臨んだ小6生の学力を1つの指標で表したものが「偏差値」ですから、お子さまの学力と中学校合格者の学力との差を測る参考になります。偏差値50前後を平均的とし、50からの離れ具合で入試の難易度を考えてみてください。
中学選びSTEP② 合わせて調べておいた方が良い項目
中学選びの最重要項目「校風、教育方針」「通学時間」「大学合格実績、卒業後の進路」「偏差値、難易度」をチェックしたら、次にこちらも調べておいた方が良いというポイントを4つご紹介します。
● 学費
お子さまが余計な心配をすることなく、伸び伸びと学んでもらうために「お金」の点は外せません。先の項目で「私立中でかかる学費は年間平均1,071,438円」と書きましたが、こちらはあくまで”平均値”です。学校によって幅がありますので、候補となる中学のホームページやパンフレットに必ず目を通し、必要な金額を正確に把握するようにしてください。
埼玉県の例をあげると、最も学費の高い中学校は私立秀明中学校で年間約180万円かかります。一方、最も学費が安い中学校(共学)は東京成徳大学深谷中学校で年間約65万円で通うことができます。差は倍以上ですね。
その他、通学にかかる交通費や諸経費も合わせて確認しておきましょう。
引用:http://www.chu-shigaku.com/list/p_saitama/cost_1.html
● 受験倍率
受験を考えると「倍率」も気になりますよね。過去数年の倍率は知っておくに越したことはありません。ただし「倍率が高い=人気校で合格が難しい、倍率が低い=不人気校」とも言えないことに注意しましょう。
まず倍率には「実質倍率」と「出願倍率」という2種類があります。「出願倍率」とは定員に対する出願者数をあらわすしており、「実質倍率」とは受験した人のうち、合格した人の割合を表すものです。B中学に出願はしたけれども、先に第一志望校であるA中学に合格したからB中学は受験しなかった、という生徒もいますから、実質倍率は出願倍率よりも低くなります。
また入試日が早い中学は、入試日が遅い中学を第一志望とする受験生の「腕試し」として利用されることがありますので、必然的に倍率は高くなる傾向にあります。また有名校は「記念受験」をする受験生もいますので、同じく倍率は高くなります。
倍率の高さに惑わされず、実質的な部分をみていくことが大切です。
● 部活
中学生になったら部活を頑張るんだ!と楽しみにしているお子さまも多いでしょう。部活は中学生活の中心になることもある重要な要素です。
もしお子さまに希望する部活があるのなら、検討している中学校にその部活があるかどうかも調べてあげたいですね。受験勉強を頑張ってようやく合格したら、入りたい部活がなかったというのでは、お子さまが肩を落としてしまいます。
部活についてはホームページで公開している中学もありますが、ない場合は直接中学に問合せてみても良いでしょう。
● その他
他にも「語学学習環境」「先生と生徒の距離」「少人数制」「ICT教育」といった言葉をキーワードにして中学を比較していくと、学校ごとの特徴が際立ってきます。お子さまにどんな環境で学んでほしいか、優先したい項目はどれかをかんがえながら志望校を絞っていきましょう。
中学選び、家庭内でやっておくべきこと
ここからは中学校を選ぶ際に、ご家庭でぜひやっておいたほうがよいことを3つお伝えします。
● 学校見学に行く
志望校が絞り込まれてきたら、実際に見学に行ってみましょう。学校説明会やオープンスクールが開催されていれば、ぜひ参加してみてください。学校によっては過去問の解説会を開いているところもあります。文化祭もおすすめです。先輩たちの楽し気な雰囲気を間近に見ると、お子さまの期待も大きく膨らむでしょう。
また登校・下校時間に学校の前を通りかかってみると、通う生徒たちの「普段の姿」が見られます。特に朝は先生が校門に立っている場合もありますから、先生と生徒の距離感や接し方を見られるまたとない機会です。
● 子どもの意見もよく聞く
「中学受験は親の受験」と言われることもあるほど、親の存在が重要なのが中学受験です。確かに年端のいかない子どもに、「校風を考えて選びなさい」「大学受験まで見据えなさい」と要求しても難しいことですよね。親の”大人の客観性と合理性”という視点は欠かせません。
