【大学入試】指定校推薦を決める前にデメリットを理解しよう!メリットや対策も解説
指定校推薦は「合格が早く決まる」「校内選考を通過できればほぼ合格」というメリットばかりが語られやすいため、デメリットが見えにくくなります。しかし、一生に一度の大事な大学受験。指定校推薦を受けようか迷っている高校生の中には、「デメリットがあると心配」という人もいるかもしれません。
この記事では指定校推薦について、デメリットの面から注目しました。6つのデメリットと、反対にメリット、また指定校推薦以外の入試日程や、自分に合う日程の探し方も解説しています。
後悔のない大学受験にするために、あらためてさまざまな角度から指定校推薦について考えていきましょう。
目次
大学入試・指定校推薦のデメリット 6つ
指定校推薦で大学を受験すると決める前に押さえておきたいデメリットは、以下の6つです。
- 校内選考を通過しなければならない
- 高3まで定期テスト対策をしなければならない
- 志望大学を受験できるかわからない
- 合格したら入学辞退ができない
- 一般入試生と学力に差があるかもしれない
- 私立大学しか選べない
それぞれを詳しく解説します。納得した受験にするためにも、十分理解しておきましょう。
校内選考に通過しないといけない
指定校推薦は、推薦入試のなかでも特別な制度です。出願できる人数上限が決まっており、大学が高校に設けた指定校枠分しか推薦を受けられません。一般的に「1大学×1高校×1~2人」程度と考えてください。
指定校枠の上限以上の希望者が集まった場合は、受験者を決める校内選考が行われます。校内選考に通過して初めて、受験できるというわけです。
選考には手間も時間もかかりますし、必ず通過できるとも限りません。結果を待つ間、あいまいな立場とならざるを得ない点はデメリットといえます。
高3の2学期まで、学校のテストに力を入れなければならない
指定校推薦の校内選考は、主に定期テストの成績を基準にして行われます。そのため、指定校推薦を狙う受験生は高3になっても定期テスト対策に力をいれなければなりません。
もちろん、選考を通過できなかった場合に備え、一般入試対策も同時進行しておく必要があります。
指定校推薦は、出願すればほぼ合格が確約される入試制度ですが、出願を手にするまでの負担が大きい点がデメリットです。
志望大学・学部の推薦が高校に来ているとは限らない
すべての大学が、すべての高校に指定校推薦枠を提供しているわけではありません。高校によって、また年度によっても指定校推薦枠の有無は変わります。
「A高校には明治大学から指定校推薦が来ているが、B高校には来ていない」「去年は早稲田大学の指定校推薦枠があったが、今年はないらしい」といった例もよくあります。
当然、枠がなければ指定校推薦を受けることはできません。「指定校推薦で合格する」ことを優先した結果、志望大学を受験できなくなる可能性も考慮しておきましょう。
合格したらかならず入学しないといけない
指定校推薦には、基本的に「入学辞退」が認められていません。「合格したら入学」が前提です。
指定校推薦の受験後に気持ちが変わって別の大学に行きたくなっても、それは叶わぬ夢となります。
万一、指定校推薦合格者が入学を辞退すると、翌年度からは出身高校に指定校推薦枠が届かなくなるなどの悪影響がある場合があります。本当にその大学に行きたいかどうか、よく考えて決めるようにしましょう。
一般入試の合格者と学力に差があるかもしれない
指定校推薦は年内に合否がわかります。合格した時点で受験勉強をする必要がなくなるため、2月まで必死に勉強して入ってきた一般合格者と基礎学力に差がついている可能性があります。
指定校推薦で入学した生徒が「大学の授業についていけない」「大学のレベルを下げる」などと揶揄されるのは、そのためです。
合格が決まったあともできるだけ勉強を継続し、入学時の学力差を小さくする努力をしておきましょう。
私立大学しか受験できない
指定校推薦入試は、私立大学独自の制度です。国公立大学は実施していません。「指定校推薦で大学に合格したい」場合は、受験大学の候補から国公立大学がなくなることは、押さえておきましょう。
国公立大学は学校推薦選抜や総合型選抜を実施しています。いずれも受験したからといって合格が確約されるわけではない点に注意しましょう。
>総合型選抜について詳しくはこちらもご覧ください。
大学入試・指定校推薦のメリット4つ
指定校推薦には、他の入試制度にはないメリットもあります。以下の5つのメリットを、詳しく解説します。
- 全国の受験生と勝負しなくて良い
- 合格決定時期が早い
- 受験費用を節約できる
- 実力以上の大学に合格できる場合もある
全国の受験生と勝負しなくて良い
指定校推薦は、大学と高校との「信頼関係」によって成立しています。大学は高校に「欲しい学生像」を提示し、高校側は合致する生徒を推薦するわけですが、信頼関係があるため推薦をけられればほぼ間違いなく合格できます。
緊張マックスの受験当日に、知らない受験生と机を並べて試験を解く必要はありません。競争相手となるのは、同じ高校の生徒です。気持ちもずいぶん楽になるかもしれません。
