別室登校とは?その役割やメリット・デメリットについて
「別室登校って何?」
「別室登校から教室に戻れるようになるの?」
このような疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。
学校へ行きたくない子に別室登校での対応が行われるケースもあります。この記事では、別室登校の概要や役割についてわかりやすく解説。行われる内容やメリット・デメリットについてもくわしく説明します。
教室にもどれるようになるのかなど、気になる疑問へもお答えします。別室登校について知りたい人は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
別室登校とは?
学校に行きたくなくて教室に入れなくなった子どもについて、学校から別室登校を提案される場合があります。ここでは、別室登校とはどのような状態なのかを詳しく解説します。
自分のクラスに行かず別の部屋で過ごす
別室登校とは、自分のクラスではなく別の部屋で過ごすことです。何らかの理由があり教室に入れない子に、学習の場を提供する目的で行われます。
別室登校では、子どもの状態に応じて対応するのがほとんどです。国語や算数などを別室で学習し、図工や体育などの実技教科は学級に入って行う場合も別室登校です。子どもの調子により、教室に行ける日があれば対応します。
別室登校に使われる部屋は、ほかの子どもの目に触れない空き部屋で行われます。別室登校に使われる部屋の例として保健室や相談室、学校図書館などがあります。
学校図書館は授業中に利用するクラスがあるので、ほかの子と会いたくないタイプには不向きです。こじんまりとした広さの方が落ち着けるため、現場では相談室や保健室の利用が多い傾向です。
多くの小・中学校で出席扱いになる
別室登校では、多くの小・中学校で出席扱いになります。別室でも登校すれば、教室に入らなくても出席とカウントされます。
学校に行きたがらず、家で何もしていない状態は欠席と見なされます。文部科学省は年間30日以上の欠席について、理由別の調査を行っています。30日以上欠席すると学校も理由を報告しなければなりません。
長期欠席は学力低下にもつながるので、子どもの登校を促すため別室登校などを提案する学校が多いのです。
別室登校の役割とは
学校に行けなくなった子どもに行われる別室登校にはさまざまな役割があります。ここでは、別室登校の持つ役割を3つに分けて紹介します。
一時避難場所
別室登校には、教室にいられなくなった子が一時避難できる場所として使われています。逃げ場があることで安心感を持たせる狙いがあります。
通常の教室に通えていたのに、あるときから行けなくなってしまうのには理由があります。例えば、先生がほかの子へ指導しているのを聞くのがつらい、勉強についていけないなどが理由です。
教室にいるのがつらいとき、別の部屋に逃げ込めるので気持ちに余裕が持てます。安心して学校に登校できるようになるでしょう。別室は長期欠席・不登校にならないための「一時避難場所」として機能するのです。
学校復帰へのステップ
別室登校は、学校復帰へのステップとして使われることもあります。少しでも学校に滞在する時間を作り、学校生活のリズムに慣れさせる目的で利用されます。
不登校などで長期欠席した場合、いきなりクラスの中に戻したのでは身構えてしまうでしょう。せっかく復帰する気持ちになったのに、最初に失敗するとまた不登校に戻りかねません。
別室登校を不登校の学校復帰に使うときは、段階を踏んで慣れさせます。教師と2人だけの学習から始め、仲のよい友達と別室で過ごすなど人間関係を少しずつ広げるのが一般的です。
慣れてきたら1時間だけ教室の授業に入ってみるなど、スモールステップですすめていきます。このように、別室登校は長期欠席・不登校から「学校復帰へのステップ」としても機能するのです。
生徒の気持ちを和らげる
生徒の気持ちを和らげる場として、別室登校を使う場合もあります。教室に行けない罪悪感や自責の気持ちを和らげる役割も果たせるためです。
教室に入れない子の中には、理由が自分でもわからないタイプもいます。「みんなの中に入れないのはどうしてだろう」と子ども自身悩んでいる場合も。親に対しても申し訳なく感じ、ますます教室に行けなくなってしまう可能性があるのです。
少しでも学校に行けると、登校できた経験が自信につながり子どもの気持ちが楽になります。別室登校には、不登校になりそうな生徒の気持ちを和らげる働きもあるのです。
別室登校では何をするの?
