高卒認定で大学合格を目指す!大学受験へのルート・勉強法を紹介
高校を中退しても、「やっぱり大学に進学したい」と考えている方もいるのではないでしょうか。しかし、「高校を卒業していないと大学受験はできないのでは?」と不安に感じているかもしれません。
高校を卒業していなくても、高卒認定(高等学校卒業程度認定試験)という制度を利用すれば、大学受験の資格を得ることができます。
ここでは、高卒認定を取得して大学合格を目指す方法を、具体的なステップに沿って分かりやすく解説します。
高卒認定とは?高卒認定の受験資格は?
高卒認定(高等学校卒業程度認定試験)は、高校を卒業していない人が、高校卒業者と同等以上の学力があることを国が認定するための試験です。
高卒認定の目的とメリット
高卒認定試験に合格すると、大学・短大・専門学校の受験資格が得られます。また、高校卒業者と同等と見なされるため、就職活動や資格試験の受験資格などでも有利になる場合があります。
高卒認定は、何らかの理由で高校を中退した人や、高校に進学しなかった人、あるいは海外の学校を卒業した人など、様々な背景を持つ人々に高等教育への道を開くための重要な制度です。
高卒認定と高校卒業資格の違い
高卒認定は、高校卒業資格そのものではありません。 あくまで「高校卒業と同程度の学力があること」を証明するもので、最終学歴は「高校中退」となります。
しかし、大卒や専門学校卒となれば、最終学歴はそれぞれ「大学卒業」「専門学校卒業」となるため、高卒認定の肩書は実質的に影響しなくなります。
高卒認定の受験資格
高卒認定試験は、試験実施年度に満16歳以上になる人であれば、誰でも受験できます。
高校に在籍中の人でも受験は可能ですが、在籍校の単位取得状況によっては、受験科目が一部免除される場合があります。
また、年齢の上限はないため、社会人になってから学び直しをしたい人にも開かれた制度です
高卒認定試験の受験方法
受験方法
高卒認定試験は年に2回実施され、8月と11月に行われます。出願期間は、試験日の約2~3ヶ月前です。インターネット出願と郵送出願があり、郵送出願の場合は願書を文部科学省のウェブサイトから入手するか、資料請求する必要があります。
受験資格は試験実施年度に満16歳以上になる人です。高校に在籍していても受験できます。
試験科目
高卒認定試験の科目は、8~10科目あります。高校の教科書レベルの内容から出題されます。必修科目と選択科目があり、受験者の経歴(高校在学中に取得した単位など)によって受験科目が変わります。
【必修科目】
- 国語
- 数学
- 英語
- 世界史AまたはB
- 日本史AまたはB
- 現代社会(倫理、政治・経済も可)
- 理科(科学と人間生活、物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎から2科目選択)
【選択科目】
- 地理AまたはB
- 倫理、政治・経済(現代社会を選択していない場合)
- 物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎(理科の必修2科目以外から1科目選択)
受験料の目安
高卒認定試験の受験費用は、受験する科目の数によって異なります。受験料は、受験する科目数に応じて以下のようになります。
- 3科目以下: ¥4,500
- 4科目〜6科目: ¥6,500
- 7科目以上: ¥8,500
受験する科目数は、高校在学中に取得した単位によって免除される科目を考慮して決まります。
支払方法
受験料は、出願時に収入印紙を願書に貼り付けて納付します。収入印紙は、郵便局で購入できます。
その他かかる費用
受験料以外に、以下のような費用が発生する場合があります。
- 願書(出願書類)の取り寄せ費用: 文部科学省のウェブサイトからダウンロードする場合は無料ですが、郵送で取り寄せる場合は送料がかかることがあります。
- 写真代: 願書に貼る証明写真の費用。
- 交通費: 試験会場までの交通費。
合格要件
高卒認定試験に合格するには、すべての科目に合格する必要があります。各科目の合格基準は非公表ですが、一般的に100点満点中40~60点程度と言われています。
【科目合格制度】
一度にすべての科目に合格する必要はありません。科目ごとに合格が認められ、一度合格した科目は翌年以降の受験が免除されます。 これにより、自分のペースで少しずつ合格を目指せます。
【単位の認定】
高校に在籍して取得した単位は、科目合格として認められます。例えば、高校で「世界史B」の単位をすでに取っている場合、高卒認定試験で世界史を受験する必要はありません。
大学受験までのルート
高校を中退してから高卒認定を取得し、大学受験を目指すまでのルートは、いくつかのステップに分かれます。以下に、その具体的な流れを詳しく解説します。
ステップ1:高卒認定試験の受験準備
高卒認定試験は、高校の教科書レベルの知識が問われるため、まずは独学や予備校、通信教育などを利用して学習を進めます。
- 独学で取り組む
市販されている高卒認定試験向けの参考書や問題集を活用します。自分のペースで進めたい人や、費用を抑えたい人に向いています。
