推薦入試の作文・小論文の練習手順!正しい書き方や今日からできる成功のコツも解説
高校の推薦入試で面接と並び課されるケースが多い試験が、作文・小論文です。字数が500~800字に達することもあり、相応の対策をしなければなりません。
しかし作文や小論文をはじめて書く中学生は、原稿用紙を前に「何を書けば良いのか?」と固まってしまうこともよくあります。
この記事では、作文・小論文で合格点を取れるようになる方法を詳しく解説しました。準備や練習の仕方、原稿用紙の使い方、実戦的なトレーニングのコツなどをまとめています。
最後まで読み、高校の推薦入試で自信を持って作文・小論文を書けるようになりましょう。
目次
高校の推薦入試には作文が頻出!その狙いは?
高校の推薦入試では、多くの学校が作文や小論文を課します。例えば東京都立高校では、普通科のすべて・専門科の8割以上が作文・小論文を出題しています(令和4年度入試)。得点も100~300点と、面接試験と同じくらいの配分がある事実からも、作文・小論文の重要度がわかります。
はじめに高校の推薦入試で作文や小論文が出題される狙いを確認しておきましょう。
作文や小論文を課す狙い
作文や小論文は、「学力検査ではわからない受験生の個性」を見るために行われます。作文や小論文を通じ、テーマをどのように解釈し思考したのか、どのような論理を立てたのか、また表現したい内容や結論は何かといった点がチェックされます。
物事を筋道立てて考える力(論理力)や相手に伝わるようにまとめる力(表現力)なども重視されていると考えておきましょう。
作文と小論文の違い
作文は、自分が考えたことを自由に表現する課題です。独自の切り口やオリジナリティあふれる内容も歓迎されます。
一方、小論文は与えられたテーマを論理的に考え、根拠を持って結論を導く課題です。制約が多く難しく感じがちですが、型に沿って書けば完成するため、対策しやすいのは実は小論文です。
推薦入試における作文・小論文の基本作法
作文や小論文の練習を始める前に、基本的な作法を確認しておきましょう。作文・小論文に共通する、以下の3点を解説します。
- 原稿用紙の使い方
- 言葉の選び方
- 制限文字数の許容範囲
原稿用紙の使い方
基本的な原稿用紙の使い方は、次のとおりです。
題名・テーマ | 指定のスペースがあればそこに書く。 なければ原稿用紙の1行目に、2~3マス下げて書く。 |
氏名 | 指定のスペースがあればそこに書く。 なければ2行目に、下が1~2マスあくように書く。姓と名は1マスあける。 |
段落 | 書き始め、段落が変わったときは1マスあける。 |
句読点 | 1マス使ってよい。行末に来る場合は、文字と同じマスに入れる。 |
カタカナ書き | 基本的に外来語のみ。擬音語・擬態語は平仮名で書く。 |
数字 | 縦書き原稿用紙では漢数字を使う。 |
会話文 | かぎかっこ(「 」)で囲む。書き始めは行を変える。二重かぎ(『 』)は書名につかう。 |
言葉の選び方
作文も小論文も、第三者が読むことを意識した言葉を使いましょう。友達や身内だけで通じる内輪表現や省略した言葉などは避けます。
また無理に難しい言い回しを使おうとしないことも大切です。背伸びした表現を使った結果、意味を間違えていては本末転倒です。正しい意味を知っており、正確に使いこなせる言葉で書きましょう。
全体の文体も統一します。「だ・である」で書き始めたら、最後まで「だ・である」を使いましょう。一般的に作文は「です・ます」で書き、小論文は「だ・である」が推奨されます。
制限文字数の許容範囲
書くべき文字数は、指示によって幅が異なります。出題者は制限時間内に指定文字数で内容をまとめ、書き上げる力を見ます。
出題意図に応えるためにも、次を参考にしてください。
「〇〇字以内」
「〇〇字以内」と指示があれば、少なくとも8割以上は埋めなければなりません。9割を超えていれば十分です。「800字以内」なら、640字~720字が目安です。
「〇〇字以上△△字以内」
下限文字数ぎりぎりで書き上げると、意欲を疑われる可能性があります。下限文字数は余裕を持って超えるよう意識しましょう。「500字以上800字以内」なら、640字以上720字~800字が目安です。
「〇〇字程度」
