お子さんに合ったフリースクールの選び方│その他の通学支援サービスも紹介
「学校に行きたくない」
もしお子さんがそう言ったら、保護者の方は深い不安や戸惑いを覚えるでしょう。そして、「このままでは勉強が遅れてしまう」「将来はどうなるんだろう」と心配になるのは当然のことです。
しかし、学校以外の学びの場はたくさんあります。その一つがフリースクールです。フリースクールは、お子さんが安心して過ごせる居場所となり、次のステップへ進むための大切な場所です。
このブログでは、フリースクールがどのような場所で、どのように選べばよいか、その費用や学習内容についても詳しく解説します。お子さんの「学びたい」という気持ちを大切にするために、ぜひ参考にしてください。
フリースクールとは?
フリースクールは、学校に行きづらさを感じている子どもたちのために、「学校以外の学びの場」や「居場所」を提供している民間の教育施設です。これは、法律で定められた小学校や中学校とは異なる、多様な教育の選択肢の一つです。
フリースクールの主な目的
フリースクールの目的は、単に学習の遅れを取り戻すことだけではありません。以下のような、お子さんの成長を多角的にサポートすることを目的としています。
- 心の居場所の提供
不登校のお子さんは、学校での人間関係や学習へのプレッシャーから、心に大きな負担を抱えていることが多いです。フリースクールは、お子さんが安心して「ありのままの自分」でいられる場所を提供し、心の回復を促します。
- 多様な学びの提供
学校の画一的なカリキュラムにとらわれず、お子さんの興味やペースに合わせた学びを提供します。これにより、お子さん自身が「学ぶ楽しさ」を再発見し、学習への意欲を取り戻すことを目指します。
- 社会とのつながりの構築
学校に通えないお子さんは、社会との接点が減りがちです。フリースクールでの様々な活動や、他の子どもたちとの交流を通して、社会性を育み、将来の自立に向けた力を養います。
公的な学校との違い
フリースクールは、公立の小中学校とは、以下のような点が異なります。
フリースクール | 公立の小中学校 | |
運営主体 | 民間団体(NPO法人、個人など) | 地方自治体(教育委員会など) |
目的 | 子どもの心の回復、多様な学び、居場所の提供 | 義務教育の実施 |
カリキュラム | 個別指導、自由研究、体験活動など多岐にわたる | 学習指導要領に基づいた画一的なカリキュラム |
法的立場 | 学校教育法に定められていない「教育機会の確保」の場 | 学校教育法に定められた「一条校」 |
フリースクールでの学習と出席日数
多くの保護者の方が心配されるのが、フリースクールでの活動が学校の出席日数として認められるかどうかです。
これは、在籍している学校とフリースクールの間で連携が取れれば、出席扱いとなるケースがあります。具体的な連携方法や条件は、各学校や地域の教育委員会によって異なりますので、事前に相談することが非常に重要です。
フリースクールは、不登校のお子さんが、社会とつながり、自己肯定感を育み、自分らしい人生を歩むための大切なステップとなる場所です。
フリースクールはどんな種類がある?
フリースクールは、お子さんの個性や目的に合わせて選べるよう、様々なタイプがあります。ここでは、代表的な4つの種類について、それぞれの特徴と向いているお子さんを詳しく解説します。
1. 学習支援中心型
学校の教科の学習を主に行い、学習の遅れを取り戻すことに重点を置いています。
【具体的な活動内容】
- 個別指導
先生がマンツーマンで、お子さんの学力や学習ペースに合わせた指導を行います。
- 少人数制の授業
似た学年や学習レベルの子どもたちと少人数グループで授業を受けます。
- オンライン学習のサポート
自宅でのオンライン学習を、スタッフがサポートする体制を整えているところもあります。
- 向いているお子さん
学習意欲はあるものの、体調や精神的な理由で学校に通えないお子さん。
学校に戻ることを目標にしており、学習の遅れを取り戻したいお子さん。
集団での学習が苦手で、自分のペースで学びたいお子さん。
2. 居場所中心型
学習よりも、まずは安心できる「居場所」を提供することに重点を置いています。
【具体的な活動内容】
- 自由な時間
決まったカリキュラムはなく、お子さんが自由に過ごせる時間が多いです。読書をしたり、絵を描いたり、ボードゲームをしたり、思い思いの時間を過ごせます。
- スタッフとの交流
穏やかな雰囲気の中で、スタッフがお子さんの気持ちに寄り添い、信頼関係を築くことを大切にします。
交流イベント: 季節のイベントや、料理、スポーツなど、他の子どもたちと交流する機会を設けているところもあります。
- 向いているお子さん
人間関係でつまずき、心の傷を癒すことが最優先のお子さん。
学習への意欲がまだ湧かず、まずは安心できる場所でゆっくり過ごしたいお子さん。
学校のような集団生活に強いストレスを感じるお子さん。
3. 体験活動中心型