- 予備校・塾の活用
専門の講師から直接指導を受けることができます。疑問点をすぐに解決でき、モチベーションを維持しやすいというメリットがあります。
- 通信教育を使う
自宅でカリキュラムに沿って学習を進められます。レポート添削などのサポートがあるため、計画的に学習したい人に向いています。
ステップ2:高卒認定試験の受験と合格
高卒認定試験は年に2回(8月と11月)実施されます。一度にすべての科目に合格する必要はなく、前述したとおり、科目合格制度があります。
また、高校在籍時に取得した単位も認定されるので、事前に文部科学省のウェブサイトで、どの科目が免除されるかを確認しておきましょう。
ステップ3:大学受験の準備
高卒認定に合格したら、いよいよ大学受験に向けた本格的な勉強を始めます。
- 志望校の決定
まずは、志望する大学や学部を明確にし、受験に必要な科目や出題傾向を調べます。
- 受験科目の学習
高卒認定の試験範囲は高校の基礎レベルですが、大学受験ではより深い知識や応用力が求められます。志望校のレベルに合わせて、受験科目を集中的に学習します。
- 予備校・塾の活用
高卒認定向けの予備校や、高卒生向けのコースがある予備校を利用すると、専門的な指導を受けられ、効率的に学習を進めることができます。
ステップ4:大学受験と合格
大学入試は、大学入学共通テストと、各大学の個別試験が一般的です。
- 共通テスト
高卒認定合格者も、高校卒業者と同様に共通テストを受験できます。共通テストの成績は、多くの大学で個別試験の出願資格や合否判定に利用されます。
- 個別試験
志望大学が実施する個別試験を受験します。高卒認定を取得していても、全日制高校の受験生と同じ条件で受験できます。
このルートは、自分のペースで着実に学びを進めたい人や、高校生活とは異なる環境で学びたい人にとって、大学進学を実現するための有効な選択肢です。
高卒認定を取得するための勉強のポイント
試験の全体像を把握する
まず、文部科学省のウェブサイトで試験要項を確認し、受験科目や出題範囲を把握しましょう。特に、免除される科目がないかチェックすることが大切です。
- 科目合格制度を活かす
高卒認定試験は、一度に全科目に合格する必要はありません。得意な科目から受験して合格を積み重ねることで、心理的な負担を減らせます。
- 出題範囲を絞る
科目によっては、高校の授業すべてを網羅しているわけではありません。過去問を分析することで、頻出する分野や問題形式を把握し、効率的に学習を進められます。
最適な勉強方法を選ぶ
自分の学習スタイルや予算に合わせて、最適な勉強方法を選びましょう。
- 独学
市販の高卒認定試験向け参考書や過去問題集を使います。自分のペースで進められるため、費用を抑えたい人や、自己管理が得意な人に向いています。
- 予備校・塾
専門の講師から直接指導を受けられます。疑問点をすぐに質問でき、同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨できるため、モチベーションを維持しやすいです。
- 通信教育
自宅にいながら、カリキュラムに沿って学習を進められます。レポート添削や質問対応のサポートがあるため、計画的に学習したい人に向いています。
学習のポイントを抑える
高卒認定試験は、高校の教科書レベルの内容が中心です。基礎をしっかりと固めることが合格への近道です。
- 基礎を固める
まずは、各科目の教科書や基礎的な参考書を丁寧に読み込み、基本的な知識を身につけましょう。
- 過去問を徹底的に解く
過去問は、出題傾向を把握する上で最も重要な教材です。何度も繰り返し解くことで、問題形式に慣れるだけでなく、自分の苦手な分野を特定できます。
- 苦手科目を克服する
苦手な科目は、得意な科目を学習する間に少しずつでも毎日取り組むようにしましょう。予備校や通信教育のサポートを利用するのも効果的です。
計画を立てて、継続する
高卒認定の勉強は、長期戦になることもあります。無理のない学習計画を立て、継続することが何よりも重要です。
- 具体的な目標設定
「1ヶ月で〇〇科目を終わらせる」「今日は過去問を1年分解く」のように、具体的な目標を立てましょう。
- 学習時間の確保
毎日少しずつでも学習時間を確保することで、知識の定着を促せます。
- 休息も大切にする
無理をして体調を崩してしまっては元も子もありません。適度な休息をとり、リフレッシュしながら学習を続けましょう。
高卒認定を取得したら…大学受験勉強のポイント
高卒認定を取得したら、いよいよ大学受験に向けた本格的な勉強が始まります。高卒認定の勉強とは異なり、より高いレベルの知識と応用力が求められるため、戦略的なアプローチが必要です。
志望校と受験科目を明確にする
まずは、具体的な目標を立てることが大切です。
- 志望校と学部を決める
漠然と「大学に行きたい」と考えるのではなく、どの大学のどの学部で何を学びたいのかを明確にしましょう。オープンキャンパスに参加したり、大学のウェブサイトでカリキュラムを調べたりするのがおすすめです。