「程度」と指示があった場合は、指定文字数の前後1割に収めるとベストです。「800字程度」であれば、720字~880字前後です。
推薦入試の作文対策<心構え・準備編>
作文や小論文を書く際の心構えや日頃からできる準備を解説します。作文・小論文は、いきなり原稿用紙に向かうから難しく感じるのです。紹介する手順に沿って進めれば、誰でも必ず書けるようになります。
いきなり書かない!はじめに構成をつくる
はじめに「構成」を考えます。構成とはテーマ作文・小論文の骨格に当たる要素で、話の展開や論理構成を箇条書きにしたものと考えてください。
「何を」「どのような順番で」書くのか、書き出します。理由・根拠や具体例を追加したい箇所があれば、あわせてメモしておきましょう。
各要素に目安の文字数を配分する
書く要素が決まったら、それぞれに文字数の目安を割り振ります。目安文字数を決めると、どの要素をどれくらいのボリュームで書けば良いのかわかりやすくなり、ダラダラ余計な話を書くことも防げます。
「〇文字」と文字数を決める方法のほか、全体に占める各要素の「割合」を決める方法もあります。
要点を簡潔に書くことを意識する
構成と文字数が決まったら、実際に書いてみましょう。書く際は「要点を簡潔に」書くのがポイントです。文章はできるだけコンパクトに、接続詞を使いすぎないことを意識してください。
具体例やエピソードも盛り込む
具体例やエピソードを盛り込むとオリジナリティが生まれ、受験生の個性がより伝わりやすくなります。ただし本筋と無関係な話を入れたり、エピソードばかりを書き続けたりするのは避けます。あくまで本筋を補強する題材として、具体例・エピソードを活用してください。
読む人にとっての読みやすさを意識する
作文や小論文でもっとも大切なのは、「読む人にとっての読みやすさを意識する」ことです。文字をはっきり丁寧に書く、はやり言葉は使わないなど、高校の先生の立場を考慮した読みやすい作文・小論文を完成させてください。
日頃から情報収集を心がける
作文や小論文では社会問題から文化・芸術、生き方など、さまざまなテーマが与えられます。
◎ 推薦入試の作文・小論文テーマの一例(東京都立高校)
- 戸山高校
裁判員制度に関する五つの資料を参考に、資料を読み取る問題に答え、レポートを作成する。(50字、150-200字) - 上野高校
「男女共同参画社会実現」に関する世論調査結果をグラフにしたものと、ある高等学校の授業で話し合い、出された提案を参考に、男女共同参画社会をつくるためのあなたの提案を述べなさい。(400字) - 大崎高校
近年、SDGs(持続可能な開発目標)に代表されるように、世界的な問題を自分ごととして捉えて主体的に取り組む姿勢が重要視されています。本校でも、学習・行事・部活動・校外活動などに受け身の姿勢ではなく、主体的に取り組むことのできる生徒を求めています。このことを踏まえて、あなたが高校生活で主体的に取り組もうと考えていることは何ですか。具体的な場面を一つ挙げて述べなさい」(540-600字)
参考:都立高等学校入学者選抜における推薦に基づく選抜で実施した集団討論、小論文・作文、実技検査のテーマ等一覧(令和3年度)|東京都教育委員会
与えられたテーマに関してまったく知識がなければ、十分なレベルで書き上げるのは難しいでしょう。日頃から多方面にアンテナを張り、情報収集する姿勢が大切です。
聞いたことがあるテーマが増えると、作文や小論文への苦手意識も和らぐでしょう。
推薦入試の作文対策<実践編>
高校の推薦入試に向けて、作文や小論文の練習はどのように進めれば良いのでしょうか。ここでは大学入試まで使える、作文・小論文の練習方法を解説します。公立高校・私立高校共通の練習方法です。
添削や書き直しに時間がかかる場合もあるため、試験まで時間的な余裕を持って練習するようにしましょう。
過去問や問題集を用意する
志望校でどのようなテーマが出されていたか調べましょう。教育委員会や高校のホームページでは、過去の問題例を紹介している場合があるのでチェックします。
もし情報が見つからなければ、他県やほかの高校の例を参考にしても構いません。
作文や小論文の書き方を解説する問題集があれば、あわせて用意します。
構成を作る
書くテーマを1つ選び、構成を作ります。「構成とは何か」については、記事の上部で解説しています。