別室登校では何をしているか気になる人もいるでしょう。別室登校は、子どもの状態に合わせて内容を考えるため、取り組む内容に縛りはありません。ここでは、別室登校で行う内容を4つに分け、具体的に解説します。
勉強
別室登校では勉強を中心に行うケースが多いです。教室に行けない分を別室で学習し、学力を保障する意味もあります。
別室登校では、空き時間のある先生が対応し、ドリルやタブレット学習などを自分で進めるのが基本です。教員免許のない養護教員や支援員が対応する場合は、教科書の内容を勝手に教えられないのも理由です。
教務主任や空き時間の先生などが対応する場合、教室で学習している単元を教えてもらえることも。しかし、いつも指導を受けられるわけではないので、自分で学習する時間が多いと考えてください。
読書
別室登校では、読書をして過ごすこともあります。先生が対応できない時間や、ドリル学習が終わった後などの休憩として、読書を取り入れるためです。
中学校なら教科担任制なので空き時間のある先生も多いですが、小学校ではほとんどの授業を担任が行います。特に低学年の先生は空き時間が少なく、別室登校に対応できる教師が少ないです。対応できる先生が来るまで、読書をして待っていてもらう時間もあるでしょう。
先生と話す
別室登校では先生とコミュニケーションを取る時間もあります。日常的な会話をしながら、生徒の心をほぐし、信頼関係を取り戻すのも必要だからです。
不安な気持ちを抱えながら別室登校をしている生徒も多いでしょう。学校では、不登校など問題を抱える生徒が登校してきたとき、できるだけ温かい雰囲気で迎えるよう心がけています。
別室登校で子どもの対応をするのは、養護教諭や支援員が多い傾向です。登校時間がその日によって違う別室登校の子は、毎回同じ先生が対応するのが難しいためです。
授業中も対応できる養護教諭は生徒にとって話しやすい存在で「保健の先生になら相談できる」という子もいるでしょう。
帰宅時間は自由
別室登校の場合、帰宅時間は自由です。みんなと同じ時間まで学校にいなくても出席扱いとなり、自分の調子に合わせて登校できます。
母子分離不安のある子が別室登校をする場合、親と一緒に過ごす場合もあります。小学校高学年や中学校になると、親の送迎や自力で登下校する場合も。帰宅する場合は、職員室にいる自分の学年の先生に帰ることを伝えて下校します。
別室登校と保健室登校・放課後登校は違う?
別室登校と似た状態に保健室登校と放課後登校があります。ここでは、保健室登校と放課後登校について詳しく説明します。
保健室登校とは
保健室登校は別室登校の一種で、保健室を使って学習することを指します。登校後は教室に入らず保健室に直行し、保健の先生と一緒に話したり、自主学習をしたりして過ごし、下校するのが一般的です。
保健室登校の役割は、不登校から立ち直るためのきっかけづくりが中心です。学校に慣れるため保健室に1,2時間登校し、様子を見ながら別室登校や教室への復帰につなげるケースが多いです。
ただし、保健室はケガや病気の生徒も多く訪れるため、ほかの生徒と会う機会が多いです。養護教諭も訪れた子の対応があるため、保健室登校の子ばかりを見れるわけではありません。別室登校の準備が整うまでの一時的な居場所として、保健室登校が行われているのです。
放課後登校とは
放課後登校は夕方など、生徒が下校したあとに登校し学習する方法です。日中の別室登校と違い、ほかの生徒と顔を合わせる心配がありません。友達関係のトラブルなどで、クラスメイトと会いたくない生徒には合っている方法です。
放課後登校では担任が対応するケースが多く、教室と同じやり方で勉強できます。クラスの学習進度に合わせて教えてもらえたり、図工や家庭科などで行う制作物の指導も受けられるでしょう。
また、担任と直接話ができるため、気持ちを伝えやすいのも放課後登校の良さです。人間関係の悩みなど、クラスメイトとの調整もしてもらえるでしょう。しかし、担任の不在などで、毎日登校できない場合もあります。
別室登校のメリット
別室登校には、不登校と比べてメリットが多数あります。ここでは、別室登校の主なメリット4つについて、具体的に解説していきます。
出席として認められる
別室登校の大きなメリットは出席扱いになることです。学校に少しの時間でも登校すれば欠席にはならないので、不登校状態とはカウントされません。
