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受験生にベストな睡眠時間は何時間?効率の良い勉強と睡眠の深い関係

受験生にとって「睡眠はパートナー」です。上手に付き合えば勉強効率を上げてくれますし、ないがしろにするとパフォーマンスは落ちる一方。受験勉強中はつい睡眠時間を削って勉強時間に充てたくなりますが、睡眠時間を削ることだけはおすすめできません。受験生といえども、1日7時間程度は寝るようにしましょう。

ではなぜ「7時間」なのでしょうか?また受験生が睡眠と上手に付き合うコツはどのようなものでしょう?今回は「受験生と睡眠」について、深堀りしていきます。気楽に最後まで読み、自分の「ベスト睡眠」を見つけるヒントにしてくださいね。

受験生にベストな睡眠時間は7時間、その理由は?

受験生にベストな睡眠時間は7時間、その理由は?

もちろん、最適な睡眠時間がどれくらいかというのは人によって異なります。睡眠は体質や年齢、日中の過ごし方など個人的な要因に大きな影響を受けるからです。また厚生労働省によると「睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分」という見解も示されており、何時間寝なければいけないということもありません。しかし受験生としては、ベストな睡眠時間というのは気になるものですよね。

ズバリ、受験生にベストな睡眠時間は「7時間」!7時間を推奨するのにはきちんと根拠があります。1つずつ見ていきましょう。

「7時間は寝る」のが最も身体に良いから

まずは広く、「人間」という視点から考えてみましょう。

日本で行われた睡眠に関する大規模な調査結果によると、もっとも死亡リスクが低かったのは7時間睡眠をとっていた人たちのカテゴリーであったことが分かっています。
※ 約10万の男女を対象に、14年間にわたって「睡眠時間と死亡リスクの関係」を追跡調査

またアメリカでも同様な研究により、7時間睡眠のグループが最も死亡リスクが低いという調査結果が出ています。
※ 110万人超の男女を対象に約6年間追跡調査

いずれの調査でも睡眠時間と死亡リスクの間にはU字カーブがみられた、つまり睡眠は短すぎても長すぎても死亡リスクが高まるというデータが示されたのです。

人間の睡眠については研究途上の分野も多いとはいえ、日本とアメリカで同じ結果が出ているのは興味深いことですよね。日米とも「7時間睡眠が最も死亡リスクが少ない」ということから、人間の身体は7時間寝るようにできている、と言っても過言ではないかもしれません。

睡眠が不足するとパフォーマンスが落ちるから

睡眠不足は日中のパフォーマンスを落とします。これはさまざまな研究で証明されていますし、皆さんも経験的に知っていることですよね。テストの前日にほぼ徹夜で勉強したものの、肝心のテスト中にぼーっとしてしまったり眠くなってしまったりして、結局何の成果も出なかったなんてこともあったかもしれません。

「寝不足は酔っ払いと同じ」という研究結果もあります。酔っぱらうまで飲酒したグループと一晩中起きていたグループとの集中力を測定してみると、課題に対してミスした回数は両グループともほぼ同じだったとのこと。長時間の睡眠不足は飲酒と同じくらい集中力が低下するということが分かります。

また慢性的な睡眠不足、つまり「ちょっとずつの寝不足が毎日続く」という状態でもパフォーマンスは低下します。覚えることや勉強することが多い受験生にとって、「集中力の低下」は痛手ですよね。睡眠不足は百害あって一利なし、と覚えておきましょう。

睡眠が果たしている役割とは?