しかし実際に学校生活を送るのはお子さま本人です。お子さまには、お子さまなりの希望があり、外せない条件もあることでしょう。そうしたお子さまの思いを、しっかり聞いてあげてください。自分の話を聞いてもらうことでお子さまの納得度も高まり、いざ始まる受験勉強にも力が入るというものです。
● 家庭内の方針を一致させる
「家庭内の方針を一致させる」というのも重要なポイントです。親の一方が主導して中学受験と塾を決めた段階になって、もう一方の親がが聞いていないと塾に乗り込んでくるという笑えない話も実際に起きています。
中学受験に臨むお子さまは、人間性や価値規範を身につけている最中ですから、最も身近な大人である「親」が別々の主義を主張することを「多様性」として判断するのはまだ難しい年頃です。母親と父親で教育観や優先事項を一致させておくこと、それが落ち着いた気持ちで受験に臨むためには欠かせません。
これはNG!失敗しがちな中学選びの例
最後に「失敗しがちな中学選びの例」として3つご紹介します。気をつけているつもりでも、ついやってしまいがちなものばかり。メモしておいて、ときどき見返すのもオススメです。
× 親の希望だけが先行する
子どもの希望を無視し、親の希望ばかりを優先させて中学を選び受験に臨むご家庭をたまに見かけます。親が叶えられなかった夢を子どもに叶えさせようとしたり、親が不合格だった憧れの学校に子どもを入れたいと願ったり…、といったケースです。
夢を持つことは素晴らしいことです。しかしお子さまの人生はお子さまのもの。ぜひお子さまが主体的に夢や目標を持てるよう、サポートしてあげてください。親の希望ばかりが先行した中学選びや中学受験によって、お子さまが本心を親に言えずに辛い思いをしている様子をたくさん見てきましたから。
× 偏差値や進学実績だけで志望校を選ぶ
偏差値や進学実績が高い学校は、確かに憧れます。あるいは我が子には「不合格」という辛い思いをさせたくないから入れそうなレベルの学校だけ受けさせる、という考え方もあるでしょう。
しかし偏差値や進学実績だけからは、その学校の「本当の姿」は見えてきません。もしかしたらお子さまに臨む教育とは違った方針や校風を持っているかもしれません。あるいは実力より上の学校を目指す過程で、お子さまの実力がぐんぐん伸び、可能性が拓くこともあるかもしれません。
偏差値や進学実績は、あくまで前年度までの結果だということを忘れないでください。
× 周りと比べる
受験である以上、同じ中学を目指すライバルとの比較からは逃れられません。そうではなくて、同じ中学を目指すライバル以外との比較は不毛だという話です。中学受験に限った話ではありませんが、「周囲と比較されること」ほど子どもの自尊心を傷つける行為はありません。
たとえば先にレベルの高い私立中に合格した親戚の子や知り合いのお子さん。勉強とクラブチームを両立させている友だち。あるいは兄弟姉妹間。我が子を周囲と比較して評価することが続くと、いつしか子どもは「親に褒められるから●●しよう」「怒られるから××しない」といったように、”自分の判断基準=親”になってしまいます。
中学受験は子どもが自ら「勉強しよう!」と主体的に取り組むからこそ、成果が出ます。お子さんが高い自己肯定感と共に前向きに取り組めるよう、周りとの比較はぐっとこらえてくださいね。
まとめ|納得の中学選びは親子でよく話し合うことから
ここまで中学校の選び方についてまとめてきました。かけがえのない中学校生活だと思えば思うほど、中学選びに失敗したくないという気持ちは強まりますよね。まずは「どんな中学校にかよいたいか」「どんな3年間を送りたいか」「中学生になったらやりたいことは何か」など、中学校に対するお子さまの思いをよく聞いてみてください。その上で、親子で納得できるまでよく話し合うことで、道は自然と開けてきます。
お子さまが心から「行きたい!」と思える学校に出会えることを祈っています。
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