別室登校をしていると、遅刻や早退でも学校に登校した事実が残ります。文部科学省では、病気や経済的理由以外で年間30日以上欠席した場合を不登校と定義しています。別室登校など、登校した事実があれば不登校としてカウントされないのです。
小学校や中学校は義務教育なので別室登校でも進級できます。高校は別室登校が認められても、進級に必要な単位がある点に注意です。
参照:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」
子どもの孤立を防ぐ
別室登校には、子どもの孤立を防ぐ意味合いもあります。不登校で起こりがちな親子の孤立を防ぎ、復学に向けて学校と連携しやすくなるメリットがあります。
別室登校していると、職員室にいるさまざまな先生が見に来てくれます。ほかの子の目が気になって担任に話せないことでも、養護教諭などほかの先生になら話せる場合もあるでしょう。
別室登校には、先生とコミュニケーションをとり、信頼関係を構築する役割もあります。見守ってくれる先生が増えると、学校への信頼が増し、教室へ戻るきっかけとなるでしょう。
親が学校との接点を持ち続けられる
子どもの別室登校により、親が学校との接点を持ち続けられるのもメリットです。学校と連携を取りながら、子どもの復学に向けて動くことができるでしょう。
子どもが不登校になってしまうと、学校と話す時間もなくなります。学校と家庭の話し合い不足では、親も学校への不信感が募り、教室へ戻るタイミングを失ってしまう可能性もあるでしょう。
別室登校は親が送り迎えをするケースが多いので、送迎時に先生と会話できます。学校の様子を聞いたり、家庭での様子を伝えたりするうちに、学校と家庭が同じ方向を見て子どもをフォローできるようになります。
このように、子どもが短時間だけでも学校に行けている事実は、親と学校との接点を維持することにもつながるのです。
生活リズムが維持できる
別室登校により生活リズムが維持できるのも大きなメリットです。子どもの心身の健康が保たれ、復学に向けて動きやすくなります。
不登校になると、自由な時間が多いため起床時間が遅くなるなど、生活が乱れがちです。運動量も減るので肥満も気になります。その点、別室登校をしていると朝起きる時間が不登校ほど崩れません。登校による刺激も受け、適度に疲れて夜も眠れるでしょう。
別室登校で決まった時間に起床するよう心がければ、生活リズムが維持でき、心身の健康が保てるメリットがあるのです。
別室登校のデメリット
欠席としてカウントされない別室登校ですが、デメリットもあります。ここでは、別室登校のデメリットについて4つに分け、項目ごとに解説します。
学習が遅れる
別室登校では、学習の遅れが気になります。教科書の内容を教えられる先生が見守るわけではないため、新しい内容を教えてもらえない可能性があるためです。
別室登校では、基本的に自習での学習になります。クラスメイトが教室で新しい単元の授業を受けている間も自習なので、学習が遅れてしまうのです。教員免許を持った先生が対応してくれる場合もありますが、教科担任制で学習が難しくなる中学校では難しいでしょう。
不登校と違い学校に登校していますが、新しい単元の学習ができないのがデメリットです。自主学習だけで学校の授業内容に追いつくのは難しいでしょう。学習面をフォローしてくれる塾や家庭教師に依頼するのがおすすめです。
別室登校のお子さんの学習サポートなら、オンライン家庭教師ピースにお任せください。不登校生徒への指導実績が豊富で、信頼関係を築きながらお子さんに合わせた学習内容を提案します。
学校にいけず、習っていない範囲の戻り学習も理解できるまでしっかりフォロー。担任以外にも教務担当がつくのもピースならではの特徴です。お子さんの悩みを聞き、解決法を一緒に考えます。
別室登校のお子さんをお持ちで、家庭教師ピースに興味のある方は、無料体験学習をぜひお試しください。
後ろめたい気持ちになる
別室登校により、子ども自身が後ろめたい気持ちになる可能性があります。ほかの子と比べがちなタイプは、教室に入れない自分に罪悪感を感じやすいためです。
日中に別室登校している場合、クラスメイトは教室で授業を受けています。休み時間になると、元気に遊んでいる声も聞こえてくるでしょう。学校にいるけれど同じ行動ができないと感じ、気持ちの面で孤立してしまうケースも考えられるのです。
別室登校でいいと思ってしまう
別室登校の心地よさから、教室より居心地が良くなってしまう場合もあります。自分の思うとおりに行動できるので、集団行動より楽に感じてしまうためです。