睡眠は単に「お布団が気持ちいい」というリラックス効果があるだけではありません。人間が生きていく上で、非常に重要な役割を果たしています。睡眠が果たしている役割のうち、受験生にも関係が深い2点について解説していきます。

役割① 精神の安定

睡眠が果たす役割の1つ目は「精神の安定に貢献するから」です。

私たちの身体には「交感神経」と「副交感神経」という2つの神経回路が通っています(生物で学びましたね)。交感神経は起きている時にはたらく神経で、ストレスや新たな状況に立ち向かったりする、活発な活動を支えています。一方、副交感神経はリラックスしたり、内臓機能や免疫を調整したりする役目を担っています。日中は交感神経が優位に、睡眠中は副交感神経が優位に立つといった具合に、両者がバランスよくはたらくことで私たちは日々安定して過ごせているのです。

ところが何らかの理由で交感神経が優位に立ち続けると、神経は常に張り詰めた状態を強いられることになります。するとストレスが強くなり、場合によっては心の病気になってしまう可能性もあると言われています。

睡眠は身体と脳を休息させる「副交感神経」を優位にする時間です。ぐっすり眠ることで私たちの身体と脳は安定するということですね。睡眠はメンタルの安定に重要な役割を果たしている、これが受験生にとって睡眠が大切だと言える理由の1つ目です。

役割② 情報の整理と定着

睡眠が果たす役割の2つ目は「睡眠中に情報の整理と定着を行うから」です。

人の脳がどのように記憶の整理と定着を行っているかは研究段階ですが、「睡眠」が重要な役割を果たしていることは分かっています。ノンレム睡眠(深い眠り)とレム睡眠(浅い眠り)を繰り返しながら、日中に得たさまざまな情報を分類し、保存し、ときに忘れる作業をしているのです。受験勉強の内容も例外ではありません。睡眠中に整理し、固定(あるいは忘却)に分類されることになります。

ちなみに就寝後すぐにやってくるのが深いノンレム睡眠です。この深いノンレム睡眠は、昼間に経験した恐怖などの「嫌な記憶(嫌な感覚)」を消してくれます。またその後にあらわれる浅いノンレム睡眠は勉強や関連情報の整理をすると言われています。また明け方の長いレム睡眠は記憶の定着や索引付けをしていると考えられています。

つまり睡眠不足とは、日中にせっかく暗記した内容を「記憶に定着」させる時間をふいにしているということなのです。覚えても覚えてもすぐ忘れてしまうというあなた、もしかして睡眠不足だという心当たりはありませんか?

やっぱり「朝型」の方が受験には有利?

やっぱり「朝型」の方が受験には有利?

受験生が気になる睡眠に関するトピックとして必ず上がるのが「朝型が良いか、夜型が良いか」ということですね。特に学校が終わってから受験勉強に取り組み始めると、ノッてきた頃には夜中…、ということもあるでしょう。そんなときに「朝型が良い」とい言葉が気になったことがある人も多いはず。

ここからは「朝型」と「夜型」論争について考えていきましょう。

自分は「朝型」か、「夜型」か。実は体質的に決まっている!

「朝型が良い」という話を聞いて早起きにチャレンジしてみたものの、どうしても起きられない。家族が寝静まった深夜に集中したいと思っても、22時を過ぎるとどうしても眠くなってしまう…。受験生からこんな話を聞くことも良くあります。

実は「朝型」タイプか、「夜型」タイプかは体質的に決まっているということは知っていましたか?研究により、朝に強いか、夜に強いかは体内時計の機能に関係した遺伝子の多様性によるということが分かってきたのです。生活リズムのつくり方ややる気に原因があるのではないということですね。またその人の性格とも関係ないということです。もちろん「気合い!」とも関係ありませんよ。また季節によって最適な生活リズムが変わる人もいるそうです。

いずれにせよ、受験生にとって大切なのは「十分睡眠を確保し、勉強のパフォーマンスを上げること」ですよね。朝型/夜型にこだわる前に、自分の勉強効率が最も上がる生活リズムを見つけてみてください。

受験本番でベストパフォーマンスが出せればOK!

