浪人&文転を考えるキミへ!失敗しないポイントと科目選択を詳しく解説
浪人の1年間で文転、合格は可能だろうか?
この時期、そう悩む受験生は少なくありません。
もちろん理系のまま勉強を積み重ねた方が、合格の可能性は高いでしょう。でも「どうしても数IIIが解けない」「理科が限界」「国語の方が得点できる」など、文転を考えたくなる状況もあるものですよね。
結局、文転して浪人は、「アリ」なのでしょうか?
今回は浪人生の文転をテーマに、科目選択や目標設定、志望大学の選び方など、きっと知りたいことを一つひとつ解説していきます。
浪人して文転は「無理じゃないけど、覚悟が必要」
浪人しての文転は、アリかナシかと言われれば「アリ」です。
無理ではない、でも本当に大変な、相当の覚悟が必要な選択でもあります。
多くの場合、1年かけて受験勉強してきた数IIIと理科1科目は不要になり、代わりに古文(大学によっては漢文も)を含む国語と地歴2科目を本気になって勉強しないといけません。
特に地歴2科目のうちの1つは、ゼロベースから勉強が始まります。日本史にせよ世界史にせよ、あるいは倫理・政治経済にせよ、ゼロから知識を詰め込むのは楽ではありません。当然、その間も他の科目は入試レベルの演習を続けつつ、なのですから。
それでも、浪人・文転は不可能ではありません。具体的に勉強がどう変わるのか、まず一番気になる選択科目の点から見ていきましょう。
浪人して文転した場合、選択科目はこう変わる!
浪人して文転を決心した場合、一番気になるのは「選択科目はどうすればいい?」という点ですよね。
まず、文転した場合に選択科目がどう変わるのか、志望系統別に整理してみましょう。
現役・国公立理系 ⇒ 浪人・国公立文系の場合
現役時代は「国公立理系」志望だったAくん。浪人し文転を決めましたが、志望は引き続き国公立大学(文系)という彼の受験科目は以下のようになります。
◎ 現役(国公立理系)の受験科目
英語、数学IA・IIB・III、国語(現・古・漢)、理科2、地歴・公民1
◎ 浪人(国公立文系)の受験科目
英語、数学IA・IIB、国語(現・古・漢)、理科1(基礎科目2でもOK)、地歴・公民2
〈 point 〉とにかく地歴1科目をガンバレ!
- 英語:文系でも理系でも変わりませんので、そのままです。
- 数学:「数IIIまで」から、「数IIB」までに出題範囲が減少します。
- 国語:共通テストで現・古・漢文が必要。2次試験で国語が課されるかどうかは、大学次第。
- 理科:4単位科目2つから1科目に減少。「基礎」を付した科目2つでもOKです。
- 社会:1科目増えます。この1科目増える社会が、浪人文転の最大の壁になります。
数学と理科の勉強範囲が大幅に減ります。
その分を増える地歴に充てられれば、文転合格も見えてきますね。
ただし現役時代に数学や理科が苦手だった場合は、数理に割り振る勉強時間があまり減らせず、地歴の科目増が純粋に負担増となることもあります。
現役・国公立理系 ⇒ 浪人・私立文系の場合
現役時代は「国公立理系」志望だったBくん。浪人し文転を決めましたが、受験科目の負担を考えて志望は私立文系に定めました。Bくんの受験科目は、以下のようになります。
◎ 現役:国公立理系
英語、数学IA・IIB・III、国語(現・古・漢)、理科2、地歴1
◎ 浪人:私立文系
英語、国語(ほぼ現・古)、数学IA・IIB or 地歴1
〈 point! 〉一番可能性がある文転ケース!志望大対策を徹底的に
- 英語:文系でも理系でも変わりませんので、そのままです。
- 数学:私立文系は「選択科目」扱いです。選んだ場合も、数IIBまででOK。
- 国語:難関私立を除き、漢文は出ません。現代文だけという大学もあります。
- 理科:不要になります。
- 地歴:私立文系は地歴1科目というところが多いので、現役時代の勉強が生かせます。
一番合格可能性が高いといったのは、国公立理系から私立文系に志望を変えた場合は、勉強量が「増える」ということがないため。数学はIIBまでになり、理科はいらなくなり、地歴は現役時代の科目そのままで受験可能です。
現役・私立理系 ⇒ 浪人・国公立文系の場合
現役時代は私立理系志望だったCくん。浪人した場合、お金の心配も考えてできれば国公立大に行きたいと思っているようです。私立理系から国公立文系に志望を変えた場合の受験科目は、次のようになります。
◎ 現役:私立理系
英語、数学IA・IIB・III、理科1~2
◎ 浪人:国公立文系
英語、数学IA・IIB、国語(現・古・漢)、理科1(基礎科目2でもOK)、地歴2
〈 point! 〉はっきりいって、おすすめできません!
