「公共」の効率的な学習方法・暗記のコツ
2022年度から高校の必履修科目となった「公共」は、現代社会を生きる上で不可欠な知識を学ぶ、非常に重要な科目です。しかし、暗記する内容も多いため、「どうやって勉強すればいいの?」と悩む方もいるかもしれません。
高校で学ぶ「公共」の概要から、効率的な学習方法、さらには暗記のコツまで、徹底的に解説します。
「公共」で学ぶ内容
高校で学ぶ「公共」は、単に法律や制度を暗記する科目ではありません。現代社会を生きる上で必要な、「主権者としてのものの見方や考え方」を養うことを目的としています。学習指導要領では、以下の4つの領域に分けて内容が構成されています。
まずは公共で学習する内容から紹介します。
探求の導入
この領域では、導入として「公共」を学ぶ意義について考えます。自己の関心や社会との関わりの中で、公共的な課題をどう捉えるかという視点を養います。
【主な学習内容】
- 現代社会の諸課題
グローバル化、情報化、少子高齢化、環境問題など、現代社会が抱える様々な課題について、その本質を理解します。
- 公共的な空間
学校、地域社会、国家、国際社会といった、私たちが関わる「公共的な空間」について考察します。
主体的に社会を形成する私たち
この領域では、個人と社会、国家の関係を学び、私たちがどのように社会に参画していくかについて考察します。
【主な学習内容】
- 個人の尊重と人権
自由、平等、幸福追求権といった基本的人権の意義と、それがどのように守られているかを学びます。
- 民主主義の基本原理
民主主義とは何か、多数決の原則と少数意見の尊重、三権分立といった民主政治の仕組みを理解します。
主権者としての社会参加: 選挙制度や政治参加の意義、そして私たちが社会に対して責任を持つことの重要性について学びます。
経済活動と私たちの生活
この領域では、市場経済の仕組みや、私たちの生活に密接に関わる経済活動について学びます。
【主な学習内容】
- 市場経済の仕組み
需要と供給の法則、価格の決まり方、企業の役割などを学びます。
- 金融と財政
銀行の役割、金融政策、国の財政(税金や公共サービス)の仕組みを理解します。
- 労働と雇用
働き方、労働者の権利、雇用形態の変化などについて学びます。
- 持続可能な社会
環境問題や格差問題など、経済活動が抱える課題について考察します。
グローバル化する国際社会と私たちの未来
この領域では、国際社会における日本の役割や、グローバルな課題について学びます。
【主な学習内容】
- 国際関係
国際連合(UN)や世界貿易機関(WTO)といった国際機関の役割、国家間の対立や協力のあり方を学びます。
- グローバルな課題
貧困、紛争、気候変動といった、国境を越える課題について考察します。
- 多文化共生
異なる文化や価値観を持つ人々が、どのように共生していくかについて考えます。
「公共」は、現代社会で起こる様々な出来事を理解し、自分なりの意見を持つための土台を築く科目です。これらの学習内容を通して、社会をより深く理解し、主体的に社会に参加する力を養うことが目標です。
公共をしっかり学習しておいたほうがいい理由
「公共」は、単に高校の必履修科目だからという理由だけでなく、皆さんが将来、より豊かに、そして主体的に生きていくために不可欠な知識と力を養う科目です。
大学受験における大きな武器となるから
「公共」で学ぶ内容は、共通テストや個別試験の「現代社会」「政治・経済」といった科目で出題されます。特に共通テストでは、時事問題やグラフ、表、資料を読み解く問題が多く、日頃から「公共」の学習を通じて社会への関心を高めておけば、他の受験生と差をつけ、高得点を狙うことができます。
多くの文系学部や、総合型選抜(旧AO入試)では、社会の諸課題に対する関心や、論理的な思考力が評価されるため、「公共」の学習は大きな武器となります。
民主主義社会の一員として不可欠な教養だから
「公共」で学ぶ内容は、私たちが民主主義社会の一員として、責任ある行動をとるために必要な知識です。例えば、選挙制度の仕組みや、国の財政、税金の使われ方などを理解していれば、政治家や政党の政策を自分なりに判断する力が養われます。
また、ニュースで報道される社会問題や国際問題についても、表面的な情報だけでなく、その背景にある構造や歴史を深く理解できるようになります。
これにより、SNSなどで安易な情報に流されることなく、自分なりの意見を持つことができるようになります。
論理的思考力と多角的な視点を養うから
「公共」では、一つの問題に対して、多様な視点から考える力が養われます。
例えば、「環境問題」について考えるとき、経済的な側面、倫理的な側面、国際的な側面など、多角的に考えることで、より本質的な解決策を探ることができます。
このような学習を通して、物事を多角的に捉え、論理的に考える力が身につきます。
この力は、大学での学びはもちろんのこと、将来どのような職業に就いたとしても、必ず役に立つ普遍的なスキルです。
公共で高得点を狙うために意識したいこと
「公共」は、単なる暗記科目ではありません。高得点を取るためには、知識をインプットするだけでなく、その知識をどう活用するかという思考力が問われます。以下の3つの点を意識して学習に取り組んでみましょう。
教科書を丁寧に読み込む
「公共」は、教科書に書かれている内容を正確に理解することが最も重要です。教科書を読み込む際は、以下の点を意識しましょう。
- 重要キーワードと関係性を把握する
教科書に出てくる重要キーワード(例:「三権分立」「市場経済」など)は、ただ暗記するだけでなく、そのキーワードが何と何がどう関連しているのか、その背景にある考え方まで理解しましょう。
- 図やグラフ、資料を読み解く
