【漢文を得点源にする勉強法】現役東大生がオススメする!大学受験漢文の参考書・問題集5選
皆さんは漢文の勉強をしっかり行えていますか?漢文は対策がしやすいにもかかわらず多くの人がうまく勉強できていない人が多いです。また数学や英語の勉強の方にどうしても時間がとられるため、国語の中の一分野に過ぎないことから優先度が低くなってしまいがちです。
そのため、いかに時間をかけず、効率的に習得していくかが漢文を勉強するうえでは重要です。今回はこのような受験生の悩みに答えるべく、漢文を得意科目にするための勉強法と、使える参考書・問題集を紹介していきたいと思います。
漢文が受験勉強で「コスパが良い」と言われる理由
ネットで「漢文 勉強法」と検索すると、『1か月で結果が出る!』とか、『共通テスト満点確実!』といったタイトルの記事がたくさんヒットしますよね。
英語や数学なら、そんな「うまい話があるわけはない」とうさん臭く見られてしまうものですが、漢文に限っては「本当」です。漢文はそれだけ点数を上げる勉強セオリーがあり、しかもやればやっただけ点数に直結しやすい科目だということ。
なぜ漢文は「勉強コスパが良い」と言われるのか、その理由を3つに整理しました。
覚えることが少ない
まず1つ目、漢文は覚えることが少ない、ということがあげられます。
漢文は暗記科目ですから、当然「覚えないといけないこと」というのは存在します。しかし点数を取るために必要な「覚えるべき項目の量」が、他教科より圧倒的に少ないのです。
たとえば共通テストで漢文と同じだけの配点がある「古文」では、覚えたい単語の数は約300語。一方、漢文で覚えたい重要語句・句法などは合計しても150程度と言われています。英語に至っては、大学入試に必要な単語数は5000~7000語、漢文で覚えるべき事項がいかに少ないかがわかりますね。
難しい問題や記述式の問題は出題されない
センター試験から共通テストに変わり、出題形式にも変化が見られますが、「漢文」を解くために必要になる力というのは変わっていません。またセンター試験から引き続いて、漢文には難易度の高い問題というのは出題されない傾向にあります。問題形式もオーソドックスなものが多く、きちんと漢文の基本を勉強したきたかを問うものばかりです。
つまり漢文の基本を習得し(本文の意味を正しく理解できるようになり)、問題演習に取り組めば、ちゃんと本番の問題が解けるようになるということです。これが、基本を習得した上でさらに共通テスト専用の対策を十分にしないといけない英語や数学、現代文とは異なる点です。
基本の習得で得点が安定するのですから、「おいしい」科目といえませんか?
短期間で成果が実感できる
この後の項目で詳しく書きますが、漢文は「句法の暗記」と「音読」、「問題演習」が勉強の柱になります。そして覚えるべき項目が少なく、問題も基本的なものが多いという漢文の性質により、勉強をし始めると割とすぐに「できるかも!」という実感を得やすい科目が漢文なのです。
覚えても覚えても読めるようにならない英語……、新しい問題に出会う度に悩む数学……、一種、勉強の徒労感すら持ちやすい他の科目に比べて、すぐに「解ける」実感が得られるというのは、受験勉強のモチベーションアップにもつながりますよね!