- 英語:文系でも理系でも変わりませんので、そのままです。
- 数学:数IIBまでに出題範囲は減りますが、共通テスト対策が必要です。
- 国語:新しく追加!それも「現・古・漢文」すべて必要です。
- 理科:4単位科目なら1つ、「基礎」を付した科目なら2つ必要です。
- 地歴:新しく追加!それも2科目必要です。
私立理系から国公立大文系という志望変更は、かなり厳しいのがわかるでしょうか。厳しさの原因は、新しく加わる科目が多いからです。共通テストだけとはいえ、国語と地歴2科目をゼロから勉強するのは、かなり困難な道のりです。
地歴は歴史1科目+公民1科目という組み合わせを選ぶ受験生が多いのですが、旧帝大や難関大は公民を「倫理、政治・経済」指定してきます。もはや歴史に加え、倫理と政経という計3科目の勉強に等しい量だと思ってください。
現役・私立理系 ⇒ 浪人・私立文系の場合
現役では私立理系志望だったDくんは、浪人して文転しますが志望は私立のままです。Dくんの受験科目は、次のように変更になります。
◎ 現役:私公立理系
英語、数学IA・IIB・III、理科1~2
◎ 浪人:私立文系
英語、国語(ほぼ現・古)、数学IA・IIB or 地歴1
〈 point! 〉無理じゃない!科目選択は慎重に
- 英語:そのままです。
- 数学:私立文系は「選択科目」扱いです。選んだ場合も、数IIBまででOK。
- 国語:新しく追加になります。多くの私大は現・古が必要。
- 理科:不要になります。
- 地歴:数学同様、選択科目扱いです。
国語が新しく追加になるのが負担かもしれません。多くの私大は「現代文+古文」を出題しますので、それなりの勉強は必要です。理科は必要ありませんね。
問題は「数学 or 地歴」の選択科目のうち、どちらを選ぶかということでしょう。現役時代の勉強を活かすには数学選択ですが、実は「英語+国語+地歴」という3科目受験を標準にしている私立大学も多いのです。数学を選んだ場合、受けられる入試方式が限られてしまう可能性もあります。
大学の入試科目を良く調べてから、数学か地歴か決めることをおすすめします。
浪人文転生の悩みに答えます!
浪人して、さらに文転となると、周りに同じ選択をする仲間もほとんどおらず、悩みを相談できる人もいないという受験生もいるのではないでしょうか。
ここからは「浪人&文転」を選ぶ受験生が悩みやすいことを3つ、解決していきます。
浪人して文転、選択科目は地歴と数学のどっちが有利?
文系なら地歴を選ぶべきか、現役時代の勉強を活かせる数学を選ぶべきか。迷いますよね。
「どちらが有利か」は、あなたの得意不得意によります。
数IIIが苦手、でも数IIBまでならできる!という場合は、数学選択もアリです。文系の数学には、数IIIが出題されないからですね。
数学が全体的に苦手なら、思い切って地歴を選んでみるのも方法です。暗記量は多いものの、逆にいえば暗記さえできれば何とかなるのが地歴だからです。
文転生の選択科目の悩みは、「数学を続けるかどうか」という点に集約できます。数学を続けるべきかどうか悩んだら、志望大学の過去問と合格者平均点を見比べてみましょう。ゼロから勉強を始める地歴で合格点をとるのは、簡単なことではありません。当然、周りは地歴対策を十分に行っているわけですしね。
数学の過去問を見て、合格者平均点以上が取れそうであれば、数学を活かすのも方法です。
文系科目はどれくらいを目標に勉強するべき?