別室登校では、いろいろな先生が関わってくれるので普段と違って楽しいと感じる生徒もいるでしょう。学校側も子どもが気持ちよくすごせるよう配慮しているので、子どものペースに合わせることも多いです。
同級生同士だと、同等に接するため意見が合わないときもあります。集団行動は子どもの成長に必要ですが、学校に行きたくない子には厳しい面もあるでしょう。別室登校で大人にやさしくされるのが気持ちよく、教室に戻らなくてもよいと感じてしまうのです。
人目が気になる
別室登校では人目が気になる点がデメリットです。人間関係が苦手で人と接したくないタイプの生徒には、別室登校でも厳しいかもしれません。
別室での学習も、安全上子どもを長時間ひとりにしておけないため、手の空いている先生が対応することになります。慣れていない先生が見守る場合もあり、個室でずっと見られているのがストレスに感じる生徒もいるでしょう。
また、別室で学習中も廊下から生徒の声が聞こえてきたり、教室移動の際にばったり会ったりするケースも。別室とはいえ学校の中なので、人との触れ合いはさけられません。別室登校でもストレスがたまる子には、放課後登校から慣らした方がよいでしょう。
別室登校から教室に復帰するには
別室登校から教室に復帰するためには、学校とよく話し合い慎重にすすめましょう。ここでは、別室登校の子どもが教室復帰をする際に大切なポイントを3つ紹介します。
子どもに自信をつける
別室登校から教室に復帰する前に、子どもに自信をつけさせるよう心がけましょう。得意なことを生かして教室で活躍できれば、自分の居場所ができるためです。
自信をつけるには、子どもの得意な面を伸ばすのが一番です。イラストやスポーツ、勉強など何でもよいので、別室登校中に得意なことをたくさんさせましょう。
別室登校で対応してくれる先生に、子どもの得意分野を見せるのもよい方法です。たくさんの人に褒めてもらえて自信につながるでしょう。
目標を持つ
教室に復帰する前に、子どもに目標を持たせるのもおすすめです。やるべきことがはっきりすると、教室で頑張る原動力になります。
目標があると、みんなと一緒に勉強する意味が理解できるかもしれません。将来の夢でもいいですし、少し頑張ればクリアできそうな目標でもいいでしょう。本人も含めて保護者、担任など関係者が集まって共通の目標を確認するのが大切です。
目標以外では、本人の負担にならない程度の役割を与える方法もあります。クラスメイトから必要とされる役割があれば、やりがいから教室にいる意味を感じられるでしょう。
段階を踏んで復帰をめざす
別室登校からの教室復帰では、焦らずに段階を踏むことが大切です。不登校の状態に逆戻りしないよう、学校と相談しながら慎重にゆっくり進めましょう。
教室復帰する前に、受け入れる学級側も下準備が必要です。教室に入った途端、歓声で迎えられたり無視されたりすると、子どもも驚いてしまいます。担任の先生には、学級の子どもたちに「以前と変わらぬよう接すること」と伝えてもらうとよいでしょう。
子どもが別室登校に慣れてきたら、時期を見て先生に「友達に図工の作品の作り方を教えてもらおう」などど声がけしてもらいます。子どもの了解を得てから仲のよい友達を招き入れ、作品を見せてもらったり作り方を教えてもらったりします。
少人数でのコミュニケーションに慣れてきたら、好きな教科での教室復帰を目指します。本人の調子を見ながら、20分でもいいので参加できる時間を作ります。教室に入る時間を少しずつ長くしていくと無理なくすごせるでしょう。
まとめ
教室ではない部屋で勉強する別室登校は、不登校で起こりがちな孤立を防ぎ、生活リズムを保てるメリットがあります。常に教師が対応できるとは限らず、自主学習が基本となるため新しい単元に進めないのがデメリットです。
別室登校できるようになったら、子どもの得意なことを伸ばし自信をつけさせるのがポイント。学校の先生と連携しながら、クラスメイトとの交流を増やすなど、スモールステップで教室復帰を目指しましょう。
子どもの教室復帰には、別室登校中に進んだ分の学習フォローが必須です。学習面の不安には、不登校に理解のある塾や家庭教師に依頼する方法もあります。中でも、直接会わずに授業が受けられるオンライン家庭教師は、別室登校や不登校の子どもに合った学習方法です。
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