漢文は短期間で成果が出やすい科目です。ぜひ受験勉強が本格化するより前に完成させ、模試の得点安定の1要素にしてください。
《共通テスト対策》漢文でおさえるべきポイントと勉強法
さあ、いよいよ「やれば結果が出る」漢文の勉強法を解説していきます。漢文の勉強は「句法」「音読」「問題演習」の3ステップで進めるのがおすすめですよ。
STEP1.句法を覚えよう
「句法」とは、漢文の白文を読み理解するために必要な文法ルールや構文のことです。英文法を知らずに英語が読めないように、句法を知らずに漢文をスラスラと読めるようにはなりません。
次のどれかに当てはまる人は、ぜひ句法の暗記から始めてください。
- 漢文の受験勉強を本格的に始めていない
- 漢文をスラスラ読み下す(訓読みする)ことができない
- 「置き字」「再読文字」があると、急に読めなくなる
- 共通テスト(センター試験)レべルの問題が解けない
句法の勉強は、句法を解説している参考書1冊をマスターすれば十分です。学校からもらった参考書があればそれを使っても良いですし、これから用意するという人には最重要・最頻出句法66個を開設した『漢文ヤマのヤマ(出版:学研プラス)』がおすすめです。
STEP2.音読練習しよう
漢文はスラスラ読めれば読めるほど、比例して意味も理解できるようになり、問題も解けるようになります。句法の勉強と並行して、漢文の音読練習に取り組みましょう。
漢文を「スラスラ読める」とは、次の3つの状態になれるということです。
- 初見の漢文を淀むことなく、読み下せる
- 読みながら意味がわかる、情景が思い描ける
- 1文1文の意味を説明できる
どうですか?この状態になれたら、共通テストの問題なんて怖くない!といえそうですよね。
「スラスラ読める」ようになる練習方法は次の通りです。
- 教科書レベルの基本的な漢文を用意する(返り点がついたもの)
- 書き下し文と訳が添えられた解説を準備する
- 書き下し文で読み方を確認しながら、一通り音読する
- 意訳を読んで、意味を理解する
- 意味を頭に浮かべながら、1つの漢文を30~50回繰り返し音読する
この5つの手順で、少なくとも15題、漢文を読んでみてください。終わるころには、明らかな変化が感じられるはずです。
STEP3.問題演習をしよう
句法の学習と音読がある程度進んできたら、いよいよ問題演習に取り掛かりましょう。まだ漢文に自信がないという人は基本レベルの問題集から、一般的には共通テストレベルの問題集に取り掛かってもOKです。
問題を解くときも句法や正しい読み下しを意識してほしいのですが、加えて次のポイントに注目しながら読むと、より内容理解がしやすくなりますよ。
- 登場人物と人間関係
- 場面
- 主題
- 結末
漢文は登場人物の名前が似ていたり、人間関係が複雑だったりすることで、読んでいる途中で展開が分からなくなってしまうことがあります。それを防ぐためには、人物の名前を印分けする、人間関係を図にしておくといった工夫が有効!
また起承転結がつかみやすい話ばかりではありませんよね。教訓めいたものや、漢詩などはとくに、「主題(何についての話なのか)」が見つけにくいもの。数多く漢文に触れながら、主題と結末をつかむ力もつけていくと良いでしょう。
問題を解く際は、解答の根拠が本文のどこにあるかを明確にしながら進めるようにしてください。答え合わせの際も、解答そのものの正誤より「解答の根拠とした箇所が正しかったか」という視点が重要です。
これだけでOK!漢文で押さえておきたい学習ポイント
これから漢文の勉強を始める受験生のために、最優先でおさえてほしい漢文の学習ポイントをお伝えします。どれも「知っていないと読めない」ものですが、反対に言えば「知っていれば読めるようになる」のが漢文!
サクッとマスターして、次の模試から漢文の得点アップを狙っていきましょう!
返り点
漢文の基本中の基本が「返り点」です。読む順番を示しており、この指示に従って読み進めることになります。
◎ 返り点
- レ点
- 一二点
- 上下点
・レ点
左下に「レ」がついた漢字は一旦飛ばして1文字進み、また「レ」がついた文字に返って読む
・一二点
2文字以上飛ばしたいときに使う返り点。「二」がついた文字を飛ばして「一」まで進み、また「二」に戻る
・上下点
「一二点」を挟みつつ、さらに返りたいときに使うもの。「一二点」を先に読み、次に「下→上」の順に戻りつつ読む
置き字
「置き字」とは、元々の中国語には必要だった文字ですが、日本語として読み下す際には不要(読み飛ばす)文字のことです。訓読する際には読みませんが、意味は持っているので知っておくと解釈の助けになります。
◎ 主な置き字
- 而(順接、逆説)
- 於・于・乎(場所、目的、対象、時間、起点、比較、受け身など)
- 矣・焉(断定、強調)
- 兮(整調)
また置き字はそれぞれ、置かれる場所も決まっています。合わせておさえておきましょう。
再読文字
「再読文字」とは、1回読んだあとに、もう一度戻って読む字のことです。頻出句法である上に、正しい意味理解にも非常に重要になります。それぞれの「読み方」「意味」を必ずセットで覚えてください。
◎ 重要再読文字
- 未(いまダ~ず)「まだ~しない)
- 将・且(まさニ~(セ)ントす)「これから(いまにも)~しようとする。いまにも~になろうとする。
- 当・応(まさニ~べシ)「当然~すべきだ。~しなければならない。~すべきだろう。きっと~だろう。」
- 宜(よろシク~べシ)「~するのがよい」
- 須(すべかラク~べシ)「ぜひ~する必要がある。かならず~しなければならない」
- 猶・由(なホ~ガごとシ)「ちょうど~と同じようなものだ。あたかも~のようだ」
- 盍(なんゾ~ざル)「どうして~しないのか」
句形
「句形」とは、単語と単語・文と文を「ある決まった意味によって」つなぐ言葉のことです。英語の関係代名詞に似た働きをしています。
読解において非常に重要な役割を果たしていますが、数も多いのでここで挫折する受験生も数多いとか。ここでは最重要な10個の句形を紹介しますので、まずはこの10個にしたがって整理してみてください!