一般的に「受験生は朝型がおすすめ」と言われるのは、入試当日の時間割にあります。
共通テストも2次試験も、入試はすべて朝から始まりますよね。8時半ごろに会場に集合し、9時過ぎには1教科目がスタートするというのがオーソドックスな形です。

普段から朝型生活、つまり夜更かしせず朝から活動していると、直前期にわざわざ生活リズムを変えずとも入試1時間目を頭が冴えた状態で迎えられるから、というのが「受験生は朝型がいい」と言われる理由です。

しかし自分が朝型人間か夜型人間かというのは、遺伝子レベルで体質的に決まっているのでしたよね。「受験生=朝型」にこだわるあまり、本来能率があがるはずの生活リズムを手放すことで受験勉強の完成度が高まらなければ本末転倒です。

「受験生は朝型が良い」と言うのは、朝から始まる試験に向けてコンディションを整えることが目的です。「自分は夜型かもしれないな」という人は、受験本番で実力を発揮できるように整えていけばOKですよ。

日中(特に昼食後)の眠気が困る!対策はある?

日中(特に昼食後)の眠気が困る!対策はある?

さて朝型の人も夜型の人も共通して悩むのが「日中に急に訪れる眠気」ではないでしょうか。特に昼食後の13時ごろが眠くて仕方ないという話もよく聞きます。大事な模試が午後イチに国語があり、論説文を読むうちにうとうと…、なんてことも。

昼食後や午後はどうして眠くなるのでしょう?あるいは日中の眠気をすっきりさせる方法はあるのでしょうか?「日中の眠気対策」で、受験勉強も模試も万全にしていきましょう。

日中眠くなる理由

夜、十分寝ていても日中に眠くなるということはあるものです。昼間、眠くなるのには主に2つの理由があると考えられています。

1つ目は昼食をとったことによるホルモンの変化です。食事をとると覚醒を促すホルモン「オレキシン」の分泌が抑えられます。目を覚ます力が鈍くなれば、当然眠くなりますよね。

2つ目は人間の生体リズムによるものです。人間の眠気のピークは午前2~4時ごろ、とお昼の午後2~4時の2回あると言われています。実は人間には1日を24時間で過ごすサイクルのほか、12時間を2回まわすサイクルも備わっています。そう、眠気はきっちり12時間サイクルで訪れるのですね。昼食後や午後は、生体リズム的に眠くなって当然の時間帯なのです。

日中の眠気には短時間の仮眠を、スッキリ起きるコツも

とはいえ、午後に大事なテストがあることもあります。午後の授業だからといって寝ることはできません。眠くなる午後の時間を乗り切るためには、短時間の仮眠がおすすめ。昼食後、机に伏せるなどしてそっと目を閉じましょう。

日中の仮眠で午後スッキリ勉強するためのポイントは3つ!

● 仮眠は15~20分程度!
長く寝てしまうと脳がレム睡眠(ぐっすり睡眠)に入り、目覚めが悪くなります。あくまで仮眠ですから、長くても20分で起きるようにしましょう。

● 目を閉じているだけで効果あり!
いわゆる「眠りに落ちる」ことができなくても大丈夫、目を閉じ視覚情報をシャットアウトするだけで脳は休まります。リラックスすることを目的にしましょう。

● 寝る前のカフェインでスッキリお目覚め!
覚醒効果のあるカフェインはコーヒーや紅茶、緑茶にも含まれています。仮眠の前に摂取しておくと、深い眠りに入る前にカフェインの効果でスッキリ目覚められますよ。

大事なのは勉強の効率!自分の身体と対話してベストな生活リズムを見つけよう

志望校への合格を願えば願うほど、勉強の時間はどれだけあっても足りないと感じてしまうもの。そして学校や塾などの時間が削れないとなると、自分の睡眠時間を削ってまでも…、と考えてしまいますよね。

しかし睡眠は受験勉強にも、そして健康にもとても大切な役割を果たしているということがお分かりいただけましたよね。

繰り返しになりますが、大切なのは「何時間睡眠なら合格できるのか」という話ではないということ。スッキリ集中できる頭で受験勉強に取り組み、入試の本番で納得のパフォーマンスを発揮できることです。そのためにも「東大合格者は〇時間寝ていた」といった他人の情報に惑わされることなく、自分と対話し、自分にとってベストな生活リズムを見つけてくださいね。

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