実際の入試では、構成やアイディアをメモするための紙かスペースがあります。練習段階も本番を想定し、B5(ノートサイズ)~A4(一般的なプリントサイズ)の紙に構成を書いてみましょう。
また構成はあくまで「骨格」です。文章ではなく、要素をメモする・単語でどんどん書くのがコツです。要素同士を線でつないだり、囲ったりしながら、視覚的にわかりやすいメモを目指してください。
書いてみる
構成ができたら、原稿用紙に書いてみます。決めた目安の文字数を意識し、読みやすい表現を心がけましょう。
論理的でわかりやすい文章を書くには、「PREP法」や「SDS法」などのテクニックを参考にするのもおすすめです。
Point(P:要点)
Reason(R:理由)
Example(E:具体例)
Point(P:結論)
例、「中学時代、心に残ったこと」
中学時代にもっとも心に残ったことは、文化祭でのクラス発表です。(P)
発表内容から準備、進め方、当日のステージまで、先生の手を借りずに自分たちだけで考え進めたからです。(R)
地域の方から備品を借りたり、体験談を話してくれる先輩を探したりと、学校外で交渉しなければならない場も多く大変でしたが、クラスの全員が役割分担をして頑張りました。(E)
文化祭のクラス発表は、自分たちで考え工夫すること、大変な場面でもあきらめないことの大切さを学べた機会となり、もっとも心に残っています。(P)
Summary(S:要点)
Detail(D:詳細情報)
Summary(S:要点)
例、「中学時代、心に残ったこと」
中学時代にもっとも心に残ったことは、文化祭でのクラス発表です。(S)
中3のクラス発表の際、はじめて先生の手を借りずに自分たちだけでステージを完成させることにチャレンジしました。地域の方から備品を借りる、体験談を話してくれる先輩を探すなどの交渉を大変に感じたこともありましたが、クラスの仲間と役割分担し協力しながら終えることができました。(D)
自分たちの力でできるんだ!という自信になった機会でもあり、一番心に残っています。(S)
添削を受ける
書きあがった作文・小論文は、添削を受けましょう。担任や国語科、進路指導の先生などに添削を依頼します。塾の先生や家庭教師に頼むのもおすすめです。
コピーした原稿を使って複数の先生に添削してもらうと、「読む人によって着眼点や気になるポイントが違う」ことに気づけ、良い勉強になります。
書き直す
添削してもらった作文・小論文は、アドバイスを踏まえてかならず書き直しましょう。書き直しをしないと、せっかくの添削やアドバイスも「わかったつもり」で過ぎてしまいます。
書き直した作文・小論文は、添削済みの原稿と一緒にもういちど同じ先生に見てもらいます。
2~3回書き直し完成度を高めると作文・小論文の実力が伸びます。試験までの残り時間があまりない場合でも、かならず1回は書き直ししましょう。
推薦入試の作文対策 おすすめ問題集
推薦入試の作文・小論文対策に活用できる問題集を、厳選して3冊紹介します。小論文対策の問題集は大学入試向けのものもあるため、かならず「高校入試用」を選んでください。
『高校・大学入試対応 200字から始める 作文・小論文 上達ワーク』(朝日新聞出版)
朝日中高生新聞で連載されている「天声人語で200字作文」が書籍化された1冊です。200字というコンパクトな文字数で練習できるので、はじめて作文・小論文を書く受験生におすすめ。ワークシート形式で実際に書き込みながら練習できます。
構成をつくるヒントや作文例、自己添削チェックリスト、書き言葉への置き換えリストなど、参考になるコンテンツが盛りだくさんです。
『高校入試 作文・小論文対策 改訂版』(旺文社)
よく出るテーマについて詳しく解説されており、「何を・どんな順番で・どのように書けばよいのか」がわかります。採点者視点でチェックされやすいポイントや、NG解答の直し方など実戦度の高い内容なので、はじめて作文・小論文に取り組む受験生から直前の確認まで活用できます。
一般選抜の国語でよく出される作文問題対策にもおすすめです。
『採点者に好印象を与える 高校入試 小論文・作文のオキテ55』(KADOKAWA)