◎ 超重要句形
- 否定形・疑問形
- 反語
- 詠嘆
- 受け身・使役
- 仮定
- 限定・累加
- 比較・選択
- 比況
- 抑揚
- 願望
漢文特有表現(漢文常識)
漢文は読み下すと古文と似てきますが、しかし古文と(あるいは現代日本語と)同じ意味で捉えると解釈を間違える語句があります。「漢文常識」ともいえるこうした漢文特有の表現を知っておくと、さらに正しく理解できるようになりますよ。
一例をまとめておきます。参考書に載っているので、そちらも合わせてチェックしてみてくださいね。
◎ 漢文特有の言い回し
- 臣(しん)「わたくし」|自分のことを謙遜した一人称。
- 家書(かしよ)家族への手紙、家族からの手紙
- 丈夫(ぢやうふ)立派な男
- 人間(じんかん)人の住むところ、世の中
- 夫子(ふうし)先生、賢者、長者|敬称
漢詩の知識
出題頻度が高くはないので優先順位は下がりますが、知識問題として問われる場合もあるのが漢詩です。漢詩でよく使われる表現技法もおさえておきましょう。
◎ 漢詩の表現技法
- 詩形|「五言絶句」「五言律詩」など。「五言/七言」「絶句/律詩」は必須!
- 押韻|句末に同じ響きの字を置き、韻を踏ませる技法
- 対句|同じ文構造の句を並べること。意味も関係を持たせる
漢文の参考書・問題集の選び方

漢文を勉強するにあたって注意したいのは実際の入試で出てくる漢文は共通テストも二次試験もそこまで難易度に差はありません。それなのに漢文で受験生の間の実力に違いが生まれてしまうのはどうしてなのでしょうか。
それは共通テストがマーク式であるため何となくでも正解してしまうケースが少なくないからだと思います。
しかし実際の漢文の実力は「漢文が読める人」「漢文が読めない人」に完全に二分されてしまっているのです。漢文は句形と単語を最低限理解すれば格段に読みやすくなります。ですのでまずは漢文を読めるようになるために今回私が紹介する参考書・問題集を参考にしてみてください。
残りの差は設問の問いに正しく解答する記述力ですが、漢文の文章の意味がつかめていれば大意はずれないと思われるのでまずは句形・単語、特に句形(単語はやろうとするときりがないので自分の志望する大学のレベルに合わせて勉強する方が良い)を重視しましょう。
おすすめの大学受験漢文の参考書・問題集5選
ここからは漢文のおすすめ参考書・問題集についてそれぞれ特徴や使い方などを紹介していきたいと思います。
漢文ヤマのヤマ
まず初めに紹介するのは学研が出版している漢文ヤマのヤマ 共通テスト対応版です。この参考書は名前の通り共通テスト対策レベルでの重要な句形と単語について解説しています。
漢文の授業の復習・共通テスト対策を初めてする人におすすめの参考書になります。句形ごとに例文とその句形の解説、注意点に加えて演習ドリルとして数題の演習問題も収録されています。受験漢文の勉強を始めるにあたり最初に取り組む参考書としておすすめです。
漢文早覚え速答法 共通テスト対応版
続いて紹介するのは学研が出版している漢文早覚え速答法 共通テスト対応版です。こちらの参考書も先ほどの漢文ヤマのヤマと同様に初心者向けの参考書であり、漢文にあまり時間を割くことが出来ない理系の人におすすめです。
どちらもレベル・内容ともにほぼ同じといって差し支えないので、どちらか片方、レイアウトなどが気に入った方を購入することをおすすめいたします。
漢文道場
続いて紹介するのはZ会が出版している漢文道場という問題集です。この問題集は漢文の読解問題集で、基礎編・練成編10題ずつ、実戦編20題の文章題で構成されています。レベルは基礎編が共通テストレベルで、練成編・実戦編は国立・私立を問わずほとんどすべての大学に通用する内容となっています。
得点奪取漢文 記述対策