自然体験や社会見学、キャンプなど、様々な体験活動を通して学びます。
【具体的な活動内容】
- 自然体験
ハイキング、農業体験、川遊びなどを通して、五感を使い、自然の摂理や命の大切さを学びます。
- 社会体験
工場見学や職業体験を通して、社会の仕組みや多様な仕事について学びます。
プロジェクト活動: 地域の課題解決や、何かを創り出すプロジェクト活動を通して、主体性や協調性を育みます。
- 向いているお子さん
机に向かうのが苦手で、体を動かしたり、手を使って何かを作ることが好きなお子さん。
教科の学習だけでなく、実践的なスキルや社会性を身につけたいと考えているお子さん。
様々な体験を通して、自分の興味や関心を探したいお子さん。
4. 自学自習型
特徴: お子さん自身の興味やペースに合わせて、自分で学習計画を立てて進めます。
【具体的な活動内容】
- 個別学習
ほとんどの時間、お子さんは自分の課題に取り組みます。スタッフは、分からないところを質問されたり、学習計画の相談に乗ったりするサポート役となります。
- オンラインツール
オンラインの学習システムや、動画教材を活用するケースが多いです。
- 少人数のグループワーク
興味のあるテーマが同じ子どもたちと、探究活動や発表会を行うこともあります。
- 向いているお子さん
自分の興味やペースに合わせて、主体的に学習を進めたいお子さん。
学校のカリキュラムにとらわれず、特定の分野を深く学びたいお子さん。
ある程度、自己管理ができるお子さん。
お子さんに合ったフリースクールを選ぶためには、これらの種類を理解した上で、複数のフリースクールに見学や体験に行き、お子さんの意見を尊重することが何よりも大切です。
フリースクールはどのくらい費用がかかる?
フリースクールの費用は、運営元や地域、活動内容によって大きく異なります。
- 月額費用
数万円から10万円程度が一般的です。これは、学習支援の有無や、体験活動の頻度によって変動します。
- 入会金
多くのフリースクールで、数万円程度の入会金が必要です。
公的な支援として、一部の自治体では、フリースクールへの通学費用を助成する制度を設けている場合があります。お住まいの地域の教育委員会に相談してみましょう。
フリースクールではどんな勉強をする?
フリースクールでの勉強は、画一的なカリキュラムではなく、お子さんの興味や学習ペースに合わせた多様な学びが提供されます。ここでは、その具体的な内容を詳しく解説します。
基礎学力の定着
多くのフリースクールは、お子さんが再び学校に戻ることを視野に入れて、基礎学力の定着をサポートしています。
- 個別学習
お子さん一人ひとりの学習レベルや、つまずいている部分に合わせて、マンツーマンで指導します。学校の教科書や問題集を使うこともあれば、お子さんの興味に合わせたオリジナルの教材を用意することもあります。
- 少人数グループ学習
同じ学年や学習レベルの子どもたちと、少人数でグループ学習を行います。これにより、他の子どもと交流しながら、協調性や社会性を育む機会を得られます。
- オンライン学習の活用
タブレットやパソコンを使って、オンラインの学習プログラムを進めることも一般的です。自宅にいる日でも学習を続けられるため、登校が難しいお子さんにとって非常に有効な方法です。
探究的な学び
フリースクールでは、教科の学習だけでなく、お子さんの「なぜ?」や「好き」を深掘りする探究的な学びを大切にしています。
- 自由研究
お子さんが自由にテーマを選び、調べ、まとめ、発表する活動です。興味のあることをとことん掘り下げることで、主体的に学ぶ力や、論理的に考える力を養います。
- プロジェクト学習
複数の子どもたちがチームを組み、一つの目標に向かって協働する活動です。例えば、「フリースクールの庭で野菜を育てる」「地域のイベントで発表する」といったプロジェクトを通して、課題解決力やコミュニケーション能力を育みます。
体験を通した学び
机上の学習だけでなく、体験を通して五感で学ぶことも、フリースクールの大きな特徴です。
- 社会見学や職業体験
地域の商店や施設、企業を訪問し、社会の仕組みや多様な仕事について学びます。これは、将来の進路を考える良いきっかけになります。
- アートや音楽、スポーツ
絵を描いたり、楽器を演奏したり、体を動かしたりする活動を通して、自己表現の楽しさや、心身のリフレッシュを図ります。
元の学校との連携
多くのフリースクールは、在籍している学校と連携し、フリースクールでの学習や活動が、学校の出席日数や単位として認められるようなサポートをしています。これにより、お子さんが安心して学びを続けられるようになります。
フリースクールでの学びは、お子さんが自分らしさを見つけ、自信を取り戻すための大切な時間です。
教科の学習はもちろん、様々な活動を通して、お子さんの「好き」や「得意」を伸ばし、次のステップへと進むための準備を整えることができるのです。
フリースクールを選ぶ時のポイントは?