「作文とは?」「小論文で求められる力は?」など、疑問に感じやすいポイントを対話形式で解説した1冊です。平易な表現で読みやすく、高校入試で課される作文・小論文の基本が理解できます。また採点基準や高得点につながる書き方も55のオキテにまとめられています。
中学校では教えてもらえない作文・小論文の秘訣を知りたい受験生、必見です。
推薦入試の作文対策 成功のコツ
推薦入試の作文・小論文で高得点を取るコツ、成功のコツを3つのポイントから解説します。作文・小論文で大切なのは、「難しく考えず、素直な気持ち・考えを書く」ことです。等身大の自分を文字で表現できるよう、練習しましょう。
難しい言い回しは使わない
本番で作文や小論文に臨む際は、きっと緊張しています。緊張の中、慣れない言葉や難しい言い回しを使おうとすると、思考も内容も支離滅裂になってしまいます。
使い慣れた言葉でまとめるよう、意識しましょう。
与えられたテーマに正しく呼応し、文法的に正しい日本語で書かれていれば、十分高得点が狙えます。
嘘や誇張はしない
「どうせバレないから」と嘘や誇張した内容を書くのはNGです。たしかに採点者は書かれた内容の真偽は確かめようがありません。しかし経験していない内容や誇大表現をすると、どこか不自然さが残ったり、論理が破綻したりすることがあります。採点者はそんな違和感を敏感に見つけます。
また嘘や誇張を書くと、高校入学後も「自分は嘘の小論文で合格したんだ」というネガティブな思いにさいなまれるかもしれません。
作文も小論文も、嘘・誇張はNGだと押さえてください。
1回で書けるようになると思わない
入試ではじめて、まとまった分量の作文・小論文を書く必要に迫られた中学生も多いはずです。はじめて書くわけですから、すぐに書けるようにはなりません。1つのテーマを少なくとも2~3回書き直して、やっと手ごたえを感じられる程度です。
「すぐに書けるようになる」「1回練習すれば大丈夫」と思っていると、難しさにやる気が削がれかねません。
何回も練習してやっと書けるようになる、という姿勢で取り組むことが大切です。
高校の推薦入試対策にはオンライン家庭教師ピースがおすすめ
推薦での高校入試は、出願書類の準備や面接対策、作文・小論文の練習など、しなければならない準備が数多くあります。さらに推薦入試で不合格になると一般入試で受験することになるため、推薦入試の対策と並行して5教科の受験勉強も進めなければなりません。
限られた時間に多くの準備が必要な推薦入試対策には、時間を効率的に使える「オンライン家庭教師」の活用がおすすめです。中でもオンライン家庭教師ピースが推薦入試対策に向いている理由を、3つ解説します。
推薦入試対策に強い講師とマッチングできる
ピースはどのオンライン家庭教師より、必要な指導を最適に行える講師をご紹介することにこだわっています。
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教務スタッフと定期的に面談できる
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「推薦入試対策と受験勉強を両立できる計画を立ててほしい」「面接で自信を持って答えられるコツを教えてほしい」など、いつでも気軽にご相談ください。
教務スタッフとの相談・面談も、オンラインで完結します。
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授業の延長・追加は講師と都度ご相談ください。講師の都合がつけば、随時対応します。推薦入試対策の授業を増やすだけではなく、5教科の受験勉強の授業の追加ももちろん可能です。
まとめ
近年、学力検査だけでは見えない受験生の姿を見極めようとする受験方式が増えています。推薦入試で課されることが多い作文や小論文も、その一例です。また一般入試の国語で作文問題が出されることも、入試の多様化が影響しています。
一方で、入試に臨む中学生の多くにとって、作文や小論文は大きな壁となって立ちはだかるのも事実です。書き方を知らない、書いたことがない、何を書けば良いかわからない……、と面倒で逃げ出したいと訴える中学生も数多く見てきました。
作文や小論文は、たしかに練習が必要です。しかし練習すれば、かならず書けるようになります。正しい書き方を知り、練習を重ね、高得点を取れる力を育てていきましょう。