周りより早い時期に合格が決まる
指定校推薦の受験スケジュールは、およそ以下のとおりです。
8~10月:校内選考実施、推薦者を決める
12月:大学側の試験(面接)実施、合格
校内選考を通過できれば合格が決まったも同然なので、実質的に10月ごろには合格できます。周囲がまだ「第3回全統共通テスト模試」「第3回全統記述模試」を控えて必死になっている時期に合格できる余裕は、何よりのメリットでしょう。
塾費用、受験費用を節約できる
指定校推薦は、年内には合格が決まります。その時点で塾を辞めれば、2~3か月分の塾代が節約できます。
また一般入試を受ける受験生のように、いくつもの大学を受ける必要もありません。受験費用や会場までの交通費、宿泊費なども不要です。
実力より上の大学に合格できる場合もある
指定校推薦にも試験はあります。ただし学力試験を課す大学はほとんどありません。多くは面接やプレゼンテーション、小論文・作文などで決まります。学力のレベルは調査書でチェックするのです。
そのため、一般入試で学力試験を受ける場合だと合格が厳しい大学にも受かることがあります。学校に難関私立大学から指定校推薦枠が来ていたら、チャレンジしてみるチャンスかもしれません。校内選考は厳しい戦いになることは予想されますが、見事通過できれば合格確実です。
さまざまある大学入試の選抜方法
指定校推薦の校内選考に通過できなかった場合は、別の選抜方法で大学にチャレンジしましょう。国公立大学・私立大学それぞれの選抜方法の種類を解説します。
国公立大学
国公立大学への入り方は、以下の3種類です。
- 学校推薦
- 総合型選抜
- 一般入試
学校推薦
学校推薦は、高校からの推薦書を携えて受験する選抜方式です。出願したからといって合格が確約されるものではなく、選考の上合否が決まります。
学校推薦には、高校の成績で評価するものと、スポーツや文化活動の実績を評価するものとがあります。また医学部の「地域枠」など、特定の地域・条件を満たす生徒だけが出願できる日程もあります。
試験は10~12月に行われます。
共通テストを課す推薦入試の場合は、合否発表は2月ごろになります。
総合型選抜
総合型選抜は、いわゆる自己推薦型入試です。大学側が示す基準・条件を満たしていれば、誰でも出願できます。
選考方法は大学ごとに異なりますが、面接と小論文・作文などを課すケースが多く見られます。また共通テストの結果を合否判断材料にする大学もあります。
試験スケジュールは2タイプに分かれます。
①出願:9〜10月/合格発表:11〜12月
②出願:1月/合格発表:2月
一般入試
一般入試は、共通テストと大学ごとの二次試験を受験し、合否が決まる選抜方式です。共通テストの得点と二次試験の得点を合算し、合否を決定します。
難関大学・学部の中には、共通テストの得点によって二次試験に臨めるかどうかが決まる「二段階選抜」を実施するところもあります。
一般入試は前期日程・中期日程(公立のみ)・後期日程の3つがあります。後期日程は縮小傾向にあり、実質的に前期日程一本勝負の大学も増えています。
私立大学
私立大学は国公立大学と比べて、入試日程のバリエーションが豊富です。多くの大学が実施している、以下の日程を解説します。
- 指定校推薦
- 学校推薦
- 総合型選抜
- 共通テスト利用型入試
- 大学個別試験
指定校推薦
指定校推薦は、大学が高校に推薦枠を設け、基準を満たす生徒を推薦してもらう制度です。高校の校内選考に通過すれば合格がほぼ決まるため、入試の中でももっとも早い時期に受験が終わります。
指定校推薦についての詳細、またメリット・デメリットは、記事の前半をご覧ください。
公募推薦
公募推薦は、指定校枠の有無にかかわらず、どの高校からも受験できる推薦入試です。学校推薦となるため、学校長の推薦書が必要です。また出願にあたって、評定平均の基準やスポーツ・文化活動の実績を求める大学も少なくありません。
一般的に10月に出願、11月に試験、12月合格発表というスケジュールが多く見られます。公募推薦で不合格だった場合は、一般入試などにチャレンジすることになります。
総合型選抜
総合型選抜は、大学側が求める学生像にマッチする受験生を選抜する目的で実施される入試方式です。「学力型」「対話型」「実技型」の3つに大別されることが多く、高校で頑張ってきたことや大学入学後の意欲をアピールしやすい入試方式です。
自己推薦型入試のため、学校長の推薦書はいりません。入試スケジュールは、9月に出願、10~11月に試験、11~12月に合格発表となるのがオーソドックスなパターンです。
共通テスト利用型入試
共通テストの得点だけで合否を判定する入試方式です。大学まで試験を受けに行かなくて良いため、受験生にとっても負担が少なくなります。反面、国公立大学志望生を中心に大勢が出願するため、ボーダーラインは高くなりやすいという特徴があります。
出願締め切りは「共通テスト実施前」である大学が多い点に注意しましょう。また一般入試との併願も可能です。
大学個別試験