お子さんに合ったフリースクールを選ぶためには、以下のポイントを参考にしましょう。
お子さん自身が「行きたい」と思えるか
まずは、お子さんの意見を尊重することが最も大切です。いくつかのフリースクールに見学や体験に行き、お子さん自身が「ここなら行ってもいいかな」と思える場所を選びましょう。
スタッフとの相性
フリースクールは、スタッフとの人間関係が非常に重要です。スタッフが、お子さんの特性や悩みに寄り添ってくれるか、また、お子さんが信頼できる相手かを見極めましょう。
運営方針や学習内容
お子さんが勉強の遅れを取り戻したいのか、それとも居場所を見つけたいのかなど、目的を明確にしましょう。
その目的が、フリースクールの運営方針と合っているかを確認しましょう。
元の学校との連携
フリースクールでの出席が、在籍している学校の出席日数として認められるかどうかは、非常に重要なポイントです。事前に、フリースクールと学校の双方が連携できる体制かを確認しておきましょう。
フリースクール以外でも、子どもの通学支援はある?
フリースクール以外にも、不登校のお子さんが安心して過ごせる居場所や、学習をサポートする公的なサービスは複数存在します。お子さんの状況や目的に合わせて、これらの選択肢も検討してみましょう。
適応指導教室(教育支援センター)
自治体の教育委員会が運営している、不登校の子どものための施設です。学校に復帰することを目指しており、学校との連携が非常にスムーズです。
【主な活動内容】
- 学習支援
学校の教科の学習サポートや、個別指導が行われます。在籍している学校と連携し、出席が「学校の出席日数」として認められることが多いです。
- 心のケア
専門のカウンセラーが常駐しており、お子さんの心のケアや、保護者の相談にも応じてくれます。
- 体験活動
運動会や遠足、季節のイベントなど、集団活動を通して、社会性や協調性を育む機会が提供されます。
【メリット】
- 費用が比較的安い
公的な施設であるため、ほとんどの場所で無料で利用できます。
- 学校との連携
学校側も適応指導教室の存在をよく知っているため、出席日数や単位の認定がスムーズに行われます。
- 向いているお子さん
将来的に学校への復帰を目指しているお子さん。
経済的な負担をかけずに、専門的なサポートを受けたいと考えているご家庭。
民間運営の居場所(居場所支援)
NPO法人や個人が運営する、不登校の子どもたちのための居場所です。学習指導よりも、お子さんが安心して過ごせる環境を提供することに重点を置いています。
【主な活動内容】
- 自由な時間
決まったカリキュラムはなく、ボードゲームや読書、アート活動など、お子さんが自由に過ごせる場所を提供します。
- 交流
他の不登校の子どもたちと交流することで、孤独感を解消し、同じ境遇の仲間がいる安心感を得ることができます。
- 保護者の交流
保護者向けの相談会や交流会を開催しているところも多く、不登校の悩みを共有し、情報交換ができます。
【メリット】
- 多様な選択肢
お子さんの興味や性格に合わせて、様々なテーマの居場所を選ぶことができます。
- 心のケア
専門のカウンセラーが常駐している場所も多く、お子さんの心の安定に重点を置いています。
- 向いているお子さん
人間関係で傷つき、まずはゆっくりと心を休めたいお子さん。
学習へのプレッシャーから離れ、自由に過ごしたいお子さん。
オンライン家庭教師・オンラインフリースクール
自宅にいながら、オンラインで学習指導や交流ができるサービスです。
【主な活動内容】
- 学習支援
専門の講師が、お子さんの学力や学習ペースに合わせて、マンツーマンで指導します。
- 交流
オンライン上で他の子どもたちと交流できるイベントや、グループワークに参加できるサービスもあります。
- 保護者へのサポート
オンラインでの三者面談や、保護者向けの相談会を開催しているサービスもあります。
【メリット】
- 自宅で安心
登校に負担を感じるお子さんでも、自宅から学習や交流に参加できます。
- 時間の柔軟性
サービスによっては、早朝や夜間など、お子さんの体調の良い時間に合わせて学習できます。
- 向いているお子さん
外出に強い抵抗があるお子さん。
体調の波が大きく、決まった時間に学習することが難しいお子さん。
オンラインでのコミュニケーションに抵抗がないお子さん。
これらのサービスは、お子さんの状況や目的に応じて使い分けることが重要です。まずは、お子さんの「今、何が必要なのか」を一緒に話し合い、最適な選択肢を探していきましょう。
フリースクール以外で勉強したい子どもへの学習支援
フリースクールに通わなくても、自宅で学習を進める方法はたくさんあります。
通信教育
タブレットやテキスト教材を使って、自分のペースで学習を進められます。
オンライン学習
オンラインの動画教材や、個別指導サービスを利用することで、学校の授業の遅れを取り戻すことができます。
家庭教師
お子さんのペースや興味に合わせて、マンツーマンで学習をサポートしてくれます。
大切なのは、お子さんが「勉強したい」という気持ちを尊重し、その気持ちに寄り添った学習方法を見つけてあげることです。無理に学校のカリキュラムに合わせる必要はありません
まとめ
不登校は、お子さんにとって、そして保護者の方にとっても、つらい時期かもしれません。しかし、それは、お子さんが「自分に合った学び方」を探すための大切な時期でもあります。
フリースクールは、その探求をサポートしてくれる、心強い存在です。
お子さんの「行きたい」という気持ちを大切に、いくつかの選択肢を検討し、ぜひお子さんにとって最高の学びの場を見つけてあげてください。