- 受験科目を確認する
志望校の入試要項を確認し、受験に必要な科目を把握しましょう。大学によって、必要な科目や配点が異なります。高卒認定では免除された科目も、大学受験では必須となる場合があります。
基礎を固め、応用力を養う
高卒認定の勉強で身につけた基礎学力を土台に、応用問題に対応できる力を養います。
- 基礎固め
高卒認定試験に合格していても、大学受験レベルの基礎が不十分な場合があります。まずは、高校の教科書や基礎的な参考書をもう一度見直し、抜けがないか確認しましょう。特に、英語と数学はすべての学力の土台となるため、時間をかけてじっくりと取り組みましょう。
- 応用問題への挑戦
基礎が固まったら、大学入試問題集や、志望校の過去問に挑戦しましょう。難しい問題にぶつかっても、すぐに諦めず、なぜ解けないのかを分析し、解説を読み込んで理解することが重要です。
予備校や塾を有効活用する
独学でも不可能ではありませんが、予備校や塾を利用することで、効率よく学習を進めることができます。
- 専門的な指導
予備校の講師は、大学受験のプロフェッショナルです。志望校の出題傾向に合わせた対策や、効率的な勉強法を教えてくれます。
- 学習の進捗管理
予備校では、定期的にテストや面談を行い、学習の進捗状況をチェックしてくれます。これにより、一人で勉強するよりもモチベーションを維持しやすくなります。
- 情報収集
大学の入試情報や、最新の受験動向など、独学では得にくい情報を得ることができます。
大学入学共通テスト対策
多くの大学は、大学入学共通テストの成績を出願資格や合否判定に利用しています。高卒認定合格者も、高校卒業者と同様に共通テストを受験できます。
- 共通テスト対策
共通テストは、知識だけでなく思考力や応用力が問われます。共通テスト対策用の問題集や、予備校の講座を利用して、しっかりと対策しましょう。
- 過去問演習
共通テストの過去問を解き、時間配分や問題形式に慣れておくことが重要です。
高卒認定から大学受験を目指すことは、決して簡単な道ではありませんが、計画的に学習を進めれば、大学合格は十分に可能です。あなたの「学びたい」という気持ちを大切に、一歩一歩着実に進んでいきましょう。
高卒認定を取得しなくても大学受験する方法はある?
高卒認定以外で大学受験資格を得る方法は、「高校卒業資格」を取得することです。
この資格は、全日制高校の代わりに通信制高校や定時制高校を卒業することで得られます。これらの学校は、高校中退者や、学業と両立したい人々のための柔軟な学びの場です。それぞれ特徴をみていきいましょう。
通信制高校を卒業する
通信制高校は、自宅での自学自習を中心に、レポート提出や年に数回のスクーリング(対面授業)を通じて単位を取得する、正規の高校です。
- 学習の柔軟性
毎日決まった時間に登校する必要がないため、自分のペースで学習を進められます。
- 学費が抑えられる
全日制高校に比べて学費が比較的安く、経済的な負担を抑えられます。
- 高校卒業資格を得られる
通信制高校を卒業すれば、高卒認定とは異なり、正式な「高校卒業」の学歴が残ります。この資格は、大学受験だけでなく、就職活動やその後のキャリアにおいても有効です。
通信制高校の学習に不安がある場合は、サポート校を併用することで、個別指導や進路相談といった手厚いサポートを受けることも可能です。
定時制高校を卒業する
定時制高校は、主に夜間に授業を行う高校で、「夜学」とも呼ばれます。学業と仕事や家庭を両立したい人、あるいは昼間の学校生活に馴染めなかった人にとって、貴重な学びの機会を提供しています。
- 夜間授業が多い
昼間は仕事や自由時間に充て、夕方から夜にかけて授業を受けます。
- 多様な年齢層の生徒がいる
生徒の年齢層は幅広く、社会人や子育て中の人も通っています。様々な背景を持つ人々と交流することで、視野が広がり、社会性を養うことができます。
- 高校卒業資格を得られる
定時制高校も正規の高校であるため、卒業すれば高校卒業資格が得られます。
定時制高校の多くは、3年または4年で卒業するカリキュラムが組まれています。落ち着いた環境で、着実に高校卒業を目指したい人に向いています。
まとめ
高卒認定を取得して大学受験を目指す方法は、決して簡単な道ではありませんが、計画的に学習を進めれば十分に可能です。
高卒認定は、高校卒業資格とは異なり、あくまで「高校卒業と同程度の学力があること」を証明するものです。しかし、この資格を取得すれば、年齢に関係なく大学受験に挑戦できます。
高校中退者にとって、高卒認定は大学進学の道を開くための重要なステップです。独学、予備校、通信教育など、様々な学習方法の中から自分に合ったものを選び、一歩ずつ着実に学習を進めていくことが大切です。
また、高卒認定以外にも、通信制高校や定時制高校を卒業するという選択肢もあります。これらの学校は、正規の高校卒業資格が取得できるため、より安定した学歴を残すことができます。
どのような道を選ぶにせよ、あなたの**「学びたい」という気持ち**を大切に、あなたのペースで最適な方法を見つけてください。