文転すると、地歴、あるいは国語の勉強が追加になるケースがほとんどです。これまでやってきていない科目なだけに、目標をどれくらいにしておけばよいのかも悩ましいですよね。
ゼロから勉強を始める場合は、まず平均点を目標にしましょう。足りない分は、英語など既に積み上げのある科目でカバーします。
周りは「国語や地歴が得意です!」という人ばかりになるわけですから、差がありすぎて焦るかもしれません。でも大切なのは、総合点でボーダーラインを突破することです。必要以上に周りと比べず、自分の決めた目標だけを見ていけば道がひらけますよ。
文転する決心がつきません……。
文転は勇気がいる選択です。
でも!迷っている日数だけ、残りの勉強時間は減るということを忘れないでください。
ゼロベースで勉強する科目が増える以上、合格するには1日でも1時間でも多く勉強することしか方法はありません。
迷っている理由を整理し、一つひとつに自分で答えを出していきましょう。それでも決心できない、迷っているならば、文転しない方が良いのかもしれませんよ。
浪人⇒文転、大学はこう選ぶと間違いがない!
文転する浪人生にとって、文系の大学選びはきっと初めてですよね。見慣れない学部名も多く、難易度もよくわからないのでは。
文転する浪人生が成功できる大学選びのコツをまとめました。
入試科目は念入りにチェック!
文転の大学選びポイント1つ目は、入試科目を良く見ましょう!ということです。
特に国公立文系志望の場合は、2次試験の科目を要チェック。国公立大学2次試験は記述式の問題が多いため、対策の難易度(大変さ)も上がることを踏まえてください。国語は数十字~100字程度を書かされる場合もあります。
私立文系は選択科目の3つ目に注目しましょう。もう1年数学を頑張るのか、地歴に集中するのかの分岐点になります。
目標は難易度に幅を持たせて!あまりに高い志望は挫折の原因に
志望大学を選ぶ際は、難易度に幅を持たせるのもコツです。
第一志望は憧れの「あの大学」で良いのですが、第二・第三、第四志望くらいまで考えておくのがおすすめ。
文転しての勉強は、予期していなかったことも起きるでしょう。伸び悩む科目も出てくるかもしれません。そんな時に、高い目標しか考えていないと挫折してしまうかもしれません。
「あの大学」を目指しつつ、現実的にここもいいな、と幅を持たせた目標設定をしておくことが、どんな成績状況でも安心して勉強を続けられるポイントですよ。
一度決めたら迷わない!猪突猛進でガンバレ
決めたら迷わないことも大切です。
文転は大きな決断、もしかしたら「やっぱり……」と思い直したくなることもあるかもしれません。
でも(重要なので何度も書きますが)、悩んでいる間にも時間は過ぎていくのです。時間が過ぎた分だけ、国語や地歴を勉強する時間は減ります。理系に戻りたい?数IIIや物理化学は覚えてますか?
一度決めたら、振り返らず受験まで一直線に駆け抜けましょう。そのためにも、なんとなく文転を選んではダメですよ。覚悟をもって、決断してください。
信頼できるアドバイザーを見つけよう
文転はあまり多くないケースなので、勉強も模試分析も、受験校選びでも試行錯誤が続きます。そんな時に的確にアドバイスしてくれる、信頼できる存在を確保しておきましょう。
特に模試分析は、文系生の中での自分の位置が適切かどうかを分析できる、貴重な機会。文転し合格した先輩の指導経験がある人に相談できると安心です。
予備校の講師やチューター、出身校の先生なども頼りになります。またオンライン家庭教師という選択肢も。授業以外にも進路や受験の相談に乗ってくれますから、ぜひ利用してみてください。
まとめ
「浪人して文転」という選択について、ホントのところや大変さ、また悩みやすいポイントについて解説してきました。
文系生が理転するよりも、理系生が文転するほうが現実味があり、合格の可能性も高いのは事実です。平坦な道ではありませんが、決断するならサクッと決め、どんどん勉強を進めましょう。
決めたら迷わないこと、追加になった科目は優先的に勉強すること、そして志望大学の過去問を見ながら「総合点でボーダーラインを超える」ことを目指していってください。本気の覚悟があればきっと大丈夫、応援していますよ。