大学個別試験は、大学で受けた試験結果で合否が決まる方式です。私立大学は受験生が受けやすいようにさまざまな日程を用意しています。
- 全学部統一日程:1回の試験で複数の学部に出願できる
- 地方日程:大学だけでなく、各地で試験が行われる
- 特定教科重視日程:ある科目に傾斜配点をかける など
一般入試の日程は大学ごとに異なるため、かならず募集要項で確認してください。
指定校推薦を狙う受験生がやっておきたいこと
指定校推薦を目指す高校生は、一般入試生とは違った準備が必要です。かならず押さえておきたい3つのポイントを解説します。
学校の定期テストでしっかり結果を出しておく
なんといっても、指定校推薦を取れるかどうかを決めるのは「学校の成績」です。高校1年生から、定期テスト対策にしっかり取り組み、結果を出していきましょう。
成績の目標としては、評定平均4.0以上を目指しましょう。評定平均4.0以上は、推薦基準として大学側が提示する場合も多い指標です。評定平均は学校の先生に聞くとわかります。
学校の課題も手を抜かずに取り組む
成績に加えて、学校の課題にもしっかり取り組んでおきましょう。指定校推薦で大学に行く場合は、意欲や取り組み姿勢が模範的であることが求められるためです。高校が大学に送り出しても「恥ずかしくない」と感じる生徒でいることが大切です。
こまめに情報を集める
指定校推薦枠が、どの大学・学部から何人分くるかは、毎年変わります。去年はあった枠が、今年はないことも考えられるため、情報は積極的に集めましょう。
指定校推薦希望であることを早めに担任・進路指導主任に伝えておきましょう。推薦枠がきた際に、すぐに教えてもらえる場合もあります。
自分に合う入試方法を見つけるポイント4つ
大学の入試方式はさまざまあり、自分はどの日程を受ければよいのか迷ってしまうかも知れません。
後悔のない受験にするためにも、実力を存分に出し切れる日程を選びましょう。
大学の入試日程の選び方を、4つのポイントから解説します。
入試方式ごとの特徴を理解する
入試方式は、一つひとつ特徴が異なります。まずはそれぞれの日程の違いを、正しく把握しましょう。
たとえば法政大学の<一般入試>では、日程ごとに以下のような違いがあります。
日程 | 特徴 |
---|---|
大学入学共通テスト利用入試 (B方式)※3教科型 (C方式)※5教科6科目型 |
|
T日程入試(統一日程) |
|
英語外部試験利用入試 |
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A方式入試(個別日程) |
|
※ 参考:2023年度 入試概要|法政大学
得意科目や複数学部の併願可否、受験会場などの希望を思い浮かべながら、日程ごとの特徴を押さえてください。
志望大学・併願大学の試験日をチェックする
試験日が重なっていると、どちらか一方の大学しか受験できません。第一志望大学で受験したい日程の試験日と、併願予定の大学の試験日をチェックしましょう。
また受験会場も確認してください。大学受験は全国で行われるため、長距離移動が必要になる場合もあるからです。交通機関が降雪の影響を受ける可能性があることも踏まえると、強行スケジュールはおすすめできません。
得意科目・不得意科目の配点をチェックする
試験の配点もチェックしましょう。得意科目より不得意科目の配点が大きい日程にチャレンジすると、苦戦が予想されます。得意科目に多めの配点がある日程の方が、有利に戦えます。
配点は年度ごとに変更される場合もあります。かならず最新年度の募集要項で確認してください。
アピールできる実績があるか振り返る
部活動や文化活動、英検などの資格取得、学校外の活動などで、アピールできる実績がある場合は、総合型選抜や学校推薦を狙うのもおすすめです。とくに総合型選抜は、プレゼンテーションやレポートなどを課す大学も多く、絶好のアピールチャンスです。
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指定校推薦での合格を目指すなら、学校の定期テストで結果をださなければなりません。しかし、高校のテストは範囲も広く課題も多く、自力で対策するのは難しい高校生も多いのではないでしょうか。
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まとめ
指定校推薦は、「推薦枠がない大学は受けられない」「高3までしっかりテスト対策をしないといけない」といったデメリットは、たしかにあります。一方で「早い時期に合格が決まる」「塾代や受験費用を節約できる」メリットがあるのも事実です。
指定校推薦制度は私立大学のみが実施している点も踏まえ、よく検討しましょう。親御さんの意向もききながら、自分が納得できる結論を出してください。
指定校推薦の校内選考が行われるのは、高3の夏以降です。もし校内選考に通過できなかった場合は総合型選抜や一般入試で受験することになります。校内選考の結果が出てから慌てて受験勉強を始めるのではなく、同時進行しておくようにしましょう。