教科書の巻末や、本文中に挿入されている図やグラフ、資料は、重要な情報源です。これらの資料が何を意味しているのか、どのような傾向や特徴があるのかを読み解く練習をしましょう。
ニュースや新聞に目を向ける
「公共」は、現代社会の出来事と深く結びついています。日頃からニュースや新聞に目を向けることで、学習した内容がどのように現実社会で使われているかを確認できます。
- 時事問題に強くなる
共通テストや個別試験では、時事問題が出題されることがあります。ニュースで報道された出来事について、「公共」で学んだ知識を当てはめて考える習慣をつけましょう。
- 知識が定着する
教科書で学んだ「市場経済」や「金融政策」といった知識が、現実の経済ニュースと結びつくことで、より深く理解でき、記憶にも残りやすくなります。
議論や対話をする
「公共」は、正解が一つではない問題も多くあります。自分の意見を持つだけでなく、他者の意見を聞き、それについて考えることが大切です。
- 自分の意見を言葉にする
友人や家族と、社会問題について議論したり、自分の意見を述べたりすることで、論理的思考力が養われます。
- 多角的な視点を持つ
自分とは異なる意見に触れることで、物事を多角的に捉えることができるようになります。これにより、より深い理解が得られます。
これらの学習法を実践することで、単なる知識の暗記に留まらない、「公共」の本質的な力を身につけることができます。
公共を効率よく勉強するポイント
「公共」を効率よく勉強するには、ただ教科書を読むだけでなく、インプットとアウトプットをバランスよく行うことが大切です。以下のポイントを意識して、学習に取り組みましょう。
インプットの質を高める
まずは、知識を頭に入れるインプットの方法を工夫します。
- 教科書と参考書を使い分ける
教科書は、学習指導要領に基づいた最も重要な教材です。教科書の内容を正確に理解することが基本となります。しかし、文章が難解な部分や、理解しにくい箇所がある場合は、図やイラストが豊富に使われている参考書を活用しましょう。視覚的に理解することで、知識が定着しやすくなります。
- 自分でノートをまとめる
教科書や参考書の内容を、自分の言葉でノートにまとめ直すことで、知識が整理され、記憶に定着しやすくなります。このとき、単に書き写すのではなく、自分なりの言葉で言い換えたり、図や表を使って視覚的に整理したりするのがおすすめです。
アウトプットの量を増やす
インプットした知識を、実際に使えるようにするためには、アウトプットの練習が欠かせません。
- 問題集を繰り返す
教科書でインプットした知識を、問題集でアウトプットしましょう。問題を解くことで、自分の理解度が確認でき、苦手な部分を発見できます。1つの問題集を完璧に理解するまで、何度も繰り返し解くことが重要です。
- 過去問を解く
「公共」の内容は、共通テストや個別試験の「現代社会」「政治・経済」などで出題されます。大学入試センターの過去問や、志望校の過去問を解くことで、出題傾向や難易度を把握できます。
日常生活と結びつける
「公共」は、現代社会で起こる様々な出来事と深く結びついています。学習した知識を現実世界と結びつけることで、理解がより深まります。
- ニュースや新聞をチェックする
日頃からニュースや新聞に目を向け、学習した内容がどのように現実社会で使われているかを確認しましょう。これにより、知識が定着し、時事問題にも強くなります。
- 議論する
友人や家族と、社会問題について議論したり、自分の意見を述べたりすることで、論理的思考力が養われます。
公共の暗記術
「公共」は、覚えるべき用語や制度が多くあります。ただ丸暗記するのではなく、以下の3つの方法を実践することで、知識を効率よく定着させ、忘れにくくすることができます。
キーワードを関連付けて覚える
単語をバラバラに覚えるのではなく、関連するキーワード同士を結びつけて覚えましょう。この方法は、知識が体系的に整理され、より深い理解につながります。
【具体例】
- 「三権分立」なら…
「立法(国会)」「行政(内閣)」「司法(裁判所)」という3つのキーワードと、それぞれの役割(例:国会は法律を作る)をセットで覚える。さらに、なぜ三権分立が必要なのか(権力の濫用を防ぐため)という背景も一緒に覚えることで、知識が強固になります。
- 「市場経済」なら…
「需要」「供給」「価格」という3つのキーワードの関係性(需要が増えると価格が上がる、など)を理解しながら覚える。
語呂合わせやイメージを活用する
複雑な用語や年号、制度などは、語呂合わせや具体的なイメージと結びつけて覚えると、記憶に残りやすくなります。
【具体例】
- 「金融政策」なら…
中央銀行が行う政策ですが、これを「金利を調整して、景気をコントロールする」というイメージと結びつけて覚える。金利が下がると、お金を借りやすくなり、経済が活性化するというように、具体的な流れをイメージするのも効果的です。
アウトプットを繰り返す
インプットした知識は、アウトプットすることで記憶に定着します。以下の方法で、覚えた知識を積極的に使ってみましょう。
- 音読する
声に出して教科書やノートを音読することで、視覚と聴覚の両方から情報を入力でき、記憶の定着が促されます。特に、用語の定義や説明文を音読するのがおすすめです。
- 問題演習を繰り返す
問題集を解くことは、覚えた知識が定着しているかを確認する最も効果的な方法です。間違えた問題は、なぜ間違えたのかを分析し、再度教科書に戻って復習することで、知識の穴を埋めることができます。
まとめ
「公共」は、大学受験の得点源になるだけでなく、これからの社会を生きる上で不可欠な知識と力を養う重要な科目です。
この記事で解説した学習方法を参考に、日々の学習に計画的に取り組んでみてください。あなたの努力が、必ず将来の役に立つはずです。