次に紹介するのは河合出版が出している得点奪取漢文 記述対策です。この問題集は、記述に特化した漢文の問題集になります。漢文がすでにある程度読めるようになり、共通テストの問題でコンスタントに8割以上を取れるようになった人におすすめです。
構成としては二部構成になっていて、第一部に典型問題、第二部に実践的な演習問題が収録されています。この問題集の特徴としては解説がとても丁寧で、記述に盛り込むべきポイントを事細かに解説してくれています。漢文を徹底的に仕上げたい受験生におすすめの一冊です。
文脈で学ぶ 漢文句形とキーワード
最後に紹介するのはZ会が出版している文脈で学ぶ 漢文句形とキーワードです。これは問題集と参考書の中間のような一冊で、第一章に文法と句形の例文を交えた解説、第2章に重要単語や表現の解説、第3章には漢文の文章の内容をジャンル別に解説したページが設けられています。
この3章目がとても画期的な内容になっていて漢文の文章を「政治を語っているもの」「生き方について語っているもの」のようにパターン化してしまいどんな文章が来たとしても「あーこのタイプね(笑)」というレベルにまで落とし込んでしまおうというものです。ここで漢文の文章のパターンを知っておくことで読解が今までよりも簡単になることでしょう。
【体験談】漢文のおすすめ勉強法を東大生が完全解説
さてここからは現役東大生である私がおすすめの漢文の勉強法とどのように漢文を勉強してきたかについて順を追ってご紹介したいと思います。あくまで一例ですのでこのような勉強法で上手くいく人もいるのだというように捉えていただけると幸いです。
高1~2年生の間の漢文勉強法
まず初めに私の漢文の勉強スケジュールについてご紹介します。私は理系で当初は東大を志望していなかったためセンター試験でしか漢文を使わない予定でした。なので高1のころは正直なところ学校の定期テスト対策以上に参考書・問題集を使用して勉強はしていませんでした。
この時期に意識していたこととしては句形を覚えることと、教科書の文章の意味を完璧に理解することです。教科書の本文に出てくる句形と単語くらいはしっかりと覚えておくことをおすすめします。
本文を、現代語訳を参照しつつ繰り返し読めば徐々に漢文に対する嫌悪感は消えていくと思います。高2のころになると東大を意識し始めたため二次試験レベルで漢文をしっかり対策する必要が出てきました。
そこで学校の漢文の勉強だけでは足りないと思い、Z会の出版している「文脈で学ぶ 漢文句形とキーワード」を使用して漢文に触れる機会を増やしました。しかしまだ高2の段階であり、英語・数学がメインなことに変わりはないのであまりやり過ぎるのもよいこととは言えません。私自身も全国模試の1,2週間前のみ対策をする程度に留めていました。
高3の間の漢文勉強法
さて高3になると本格的に受験勉強がスタートするので漢文も本腰を入れて勉強する必要があります。漢文は句形と単語さえインプットしてしまえばあとは慣れだけだと私は考えているので「漢文道場」を用いて漢文に触れる機会を確保することを意識しました。
特にセンター試験直前は学校配布の問題集を毎日、二次試験直前は漢文道場に載っている問題を一日一題解いて実力を落とさないようにしていました。
おすすめ勉強法
ここまで私の漢文の勉強スケジュールについて簡単に紹介しました。漢文のおすすめ勉強法としては、先ほど私が紹介した句形と単語について覚えるために教科書の本文と現代語訳を繰り返し読むことです。句形と単語さえ覚えてしまえばあとは慣れなので漢文の文章問題を解くと良いと思います。
まとめ
ここまでおすすめの参考書・問題集、および勉強法について紹介してきました。漢文は対策がしやすい分野であり、対策をすれば誰でも得点源にすることが出来る部分だと思うので今回紹介したことを生かして漢文のさらなる勉強につなげていただければ幸いです。
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